5 / 5
5
しおりを挟む
数ヶ月後、フランシスとカレンはめでたく式を挙げた。国中の、ともすれば国外からの要人を招いた華やかな披露宴で、私はふたりに祝福の言葉をかけて、それからひとりでぼんやりと会場内を彷徨った。
花びらのようにドレスの裾を翻して、淑女たちが紳士とダンスを踊る。その向こう側に、不似合いな紳士服で着飾ったあの男の姿を見つけた。
私は給仕に声をかけ、白いシャンパンを受け取ると、揺れ動く人波の合間へと足を踏み入れた。
幸いなことに、人の影に視界を遮られても、私が彼を見失うことはなかった。大柄な彼は人混みに紛れていても頭ひとつ抜きん出て目立つからだ。
彼がいつ私に気付くのか。
それを考えると、何故だか胸がどきどきした。
一歩、また一歩彼の元へと進みながら、ほんの少しの違和を感じる。
私は本当に、彼を知らなかっただろうか。
だって、その胸の紋章は……。
振り返った彼の眼が、ふと私を捉えた。
私は精一杯澄ました振りで彼の前に進み出て、そして華やかに笑ってみせた。
「御機嫌よう、オズワルド殿下。シャンパンはいかが?」
花びらのようにドレスの裾を翻して、淑女たちが紳士とダンスを踊る。その向こう側に、不似合いな紳士服で着飾ったあの男の姿を見つけた。
私は給仕に声をかけ、白いシャンパンを受け取ると、揺れ動く人波の合間へと足を踏み入れた。
幸いなことに、人の影に視界を遮られても、私が彼を見失うことはなかった。大柄な彼は人混みに紛れていても頭ひとつ抜きん出て目立つからだ。
彼がいつ私に気付くのか。
それを考えると、何故だか胸がどきどきした。
一歩、また一歩彼の元へと進みながら、ほんの少しの違和を感じる。
私は本当に、彼を知らなかっただろうか。
だって、その胸の紋章は……。
振り返った彼の眼が、ふと私を捉えた。
私は精一杯澄ました振りで彼の前に進み出て、そして華やかに笑ってみせた。
「御機嫌よう、オズワルド殿下。シャンパンはいかが?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
569
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(5件)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
この先が気になります。
\\な、なんだってー!?//
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ
感想ありがとうございます!
今後のふたりとなると、わりとよくある王子×貴族令嬢の恋愛ものになっちゃう気がします。
見知らぬ男に求婚され続けて絆されるまでの話のほうが書いてて楽しそうかなって思ったりして(*´ω`*)
ここまで重要人物を思いださないなんて、ちょっと大丈夫❓😳けど その続き私も読みたいです
直接の面識がないこと、求婚される理由がないことのWパンチでこの人誰?ってなったときに解答の選択肢に入っていなかったのだと思われます(笑)