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セクハラは犯罪です。
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少しばかり遠いところを眺めたくなったレオナルドだったが、今は悠長にそんなことをしている場合ではない。
「セシリア。このままじゃ、風邪を引く。体から、水分を飛ばせるか?」
「ああ」
どこかぼんやりとした様子のセシリアに言うと、素直に応じる。
瞬時に、彼女だけでなくレオナルドの体を濡らしていた水分も、きれいに消えた。
「いい子だ」
つい、弟妹にするのと同じように頭を撫でたレオナルドだったが、まさか目を閉じたセシリアがその手に頭をすり寄せてくるとは思わなかった。
(……は?)
驚きのあまり、レオナルドが硬直したときだった。
全身を強烈な危険信号が走り抜け、反射的に目の前の体を抱えて空中へ離脱する。
直後、寸前まで自分たちがいた地面が、黒と赤のうねりに埋め尽くされた。それに呑み込まれる前に、セシリアの魔導剣を風で拾い上げることができたのは、ただの僥倖だろう。
「茨……?」
改めて眼下の様子を確認してみると、地面を埋め尽くす勢いで繁茂していくそれは、漆黒の蔓と赤いトゲを持つ巨大な茨だった。
(あれが、『原初』の亜種だとかいう、ここの呪詛か)
たしか記録によれば、あの『茨』の呪詛は伸縮自在のトゲで人間を刺し殺し、干からびるまで血を奪うというものだったはずだ。
その驚異的な攻撃能力と再生能力は、あらゆる呪詛の中でも最高レベル。特に、魔力持ちの人間が攻撃圏内に入ると、視認できないほどの速度でトゲが伸び、一瞬で全身を串刺しにされるという。
黒い茨の蔓が、見る間にサイアスを封じている風の檻を覆っていく。自らの先端が千切れ飛んでいくことにもまるで頓着しない様子で、少しずつうぞうぞと広がっていく様子に、生理的嫌悪感がこみ上げる。
不思議なことに、こちらがすでに空中に退避しているからなのか、『茨』の呪詛はエサイアスの核を攻撃対象としているように見えた。
これも、共食いというのだろうか。
風の刃の檻の中で、再生する端から肉体を切り刻まれていたエサイアスは、すでに赤い心臓のような核がほとんど剥き出しの状態になっている。だがそれも、見る間に黒い茨に覆われて見えなくなっていく。
レオナルドは、チッと舌打ちした。
せっかくエサイアスを捕らえてあったというのに、これでは近づくことができないではないか。
どうしたものかと思っていると、腕の中の体から力が抜けた。
慌てて抱え直すと、青ざめた顔色のセシリアが完全に意識を失っている。
――限界か。
(コイツの水が使えれば、茨のトゲも無力化できたかもしれねェが……)
厄介なことに、この黒い茨は一部を切り飛ばされても、その分離した部分がうねうねと動き続けている。おそらく、攻撃能力も失われていないだろう。これでは、レオナルドの風で切り飛ばしながらでも、迂闊に近づくのは危険過ぎる。こちらが下手に攻撃すれば、脅威が広がっていくばかりだ。
こんなとき、ユージィンの炎があれば一発なのだが、レオナルドの風とは相性の悪すぎる相手である。
レオナルドは少女の体を片手で抱え、通信魔導具に触れて口を開く。
「状況報告。『茨』の呪詛と会敵。セシリアは意識不明。風の檻で確保していた『裏返し』のエサイアスは、『茨』に覆い尽くされて回収不能だ」
一拍おいて、キャロラインが応答してきた。
『了解。――おそらくその状況だと、風の檻が破られた瞬間から『茨』と『裏返し』の喰らい合いがはじまる。どちらが勝つかはわからんが……』
自分とは比べものにならないほど多くの呪詛を知る彼女に言葉を濁され、その可能性に思い至ったレオナルドは、顔を強張らせる。
「それって……勝ったほうが、『茨』と『裏返し』の能力を両方備えた呪詛になる、ってことか……?」
『最悪の場合には、そうなるな。どちらか一方の能力だけが残ったとしても、核を複数持った呪詛となることは間違いない。とにかく、おまえたちは一度戻れ。未成年の少女を、これ以上危険な呪詛のそばに置いておくな』
至極もっともなことを命じられ、レオナルドはギリ、と奥歯を噛みしめた。
こんなことなら、さっさとエサイアスの核を破却しておくべきだったと悔やんでも、今となっては手の施しようがない。風の刃の檻は、黒い茨に封じられてレオナルドの魔力が届かなくなれば、すぐに消失してしまう。
そうなれば、はじまるのは最強クラスの呪詛同士の喰らい合いだ。気絶したセシリアを守りながらでは、レオナルドにできることなど何もない。
「……了解。これより、帰投する」
いつの間にか、雨は小降りになっていた。
そのまま空を飛んで本部に戻ると、荒れ放題だった医療棟がすっかり元通りになっている。復元魔術の素晴らしさを改めて感じながら、先ほど飛び出してきた窓を叩く。
「遅いですわ!」
(……えぇー)
ずっと待ち構えていたのだろうか。即座に窓を開いたクローディアに、怒鳴られた。
たしかに、セシリアの説得に時間が掛かったのは認めるが、これでも自分なりに精一杯がんばってきたのだ。
若干の理不尽を感じつつも、クローディアが心底セシリアのことを心配していたこともわかるため、レオナルドは黙って室内に入った。
クローディアのほかにいたのは、ブラッドリーとキャロライン。
ブラッドリーが、ほっとした顔で指示してくる。
「お疲れさん。――ああ、水気は飛ばせたんだな。そこに寝かせて、おまえは出てけ」
「あ? なんでだよ」
反射的に顔を顰めると、ブラッドリーが呆れた様子で言ってきた。
「なんでも何も……。おまえ、医者でも保護者でもないくせに、意識のない女の子の診察を見ているつもりか?」
「へ? ……あ、ああ。そっか。そうだな」
言われてみれば、その通りである。
道理で、ユージィンとコンラッドの姿がないはずだ。
そこでずっと抱えていたセシリアに視線を落とした途端、レオナルドはぶわっと体温が上がるのを感じた。
レオナルドの左肩に頭を預ける形で目を閉じている少女の顔は、その右半分しか見えていない。少し長めの前髪が白い額に掛かっていて、この角度だと呪詛の爪痕がまったく確認できないのだ。
それはつまり――。
(ガチで、ただの美少女じゃねェかよ……!)
やたらときれいな顔をしていると思っていた男の同僚が、自分の好みにどストライクな美少女であったと認識した途端、レオナルドは完全に硬直した。
(は? え……何、この柔っこさ。すぐに壊れそうで、めちゃくちゃ怖いんだが!? オレ、どうやってコイツを抱えてきたんだっけ!?)
半ば以上パニックを起こしたレオナルドを、ブラッドリーが生温かい目で見つめて言う。
「あー……。ウン。レオナルド。とりあえず、その子を下ろしてやんなさい」
「お、おう……」
びしりと診察台を示されて、恐る恐る少女の体をそこに下ろす。
(う、わ、ああぁあああー……)
重みのある無骨なジャケットが彼女の肩からずり落ちて、すでに役目を果たしていないインナーも、それにまとわりつくように開いていく。
それまですっかり意識の外に飛んでいた、プロテクターに抑えこまれている胸の膨らみを間近で見る羽目になり、レオナルドは天を仰ぎたくなった。
可能な限り丁寧に彼女を診察台へ寝かせてやり、そそくさと離れようとした瞬間、くん、と引き戻される。
(へ……?)
見れば、セシリアの細い指がレオナルドのジャケットを掴んでいた。振り払おうと思えばすぐにそうできる程度の、弱い力。なのに、再びぎしりと硬直したレオナルドは、中腰のまま動けなくなってしまう。
固まったまま、誰か助けてくれと思っていると、微妙に揺れているキャロラインの声がした。
「ふ……ふむ。セシリア嬢の手が離れないのなら、おまえがジャケットを置いていけばいいのではないか?」
そのアドバイスに、クローディアが弾んだ声で続けて言う。
「それがよろしいですわ! セシリアさんが目を覚まされたとき、そのジャケットがあれば安心してくださるかもしれませんもの!」
なんだか訳がわからないままに、どうにかジャケットを腕から抜いたレオナルドは、ぐったりと床にしゃがみこんだ。そして、そのまま頭を抱えて盛大に叫び出したくなるのを、どうにか堪える。
(ああぁああ……ッッ!! オレ、こんなちっこくて柔らかい女の子の顔を、殴って傷まで作ったのか!? そういや『共食い』の呪詛の核、バカでかい大蛇タイプで、捕まえるときめちゃくちゃ引きつった顔をしてたよな! ひょっとしなくても、アレ女の子にはすっげェ怖かったんじゃあ……!?)
そもそも、彼女が未成年かもしれないと考えるまでは、合同訓練のたびに顔やボディを普通に狙いにいっていた。怪我こそ負わせていないものの、何度か掠めたことはあった気がする。
怒鳴りつけたことや、戦闘行動中に乱暴な扱いをしたことなど、数え切れない。
自分の過去の所業を思い出しては、じたばたと暴れたくなっていたレオナルドの背中を、ブラッドリーがごすっと蹴る。
「邪魔だ。どけ」
「……ハイ」
よろめきながら立ち上がり、ふらふらと部屋から出ると、そこにはユージィンとコンラッドが待っていた。
「よう。お疲れ」
「お疲れさん。あの子の様子は?」
ふたりの気遣いが、身に染みる。
コンラッドの問いかけに、レオナルドはひとつ息を吐いてから答えた。
「体に傷はない。ただ、精神的にかなり消耗してると思う。……アイツの姉のことは、何か掴めたか?」
今後、セシリアがレノックス伯爵家から解放されるためには、彼女の姉の安全確保が必須要件だ。
コンラッドが、わずかに眉をひそめた。
「彼女が申告した名前と年齢に合致する夫婦が、レノックス伯爵領で暮らしていることは確認できている。彼女の義兄に当たる青年は、伯爵領でも有数の大きな商会で働いているそうだ。今のところ、わかっているのはそれくらいだな」
「そうか……」
少なくとも、セシリアの姉夫婦は生きているわけだ。
ほっとしたレオナルドは、ぐしゃりと前髪を掴んで顔を顰めた。
「レノックス伯爵の野郎……。親を呪詛に殺されたばっかの女の子を死んだことにして、男として戦闘訓練を叩きこんだって? おまけに、まだ十五歳のアイツを、こんな危険な場所に放りこんで働かせるとか、ありえねェだろ。ったく、どんな腐れ外道だよ」
そう呻いた途端、ユージィンとコンラッドの纏う空気がビリ、と張り詰める。
ユージィンが、乾いた笑みを零す。
「あの子が、姉さんに会いたいって泣いたから髪を切られた、って聞いたときの、司令とクローディアの顔。おまえに見せてやりたかったぜ」
それは、心の底から遠慮しておきたい。
腕組みをしたコンラッドの声が、一段低くなる。
「国王陛下には、もう少し状況がはっきりしてから司令が報告すると言っていた。……未成年の少女を脅迫、虐待した挙げ句に年齢も性別も詐称させて、危険な対呪詛戦闘に従事させていたんだ。陛下のご判断がどうあれ、レノックス伯爵家を潰すことに異論はないな?」
「ねェわ」
「あるわけねーだろ」
即答したふたりに、コンラッドがよし、と頷く。
「あそこの嫡男のジュリアンは学生時代の同期だが、昔から授業をサボっては、大勢の女性と節操なく遊んでいたようなろくでなしだ。このところ、第一王子殿下の離宮に足繁く通っているとのことだが……。これ以上よけいな真似をする前に、俺の剣の錆にしてやるか」
コンラッドは小さな領地を持つ子爵家の次男だが、剣技に関しては百年にひとりの逸材と称されるほどの天才だ。
だが彼はそんな己の才に溺れることなく、幼い頃から日々たゆまぬ努力を重ね、侯爵家の総領娘であるクローディアの婚約者の地位を確立してきた。
そんな彼にとって、伯爵家の嫡男として生まれながら、ろくな努力もせずに女性と遊び呆けているような人間は、決して相容れないものなのだろう。
と、そこでどんな連鎖反応が起こったのか、レオナルドの脳裏につい先日セシリアが語っていた言葉が甦る。
――訓練中に、やたらと胸や尻を触られただけだ。呪詛の爪痕のせいで、ベッドに呼ぶ気にまではならなかったらしくてな。
――十四のときから。世の中には、未成年の子どもに発情する変態がいるんだ。
あのときは、『男のガキ相手に発情する変態って、本当にいるんだ……。コワァ……』と、全力でどん引きしただけだった。
しかし、セシリアが現在十五歳の少女であったということは――。
「~~っコンラッド! まさかジュリアンの野郎って、十四、五歳の女の子にもセクハラするような変態なのか!?」
突然蒼白になってコンラッドの襟首に掴みかかったレオナルドに、彼が驚いて目を瞠る。
コンラッドが何か言う前に、同じことを思い出したらしいユージィンが、やはり血の気の引いた顔をして喚いた。
「どうなんだ、コンラッド!? 答え次第では、俺は連中の屋敷を丸焼きにすることも辞さねーんだが!?」
セシリアにとってレノックス伯爵家の人間は、自分の生殺与奪を握っている存在だ。そこの嫡男が、自分を都合のいい対呪詛戦闘の道具として扱うだけでなく、その貞操まで狙っているとなれば、いったいどれほどすさまじいストレスだったことか。
ふたりの形相に何か察することがあったのか、少しの間黙ったコンラッドが、やがて据わりきった低い声で答える。
「……俺の知る限り、やつの女性遊びは十代前半からだ。成人してからのことは知らんが、当時は同年代の少女たちとも不適切な関係を持っていた。十六歳のときに、婚約者のいる同い年の少女を妊娠させて、莫大な慰謝料を払ったこともある」
レオナルドは、絶句した。
それはつまり、レノックス伯爵の嫡男にとって、十代半ばの少女は当然に性的対象となるということではないのか。
マジかよ、と呟いたユージィンの声が掠れている。
「そりゃあ……あの子の中で、『貴族』に対する評価が、最底の底を突き抜けるはずだよな……」
コンラッドの襟首から離した両手を、爪が手のひらに食いこむほど強く握りしめ、レオナルドは地の底に響くような声で言う。
「もし、セシリアにセクハラしてたのが、本当にジュリアンの野郎だったら……。オレは、問答無用でヤツを刻むぞ」
「おう。証拠隠滅については安心しろ、俺がきっちり消し炭になるまで焼いてやる」
この国の風使いと炎使いが物騒なことを言い合っていると、コンラッドがぼそりと呟く。
「まあ……うん。その場合にはもしかしたら、ブチギレたクローディアが先にジュリアンを圧殺してしまうかもしれん。悪いが、そこは早い者勝ちということでがんばってくれ」
レオナルドとユージィンは、同時に閉ざされたままの扉を見た。
――クローディアもまたキャロラインと同じく、曲がったことが大嫌いな女性である。
そんな彼女にとって、年下の少女が幼い頃からひどい虐待を受け、無理矢理髪を切られたというのは、決して許せるものではないだろう。
何よりクローディアは、セシリアが先ほどのフラッシュバックで泣き叫び、また怯えた子どものように震えながら、レノックス伯爵家の人間に赦しを請う姿を目の当たりにしている。おそらく彼女の中で、セシリアに対する庇護欲は天元突破しているに違いない。
そのうえ、レノックス伯爵の嫡男であるジュリアンが、セシリアにセクハラをしていたなどと知ったなら、キレるなと言うほうが無理というものだ。
レオナルドは、ふっと遠くを見ながら言った。
「なんか……オレがスパッと切り刻んでやるより、クローディアがじわじわ絞め殺してやったほうがよりいっそう苦しんでくれそうだから、それもアリかなって思えてきた」
「じゃあ、俺はクローディアがキュッとシメてる間、こんがり炙ってやろうかなー」
そんなふたりの様子を見て、コンラッドがしみじみと口を開く。
「おまえたち三人を敵に回した時点で、レノックス伯爵家の連中にはむしろ同情するべきなのかもしれんが……。まあ、今回ばかりは遠慮は無用だ。――全力で、叩き潰せ」
「ああ、もちろんだ」
「りょうかーい」
いつもなら仲間内の最年長として、こんなときにはストッパー役になる彼のゴーサインに、レオナルドとユージィンは口元だけで笑って頷いた。
変態は、死ね。
「セシリア。このままじゃ、風邪を引く。体から、水分を飛ばせるか?」
「ああ」
どこかぼんやりとした様子のセシリアに言うと、素直に応じる。
瞬時に、彼女だけでなくレオナルドの体を濡らしていた水分も、きれいに消えた。
「いい子だ」
つい、弟妹にするのと同じように頭を撫でたレオナルドだったが、まさか目を閉じたセシリアがその手に頭をすり寄せてくるとは思わなかった。
(……は?)
驚きのあまり、レオナルドが硬直したときだった。
全身を強烈な危険信号が走り抜け、反射的に目の前の体を抱えて空中へ離脱する。
直後、寸前まで自分たちがいた地面が、黒と赤のうねりに埋め尽くされた。それに呑み込まれる前に、セシリアの魔導剣を風で拾い上げることができたのは、ただの僥倖だろう。
「茨……?」
改めて眼下の様子を確認してみると、地面を埋め尽くす勢いで繁茂していくそれは、漆黒の蔓と赤いトゲを持つ巨大な茨だった。
(あれが、『原初』の亜種だとかいう、ここの呪詛か)
たしか記録によれば、あの『茨』の呪詛は伸縮自在のトゲで人間を刺し殺し、干からびるまで血を奪うというものだったはずだ。
その驚異的な攻撃能力と再生能力は、あらゆる呪詛の中でも最高レベル。特に、魔力持ちの人間が攻撃圏内に入ると、視認できないほどの速度でトゲが伸び、一瞬で全身を串刺しにされるという。
黒い茨の蔓が、見る間にサイアスを封じている風の檻を覆っていく。自らの先端が千切れ飛んでいくことにもまるで頓着しない様子で、少しずつうぞうぞと広がっていく様子に、生理的嫌悪感がこみ上げる。
不思議なことに、こちらがすでに空中に退避しているからなのか、『茨』の呪詛はエサイアスの核を攻撃対象としているように見えた。
これも、共食いというのだろうか。
風の刃の檻の中で、再生する端から肉体を切り刻まれていたエサイアスは、すでに赤い心臓のような核がほとんど剥き出しの状態になっている。だがそれも、見る間に黒い茨に覆われて見えなくなっていく。
レオナルドは、チッと舌打ちした。
せっかくエサイアスを捕らえてあったというのに、これでは近づくことができないではないか。
どうしたものかと思っていると、腕の中の体から力が抜けた。
慌てて抱え直すと、青ざめた顔色のセシリアが完全に意識を失っている。
――限界か。
(コイツの水が使えれば、茨のトゲも無力化できたかもしれねェが……)
厄介なことに、この黒い茨は一部を切り飛ばされても、その分離した部分がうねうねと動き続けている。おそらく、攻撃能力も失われていないだろう。これでは、レオナルドの風で切り飛ばしながらでも、迂闊に近づくのは危険過ぎる。こちらが下手に攻撃すれば、脅威が広がっていくばかりだ。
こんなとき、ユージィンの炎があれば一発なのだが、レオナルドの風とは相性の悪すぎる相手である。
レオナルドは少女の体を片手で抱え、通信魔導具に触れて口を開く。
「状況報告。『茨』の呪詛と会敵。セシリアは意識不明。風の檻で確保していた『裏返し』のエサイアスは、『茨』に覆い尽くされて回収不能だ」
一拍おいて、キャロラインが応答してきた。
『了解。――おそらくその状況だと、風の檻が破られた瞬間から『茨』と『裏返し』の喰らい合いがはじまる。どちらが勝つかはわからんが……』
自分とは比べものにならないほど多くの呪詛を知る彼女に言葉を濁され、その可能性に思い至ったレオナルドは、顔を強張らせる。
「それって……勝ったほうが、『茨』と『裏返し』の能力を両方備えた呪詛になる、ってことか……?」
『最悪の場合には、そうなるな。どちらか一方の能力だけが残ったとしても、核を複数持った呪詛となることは間違いない。とにかく、おまえたちは一度戻れ。未成年の少女を、これ以上危険な呪詛のそばに置いておくな』
至極もっともなことを命じられ、レオナルドはギリ、と奥歯を噛みしめた。
こんなことなら、さっさとエサイアスの核を破却しておくべきだったと悔やんでも、今となっては手の施しようがない。風の刃の檻は、黒い茨に封じられてレオナルドの魔力が届かなくなれば、すぐに消失してしまう。
そうなれば、はじまるのは最強クラスの呪詛同士の喰らい合いだ。気絶したセシリアを守りながらでは、レオナルドにできることなど何もない。
「……了解。これより、帰投する」
いつの間にか、雨は小降りになっていた。
そのまま空を飛んで本部に戻ると、荒れ放題だった医療棟がすっかり元通りになっている。復元魔術の素晴らしさを改めて感じながら、先ほど飛び出してきた窓を叩く。
「遅いですわ!」
(……えぇー)
ずっと待ち構えていたのだろうか。即座に窓を開いたクローディアに、怒鳴られた。
たしかに、セシリアの説得に時間が掛かったのは認めるが、これでも自分なりに精一杯がんばってきたのだ。
若干の理不尽を感じつつも、クローディアが心底セシリアのことを心配していたこともわかるため、レオナルドは黙って室内に入った。
クローディアのほかにいたのは、ブラッドリーとキャロライン。
ブラッドリーが、ほっとした顔で指示してくる。
「お疲れさん。――ああ、水気は飛ばせたんだな。そこに寝かせて、おまえは出てけ」
「あ? なんでだよ」
反射的に顔を顰めると、ブラッドリーが呆れた様子で言ってきた。
「なんでも何も……。おまえ、医者でも保護者でもないくせに、意識のない女の子の診察を見ているつもりか?」
「へ? ……あ、ああ。そっか。そうだな」
言われてみれば、その通りである。
道理で、ユージィンとコンラッドの姿がないはずだ。
そこでずっと抱えていたセシリアに視線を落とした途端、レオナルドはぶわっと体温が上がるのを感じた。
レオナルドの左肩に頭を預ける形で目を閉じている少女の顔は、その右半分しか見えていない。少し長めの前髪が白い額に掛かっていて、この角度だと呪詛の爪痕がまったく確認できないのだ。
それはつまり――。
(ガチで、ただの美少女じゃねェかよ……!)
やたらときれいな顔をしていると思っていた男の同僚が、自分の好みにどストライクな美少女であったと認識した途端、レオナルドは完全に硬直した。
(は? え……何、この柔っこさ。すぐに壊れそうで、めちゃくちゃ怖いんだが!? オレ、どうやってコイツを抱えてきたんだっけ!?)
半ば以上パニックを起こしたレオナルドを、ブラッドリーが生温かい目で見つめて言う。
「あー……。ウン。レオナルド。とりあえず、その子を下ろしてやんなさい」
「お、おう……」
びしりと診察台を示されて、恐る恐る少女の体をそこに下ろす。
(う、わ、ああぁあああー……)
重みのある無骨なジャケットが彼女の肩からずり落ちて、すでに役目を果たしていないインナーも、それにまとわりつくように開いていく。
それまですっかり意識の外に飛んでいた、プロテクターに抑えこまれている胸の膨らみを間近で見る羽目になり、レオナルドは天を仰ぎたくなった。
可能な限り丁寧に彼女を診察台へ寝かせてやり、そそくさと離れようとした瞬間、くん、と引き戻される。
(へ……?)
見れば、セシリアの細い指がレオナルドのジャケットを掴んでいた。振り払おうと思えばすぐにそうできる程度の、弱い力。なのに、再びぎしりと硬直したレオナルドは、中腰のまま動けなくなってしまう。
固まったまま、誰か助けてくれと思っていると、微妙に揺れているキャロラインの声がした。
「ふ……ふむ。セシリア嬢の手が離れないのなら、おまえがジャケットを置いていけばいいのではないか?」
そのアドバイスに、クローディアが弾んだ声で続けて言う。
「それがよろしいですわ! セシリアさんが目を覚まされたとき、そのジャケットがあれば安心してくださるかもしれませんもの!」
なんだか訳がわからないままに、どうにかジャケットを腕から抜いたレオナルドは、ぐったりと床にしゃがみこんだ。そして、そのまま頭を抱えて盛大に叫び出したくなるのを、どうにか堪える。
(ああぁああ……ッッ!! オレ、こんなちっこくて柔らかい女の子の顔を、殴って傷まで作ったのか!? そういや『共食い』の呪詛の核、バカでかい大蛇タイプで、捕まえるときめちゃくちゃ引きつった顔をしてたよな! ひょっとしなくても、アレ女の子にはすっげェ怖かったんじゃあ……!?)
そもそも、彼女が未成年かもしれないと考えるまでは、合同訓練のたびに顔やボディを普通に狙いにいっていた。怪我こそ負わせていないものの、何度か掠めたことはあった気がする。
怒鳴りつけたことや、戦闘行動中に乱暴な扱いをしたことなど、数え切れない。
自分の過去の所業を思い出しては、じたばたと暴れたくなっていたレオナルドの背中を、ブラッドリーがごすっと蹴る。
「邪魔だ。どけ」
「……ハイ」
よろめきながら立ち上がり、ふらふらと部屋から出ると、そこにはユージィンとコンラッドが待っていた。
「よう。お疲れ」
「お疲れさん。あの子の様子は?」
ふたりの気遣いが、身に染みる。
コンラッドの問いかけに、レオナルドはひとつ息を吐いてから答えた。
「体に傷はない。ただ、精神的にかなり消耗してると思う。……アイツの姉のことは、何か掴めたか?」
今後、セシリアがレノックス伯爵家から解放されるためには、彼女の姉の安全確保が必須要件だ。
コンラッドが、わずかに眉をひそめた。
「彼女が申告した名前と年齢に合致する夫婦が、レノックス伯爵領で暮らしていることは確認できている。彼女の義兄に当たる青年は、伯爵領でも有数の大きな商会で働いているそうだ。今のところ、わかっているのはそれくらいだな」
「そうか……」
少なくとも、セシリアの姉夫婦は生きているわけだ。
ほっとしたレオナルドは、ぐしゃりと前髪を掴んで顔を顰めた。
「レノックス伯爵の野郎……。親を呪詛に殺されたばっかの女の子を死んだことにして、男として戦闘訓練を叩きこんだって? おまけに、まだ十五歳のアイツを、こんな危険な場所に放りこんで働かせるとか、ありえねェだろ。ったく、どんな腐れ外道だよ」
そう呻いた途端、ユージィンとコンラッドの纏う空気がビリ、と張り詰める。
ユージィンが、乾いた笑みを零す。
「あの子が、姉さんに会いたいって泣いたから髪を切られた、って聞いたときの、司令とクローディアの顔。おまえに見せてやりたかったぜ」
それは、心の底から遠慮しておきたい。
腕組みをしたコンラッドの声が、一段低くなる。
「国王陛下には、もう少し状況がはっきりしてから司令が報告すると言っていた。……未成年の少女を脅迫、虐待した挙げ句に年齢も性別も詐称させて、危険な対呪詛戦闘に従事させていたんだ。陛下のご判断がどうあれ、レノックス伯爵家を潰すことに異論はないな?」
「ねェわ」
「あるわけねーだろ」
即答したふたりに、コンラッドがよし、と頷く。
「あそこの嫡男のジュリアンは学生時代の同期だが、昔から授業をサボっては、大勢の女性と節操なく遊んでいたようなろくでなしだ。このところ、第一王子殿下の離宮に足繁く通っているとのことだが……。これ以上よけいな真似をする前に、俺の剣の錆にしてやるか」
コンラッドは小さな領地を持つ子爵家の次男だが、剣技に関しては百年にひとりの逸材と称されるほどの天才だ。
だが彼はそんな己の才に溺れることなく、幼い頃から日々たゆまぬ努力を重ね、侯爵家の総領娘であるクローディアの婚約者の地位を確立してきた。
そんな彼にとって、伯爵家の嫡男として生まれながら、ろくな努力もせずに女性と遊び呆けているような人間は、決して相容れないものなのだろう。
と、そこでどんな連鎖反応が起こったのか、レオナルドの脳裏につい先日セシリアが語っていた言葉が甦る。
――訓練中に、やたらと胸や尻を触られただけだ。呪詛の爪痕のせいで、ベッドに呼ぶ気にまではならなかったらしくてな。
――十四のときから。世の中には、未成年の子どもに発情する変態がいるんだ。
あのときは、『男のガキ相手に発情する変態って、本当にいるんだ……。コワァ……』と、全力でどん引きしただけだった。
しかし、セシリアが現在十五歳の少女であったということは――。
「~~っコンラッド! まさかジュリアンの野郎って、十四、五歳の女の子にもセクハラするような変態なのか!?」
突然蒼白になってコンラッドの襟首に掴みかかったレオナルドに、彼が驚いて目を瞠る。
コンラッドが何か言う前に、同じことを思い出したらしいユージィンが、やはり血の気の引いた顔をして喚いた。
「どうなんだ、コンラッド!? 答え次第では、俺は連中の屋敷を丸焼きにすることも辞さねーんだが!?」
セシリアにとってレノックス伯爵家の人間は、自分の生殺与奪を握っている存在だ。そこの嫡男が、自分を都合のいい対呪詛戦闘の道具として扱うだけでなく、その貞操まで狙っているとなれば、いったいどれほどすさまじいストレスだったことか。
ふたりの形相に何か察することがあったのか、少しの間黙ったコンラッドが、やがて据わりきった低い声で答える。
「……俺の知る限り、やつの女性遊びは十代前半からだ。成人してからのことは知らんが、当時は同年代の少女たちとも不適切な関係を持っていた。十六歳のときに、婚約者のいる同い年の少女を妊娠させて、莫大な慰謝料を払ったこともある」
レオナルドは、絶句した。
それはつまり、レノックス伯爵の嫡男にとって、十代半ばの少女は当然に性的対象となるということではないのか。
マジかよ、と呟いたユージィンの声が掠れている。
「そりゃあ……あの子の中で、『貴族』に対する評価が、最底の底を突き抜けるはずだよな……」
コンラッドの襟首から離した両手を、爪が手のひらに食いこむほど強く握りしめ、レオナルドは地の底に響くような声で言う。
「もし、セシリアにセクハラしてたのが、本当にジュリアンの野郎だったら……。オレは、問答無用でヤツを刻むぞ」
「おう。証拠隠滅については安心しろ、俺がきっちり消し炭になるまで焼いてやる」
この国の風使いと炎使いが物騒なことを言い合っていると、コンラッドがぼそりと呟く。
「まあ……うん。その場合にはもしかしたら、ブチギレたクローディアが先にジュリアンを圧殺してしまうかもしれん。悪いが、そこは早い者勝ちということでがんばってくれ」
レオナルドとユージィンは、同時に閉ざされたままの扉を見た。
――クローディアもまたキャロラインと同じく、曲がったことが大嫌いな女性である。
そんな彼女にとって、年下の少女が幼い頃からひどい虐待を受け、無理矢理髪を切られたというのは、決して許せるものではないだろう。
何よりクローディアは、セシリアが先ほどのフラッシュバックで泣き叫び、また怯えた子どものように震えながら、レノックス伯爵家の人間に赦しを請う姿を目の当たりにしている。おそらく彼女の中で、セシリアに対する庇護欲は天元突破しているに違いない。
そのうえ、レノックス伯爵の嫡男であるジュリアンが、セシリアにセクハラをしていたなどと知ったなら、キレるなと言うほうが無理というものだ。
レオナルドは、ふっと遠くを見ながら言った。
「なんか……オレがスパッと切り刻んでやるより、クローディアがじわじわ絞め殺してやったほうがよりいっそう苦しんでくれそうだから、それもアリかなって思えてきた」
「じゃあ、俺はクローディアがキュッとシメてる間、こんがり炙ってやろうかなー」
そんなふたりの様子を見て、コンラッドがしみじみと口を開く。
「おまえたち三人を敵に回した時点で、レノックス伯爵家の連中にはむしろ同情するべきなのかもしれんが……。まあ、今回ばかりは遠慮は無用だ。――全力で、叩き潰せ」
「ああ、もちろんだ」
「りょうかーい」
いつもなら仲間内の最年長として、こんなときにはストッパー役になる彼のゴーサインに、レオナルドとユージィンは口元だけで笑って頷いた。
変態は、死ね。
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