【更新中】悪役令嬢は天使の皮を被ってます!! -5年前「白パンダ」と私を嗤った皆様に今度は天使の姿でリベンジします! 覚悟は宜しくて?-

薪乃めのう

文字の大きさ
41 / 121

40. そして週末のお茶会は

しおりを挟む
 王立学院に編入して初日こそ色々ありましたけど、それ以降今週は面倒な事件は起こりませんでした。
 何と言っても、初日のローナ様対応に意識がいっていましたので。

 まさか、あんなに大人しそうで、常識人に見えた? ローナ様から5年前の事を言われるとは思ってもいませんでしたから。それも、あの言い方はまるでコチラがの様な言い方でしたわ。違うでしょう!? ヤツが悪いのでしょうが!! 

 ああ、いけません。興奮してしまいました。まあ、男性から見た女性の評判や評価が、正直あまり宛てにならない事が良く判りました。
 そう考えると、私も皆さんからどのように思われているでしょうか? よく、天使だのと言って頂けますけど。マリからは、黒いだの? 鬼だの? 悪役令嬢だの? と言われていますから、女子目線と男子目線の違いは大きいですわね。

 まあ、そんな感じで、ローナ様にはあれ以来ずっと無視されていますけど、ロイ様とはあれからご挨拶を交わせるようになっています。それに、生徒会役員ということで年間行事等についても今度教えて下さると、約束して下さいました。少しずつ距離を縮めましょう。

 そして、セドリック様は相変わらずですけど、私の事をフルネーム呼びしなくなりました。何の心境の変化でしょうか? でも、まだ慣れなくて言葉の端々に変な間が空くのですが、それもご愛嬌ということですわ。私としては、他の方がいる時にフルネーム呼びされると恥ずかしいので、できればこのままの方が助かります。

 エーリック殿下とカテリーナ様は、特に変わったことはありませんわ。
 でも、カテリーナ様が何だかとっても楽しそうです。特に、セドリック様に何か囁いたり、目配せしたり? していますけど。その度にセドリック様が真っ赤になったりするので、余計揶揄われているようです。それをエーリック殿下が時に納め、時に見て見ぬふりをされることもあって、余計な火の粉を浴びないようにされています。良い判断だと思います。そして上手ですわ。

 とにかく、未だヤツフェリックス殿下と接点を持つことはありません。エーリック殿下とセドリック様が、必要以上に警戒して下さっておりますので。

 そうですよね。私が仕返しをするつもりでいるなんて、言っていませんから……お二人からしたら、接点をなるべく減らして、印象を薄くして下さっているのかもしれません。



「何だか、申し訳なくなってきましたわ。お二人は善意でそうして下さっているのですもの」

 思い出して、溜息を漏らしてしまいました。

「お嬢様? どうされました?」

 今日は、お誘い頂いたドロシア・ミレーヌ・コントルー公爵令嬢のお茶会に行くのです。そのために、念入りに準備をしている訳です。

 週末のお茶会はコントルー公爵家で、気の置けないクラスメートのみで行われるとのことですから、マリの気合の入れ方が半端ないです。

「だって、コレールに戻ってきて初めてのお誘いですよ? それも上位貴族ばかりの女子の集まり! 萌えますわ! いいえ、燃えますわ!!」

「そうね。クラスの女子勢力図を知るにも良い機会ですけど。他の方ならまだしも、直々にドロシア様が私に言ってきたということが引っかかりますわ。婚約者候補についての事じゃないかしらね?」
「まあ、そうでしょうね。そのご令嬢から見たら、お嬢様は脅威ですから。まさかこのタイミングで強敵が出現って、感じなのでしょう」

 マリはそう言うと、ダリナスで流行しているブルーのリボンをハーフアップにした髪に結びました。今年の流行はブルーなんですって。そして、ボリュームのある白い袖が可愛らしいブラウスとリボンの共布で仕立てたたっぷり広がるスカートです。動くとフレアーが綺麗な円を描く様が素敵なのです。

「如何ですか? 昼のお茶会にぴったりな爽やか淑女コーデですわ。見る人が見れば判るこの流行色、このブラウスの仕立ての良さ! そして、このスカートの秀逸なデザイン! 完璧ですから」
「ありがとう。マリがそう言ってくれるなら大丈夫ね。それでは、そろそろ行かなければね。お土産は出来ていて?」
「はい。勿論ですわ。女子仕様にプリティー仕上げでご用意してあります」
「じゃあ、いざ出陣ね!」

 そして、私とマリはコントルー公爵家に向かったのです。




 コントルー公爵家は、王宮を挟んで我がグリーンフィールド公爵家と対角になる場所にあります。距離的には結構ありますね。

 そう言えばドロシア様が、私に話しかけていらしたのは、この招待状を渡して下さった時だけです。それ以外は数人のご友人といらっしゃるか、もしくはイザベラ様とヤツの傍にいらっしゃるかですね。この方がイザベラ様と張り合っている? そうでしょうか? そんな場面は見ていないと思いますけど。確かに、ランチや放課後などは必ずと言って良いほど、ヤツを挟んでイザベラ様と一緒ですけど。ご苦労様ですわね。

「お嬢様? そろそろ到着しますよ」

 私は、マリの声に姿勢をシャンと正しました。







「ようこそいらっしゃいました。シュゼット・メレリア・グリーンフィールド様」

 ドロシア様が正面玄関でお迎えして下さいます。今日の彼女は、髪を黒いベルベットのカチューシャで留めたシンプルなおろし髪です。カチューシャには薔薇の模様のブローチが付いていて、艶のある赤毛を品良く上品に見せています。そして深いグリーンのワンピースの襟もとにも、黒のベルベットのリボンが結んであります。この方、かなりのお洒落上級者ですわ。マリの目がきらりと光ったような気がしますもの。

「ドロシア様、今日はお招きありがとうございます」

 ドロシア様は優雅にカーテシーをしてお迎え下さると、私の手を取ってホールからお茶会のお部屋まで自らご案内して下さいます。マリはお土産バスケットを持って、これまたよそ行きの顔で付いて来ています。因みに今日は、敵陣に乗り込む令嬢と女騎士といったコンセプトの様ですわ。

「こちらになりますわ。さあ、お入りください」

 大きな扉の前でドロシア様が立ち止まり、にっこり微笑まれました。











「えっ……イザベラ様?」



 明るい日差しの差し込む、少しアンティーク調のお部屋。白いレースのテーブルクロスが掛かった丸い円テーブル。庭の緑が映る大きな窓ガラスを背に、ピンクのワンピース姿のイザベラ様が立っていました。







「いらっしゃいませ、シュゼット様。お待ちしていましたわ」



 どういうことでしょう。ドロシア様とイザベラ様の、お二人しか見えませんけど?
 驚いたまま、私は扉付近で立ち竦んでいました。後ろにいるマリも同様ですわ。



「驚かせてしまってごめんなさい。実は今日のお茶会は三人だけなの。騙すような真似をして、本当にごめんなさいね」

 ドロシア様にそっと背を押されて、我に返りました。何ですかコレ。新参者に対する洗礼でしょうか? それも二対一ですか? これは腹を括れということですか?

「いいえ。お招きいただいて光栄ですわ。ドロシア様、それからイザベラ様」

 何でしょう。この先手を打たれた感。
 でも、これでこの二人がターゲットかどうか探れますわ。そして、もしそうであったらいい機会です。



 まとめて色々考えます!

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生してモブだったから安心してたら最恐王太子に溺愛されました。

琥珀
恋愛
ある日突然小説の世界に転生した事に気づいた主人公、スレイ。 ただのモブだと安心しきって人生を満喫しようとしたら…最恐の王太子が離してくれません!! スレイの兄は重度のシスコンで、スレイに執着するルルドは兄の友人でもあり、王太子でもある。 ヒロインを取り合う筈の物語が何故かモブの私がヒロインポジに!? 氷の様に無表情で周囲に怖がられている王太子ルルドと親しくなってきた時、小説の物語の中である事件が起こる事を思い出す。ルルドの為に必死にフラグを折りに行く主人公スレイ。 このお話は目立ちたくないモブがヒロインになるまでの物語ーーーー。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~

夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」  弟のその言葉は、晴天の霹靂。  アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。  しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。  醤油が欲しい、うにが食べたい。  レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。  既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・? 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない

陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」 デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。 そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。 いつの間にかパトロンが大量発生していた。 ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

処理中です...