平凡くんと【特別】だらけの王道学園

蜂蜜

文字の大きさ
22 / 110
寮長と新しいルームメイトと危機管理

22

しおりを挟む
藤涙を道連れにして、電話が置いてある部屋のドアをそっと開けて中を覗き込む。

そこには、見た事がないぐらい幸せそうに笑う園宮がいた

「うん、携帯壊れちゃって……新しいの買っていいか相談しに明日帰るよ。
迎え?ううん、こっちまでは来なくていいよ。学校からバス出てるから…うん、大丈夫」

「その代わりに、家の最寄り駅まで迎えに来て欲しい。
たまには二人だけでご飯食べたいなって……だめ?……良かった、じゃあ明日…うん。楽しみにしてる」

「………俺も、大好きだよ…兄さん」


聞いた事がない甘えたな口調と蜂蜜の様に甘ったるい声

白い肌をほんのりと赤らめて桃色に染めた頬を緩ませ、目尻を下げて微笑む顔

『大好き』だと、少しだけ照れながら告げた顔が自分に向けられていない事がとてつもなく悔しかった。




「…………………………………ふうぅ」


ガチャリと受話機を置く音と同時に、部屋には園宮の大きくて深い息が吐き出される音が響いた。

久し振りの家族との会話がそれ程楽しかったのだろうか。

先程の幸せそうな園宮の顔を思い出してはもやもやとした気持ちになっていると、ふと視界の端に赤い物が映った。


赤い……血だね、これ。血の海。


隣を見ると、藤涙が大量の鼻血を垂れ流して蹲っていた。

ちょっとこれは俺一人の手には負えない。
覗き見していた事はバレてしまうだろうが、背に腹は代えられないので園宮を呼ぶ。

「園宮、ちょっと悪いんだけれど、ティッシュ箱取ってくれるかな?」

「へ?…え…優弦さん何でそこに……って、藤涙!?何これ!?殺人現場!?」

気持ちは分かるけど、俺は無実だし藤涙は生きているよ、園宮。

「ただの鼻血だよ。ただ量が尋常じゃないからね、ティッシュとタオルと……あと俺の部屋入っていいから着替を持って来てくれるかな?」

「あ…はいっ!分かりました!」


それから園宮と二人掛かりで藤涙が垂れ流した血の海を拭取り、血で汚れた服を着替えさせ、落ち着かせてと大変だった。


「で、何をそんなに興奮したのかな?」


あんなに大変だったのだから、理由ぐらいは聞かせて貰わないと、ね?

隣に座っている園宮が心配そうに俺のシャツの裾を掴んで見上げて来ているが、これぐらいで罰を与えたりはしないから安心して欲しい。

サラサラとした髪を撫でて宥めてから視線を藤涙に戻す。

少しだけ躊躇った後、何かを決心したような表情の藤涙が口を開いた


「あの…園宮は……その…お兄さんと恋人同士だったり…する?」


何を言い出すんだろうかね、この子は。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

カラフルボックス ~絡め取られて腕のなか~

夏笆(なつは)
BL
 舞岡薫と秋庭将梧は、幼なじみの同級生。  家から一番近かったという理由で選んだ男子校に、ふたり揃って通っているが、学年トップである将梧と違い、薫は勉強が嫌いでそこそこの進学校であるにもかかわらず、早々に高卒で就職すると決めている。  身長164センチで、可愛い顔立ちの薫のことを将梧は子どもの頃から伴侶にすると決めているが、薫には伝わっておらず、親友枠のまま高校三年生となった。  幼なじみで親友で、誰より信頼しているけれど、薫と将梧の気持ちには大きな違いがある。  それを自覚している将梧は、外から埋めていくのだが、薫はそのことに気付いていない。  そして、そんなふたりに絡む、同級生や、バイト仲間たちの物語。 二十二話を改稿しました。 他の話も、見直ししてあります。

病んでる愛はゲームの世界で充分です!

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
ヤンデレゲームが好きな平凡男子高校生、田山直也。 幼馴染の一条翔に呆れられながらも、今日もゲームに勤しんでいた。 席替えで隣になった大人しい目隠れ生徒との交流を始め、周りの生徒たちから重い愛を現実でも向けられるようになってしまう。 田山の明日はどっちだ!! ヤンデレ大好き普通の男子高校生、田山直也がなんやかんやあってヤンデレ男子たちに執着される話です。 BL大賞参加作品です。よろしくお願いします。 11/21 本編一旦完結になります。小話ができ次第追加していきます。

【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?

キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。 知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。 今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど—— 「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」 幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。 しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。 これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。 全8話。

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

悪の策士のうまくいかなかった計画

迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。 今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。 そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。 これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに?? 王子は跪き、俺に向かって言った。 「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。 そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。 「ずっと好きだった」と。 …………どうなってるんだ?

人気アイドルが義理の兄になりまして

BL
柚木(ゆずき)雪都(ゆきと)はごくごく普通の高校一年生。ある日、人気アイドル『Shiny Boys』のリーダー・碧(あおい)と義理の兄弟となり……?

ビッチです!誤解しないでください!

モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃 「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」 「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」 「大丈夫か?あんな噂気にするな」 「晃ほど清純な男はいないというのに」 「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」 噂じゃなくて事実ですけど!!!?? 俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生…… 魔性の男で申し訳ない笑 めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!

処理中です...