平凡くんと【特別】だらけの王道学園

蜂蜜

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風紀委員長VS親衛隊隊長

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「園宮!可愛い!良い子!」


少しの沈黙の後、雪先輩が感極まった声で叫んだ。
雪先輩、そんな大声出せるんだな……いつも落ち着いていて優雅って言葉がぴったりの先輩からは想像もつかない位のはしゃぎっぷりである。


「ぐぇえっ!?」


雪先輩の声に驚いて固まっていると、眼の前の雪先輩との距離が一気に縮まった。
近いなんてものじゃない。零距離だ。

頬や髪を忙しなく撫でていた手が背中に回ってきた……もう片方は腰に回っていて、気付いた時にはそれはもう力強く抱き締められていた。

力が強過ぎて潰れた蛙のような声が出てしまった。

ちょっと‥…ホント…苦しい……


密着した雪先輩の体温とか、身に纏っている香水のいい香りとか、首筋にかかる髪や息遣いとか


生々しいそれらを意識する余裕がないぐらい苦しい。

「雪せんぱ……っ…ゆる…めっ…て」

「園宮、何かいい匂いするんだけど。香水付けてる?」

「つけてな…っ…んぇえっ!」

「じゃあこれ園宮の匂いかな…ふふっ、いいね。落ち着く」


この人、さっきから俺の話聞いてないな!?

そんなに俺が風紀委員会に入らなかった事が嬉しかったのかな……ここまで喜んで貰えると俺も嬉しい。
嬉しいんだけど、このままでは内臓が飛び出る。


「姫乃塚、いい加減にしろ」


襟首を掴まれて後ろ側に引っ張られた。

かなり強い力で引っ張られて雪先輩の羽交い絞めからは抜け出せたが、今度は別の人の腕の中に収まってしまった。

「委員長、ありがとうございます」

「‥……征一郎だ」

「はい?」

片腕を掴まれ腰を抱き寄せられた状態のまま、委員長の端正な顔が肩側から覗き込んで来た。

これまた近い。

あと、このやり取りにとても覚えがある。

「あの……流石に先輩を名前で呼ぶわけには…」

「姫乃塚は呼んでいるだろう?」

それは先輩のゴリ押しに負けたからであって、今でも人前で呼ぶにはかなりの勇気がいる。

「雪先輩は何と言うか……ちょっと特殊な事情があって…」

「なら百鬼でいい。俺だけ委員長と呼ばれるのは寂しいじゃないか」

眉を顰めた顔が赤く染まってふいと逸らされた。
照れてるのか、拗ねてるのか……

委員長、こんな顔できるんだな。


「百鬼先輩、かわいい…かも?」


「は?」


再び、風紀委員会室に沈黙が走っていた。
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