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第5話 大切な人のために
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ロッテが小塔を出た頃には、陽はすっかり沈んでいた。とっぷりと夜の闇に浸かった庭園を駆け抜けて、明かりの灯る廊下に出ると、ロッテはふぅと一息ついて辺りを見回した。
魔獣が出るわけでもなければ、幽霊が出るわけでもないけれど、広々とした物寂しい庭園を夜にひとりで出歩くのは少し怖いと思ってしまう。窓から洩れる暖かい明かりにホッと胸をなで下ろすと、ロッテは長い廊下を歩き出した。
宮廷の隅にあるロッテの部屋まではまだ遠い。規則的に連なった壁掛けランタンの明かりを頼りに廊下を抜けて広間に出ると、ロッテは大階段の前でぴたりと足を止めた。それから階段の上、二階の廊下を見上げて考えた。
ゲオルグのほうはどうなっただろう。無事にユリウスの許可は下りただろうか。
別れ際のユリウスの様子も気になって、一度考えてしまうとそわそわと落ち着かなくて。いつのまにか二階へ上がってしまっていたことに、ロッテは階段を登り終えてから気が付いた。
廊下の先にユリウスの執務室の扉が見える。逸る気持ちで駆け寄って、ちょっぴり緊張しながら扉に耳を寄せると、部屋の中から話し声が聞こえた。どうやらまだ、ゲオルグの話は終わっていないようだ。
分厚い扉越しに会話の内容を聞き取るのは困難だった。ロッテはほんの少し躊躇って、音をたてないように執務室の扉を押し開けた。
部屋の中は薄暗く、応接用の肘掛けソファのサイドテーブルに置かれた燭台に火が灯されているだけだった。二人掛けのソファに人影があって、それを見下ろすようにしてもうひとつ大きな人影が立っている。座っているのがユリウスで、もう一方はゲオルグだろう。
ロッテはこくりと息を飲み、ふたりの会話に耳を澄ませた。
「……ではそのように手配を済ませて、明朝に出立します」
「うん……よろしく頼むよ」
ゲオルグの落ち着いた低い声に、ユリウスのどこか心許ない声が応える。それから少しだけ間をおいて、ため息混じりにユリウスが呟いた。
「すまない、ゲオルグ。ロッテを想うお前の気持ちを利用することになってしまった」
心臓が、どくんと大きく跳ねた。けれど、ロッテはすぐに冷静になった。ユリウスが『ロッテ』と口にしたことで、一瞬、名前を呼ばれたと思ってしまったけれど、よくよく考えれば、今この状況でユリウスやゲオルグが口にする『ロッテ』と言えば、シャルロッテのことしかあり得ない。
「とんでもございません。殿下のご命令とあらば、どんな危険な任務にでも喜んでこの身を投じる所存です」
「頼もしいよ」
交わされた会話のあとに、ユリウスの覇気のない笑い声が聞こえた気がした。ロッテはそっと扉を閉めると、そのまま扉に背を預け、ぼんやりと考えた。
——そっか。ゲオルグさんは、シャルロッテ様のことが好きだったんだ。だから同じようにユリウス様をお慕いするわたしのことを気にかけて……
——『ロッテを想うお前の気持ち』
その言葉を耳にして、一瞬でも自分のことだと勘違いしそうになったのが恥ずかしかった。更に恥ずかしいのは、その『ロッテ』が自分ではないと気が付いて、少しでも落ち込んでしまったことだ。
ゲオルグにとってシャルロッテが特別な存在だということくらい、初めて街に出掛けたときからわかっていたのに。
シャルロッテを想う故に、ゲオルグはこれまで彼女が愛する者に仕え、命を賭してきたのだろう。その想いは、ユリウスの幸せのために、彼が愛するシャルロッテを助けたいと願うロッテの想いと似ている。
「ゲオルグさんとわたしはきっと同じ。好きな人が好きな人のために頑張っているんだから」
ざわざわと落ち着かない気持ちを納得させるように独り言ちて、スカートの端をきゅっと握り締める。
ロッテはユリウスのことが好きなのだから、ゲオルグがシャルロッテに片想いをしていたって関係ない。
——関係ない。関係ない。
繰り返し頭でそう考えていると、不意にかちゃりと音がして、分厚い扉が開かれた。支えを失ってそのまま背中から倒れそうになったロッテの身体を、すんでのところで逞しい腕が抱き止める。
「大丈夫か!?」
ちょっぴり驚いた様子のゲオルグがロッテの顔を覗き込んだ。ロッテは目をまんまるく見開いたままこくこくと頷くと、ゲオルグの腕から離れて自分で立った。
「準備はできたのか」
「はい! ばっちりです!」
ロッテが元気良く応えると、ゲオルグの顔に薄っすらと笑みが浮かんだ。最近のゲオルグはちょくちょくこういった優しい表情をしてみせるから、ロッテが勘違いしそうになったのは、きっとそのせいだ。
「そうか。こちらも殿下の了承を得る事ができた。明日の朝早くに出発だ。今夜は充分に休んでおけ」
宥めるようにそう言うと、ゲオルグはさっさと廊下を歩き出した。向かう先は騎士団宿舎の方向ではない。宮廷の、ロッテの部屋がある方向だ。
どうやら部屋まで送ってくれるらしい。ロッテは慌ててゲオルグを追いかけた。
ぽつぽつと明かりの灯る廊下は決して暗くはないけれど、人の気配がない宮廷の片隅を、日が暮れてからひとりで歩くのは正直言って心細い。
何も言わなくてもこうして気を回してくれるゲオルグに今までずっと助けられていたことを、ロッテは今更ながらに思い知らされた。
しばらくのあいだ、ゲオルグは無言だった。けれど、廊下の先にロッテの部屋の扉が見えると、彼はわずかに躊躇いながら口を開いた。
「お前がこの任務に身を投じたのは、やはりユリウス様のためか?」
黒曜石の瞳がちらりとロッテに向けられる。ロッテは少し返答に困ってしまった。
王宮に上がったばかりの頃のロッテなら、ユリウスのためだとはっきり言い切れただろう。けれど、今のロッテはユリウスのためだけに動いているわけではない。純粋に、ロッテ自身がシャルロッテを失いたくないと思っている。
答えはごく自然に導き出された。
「……それもあるのかもしれません。でも、シャルロッテ様は、わたしの初めての友達だから……助けたい……幸せになって欲しいんです」
「同感だ。あの方を失うわけにはいかない」
ゲオルグが力強く頷いた。その横顔を見上げたロッテの唇から微かな声が洩れる。
「ゲオルグさんは……?」
——危険な任務を引き受けたのは、シャルロッテ様のため……?
思っていても訊けなかった。答えを聞いてしまったら、ロッテのなかで何かが変わってしまいそうで、それが怖くて。
幸いにもロッテの声はゲオルグには聞こえなかったようで、ゲオルグはロッテに目を向けると、「ん?」と不思議そうに首を傾けた。
「あ……えっと、ゲオルグさんも、作戦班のひとりなんですよね?」
「まあな。フィオラントの騎士団に所属する騎士のうち殿下の一存で動かせるのはほんの一部だ。その中でも今動けるのは俺の討伐隊の数人しかいない」
前を向いたまま淡々と答えて、それからゲオルグはぴたりと足を止めた。
「頼りないか……?」
「いいえ! ゲオルグさんが一緒に来てくれるなら、とっても心強いです!」
ロッテはゲオルグの前に回り込み、まっすぐにゲオルグを見上げて言った。
それはおべっかでもなんでもない、ロッテの素直な気持ちだった。これから危険な魔獣の巣窟に向かうロッテにとって、ゲオルグ以上に頼りになる人はいない。
蝋燭の火が揺らいだせいか、ゲオルグの強張っていた頬が安堵の気持ちで緩んだように、ロッテには見えた。
「日の出前に宮殿を出る。前庭に馬を用意しておくから遅れるなよ」
いつもより幾分優しい声でそう告げると、ゲオルグは踵を返し、元来た廊下を歩き出した。長い長い廊下の先にその背中が消えるのを見届けて、ロッテは静かに扉を閉めた。
魔獣が出るわけでもなければ、幽霊が出るわけでもないけれど、広々とした物寂しい庭園を夜にひとりで出歩くのは少し怖いと思ってしまう。窓から洩れる暖かい明かりにホッと胸をなで下ろすと、ロッテは長い廊下を歩き出した。
宮廷の隅にあるロッテの部屋まではまだ遠い。規則的に連なった壁掛けランタンの明かりを頼りに廊下を抜けて広間に出ると、ロッテは大階段の前でぴたりと足を止めた。それから階段の上、二階の廊下を見上げて考えた。
ゲオルグのほうはどうなっただろう。無事にユリウスの許可は下りただろうか。
別れ際のユリウスの様子も気になって、一度考えてしまうとそわそわと落ち着かなくて。いつのまにか二階へ上がってしまっていたことに、ロッテは階段を登り終えてから気が付いた。
廊下の先にユリウスの執務室の扉が見える。逸る気持ちで駆け寄って、ちょっぴり緊張しながら扉に耳を寄せると、部屋の中から話し声が聞こえた。どうやらまだ、ゲオルグの話は終わっていないようだ。
分厚い扉越しに会話の内容を聞き取るのは困難だった。ロッテはほんの少し躊躇って、音をたてないように執務室の扉を押し開けた。
部屋の中は薄暗く、応接用の肘掛けソファのサイドテーブルに置かれた燭台に火が灯されているだけだった。二人掛けのソファに人影があって、それを見下ろすようにしてもうひとつ大きな人影が立っている。座っているのがユリウスで、もう一方はゲオルグだろう。
ロッテはこくりと息を飲み、ふたりの会話に耳を澄ませた。
「……ではそのように手配を済ませて、明朝に出立します」
「うん……よろしく頼むよ」
ゲオルグの落ち着いた低い声に、ユリウスのどこか心許ない声が応える。それから少しだけ間をおいて、ため息混じりにユリウスが呟いた。
「すまない、ゲオルグ。ロッテを想うお前の気持ちを利用することになってしまった」
心臓が、どくんと大きく跳ねた。けれど、ロッテはすぐに冷静になった。ユリウスが『ロッテ』と口にしたことで、一瞬、名前を呼ばれたと思ってしまったけれど、よくよく考えれば、今この状況でユリウスやゲオルグが口にする『ロッテ』と言えば、シャルロッテのことしかあり得ない。
「とんでもございません。殿下のご命令とあらば、どんな危険な任務にでも喜んでこの身を投じる所存です」
「頼もしいよ」
交わされた会話のあとに、ユリウスの覇気のない笑い声が聞こえた気がした。ロッテはそっと扉を閉めると、そのまま扉に背を預け、ぼんやりと考えた。
——そっか。ゲオルグさんは、シャルロッテ様のことが好きだったんだ。だから同じようにユリウス様をお慕いするわたしのことを気にかけて……
——『ロッテを想うお前の気持ち』
その言葉を耳にして、一瞬でも自分のことだと勘違いしそうになったのが恥ずかしかった。更に恥ずかしいのは、その『ロッテ』が自分ではないと気が付いて、少しでも落ち込んでしまったことだ。
ゲオルグにとってシャルロッテが特別な存在だということくらい、初めて街に出掛けたときからわかっていたのに。
シャルロッテを想う故に、ゲオルグはこれまで彼女が愛する者に仕え、命を賭してきたのだろう。その想いは、ユリウスの幸せのために、彼が愛するシャルロッテを助けたいと願うロッテの想いと似ている。
「ゲオルグさんとわたしはきっと同じ。好きな人が好きな人のために頑張っているんだから」
ざわざわと落ち着かない気持ちを納得させるように独り言ちて、スカートの端をきゅっと握り締める。
ロッテはユリウスのことが好きなのだから、ゲオルグがシャルロッテに片想いをしていたって関係ない。
——関係ない。関係ない。
繰り返し頭でそう考えていると、不意にかちゃりと音がして、分厚い扉が開かれた。支えを失ってそのまま背中から倒れそうになったロッテの身体を、すんでのところで逞しい腕が抱き止める。
「大丈夫か!?」
ちょっぴり驚いた様子のゲオルグがロッテの顔を覗き込んだ。ロッテは目をまんまるく見開いたままこくこくと頷くと、ゲオルグの腕から離れて自分で立った。
「準備はできたのか」
「はい! ばっちりです!」
ロッテが元気良く応えると、ゲオルグの顔に薄っすらと笑みが浮かんだ。最近のゲオルグはちょくちょくこういった優しい表情をしてみせるから、ロッテが勘違いしそうになったのは、きっとそのせいだ。
「そうか。こちらも殿下の了承を得る事ができた。明日の朝早くに出発だ。今夜は充分に休んでおけ」
宥めるようにそう言うと、ゲオルグはさっさと廊下を歩き出した。向かう先は騎士団宿舎の方向ではない。宮廷の、ロッテの部屋がある方向だ。
どうやら部屋まで送ってくれるらしい。ロッテは慌ててゲオルグを追いかけた。
ぽつぽつと明かりの灯る廊下は決して暗くはないけれど、人の気配がない宮廷の片隅を、日が暮れてからひとりで歩くのは正直言って心細い。
何も言わなくてもこうして気を回してくれるゲオルグに今までずっと助けられていたことを、ロッテは今更ながらに思い知らされた。
しばらくのあいだ、ゲオルグは無言だった。けれど、廊下の先にロッテの部屋の扉が見えると、彼はわずかに躊躇いながら口を開いた。
「お前がこの任務に身を投じたのは、やはりユリウス様のためか?」
黒曜石の瞳がちらりとロッテに向けられる。ロッテは少し返答に困ってしまった。
王宮に上がったばかりの頃のロッテなら、ユリウスのためだとはっきり言い切れただろう。けれど、今のロッテはユリウスのためだけに動いているわけではない。純粋に、ロッテ自身がシャルロッテを失いたくないと思っている。
答えはごく自然に導き出された。
「……それもあるのかもしれません。でも、シャルロッテ様は、わたしの初めての友達だから……助けたい……幸せになって欲しいんです」
「同感だ。あの方を失うわけにはいかない」
ゲオルグが力強く頷いた。その横顔を見上げたロッテの唇から微かな声が洩れる。
「ゲオルグさんは……?」
——危険な任務を引き受けたのは、シャルロッテ様のため……?
思っていても訊けなかった。答えを聞いてしまったら、ロッテのなかで何かが変わってしまいそうで、それが怖くて。
幸いにもロッテの声はゲオルグには聞こえなかったようで、ゲオルグはロッテに目を向けると、「ん?」と不思議そうに首を傾けた。
「あ……えっと、ゲオルグさんも、作戦班のひとりなんですよね?」
「まあな。フィオラントの騎士団に所属する騎士のうち殿下の一存で動かせるのはほんの一部だ。その中でも今動けるのは俺の討伐隊の数人しかいない」
前を向いたまま淡々と答えて、それからゲオルグはぴたりと足を止めた。
「頼りないか……?」
「いいえ! ゲオルグさんが一緒に来てくれるなら、とっても心強いです!」
ロッテはゲオルグの前に回り込み、まっすぐにゲオルグを見上げて言った。
それはおべっかでもなんでもない、ロッテの素直な気持ちだった。これから危険な魔獣の巣窟に向かうロッテにとって、ゲオルグ以上に頼りになる人はいない。
蝋燭の火が揺らいだせいか、ゲオルグの強張っていた頬が安堵の気持ちで緩んだように、ロッテには見えた。
「日の出前に宮殿を出る。前庭に馬を用意しておくから遅れるなよ」
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