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第13話 好きな人とするべきだと、思うから
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「……セルジュさん、セルジュさんてば」
はっと我に返ったセルジュの瞳に、ぷくっと頬を膨らませたコレットの顔が映り込む。慌てて周囲を見回すと、既にピアノは円舞曲を奏でており、ヴィルジールとリュシエンヌがいつものように優雅に踊りを合わせていた。
「もう、リュシーが相手じゃないからって上の空なんて酷いです。ちゃんと練習に集中してください!」
「す、すまん……」
軽く頭を下げつつ、慌てて下腹部へと視線を落とす。股間が落ち着いているのを確認すると、セルジュはほっと息をついた。
ダンスを踊るのにもだいぶ慣れた。とはいえ、直前まで如何わしい妄想に描いていた本人が目の前にいる現状で、気不味い思いを拭えるはずもなく。
セルジュは落ち着かない気分のまま軽く腕を広げ、一歩前に進み出た。
コレットがセルジュの手を握り、もう一方の手で腰に触れて身体を引き寄せる。密着した身体から、ほのかにあまい香りがした。
気が付けば視線はコレットへと向けられて、紅く色付いた唇に、ほっそりとした首筋に、曝け出された胸元に、図らずも眼が奪われていた。心臓が早鐘を打ち、頬が、身体が、かあっと熱を上げた。
「……あれ? お腹に何か当たって……」
「すまん、急用を思い出した!」
小首を傾げたコレットから素早く身を退ける。繋いだ手を振り解くと、セルジュは一目散に舞踏室を飛び出した。
手のひらで口を覆い、前屈みのまま廊下を走り抜ける。
――すべては今朝の淫夢のせいだ。
妙に生々しくて、酷く淫らで。汗だくで目が覚めたとき、セルジュの股間は完全に反り勃っていて、直前の夢を想いながら朝から自慰行為に勤しむ羽目になったのだ。
情けない日常の一コマではあるけれど、いつもならそれだけで済むはずだった。
しかしながら、今日のセルジュは明らかに異常だった。何度振り払ってもあの夢が繰り返しセルジュの脳裏をよぎり、身体が熱を持つのを止められない。
念のため、舞踏室に来る前にもう一度抜いてきたというのに、仄かにあまいコレットの匂いを嗅いだだけで、柔らかな身体に触れただけで、セルジュの股間は奮い立ち、欲望を訴えたのだ。
「まさか、こんな……本当に、俺はコレットを……?」
にやにやと笑うロランの顔が、セルジュの頭を掠めて消える。
言われなくてもわかっていた。ただ、認めたくなかっただけだ。
遠い昔に置き去りにした甘やかな感情が、軽い敗北感を押し流していく。上着の襟元を握り締め、セルジュはぐっと顔を上げた。
――制服の上着に感謝だ。これがなければ、昼間からおっ勃てていたことが瞬時にバレるところだった。
「……セルジュさん、セルジュさんてば」
はっと我に返ったセルジュの瞳に、ぷくっと頬を膨らませたコレットの顔が映り込む。慌てて周囲を見回すと、既にピアノは円舞曲を奏でており、ヴィルジールとリュシエンヌがいつものように優雅に踊りを合わせていた。
「もう、リュシーが相手じゃないからって上の空なんて酷いです。ちゃんと練習に集中してください!」
「す、すまん……」
軽く頭を下げつつ、慌てて下腹部へと視線を落とす。股間が落ち着いているのを確認すると、セルジュはほっと息をついた。
ダンスを踊るのにもだいぶ慣れた。とはいえ、直前まで如何わしい妄想に描いていた本人が目の前にいる現状で、気不味い思いを拭えるはずもなく。
セルジュは落ち着かない気分のまま軽く腕を広げ、一歩前に進み出た。
コレットがセルジュの手を握り、もう一方の手で腰に触れて身体を引き寄せる。密着した身体から、ほのかにあまい香りがした。
気が付けば視線はコレットへと向けられて、紅く色付いた唇に、ほっそりとした首筋に、曝け出された胸元に、図らずも眼が奪われていた。心臓が早鐘を打ち、頬が、身体が、かあっと熱を上げた。
「……あれ? お腹に何か当たって……」
「すまん、急用を思い出した!」
小首を傾げたコレットから素早く身を退ける。繋いだ手を振り解くと、セルジュは一目散に舞踏室を飛び出した。
手のひらで口を覆い、前屈みのまま廊下を走り抜ける。
――すべては今朝の淫夢のせいだ。
妙に生々しくて、酷く淫らで。汗だくで目が覚めたとき、セルジュの股間は完全に反り勃っていて、直前の夢を想いながら朝から自慰行為に勤しむ羽目になったのだ。
情けない日常の一コマではあるけれど、いつもならそれだけで済むはずだった。
しかしながら、今日のセルジュは明らかに異常だった。何度振り払ってもあの夢が繰り返しセルジュの脳裏をよぎり、身体が熱を持つのを止められない。
念のため、舞踏室に来る前にもう一度抜いてきたというのに、仄かにあまいコレットの匂いを嗅いだだけで、柔らかな身体に触れただけで、セルジュの股間は奮い立ち、欲望を訴えたのだ。
「まさか、こんな……本当に、俺はコレットを……?」
にやにやと笑うロランの顔が、セルジュの頭を掠めて消える。
言われなくてもわかっていた。ただ、認めたくなかっただけだ。
遠い昔に置き去りにした甘やかな感情が、軽い敗北感を押し流していく。上着の襟元を握り締め、セルジュはぐっと顔を上げた。
――制服の上着に感謝だ。これがなければ、昼間からおっ勃てていたことが瞬時にバレるところだった。
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