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第一話 定年退職した消防士、死後、馬鹿勇者様に転生です。
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俺は昨日、定年退職をした。高校卒業から現在に至るまで消防士として働き、スーパーレスキューにも選ばれ、国内外の大規模災害にも出場した!輝かしい栄光だ!
妻の香苗とは二十一歳の時に結婚し、今も仲良くしている。子供たちは巣立ち、これからは夫婦水入らずで暮らしていこうと思う!
六十歳の時に再任用を希望したため、正規の定年退職より五年さらに務めたので、今の俺は六十五歳、香苗と互いを見合うと歳を取ったものだと思う。俺はまだ腹筋六つ割りの元気爺さん、名前は高野健司だ。自称イケオジ、よろしく!
退職金等、十分な蓄えはあるものの、やはり俺は働いて世の人に尽くしたい。
俺は現職時に介護の資格を取った。これから知り合いが運営する老人ホームで働くつもりだが、すぐにではなく半年は旅行や趣味を楽しみ、自分にご褒美をあげようと思っている。今まで俺によく尽くしてくれた香苗を旅行に連れて行く。熱海に行った時だ。香苗に久しぶりにどうか、と求めたら応じてくれた。
それからも、たまに香苗と肌を合わせることはした。若い時にはない魅力があるなぁ…。
さすが俺の女房だよ。
そして俺の趣味とは…何を隠そう、ネット小説を書くことだ。最初は読み専門だったけれど、自分でも書きたくなった。
小説投稿サイトに『天狗スパイス』というペンネームで投稿している。しているが…中々人気が出ない。感想はもらえないし、お気に入りの数も伸びない。う~ん、今回の異世界転生ファンタジーは自信があったのにな…。やっぱり主人公を強くしすぎたかな…。
公務員が出版業界から報酬をもらうのは副業扱いになってしまうから、俺の作品が書籍化、コミカライズ化、アニメ化されたらどうしよう、なぁんて現職時は思っていたのだが捕らぬ狸の何とやらもいいところだ。
今度はどんなジャンルに挑戦しようかな、流行の悪役令嬢転生ものもいいかもな。
だけど、私が一番好きなのは『ざまぁ』系だ。
使えないスキルを身に付けた貴族の三男か四男坊がへき地に飛ばされて、そこを楽園にして実家を見返す。
パーティーを追放されたタンクや雑用が、本当は隠れた実力者で追い出した側は、その後に今まで勝てたモンスターにも敵わなくなり、追放した者が実はすごかった。
…まあ、色々とあるが俺が好きなのは後者だな。
最近のお気に入りのネット小説は『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』だな。
主人公が不細工の肥満漢と云うのがいい。肉弾戦と攻撃魔法は皆無だが、治癒魔法を始め、素早さ、攻撃力、魔法威力倍化という補助系の魔法のスキルがずば抜けていた。
しかし、いつしか仲間たちはそれを自分たちが元から持っている能力と驕り、やがて主人公アランを追放してしまうが、彼はその後に巡り合う仲間たちに恵まれて、やがて王国一番の冒険者パーティーのメンバーとなっていく。
それに反してアランを追放した勇者グレンの方はひどい有様だった。アランの補助魔法の恩恵は無くなり、昨日まで勝てたモンスターにまるで歯が立たず、仲間である魔法使いソニアと魔法剣士レイラを置き去りにして逃亡。二人はアランから事情を聴いたギルドが派遣した暗部たちに、あわやというところで救出されるが、勇者グレンは冒険者ギルドの信頼を失い、冒険者の資格と勇者の称号を剥奪されたうえ国外追放。
悪評は故郷にも届いて、両親からも勘当されてしまう。
乞食となり果てたグレンは、ある港町にボロボロの姿で流れ着いた。そこで見たのは邪竜ゲドラを討伐し、英雄となっていた冒険者パーティーの中にいるアランの姿だった。町が用意した豪奢なオープン馬車に乗ってパレード、アランは相変わらず肥満漢だが、その左右には、かつてグレンが置き去りにしたソニアとレイラがいた。彼女たちもまた新たなパーティーで場所と人を得て邪竜討伐に貢献した冒険者になっていた。
アランは民衆の中にいる惨めな姿のグレンに気付いた。そのグレンにアランが小さな革袋を放った。金が入っていた。アランは落ちぶれたグレンを見て嘲笑う。『ざまぁ』達成の瞬間だった。
グレンは人生に絶望してしまい、そのままそれが死因となって命を失う。
何ともアランがグレンに下した『ざまぁ』が痛快だったので大好きな作品だった。
俺もこんな『ざまぁ』が書きたい!翌週から香苗と北海道旅行だからな、プロットくらいは作っておきたいな。
そんな時だった。部屋のパソコンで小説のプロットを書いているとトイレから香苗が嘔吐していると思われる声が聴こえた。あれ?外出していたのに帰ってきたのか。
とにかくトイレに駆けた。
「おいっ、香苗、大丈夫か」
「お父さん…。今日分かったことなんだけど」
「うん、どうした?」
「私、妊娠しちゃったの」
「え?」
「この歳で妊娠しちゃった」
「なにいいいいい!?」
俺たち夫婦もびっくりだけど、独立して、それぞれ家庭を持っている三人の子供たちにも知らせると、最初はまったく信じてもらえず、本当だと分かるや、びっくり仰天、退職後の旅行がきっかけで時々肌を合わせることにしたことを告げて、かくかくしかじか、子供たちに説明した。
最初はびっくりしていた子供たちだけど、やがて大喜びしてくれた。うんうん、いくら独立したとはいえ、自分の両親が再び子を成すくらい仲がいいのは嬉しいことだよな!
香苗の妊娠に伴い趣味の小説を書くことも、いつしか忘れてしまった。
現職時は香苗に寂しい思いをさせていたし、この機会に思い切り甘えさせたいと思った。
「お父さんの料理は本当に美味しいわね」
「ああ、消防署の食事は自炊だからな。包丁を持ったこともない新人が三年も経てばイッパシのシェフ気取りだ。定年までやっていた俺なら、もう三ツ星シェフだぞ。わははは!」
香苗が俺の肉じゃがを美味しそうに食べてくれるのは本当に癒される。
高齢出産、かなり危険なことだと分かっているが香苗は生む決意を固めていた。
そして出産の日、俺はもちろん、長男家族、長女家族、次女家族も病院に集合。俺は分娩室に入り、香苗の出産に立ち合い手を繋いだ。やがて
「おぎゃあ、おぎゃあ」
と元気に生まれてくれた、俺の次男!やった!名前は健太郎にした。長男は慎太郎だし。太郎が好きなんだよ。
生まれたら生まれたで戦争だ。そもそも俺たち夫婦は、健太郎が成人式の時は八十五だ。
俺は無理だろうと思う。六十五で既往症無し、マッチョのイケオジを自負しているが、八十五は無理だろうな…。
でも同じく既往症無しの香苗なら、あるいはと思う。香苗には長生きをしてもらわなくちゃならない。もっと女房に尽くさないとな。
そして瞬く間に二十年、親子ほど歳の離れた兄たちと共に健太郎は成人式へと。
健太郎は立派に育ってくれた。
儂は一階の居間、香苗の膝枕で転寝をし、そしてそのまま世を去った。
香苗と、儂らの昼食を作るため家にいてくれた長男の嫁道子さんの声が聴こえた。儂の名前を呼んでいる。五感のなかで最後まで残るのが聴覚と聞いていたが本当じゃったのだな…。
悔いはない…。いい人生じゃった。香苗の『お疲れ様でした。ありがとう、あなた』と言う声、それが儂…高野健司が聴いた最期の言葉だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ワー、ワー
…聴覚って、こんなに長く維持されるのか…。儂はもう心停止して、どのくらい経っている?十五分は過ぎているじゃろう。香苗か嫁の道子さんが心肺蘇生法でもしてくれているのか?いやいや、それは生前しなくていいと伝えていたから無いのう。
でも聴こえてくるものが何かおかしい。香苗の呼吸と外で近所の子供たちが遊んでいる声、それを心地よく聴きながら死んだはずなのに…。何じゃかの、歓声みたいな…。
歓声?
目が開いた。嘘じゃろ、蘇生したのか?
「うえっ、ペッ、ペッ!」
口の中に砂利が入っていた。うつ伏せで倒れていたようじゃ。半身起こして砂利を吐き出す動作をすると自分の四肢が動くことが分かった。
「なっ、なんじゃ?香苗、道子さん!」
女房と長男の嫁も答えてくれない。立ち上がろうとしたが、あまりの体の軽さにバランスが保てずに壁に手をついて支えた。それから辺りを見回したのじゃが…。
「なんで…こんなに目がええんじゃ?うっ、くさっ」
どうやら儂がいるのは見たこともない、どこかの路地裏。そして異臭を放つ自分の体。
「どうなっとるんじゃ…。儂はホームレスに?」
両手を見てみると、皺も無く若い。ようやく立ち上がることが出来た。左右の建物をよく見てみると
「建物が…日本のものじゃない…」
次の瞬間、儂は強烈な頭痛に襲われた。よろけて壁に手をついていないと立位を保てない。
「ぐ…何でじゃ…。儂は普通に召されたい。儂は…高野健司は生前他人様に後ろ指差されるようなことは断じて何一つしとらんぞ!なんで……」
頭痛の理由が分かった。頭の中には儂以外の人物の記憶があった。そして儂の記憶と融合して行っている。それに伴い発した頭痛じゃ。時間にして五分ほどで終わった。
「…………」
信じられないことが自分に起きていることが分かった。
自分の名前がグレン、元勇者、戦闘中に仲間を置き去りにして冒険者の資格と勇者の称号を剥奪された。故郷の家族にも勘当されてしまった。乞食となり果て、彷徨っているうちにこの町に辿り着いたら、何やらお祭り騒ぎ。
パレードが行われていたので見に行くと豪奢な馬車のうえには、かつてパーティーから追放したアランがいて、かつ小金が入った革袋を放られ施しを受けたこと。ダイジェストみたいだが、このグレンという若者が辿ってきた人生が理解できた。
「…おい、まさか…」
両手で髪、顔、体を触る。鏡が無いのがじれったい。
「これって…儂もよく書いてきた異世界転生なのか?」
死んだら驚いた、とどこかのキャッチコピーで聞いたことがあるが、これがそれ?
しかも、グレンという若者の事績は覚えがある。
儂が定年退職したころに、愛読していたネット小説
『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』
の登場人物だった馬鹿勇者…。いま、そのグレンと儂…高野健司の記憶が融合された。
無論、その小説がネット内でいつまでも塩漬けされているわけもないので、儂はその小説をオフラインでも読めるようパソコンに保存しておいた。
死ぬ数日前に久しぶりに第一話から最終回まで読んだから、このグレンという若者が、その小説の登場人物であることは間違いなさそうじゃが…俄かには信じられん…。本当に異世界転生なんてあったのか…。
じゃが、実際に儂はこの知らぬ土地で別の人物となって両の足で立っている。現実なのか…本当に。
待てよ、確かあの小説は他の異世界転生ファンタジー小説と同じくあれがあったのう…。
そう、あれ…。『ステータスオープン』
儂は自作の異世界転生ファンタジー小説に、この『ステータスオープン』の設定は絶対に使わなかった。空中にマルチウィンドゥが出て自分の能力を数値で見る?使える特技や魔法が表示?そんな都合がいいのファンタジーでもあるわけないわい。絶対に作中に出すかと『ステータスオープン』を使ったら負けのような気がしていたのじゃ。何に負けるのかは知らんがのう。
でも、今はなりふり構っていられないのう。使ってくれよう!
「ステータスオープン!」
ブォン
「出よった!本当に出よったわ!」
【名前】 グレン
【年齢】 18歳
【Lv】 28/100
【職業】 なし(元勇者)
【装備】 素手 布の服 木の靴
【武器】 剣(中) 槍(中)
【魔法】 電撃(中) 治癒(中) 生活(中) 収納(小)
【武力】 81/1000
【魔力】 240/1000
【特技】 察知 地図
【備考】 享年18歳 死因 絶望死
なんじゃい、結構やるんじゃないか、この元勇者…。何で乞食になんかなったんじゃ。
だけど、このグレン…。実際に死んだみたいじゃ。その亡骸に儂が転生、いや憑依か?どちらでもええが、死因は絶望死とステータスの備考欄に記されていた。
アランの施しがとどめになったのかは知らんが…絶望による死か…。こんなのあるんじゃのう…。瓦礫に埋もれた要救助者が恐怖と密閉のストレスから死ぬことも有ると聞くが…何もかも失い、かつての仲間から強烈な『ざまぁ』を受けて絶望…生きる気力を失い、病気でもないのに死んでいった、か…。哀れよの…。
治癒と収納の魔法なんか持っていれば食いっぱぐれもせんじゃろうに。ん、二頁目があるのう。
《高野健司転生後》
【名前】 グレン
【年齢】 18歳(実年齢85歳)
【Lv】 40/100
【職業】 なし(元消防士 なんちゃって小説家)
【装備】 素手 布の服 木の靴
【武器】 剣(下) 斧(上) トビ口(上) ハンマー(上)
【魔法】 電撃(中) 水(大) 治癒(大) 生活(中) 収納(中)
【武力】 130/1000
【魔力】 240/1000
【特技】 察知 地図 料理 裁縫 さらに表示
【備考】 享年85歳 死因 老衰
…何で、ご丁寧に『高野健司転生後』なんて表示されているんじゃ…。
魔法は水が加わり、治癒は大になっている。儂の医療知識が反映されたのか?救急救命士の資格もあるし、救急隊の経験もあるからのう…。
なんちゃって小説家って…嫌味かい。不人気の異世界転生ファンタジー小説を書き続けた儂への。
武器は剣が(下)に下がって、槍は無くなっておる。ド素人なんだから当然、しかし斧とトビ口、ハンマーって…確かに消防士が現場で使う武器と言えばこれだが(上)って…儂は破壊消火や障害物や瓦礫の除去でしか使ったことないぞ…。まあ、さすがにエンジンカッターとチェーンソーは無いか。
追加された特技はこの世界でどう役立つか分からないが…料理と裁縫が追加されておる。
料理は分かる。消防署は自炊、任官以来、ずっと自分たちの食事を作り続けてきたのだから。
しかし裁縫って…。これはあれか?娘たちがコスプレにハマったころ衣装作りを手伝わされた影響か?さらに言えば孫娘たちもナントカの刃のコスプレにハマり祖父母の儂たちまで駆り出されて作らされたな…。それなのか?だとしたら娘と孫娘たちに感謝じゃな。
あの作品『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』を読んでいて、確かにアランがグレンに行う『ざまぁ』は痛快で面白かったが…まさか当事者になるとは思わなかったのう…。
儂は路地裏から、ついさっきパレードがあった表通りに歩いた。
目の前の光景に息を飲む。ファンタジー映画のど真ん中に来たようじゃわい。
道行く人は儂の近くを通る時に鼻をつまんだ。ああ、臭いものな…。
もう一度路地裏に戻った。水の魔法が使えるのなら、もしかして…
「水の魔法よ、儂の体を洗ってくれ!」
しゅわ、しゅわ、しゅわ~
体全体が適温のお湯に包まれた。ジャクジーのように泡が出て、それが儂の体を洗ってくれている。何ともファンタジー!
「おおっ、まるで草津の湯に入泉したかのようじゃ!」
体と衣服は綺麗に洗われた。拭く必要も無し。もう臭いどころか、いい香りがするくらいじゃ。あとは
「アラン、ありがたく使わせてもらうとしよう…。ええと、グレンの記憶が残っていて助かるの。ほう、十万ゴルダーも入っているわ。太っ腹じゃのう。外見と同じく」
作者がものぐさなのか、ゴルダーと円は同じに設定されているので十万円だ。これならまともな服も買える。
武器と防具までは無理じゃろうし、何より今のグレンは冒険者ギルドに登録できないはずじゃ。かなりマイナスからのスタートじゃが、儂はもう八十五年生きた。野垂れ死にしようが、かまわんわい。
と、ついでに言葉を若い時に戻ったように直すとしようか。儂じゃなく俺だ!
妻の香苗とは二十一歳の時に結婚し、今も仲良くしている。子供たちは巣立ち、これからは夫婦水入らずで暮らしていこうと思う!
六十歳の時に再任用を希望したため、正規の定年退職より五年さらに務めたので、今の俺は六十五歳、香苗と互いを見合うと歳を取ったものだと思う。俺はまだ腹筋六つ割りの元気爺さん、名前は高野健司だ。自称イケオジ、よろしく!
退職金等、十分な蓄えはあるものの、やはり俺は働いて世の人に尽くしたい。
俺は現職時に介護の資格を取った。これから知り合いが運営する老人ホームで働くつもりだが、すぐにではなく半年は旅行や趣味を楽しみ、自分にご褒美をあげようと思っている。今まで俺によく尽くしてくれた香苗を旅行に連れて行く。熱海に行った時だ。香苗に久しぶりにどうか、と求めたら応じてくれた。
それからも、たまに香苗と肌を合わせることはした。若い時にはない魅力があるなぁ…。
さすが俺の女房だよ。
そして俺の趣味とは…何を隠そう、ネット小説を書くことだ。最初は読み専門だったけれど、自分でも書きたくなった。
小説投稿サイトに『天狗スパイス』というペンネームで投稿している。しているが…中々人気が出ない。感想はもらえないし、お気に入りの数も伸びない。う~ん、今回の異世界転生ファンタジーは自信があったのにな…。やっぱり主人公を強くしすぎたかな…。
公務員が出版業界から報酬をもらうのは副業扱いになってしまうから、俺の作品が書籍化、コミカライズ化、アニメ化されたらどうしよう、なぁんて現職時は思っていたのだが捕らぬ狸の何とやらもいいところだ。
今度はどんなジャンルに挑戦しようかな、流行の悪役令嬢転生ものもいいかもな。
だけど、私が一番好きなのは『ざまぁ』系だ。
使えないスキルを身に付けた貴族の三男か四男坊がへき地に飛ばされて、そこを楽園にして実家を見返す。
パーティーを追放されたタンクや雑用が、本当は隠れた実力者で追い出した側は、その後に今まで勝てたモンスターにも敵わなくなり、追放した者が実はすごかった。
…まあ、色々とあるが俺が好きなのは後者だな。
最近のお気に入りのネット小説は『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』だな。
主人公が不細工の肥満漢と云うのがいい。肉弾戦と攻撃魔法は皆無だが、治癒魔法を始め、素早さ、攻撃力、魔法威力倍化という補助系の魔法のスキルがずば抜けていた。
しかし、いつしか仲間たちはそれを自分たちが元から持っている能力と驕り、やがて主人公アランを追放してしまうが、彼はその後に巡り合う仲間たちに恵まれて、やがて王国一番の冒険者パーティーのメンバーとなっていく。
それに反してアランを追放した勇者グレンの方はひどい有様だった。アランの補助魔法の恩恵は無くなり、昨日まで勝てたモンスターにまるで歯が立たず、仲間である魔法使いソニアと魔法剣士レイラを置き去りにして逃亡。二人はアランから事情を聴いたギルドが派遣した暗部たちに、あわやというところで救出されるが、勇者グレンは冒険者ギルドの信頼を失い、冒険者の資格と勇者の称号を剥奪されたうえ国外追放。
悪評は故郷にも届いて、両親からも勘当されてしまう。
乞食となり果てたグレンは、ある港町にボロボロの姿で流れ着いた。そこで見たのは邪竜ゲドラを討伐し、英雄となっていた冒険者パーティーの中にいるアランの姿だった。町が用意した豪奢なオープン馬車に乗ってパレード、アランは相変わらず肥満漢だが、その左右には、かつてグレンが置き去りにしたソニアとレイラがいた。彼女たちもまた新たなパーティーで場所と人を得て邪竜討伐に貢献した冒険者になっていた。
アランは民衆の中にいる惨めな姿のグレンに気付いた。そのグレンにアランが小さな革袋を放った。金が入っていた。アランは落ちぶれたグレンを見て嘲笑う。『ざまぁ』達成の瞬間だった。
グレンは人生に絶望してしまい、そのままそれが死因となって命を失う。
何ともアランがグレンに下した『ざまぁ』が痛快だったので大好きな作品だった。
俺もこんな『ざまぁ』が書きたい!翌週から香苗と北海道旅行だからな、プロットくらいは作っておきたいな。
そんな時だった。部屋のパソコンで小説のプロットを書いているとトイレから香苗が嘔吐していると思われる声が聴こえた。あれ?外出していたのに帰ってきたのか。
とにかくトイレに駆けた。
「おいっ、香苗、大丈夫か」
「お父さん…。今日分かったことなんだけど」
「うん、どうした?」
「私、妊娠しちゃったの」
「え?」
「この歳で妊娠しちゃった」
「なにいいいいい!?」
俺たち夫婦もびっくりだけど、独立して、それぞれ家庭を持っている三人の子供たちにも知らせると、最初はまったく信じてもらえず、本当だと分かるや、びっくり仰天、退職後の旅行がきっかけで時々肌を合わせることにしたことを告げて、かくかくしかじか、子供たちに説明した。
最初はびっくりしていた子供たちだけど、やがて大喜びしてくれた。うんうん、いくら独立したとはいえ、自分の両親が再び子を成すくらい仲がいいのは嬉しいことだよな!
香苗の妊娠に伴い趣味の小説を書くことも、いつしか忘れてしまった。
現職時は香苗に寂しい思いをさせていたし、この機会に思い切り甘えさせたいと思った。
「お父さんの料理は本当に美味しいわね」
「ああ、消防署の食事は自炊だからな。包丁を持ったこともない新人が三年も経てばイッパシのシェフ気取りだ。定年までやっていた俺なら、もう三ツ星シェフだぞ。わははは!」
香苗が俺の肉じゃがを美味しそうに食べてくれるのは本当に癒される。
高齢出産、かなり危険なことだと分かっているが香苗は生む決意を固めていた。
そして出産の日、俺はもちろん、長男家族、長女家族、次女家族も病院に集合。俺は分娩室に入り、香苗の出産に立ち合い手を繋いだ。やがて
「おぎゃあ、おぎゃあ」
と元気に生まれてくれた、俺の次男!やった!名前は健太郎にした。長男は慎太郎だし。太郎が好きなんだよ。
生まれたら生まれたで戦争だ。そもそも俺たち夫婦は、健太郎が成人式の時は八十五だ。
俺は無理だろうと思う。六十五で既往症無し、マッチョのイケオジを自負しているが、八十五は無理だろうな…。
でも同じく既往症無しの香苗なら、あるいはと思う。香苗には長生きをしてもらわなくちゃならない。もっと女房に尽くさないとな。
そして瞬く間に二十年、親子ほど歳の離れた兄たちと共に健太郎は成人式へと。
健太郎は立派に育ってくれた。
儂は一階の居間、香苗の膝枕で転寝をし、そしてそのまま世を去った。
香苗と、儂らの昼食を作るため家にいてくれた長男の嫁道子さんの声が聴こえた。儂の名前を呼んでいる。五感のなかで最後まで残るのが聴覚と聞いていたが本当じゃったのだな…。
悔いはない…。いい人生じゃった。香苗の『お疲れ様でした。ありがとう、あなた』と言う声、それが儂…高野健司が聴いた最期の言葉だった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ワー、ワー
…聴覚って、こんなに長く維持されるのか…。儂はもう心停止して、どのくらい経っている?十五分は過ぎているじゃろう。香苗か嫁の道子さんが心肺蘇生法でもしてくれているのか?いやいや、それは生前しなくていいと伝えていたから無いのう。
でも聴こえてくるものが何かおかしい。香苗の呼吸と外で近所の子供たちが遊んでいる声、それを心地よく聴きながら死んだはずなのに…。何じゃかの、歓声みたいな…。
歓声?
目が開いた。嘘じゃろ、蘇生したのか?
「うえっ、ペッ、ペッ!」
口の中に砂利が入っていた。うつ伏せで倒れていたようじゃ。半身起こして砂利を吐き出す動作をすると自分の四肢が動くことが分かった。
「なっ、なんじゃ?香苗、道子さん!」
女房と長男の嫁も答えてくれない。立ち上がろうとしたが、あまりの体の軽さにバランスが保てずに壁に手をついて支えた。それから辺りを見回したのじゃが…。
「なんで…こんなに目がええんじゃ?うっ、くさっ」
どうやら儂がいるのは見たこともない、どこかの路地裏。そして異臭を放つ自分の体。
「どうなっとるんじゃ…。儂はホームレスに?」
両手を見てみると、皺も無く若い。ようやく立ち上がることが出来た。左右の建物をよく見てみると
「建物が…日本のものじゃない…」
次の瞬間、儂は強烈な頭痛に襲われた。よろけて壁に手をついていないと立位を保てない。
「ぐ…何でじゃ…。儂は普通に召されたい。儂は…高野健司は生前他人様に後ろ指差されるようなことは断じて何一つしとらんぞ!なんで……」
頭痛の理由が分かった。頭の中には儂以外の人物の記憶があった。そして儂の記憶と融合して行っている。それに伴い発した頭痛じゃ。時間にして五分ほどで終わった。
「…………」
信じられないことが自分に起きていることが分かった。
自分の名前がグレン、元勇者、戦闘中に仲間を置き去りにして冒険者の資格と勇者の称号を剥奪された。故郷の家族にも勘当されてしまった。乞食となり果て、彷徨っているうちにこの町に辿り着いたら、何やらお祭り騒ぎ。
パレードが行われていたので見に行くと豪奢な馬車のうえには、かつてパーティーから追放したアランがいて、かつ小金が入った革袋を放られ施しを受けたこと。ダイジェストみたいだが、このグレンという若者が辿ってきた人生が理解できた。
「…おい、まさか…」
両手で髪、顔、体を触る。鏡が無いのがじれったい。
「これって…儂もよく書いてきた異世界転生なのか?」
死んだら驚いた、とどこかのキャッチコピーで聞いたことがあるが、これがそれ?
しかも、グレンという若者の事績は覚えがある。
儂が定年退職したころに、愛読していたネット小説
『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』
の登場人物だった馬鹿勇者…。いま、そのグレンと儂…高野健司の記憶が融合された。
無論、その小説がネット内でいつまでも塩漬けされているわけもないので、儂はその小説をオフラインでも読めるようパソコンに保存しておいた。
死ぬ数日前に久しぶりに第一話から最終回まで読んだから、このグレンという若者が、その小説の登場人物であることは間違いなさそうじゃが…俄かには信じられん…。本当に異世界転生なんてあったのか…。
じゃが、実際に儂はこの知らぬ土地で別の人物となって両の足で立っている。現実なのか…本当に。
待てよ、確かあの小説は他の異世界転生ファンタジー小説と同じくあれがあったのう…。
そう、あれ…。『ステータスオープン』
儂は自作の異世界転生ファンタジー小説に、この『ステータスオープン』の設定は絶対に使わなかった。空中にマルチウィンドゥが出て自分の能力を数値で見る?使える特技や魔法が表示?そんな都合がいいのファンタジーでもあるわけないわい。絶対に作中に出すかと『ステータスオープン』を使ったら負けのような気がしていたのじゃ。何に負けるのかは知らんがのう。
でも、今はなりふり構っていられないのう。使ってくれよう!
「ステータスオープン!」
ブォン
「出よった!本当に出よったわ!」
【名前】 グレン
【年齢】 18歳
【Lv】 28/100
【職業】 なし(元勇者)
【装備】 素手 布の服 木の靴
【武器】 剣(中) 槍(中)
【魔法】 電撃(中) 治癒(中) 生活(中) 収納(小)
【武力】 81/1000
【魔力】 240/1000
【特技】 察知 地図
【備考】 享年18歳 死因 絶望死
なんじゃい、結構やるんじゃないか、この元勇者…。何で乞食になんかなったんじゃ。
だけど、このグレン…。実際に死んだみたいじゃ。その亡骸に儂が転生、いや憑依か?どちらでもええが、死因は絶望死とステータスの備考欄に記されていた。
アランの施しがとどめになったのかは知らんが…絶望による死か…。こんなのあるんじゃのう…。瓦礫に埋もれた要救助者が恐怖と密閉のストレスから死ぬことも有ると聞くが…何もかも失い、かつての仲間から強烈な『ざまぁ』を受けて絶望…生きる気力を失い、病気でもないのに死んでいった、か…。哀れよの…。
治癒と収納の魔法なんか持っていれば食いっぱぐれもせんじゃろうに。ん、二頁目があるのう。
《高野健司転生後》
【名前】 グレン
【年齢】 18歳(実年齢85歳)
【Lv】 40/100
【職業】 なし(元消防士 なんちゃって小説家)
【装備】 素手 布の服 木の靴
【武器】 剣(下) 斧(上) トビ口(上) ハンマー(上)
【魔法】 電撃(中) 水(大) 治癒(大) 生活(中) 収納(中)
【武力】 130/1000
【魔力】 240/1000
【特技】 察知 地図 料理 裁縫 さらに表示
【備考】 享年85歳 死因 老衰
…何で、ご丁寧に『高野健司転生後』なんて表示されているんじゃ…。
魔法は水が加わり、治癒は大になっている。儂の医療知識が反映されたのか?救急救命士の資格もあるし、救急隊の経験もあるからのう…。
なんちゃって小説家って…嫌味かい。不人気の異世界転生ファンタジー小説を書き続けた儂への。
武器は剣が(下)に下がって、槍は無くなっておる。ド素人なんだから当然、しかし斧とトビ口、ハンマーって…確かに消防士が現場で使う武器と言えばこれだが(上)って…儂は破壊消火や障害物や瓦礫の除去でしか使ったことないぞ…。まあ、さすがにエンジンカッターとチェーンソーは無いか。
追加された特技はこの世界でどう役立つか分からないが…料理と裁縫が追加されておる。
料理は分かる。消防署は自炊、任官以来、ずっと自分たちの食事を作り続けてきたのだから。
しかし裁縫って…。これはあれか?娘たちがコスプレにハマったころ衣装作りを手伝わされた影響か?さらに言えば孫娘たちもナントカの刃のコスプレにハマり祖父母の儂たちまで駆り出されて作らされたな…。それなのか?だとしたら娘と孫娘たちに感謝じゃな。
あの作品『不細工で太っている補助魔法士の華麗な成り上がり』を読んでいて、確かにアランがグレンに行う『ざまぁ』は痛快で面白かったが…まさか当事者になるとは思わなかったのう…。
儂は路地裏から、ついさっきパレードがあった表通りに歩いた。
目の前の光景に息を飲む。ファンタジー映画のど真ん中に来たようじゃわい。
道行く人は儂の近くを通る時に鼻をつまんだ。ああ、臭いものな…。
もう一度路地裏に戻った。水の魔法が使えるのなら、もしかして…
「水の魔法よ、儂の体を洗ってくれ!」
しゅわ、しゅわ、しゅわ~
体全体が適温のお湯に包まれた。ジャクジーのように泡が出て、それが儂の体を洗ってくれている。何ともファンタジー!
「おおっ、まるで草津の湯に入泉したかのようじゃ!」
体と衣服は綺麗に洗われた。拭く必要も無し。もう臭いどころか、いい香りがするくらいじゃ。あとは
「アラン、ありがたく使わせてもらうとしよう…。ええと、グレンの記憶が残っていて助かるの。ほう、十万ゴルダーも入っているわ。太っ腹じゃのう。外見と同じく」
作者がものぐさなのか、ゴルダーと円は同じに設定されているので十万円だ。これならまともな服も買える。
武器と防具までは無理じゃろうし、何より今のグレンは冒険者ギルドに登録できないはずじゃ。かなりマイナスからのスタートじゃが、儂はもう八十五年生きた。野垂れ死にしようが、かまわんわい。
と、ついでに言葉を若い時に戻ったように直すとしようか。儂じゃなく俺だ!
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