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第三話 荒行終了、旅立ちの時
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「トシに教えることはもうない。よく儂の課す荒行に耐えたな」
「シゲさんのおかげだ」
どのくらいの時間が経ったろうか。俺は若返った十五歳のままの姿だが、とんでもない長き時間をシゲさんと過ごしていた気がする。
修行の時、俺は魔王をシゲさんと呼ぶようになり、彼は俺をトシと呼んでくれるようになった。爺さんの名前は仁藤茂だったからな。
色々と話をしたけれど、これから俺が出ていくセイラシアという世界は、シゲさん、魔王ゼインの死後まだ間もないと聞く。
「この修行の間から出よう。旅立ちの時じゃ」
「よくある展開なら、魔王亡きあと人間が魔族を弾圧しているパターンなんだが…」
「それはあるまい。人間は魔族の拠点である魔大陸に行くことが出来ないし、それと今まで言うのを忘れておったが、儂の娘は中々優秀でな。父の儂は喧嘩こそ強かったが統率力が今一つじゃった。娘の方が次代の魔王として上手くやっているかもしれぬ」
娘さんがいたのか。喧嘩こそ強かったけれど、統率力が今一つ。シゲさんは呂布か項羽のような魔王だったのかな。
「魔大陸とやらに人間は行けないのか?」
「強いて言えば南大陸の南端から飛行魔法を駆使して点在する島々に寄りながらという方法もあるがな。沖に出れば海棲モンスターがうようよいるから船で行くことも出来ない。人間が航空技術を持たない限り到達は出来んよ」
「ふぅん…。ところでシゲさん、一杯やらないか?」
「え?」
「一度三島の自宅に戻って酒と肴を買ってくるよ。せっかく再会したというのに今まで酒を酌み交わしてなかっただろう」
「それもよいな」
「ああ、篠永俊樹として、もう一度仁藤茂と飲みたい」
不思議な空間を一時出た。再びシゲさんの姿は半透明状態となる。
「いまいち、この場所の時間の概念は分からないけれど、近くにコンビニもあったし、一時間ほどで戻るよ。何か食いたいものは?」
『唐揚げと三島コロッケ、サラダ煎餅、それと枝豆がいいのう』
「わかった。酒はビールでいいか」
『もちろん』
物置を出ると、俺は五十四歳の篠永俊樹になっていた。自宅に入り消防の作業服から普段着へと。鏡を見ると
「我ながら、いい面構えになった気がする。すさまじい修行を経たからかな…ん?」
ジーパンを履いていると違和感が。
「えっ!?」
たるんでいた腹が見事に筋肉で割れている。レスキュー隊にいた時でさえ、こんなマッチョじゃなかった。
「こっちの体にも反映されるのか…。これならもう不発なんて…」
いや、体力筋力と精力は別物か。二度あることは三度、こんな恵体になったと言うのにまた不発だったら立ち直れないわ。現に女が欲しいという気持ちにもなれない。三度目の正直への挑戦はやめておこう。
俺は自転車でコンビニに向かい、ビールとつまみを買った。こんな普通の買い物も随分と久しぶりに感じる。セイカのチャージ金額もきれいさっぱり忘れていたからな。
俺は物置に戻り合言葉を言って中に入った。久しぶりのビールを心待ちにしていたのかシゲさんはもう目の前。俺は再び十五歳の姿になっていた。
『修行の間に行くぞ』
ここじゃシゲさんの実体が無いからな。俺は頷き
「ここは…」
「儂がトシと会う前に訪れた三方五湖の山頂公園よ。夕暮れ時がまあ美しくて妻と一緒に見られたらと思ったのじゃ。で、その光景を修行の間に投影した」
「おいおいシゲさん、三方五湖のレインボーライン山頂公園は『恋人たちの聖地』だぞ。男二人でそこの夕暮れを見るのも何だかなぁ…」
「そんなことは素人童貞を卒業してから言え。ほれ、ビールを早く寄越せ」
「ああ」
「トシ、飲みすぎるなよ。今のお前は未成年なのだから」
「そういやぁ、そうだったな」
確かに十五の体には毒かもしれないが今日くらいは。
「じゃ、シゲさん」
「ふむ」
「「乾杯!」」
五百缶を一気に飲み干すシゲさん。いつもの鎧は脱いでくつろいでいる。流れるような長い銀髪、若い娘たちが軒並み頬を染めるだろう整った顔立ち、そんな彼がビールを一気飲みしている絵面はシュールだ。
「ぷはぁ、美味い!」
「本当だな。十五の体じゃ咽るかと思ったけれど美味くてたまらないよ」
しかしさすがは魔王、目の前の三方五湖は写真じゃなくて、ちゃんと風も流れ、鳥のさえずりも聞こえる。こんな再現もできるのか。
「足湯に浸かりながら若狭湾を見るのが何ともな」
「確かにあれは乙だった」
「山頂公園の軽食屋のサンドイッチが高くてのう。でも食べておけばよかったわい。サバのカツサンド、どんな味だったのやら」
「確かに高かったな。俺も値段を見てやめたよ。かわらけ投げは?」
かわらけと言う土の皿に願い事を書いて投げるというものだ。皿は雨に濡れれば土に還る。
「ああ、天国で妻に再会できるように書いて皿を投げたが…叶わなかったようじゃ。そりゃ、そうじゃ。儂はセイラシアで随分と人間を殺した。願いごとなど叶うわけがない」
「そっか…」
「トシは何て書いた?」
「ん?ああ…アイドル☆レボリューションのライブチケット、ずっと当選しますようにと」
「なんじゃ、そりゃあ。いい歳をした男の願いごとがそれか?」
「いや、取れないんだってなかなか!神頼みもしたくなるよ!」
こんな取り留めのない話をして笑いあい、シゲさんと酒を酌み交わし笑いあった。
「シゲさん、魔王ゼイン亡き後のセイラシアを知りたいと言ったが、俺は具体的にどうやってシゲさんに報告すればいいんだ?」
「なにもせんでいい。トシが見聞きしたことすべてが儂の頭に入ってくる」
「おいおい、俺にプライバシーはなしか」
「ネット小説にもあったろう。主人公の体内に宿りサポートしてくれるナビ的なやつが。あれだと思えばいい。必要のない時にしか、お前とはリンクせんから安心しろ」
「よかった。女を抱いている時も見られているのかと思うとな」
「ほう、このセイラシアでやってみるか、ハーレムを」
「男ならやってみたいじゃないか。この姿なら若いし、何より魔力と精力は比例するから一日に何度でも出来る」
「魔王の時に儂もハーレムを持っていたぞ」
「そうなのか?」
「あれがなかなか苦労する。Aを愛せばBが嫉妬する。その繰り返しじゃ。ただ毎日女たちを抱いているだけではハーレムを持つ男にはなれんぞ。後腐れのない嬢とばかり遊んでいたトシでは慣れるには時間を要すじゃろうの」
言われてみれば…と思った。
「またハーレムを持っても若くて美しい女だけ愛でるようでは失格じゃ。老いて男を受け入れられぬ歳になった女の生活の面倒もちゃんと見て、かつ愛し続けられる男こそ持つ資格がある」
確かに…。
「まずは一人の娘のハートを掴むことを目標にしてはどうかの」
「ああ、そうする。助言あんがとな、シゲさん」
「それじゃ、そろそろ草原に戻るか」
三方五湖を映していた不思議な空間は閉じて、俺は再び草原に。シゲさんは半透明の姿だ。
『これからは儂がサポート役として共にあろう』
「ああ、頼む」
しかし、さっきまでいい気持ちで酔っていたのに空間が閉じればリセットだ。
『酔って歩みを進めるものではないからの。これを渡しておこう』
「これは?」
『このセイラシアで一番信仰されている宗教ハイゼル教の身分証『信徒カード』じゃ。僧階は律師じゃ』
「律師…。確か僧侶の階級、僧階下から三、四番目だっけ?」
『地球の僧階でも律師は下からそのくらいだがセイラシアも同じじゃ』
「俺は無宗教なんだがな…」
『持っていて損はないぞ。どこそれに行って説法をしろなんてことはトシが自発的にやらない限り起こらないし、何より儂から学んだスキル『言語理解』を使えばハイゼル教の経典なんて数分で覚えてしまう』
「大丈夫か?身分偽装になるのでは?」
『案ずるな。実際に儂が人間に化けて会得している僧階ゆえ他者に継がせるに問題はない』
人間の宗教で、それなりの立場にいた魔王ってどんなんだよ、と思うけれど魔族は長命だ。長い人生のなか、色々な経験をしているのだろう。
「そういえば聞くのを忘れていたけれど、この世界に冒険者ギルドは?」
『ある。儂を討った勇者と聖女は各地の冒険者ギルドから強者を仲間にして勇者軍を旗揚げしたからな』
「ふむ、当面はここから一番近い…なんだっけ?」
『ブルムフルト王国だ』
「とりあえず、そこを目指して、信徒カードで入国。日々の糧を得るため冒険者ギルドに登録、ハーレムを作る前に一人の女の子の心を掴むこと。これが方針でいいかな」
シゲさんに魔王ゼイン亡き後の世界を見せて、俺はハーレムを築く、それがここ異世界セイラシアでの方針と目標だ。
『それでよかろう。その過程でも儂の死後の情報は得られる。ブラムフルトは人間しかおらぬ国だが、セイラシアにある人種すべてがそろっている国。しかも地球と違って人種差別がない』
「すげえな、それだけでセイラシアは地球よりいい進化を遂げていると思うよ」
『だが魔族は受け入れられないのが人間じゃ。人種間の差別はなくとも多種族は許容できんのよ』
「それなら、俺が第一号になるさ。俺のハーレムには魔族の女の子も入れて見せる!」
『よし、頑張れ。ブルムフルト王国は草原の…ほれ、あそこの森を西に一直線だ。行こう』
「よっしゃ!」
半透明の姿だったシゲさんは消えて、俺の中に入っていった。
「何か変な気分だな。自分の中にもう一つの人格があるなんて」
『じき慣れるじゃろ』
「そうあってほしいよ。さぁて!」
俺はスプリンターのように草原を駆ける。ああ、気持ちいい。若い体の素晴らしさよ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
森に入った途端に無法地帯状態、多くの魔物に襲われたが応戦してやっつけることができた。かなり余裕で倒せたものの油断は禁物だ。この世で一番強いと思った時が身の破滅の第一歩だからな。
魔物の亡骸を収納魔法に入れていく。魔物の素材は金になる。
「シゲさん、魔族と魔物はどう違うんだ?」
『地球で言うなら、魔族は人間、魔物は動物じゃ』
「ああ、わかりやすいな」
『ボサッとしているな。多数の羽音が聴こえる。キラービーが狙っておるぞ』
「ありゃ、彼らのテリトリーに入ってしまったか」
『彼らの巣には極上の蜂蜜があって高値で売れる。交渉せい』
『言語理解』のスキルがあるから蜂とも話せてしまう。すごい。
「交渉ったって、取引に出すようなものは」
『彼らの巣作りには木材は必須じゃ。加工しやすい木材を渡すのじゃ。キラービーは樹木を貫く針を持つが切る技術は持たぬからな』
「わかった。切った木材だな」
俺は剣で木々を切り、大小の木材をその場で作った。そのタイミングでキラービーの大群が襲ってきたが
≪テリトリーに入って済まなかった。君たちの女王と話したい≫
人間が蜂の言語を使い驚いたか、キラービーの大群は止まった。
≪この木材と君たちの蜂蜜の一部を交換してほしい≫
ひときわ大きなキラービーが俺の前に出てきて
≪モウスコシ、ツゴウデキルカ?≫
≪分かった≫
さらに倍、木材を用意した。
≪コレナラ、ジョオウサマモマンゾクサレヨウ、シバシマタレヨ≫
その一隊のリーダーだったのか、他のキラービー数体を巣に帰らせた。そして、さらにデカいキラービーが来た。
≪マサカ、ニンゲント トリヒキスルヒガコヨウトハ。ワタシハ コノモリノキラービーノオサデス≫
他のキラービーを刺激しないため、俺は女王蜂に頭を下げた。女王蜂は木材の山を見て
≪ヨイウデデスネ。ワラワノコドモタチヲ タオスコトモヨウイ ダッタロウニ。コレ≫
大きな壺二つ、キラービーが運んできた。同時に木材を次々と持っていく。
≪ワラワタチノハチミツデス。ドウゾ≫
≪ありがとう、女王≫
≪コンゴモハチミツガホシイトキハエンリョナク。ヒトノセンシヨ≫
『やったのう、これだけの量のキラービーの蜂蜜をゲットできれば、とうぶん食うには困らんぞ』
キラービーが去ったあと、シゲさんがリンクしてきた。
「しかし、こういう高級素材をいきなり持っていくとまずくないか?」
『ふっふっふっ、そのための律師という僧階よ。新人冒険者であると同時にセイラシア最大宗教で立場ある人間となれば扱いも違うからな』
「ふーん、どれどれ…」
キラービーの蜂蜜を指で掬って舐めてみた。
「…なにこれっ、すげえ美味い!」
『これで造る酒は最高じゃぞ。今回のように時に恩恵をもたらしてくれる魔物はおる。問答無用で襲ってくる理性のかけらもない魔物はしょうがないが、キラービーのように話が分かる者もおる。やたらと殺すだけが戦士ではないぞ』
「わかった。さて、旅を続けようか」
さらに途中、軍隊蟻の魔物、レッドアントの群れと遭遇したけれど、シゲさんの言う通り今まで倒した魔物の亡骸を取引に差し出し、半信半疑で俺も切り出したが
≪巣作りの時に見つけた人間の金と道具があったら欲しい≫
そういうと女王蟻が出てきて
≪ソノエモノト ツリアウシナカドウカハ ワカラヌガ…≫
と、差し出してきたのは大量の金貨と武器だった。どういうことだと思っているとシゲさんが
『この森は人間同士の戦争の古戦場だったのじゃ。こういうのも地中に眠っておろう』
俺が一方的に得した感じだが女王蟻は大量の魔物の亡骸を得られて上機嫌。俺の出した獲物を巨大蟻たちが巣へ運び出している。令和日本で見たら卒倒しそうな場面だな。
≪ヨイ トリヒキダッタ。レイヲイウ≫
と、帰っていった。まさか蜂と蟻と取引する時が来ようとは…。
『金貨は金貨でも白金貨か。すごいのう、日本円で三億円以上あるぞ』
「マジすか…」
『先の魔物の亡骸をいきなりギルドに持ち込めば面倒なことも起きただろう。レッドアントが破格の値段で買ってくれて幸いじゃ。それと多量の武器。収納魔法には復元機能もついておる。いくつか使える剣や槍にもなるだろう』
「そうだな。名刀名槍とまで言わなくても、投擲で使えるだけでもありがたいよ」
レッドアント以降は特に魔物も出てこず、やっと人の手が入った道に出られた。
「ようやくか…」
森を抜けてみると、道、そして湖があった。
「なんて美しい湖なんだろう」
『ニナ湖という。日本の琵琶湖より大きいぞ』
「そうなのか…。しばらく見ていていいかな」
『歩きながらにせい。日が暮れるぞ』
「それもそっか。あ、そうだ。一度ステイタスを確認しておくよ」
ライトノベルのように、目の前にマルチウィンドゥが出るわけではないが、脳裏に数字化したものが浮かんでくる。
名前 トシ(篠永俊樹)
年齢 十五歳(五十四歳)
Lv 60/100
職業 ハイゼル教律師(元消防士)
出身 ブルムフルト王国 キカルス伯爵家領 幽谷(設定)
両親 なし
財産 白金貨340枚(日本円で三億四千万円)
魔力 580/1000
闘気 510/1000
装備 黒衣のインナー/作業服/バンダナ/革鎧/ケブラー手袋/安全靴/安全帯/膝プロテクター/肘プロテクター/カラビナ/ロープ/斧鉞/鉄弓
武器 斧(S)/とび口(S)/ハンマー(S)/スコップ(S)/ロープ(S)/大剣(A)/剣(A)/ナイフ(A)/槍(A)弓(A)/投石(A)/格闘(A)/さらに表示
魔法 水(SS)/治癒(SS)/収納(S)/生活(S)/解毒(S)/解呪(S)/鑑定(S)火(A)/土(A)/風(A)/闇(A)/雷(A)/聖(A)/重力(B)/さらに表示
闘気 治癒(SS)/波動(S)/病耐性(S)
特技 言語理解/AED/ポーション/閨房/料理/裁縫/音楽/絵画/着装/格闘/ロープ取り扱い さらに表示
備考 故魔王ゼインの弟子 故魔王ゼインの飲み友達 素人童貞
消防士の武器と言えば、斧、とび口、ハンマー、スコップ、ロープだからな!
災害現場でしか使ったことがない武器だけど気が付いたら、みんな(S)になっていたよ。
さて、これからどんな大冒険が待っているやら。目指せ、ハーレム!
「シゲさんのおかげだ」
どのくらいの時間が経ったろうか。俺は若返った十五歳のままの姿だが、とんでもない長き時間をシゲさんと過ごしていた気がする。
修行の時、俺は魔王をシゲさんと呼ぶようになり、彼は俺をトシと呼んでくれるようになった。爺さんの名前は仁藤茂だったからな。
色々と話をしたけれど、これから俺が出ていくセイラシアという世界は、シゲさん、魔王ゼインの死後まだ間もないと聞く。
「この修行の間から出よう。旅立ちの時じゃ」
「よくある展開なら、魔王亡きあと人間が魔族を弾圧しているパターンなんだが…」
「それはあるまい。人間は魔族の拠点である魔大陸に行くことが出来ないし、それと今まで言うのを忘れておったが、儂の娘は中々優秀でな。父の儂は喧嘩こそ強かったが統率力が今一つじゃった。娘の方が次代の魔王として上手くやっているかもしれぬ」
娘さんがいたのか。喧嘩こそ強かったけれど、統率力が今一つ。シゲさんは呂布か項羽のような魔王だったのかな。
「魔大陸とやらに人間は行けないのか?」
「強いて言えば南大陸の南端から飛行魔法を駆使して点在する島々に寄りながらという方法もあるがな。沖に出れば海棲モンスターがうようよいるから船で行くことも出来ない。人間が航空技術を持たない限り到達は出来んよ」
「ふぅん…。ところでシゲさん、一杯やらないか?」
「え?」
「一度三島の自宅に戻って酒と肴を買ってくるよ。せっかく再会したというのに今まで酒を酌み交わしてなかっただろう」
「それもよいな」
「ああ、篠永俊樹として、もう一度仁藤茂と飲みたい」
不思議な空間を一時出た。再びシゲさんの姿は半透明状態となる。
「いまいち、この場所の時間の概念は分からないけれど、近くにコンビニもあったし、一時間ほどで戻るよ。何か食いたいものは?」
『唐揚げと三島コロッケ、サラダ煎餅、それと枝豆がいいのう』
「わかった。酒はビールでいいか」
『もちろん』
物置を出ると、俺は五十四歳の篠永俊樹になっていた。自宅に入り消防の作業服から普段着へと。鏡を見ると
「我ながら、いい面構えになった気がする。すさまじい修行を経たからかな…ん?」
ジーパンを履いていると違和感が。
「えっ!?」
たるんでいた腹が見事に筋肉で割れている。レスキュー隊にいた時でさえ、こんなマッチョじゃなかった。
「こっちの体にも反映されるのか…。これならもう不発なんて…」
いや、体力筋力と精力は別物か。二度あることは三度、こんな恵体になったと言うのにまた不発だったら立ち直れないわ。現に女が欲しいという気持ちにもなれない。三度目の正直への挑戦はやめておこう。
俺は自転車でコンビニに向かい、ビールとつまみを買った。こんな普通の買い物も随分と久しぶりに感じる。セイカのチャージ金額もきれいさっぱり忘れていたからな。
俺は物置に戻り合言葉を言って中に入った。久しぶりのビールを心待ちにしていたのかシゲさんはもう目の前。俺は再び十五歳の姿になっていた。
『修行の間に行くぞ』
ここじゃシゲさんの実体が無いからな。俺は頷き
「ここは…」
「儂がトシと会う前に訪れた三方五湖の山頂公園よ。夕暮れ時がまあ美しくて妻と一緒に見られたらと思ったのじゃ。で、その光景を修行の間に投影した」
「おいおいシゲさん、三方五湖のレインボーライン山頂公園は『恋人たちの聖地』だぞ。男二人でそこの夕暮れを見るのも何だかなぁ…」
「そんなことは素人童貞を卒業してから言え。ほれ、ビールを早く寄越せ」
「ああ」
「トシ、飲みすぎるなよ。今のお前は未成年なのだから」
「そういやぁ、そうだったな」
確かに十五の体には毒かもしれないが今日くらいは。
「じゃ、シゲさん」
「ふむ」
「「乾杯!」」
五百缶を一気に飲み干すシゲさん。いつもの鎧は脱いでくつろいでいる。流れるような長い銀髪、若い娘たちが軒並み頬を染めるだろう整った顔立ち、そんな彼がビールを一気飲みしている絵面はシュールだ。
「ぷはぁ、美味い!」
「本当だな。十五の体じゃ咽るかと思ったけれど美味くてたまらないよ」
しかしさすがは魔王、目の前の三方五湖は写真じゃなくて、ちゃんと風も流れ、鳥のさえずりも聞こえる。こんな再現もできるのか。
「足湯に浸かりながら若狭湾を見るのが何ともな」
「確かにあれは乙だった」
「山頂公園の軽食屋のサンドイッチが高くてのう。でも食べておけばよかったわい。サバのカツサンド、どんな味だったのやら」
「確かに高かったな。俺も値段を見てやめたよ。かわらけ投げは?」
かわらけと言う土の皿に願い事を書いて投げるというものだ。皿は雨に濡れれば土に還る。
「ああ、天国で妻に再会できるように書いて皿を投げたが…叶わなかったようじゃ。そりゃ、そうじゃ。儂はセイラシアで随分と人間を殺した。願いごとなど叶うわけがない」
「そっか…」
「トシは何て書いた?」
「ん?ああ…アイドル☆レボリューションのライブチケット、ずっと当選しますようにと」
「なんじゃ、そりゃあ。いい歳をした男の願いごとがそれか?」
「いや、取れないんだってなかなか!神頼みもしたくなるよ!」
こんな取り留めのない話をして笑いあい、シゲさんと酒を酌み交わし笑いあった。
「シゲさん、魔王ゼイン亡き後のセイラシアを知りたいと言ったが、俺は具体的にどうやってシゲさんに報告すればいいんだ?」
「なにもせんでいい。トシが見聞きしたことすべてが儂の頭に入ってくる」
「おいおい、俺にプライバシーはなしか」
「ネット小説にもあったろう。主人公の体内に宿りサポートしてくれるナビ的なやつが。あれだと思えばいい。必要のない時にしか、お前とはリンクせんから安心しろ」
「よかった。女を抱いている時も見られているのかと思うとな」
「ほう、このセイラシアでやってみるか、ハーレムを」
「男ならやってみたいじゃないか。この姿なら若いし、何より魔力と精力は比例するから一日に何度でも出来る」
「魔王の時に儂もハーレムを持っていたぞ」
「そうなのか?」
「あれがなかなか苦労する。Aを愛せばBが嫉妬する。その繰り返しじゃ。ただ毎日女たちを抱いているだけではハーレムを持つ男にはなれんぞ。後腐れのない嬢とばかり遊んでいたトシでは慣れるには時間を要すじゃろうの」
言われてみれば…と思った。
「またハーレムを持っても若くて美しい女だけ愛でるようでは失格じゃ。老いて男を受け入れられぬ歳になった女の生活の面倒もちゃんと見て、かつ愛し続けられる男こそ持つ資格がある」
確かに…。
「まずは一人の娘のハートを掴むことを目標にしてはどうかの」
「ああ、そうする。助言あんがとな、シゲさん」
「それじゃ、そろそろ草原に戻るか」
三方五湖を映していた不思議な空間は閉じて、俺は再び草原に。シゲさんは半透明の姿だ。
『これからは儂がサポート役として共にあろう』
「ああ、頼む」
しかし、さっきまでいい気持ちで酔っていたのに空間が閉じればリセットだ。
『酔って歩みを進めるものではないからの。これを渡しておこう』
「これは?」
『このセイラシアで一番信仰されている宗教ハイゼル教の身分証『信徒カード』じゃ。僧階は律師じゃ』
「律師…。確か僧侶の階級、僧階下から三、四番目だっけ?」
『地球の僧階でも律師は下からそのくらいだがセイラシアも同じじゃ』
「俺は無宗教なんだがな…」
『持っていて損はないぞ。どこそれに行って説法をしろなんてことはトシが自発的にやらない限り起こらないし、何より儂から学んだスキル『言語理解』を使えばハイゼル教の経典なんて数分で覚えてしまう』
「大丈夫か?身分偽装になるのでは?」
『案ずるな。実際に儂が人間に化けて会得している僧階ゆえ他者に継がせるに問題はない』
人間の宗教で、それなりの立場にいた魔王ってどんなんだよ、と思うけれど魔族は長命だ。長い人生のなか、色々な経験をしているのだろう。
「そういえば聞くのを忘れていたけれど、この世界に冒険者ギルドは?」
『ある。儂を討った勇者と聖女は各地の冒険者ギルドから強者を仲間にして勇者軍を旗揚げしたからな』
「ふむ、当面はここから一番近い…なんだっけ?」
『ブルムフルト王国だ』
「とりあえず、そこを目指して、信徒カードで入国。日々の糧を得るため冒険者ギルドに登録、ハーレムを作る前に一人の女の子の心を掴むこと。これが方針でいいかな」
シゲさんに魔王ゼイン亡き後の世界を見せて、俺はハーレムを築く、それがここ異世界セイラシアでの方針と目標だ。
『それでよかろう。その過程でも儂の死後の情報は得られる。ブラムフルトは人間しかおらぬ国だが、セイラシアにある人種すべてがそろっている国。しかも地球と違って人種差別がない』
「すげえな、それだけでセイラシアは地球よりいい進化を遂げていると思うよ」
『だが魔族は受け入れられないのが人間じゃ。人種間の差別はなくとも多種族は許容できんのよ』
「それなら、俺が第一号になるさ。俺のハーレムには魔族の女の子も入れて見せる!」
『よし、頑張れ。ブルムフルト王国は草原の…ほれ、あそこの森を西に一直線だ。行こう』
「よっしゃ!」
半透明の姿だったシゲさんは消えて、俺の中に入っていった。
「何か変な気分だな。自分の中にもう一つの人格があるなんて」
『じき慣れるじゃろ』
「そうあってほしいよ。さぁて!」
俺はスプリンターのように草原を駆ける。ああ、気持ちいい。若い体の素晴らしさよ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
森に入った途端に無法地帯状態、多くの魔物に襲われたが応戦してやっつけることができた。かなり余裕で倒せたものの油断は禁物だ。この世で一番強いと思った時が身の破滅の第一歩だからな。
魔物の亡骸を収納魔法に入れていく。魔物の素材は金になる。
「シゲさん、魔族と魔物はどう違うんだ?」
『地球で言うなら、魔族は人間、魔物は動物じゃ』
「ああ、わかりやすいな」
『ボサッとしているな。多数の羽音が聴こえる。キラービーが狙っておるぞ』
「ありゃ、彼らのテリトリーに入ってしまったか」
『彼らの巣には極上の蜂蜜があって高値で売れる。交渉せい』
『言語理解』のスキルがあるから蜂とも話せてしまう。すごい。
「交渉ったって、取引に出すようなものは」
『彼らの巣作りには木材は必須じゃ。加工しやすい木材を渡すのじゃ。キラービーは樹木を貫く針を持つが切る技術は持たぬからな』
「わかった。切った木材だな」
俺は剣で木々を切り、大小の木材をその場で作った。そのタイミングでキラービーの大群が襲ってきたが
≪テリトリーに入って済まなかった。君たちの女王と話したい≫
人間が蜂の言語を使い驚いたか、キラービーの大群は止まった。
≪この木材と君たちの蜂蜜の一部を交換してほしい≫
ひときわ大きなキラービーが俺の前に出てきて
≪モウスコシ、ツゴウデキルカ?≫
≪分かった≫
さらに倍、木材を用意した。
≪コレナラ、ジョオウサマモマンゾクサレヨウ、シバシマタレヨ≫
その一隊のリーダーだったのか、他のキラービー数体を巣に帰らせた。そして、さらにデカいキラービーが来た。
≪マサカ、ニンゲント トリヒキスルヒガコヨウトハ。ワタシハ コノモリノキラービーノオサデス≫
他のキラービーを刺激しないため、俺は女王蜂に頭を下げた。女王蜂は木材の山を見て
≪ヨイウデデスネ。ワラワノコドモタチヲ タオスコトモヨウイ ダッタロウニ。コレ≫
大きな壺二つ、キラービーが運んできた。同時に木材を次々と持っていく。
≪ワラワタチノハチミツデス。ドウゾ≫
≪ありがとう、女王≫
≪コンゴモハチミツガホシイトキハエンリョナク。ヒトノセンシヨ≫
『やったのう、これだけの量のキラービーの蜂蜜をゲットできれば、とうぶん食うには困らんぞ』
キラービーが去ったあと、シゲさんがリンクしてきた。
「しかし、こういう高級素材をいきなり持っていくとまずくないか?」
『ふっふっふっ、そのための律師という僧階よ。新人冒険者であると同時にセイラシア最大宗教で立場ある人間となれば扱いも違うからな』
「ふーん、どれどれ…」
キラービーの蜂蜜を指で掬って舐めてみた。
「…なにこれっ、すげえ美味い!」
『これで造る酒は最高じゃぞ。今回のように時に恩恵をもたらしてくれる魔物はおる。問答無用で襲ってくる理性のかけらもない魔物はしょうがないが、キラービーのように話が分かる者もおる。やたらと殺すだけが戦士ではないぞ』
「わかった。さて、旅を続けようか」
さらに途中、軍隊蟻の魔物、レッドアントの群れと遭遇したけれど、シゲさんの言う通り今まで倒した魔物の亡骸を取引に差し出し、半信半疑で俺も切り出したが
≪巣作りの時に見つけた人間の金と道具があったら欲しい≫
そういうと女王蟻が出てきて
≪ソノエモノト ツリアウシナカドウカハ ワカラヌガ…≫
と、差し出してきたのは大量の金貨と武器だった。どういうことだと思っているとシゲさんが
『この森は人間同士の戦争の古戦場だったのじゃ。こういうのも地中に眠っておろう』
俺が一方的に得した感じだが女王蟻は大量の魔物の亡骸を得られて上機嫌。俺の出した獲物を巨大蟻たちが巣へ運び出している。令和日本で見たら卒倒しそうな場面だな。
≪ヨイ トリヒキダッタ。レイヲイウ≫
と、帰っていった。まさか蜂と蟻と取引する時が来ようとは…。
『金貨は金貨でも白金貨か。すごいのう、日本円で三億円以上あるぞ』
「マジすか…」
『先の魔物の亡骸をいきなりギルドに持ち込めば面倒なことも起きただろう。レッドアントが破格の値段で買ってくれて幸いじゃ。それと多量の武器。収納魔法には復元機能もついておる。いくつか使える剣や槍にもなるだろう』
「そうだな。名刀名槍とまで言わなくても、投擲で使えるだけでもありがたいよ」
レッドアント以降は特に魔物も出てこず、やっと人の手が入った道に出られた。
「ようやくか…」
森を抜けてみると、道、そして湖があった。
「なんて美しい湖なんだろう」
『ニナ湖という。日本の琵琶湖より大きいぞ』
「そうなのか…。しばらく見ていていいかな」
『歩きながらにせい。日が暮れるぞ』
「それもそっか。あ、そうだ。一度ステイタスを確認しておくよ」
ライトノベルのように、目の前にマルチウィンドゥが出るわけではないが、脳裏に数字化したものが浮かんでくる。
名前 トシ(篠永俊樹)
年齢 十五歳(五十四歳)
Lv 60/100
職業 ハイゼル教律師(元消防士)
出身 ブルムフルト王国 キカルス伯爵家領 幽谷(設定)
両親 なし
財産 白金貨340枚(日本円で三億四千万円)
魔力 580/1000
闘気 510/1000
装備 黒衣のインナー/作業服/バンダナ/革鎧/ケブラー手袋/安全靴/安全帯/膝プロテクター/肘プロテクター/カラビナ/ロープ/斧鉞/鉄弓
武器 斧(S)/とび口(S)/ハンマー(S)/スコップ(S)/ロープ(S)/大剣(A)/剣(A)/ナイフ(A)/槍(A)弓(A)/投石(A)/格闘(A)/さらに表示
魔法 水(SS)/治癒(SS)/収納(S)/生活(S)/解毒(S)/解呪(S)/鑑定(S)火(A)/土(A)/風(A)/闇(A)/雷(A)/聖(A)/重力(B)/さらに表示
闘気 治癒(SS)/波動(S)/病耐性(S)
特技 言語理解/AED/ポーション/閨房/料理/裁縫/音楽/絵画/着装/格闘/ロープ取り扱い さらに表示
備考 故魔王ゼインの弟子 故魔王ゼインの飲み友達 素人童貞
消防士の武器と言えば、斧、とび口、ハンマー、スコップ、ロープだからな!
災害現場でしか使ったことがない武器だけど気が付いたら、みんな(S)になっていたよ。
さて、これからどんな大冒険が待っているやら。目指せ、ハーレム!
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