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第二話 元勇者の船出
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俺は近くの衣服店により、五万ゴルダーを使って靴や下着を含め一般的な町民風体の身なりを整えることが出来た。理容室があったので髪はスポーツ刈にした。前世がそうだったし、あんな漫画みたいな髪型なんて鬱陶しいだけだ。安い手斧を買って革製の鞘を刃の部分に被せて、柄をベルトに通した。剣を買っても俺には使えないし。残り財産三万ゴルダー。
この金が尽きる前に仕事を探さないとな…。
俺はグレンの特技である『地図』を使ってみた。頭にグー〇ルマップみたいなのが浮かんできた。
「すげえ…。グレン、こんな特技ありながら、どうして人生やり直せなかったんだ。まあ…前世で自損事案は何度も行っているが…見えなくなるんだな、というより決めつけてしまうんだよな、自分はもうダメだと勝手に…」
確か、物語の舞台はバレンシア王国だったな。グレンが勇者の称号を得たのは故郷の教会で、その故郷も同王国内だ。その勇者の称号を剥奪されたのは王都の冒険者ギルドだった。
ふむ、ここは王都より東に離れた海洋都市シートピアか。すごいな、神様視点で地形と場所を把握できる。
王都から離れた地方都市とはいえ、アランがパレードなんてやっているのだから、この町の冒険者ギルドに属するのは無理だろう。負のイメージしか定着していない俺は、このバレンシア王国を出て行った方がいい。どのみち国外追放の身、いつ元の依り代のツケを支払わされるか分かったものじゃない。
幸い、この町は海に面している。港に向かってみよう。荷下ろしなどの仕事にありつけるかもしれない。
港に着いた。ほえ~。すごい活気だ。船乗り、漁師、卸売り人、荷下ろし、人がたくさんだ。
人々が話しているのは、やはりアラン属するパーティー『鋼鉄の絆』の噂だ。
パレードが終わってまだ間もないから興奮も覚めないのか。
それにしても腹が減ったな…。すると、港の一角に海産物の炭焼き小屋みたいのを見つけた。看板を見ると『自分の獲物を調理してご自由に食べて下さい』とある。いいねぇ、こういうの!
でも、今から釣ったりするのは手間だな。すると魚籠を持った海女さんが歩いてきた。
すかさず
「すみません。二千ゴルダーで何か獲物を分けてくれませんか?」
「いいよ~。アンタ、シートピアの人じゃないね」
「はい、パレードを見に来たもので…」
「海女に直接獲物を売ってくれと云うのは市場を通さないことになるんで、ちょっとルール違反になるんだけんども、今日は町の外から多くの人が来ると分かっていたし、ええよ、分けてあげる」
地球で言う鯖、鰹、そしてハマグリのような貝を売ってもらった。
綺麗な海女さんだったな。日焼けしたオッパイの谷間とか…。ああ八十五歳の俺が十八の男に戻ったんだ。そりゃ女も欲しくなるな…。香苗のような女はおらんだろうか。
少し熱くなった股間を鎮めつつ、俺は炭焼き小屋に。昼食時から少し外れていたので人は少なかった。俺は店内の台所に立ち、魚を調理し始めた。やはり鯖、鰹、ハマグリだった。やはり海があれば海の生き物も地球と同じように進化していくのだろうか。取れる時期が地球と同じなのかは分からないが、ともあれ新鮮な魚を食べられるのは嬉しい。
しかし、さすがに生ではやめておいた方がいいだろう。鰹はタタキで食べたかったが仕方ない。久しぶりに魚を捌くな…。若いころ、当時の署長が釣り好きだったから、しょっちゅう魚を持って来て、俺たち若手に捌き方と調理の仕方を教えてくれたな…。
いま食べきれない分は収納(中)に入れた。時間が経過しないらしいから便利だ。
こんなすごい能力を持ちながらグレンは…いや、もうよそう。絶望がそのまま死因となった若い者に今さらかける言葉はない。
いま食べる分を炭焼き小屋のテーブルに持っていき、鯖と鰹の切り身、ハマグリを塩焼き、夜には酒場にもなりそうなので賑やかな店内となるのだろうが昼下がりの今は、みんな黙々と食べている。いいね、やかましい中での食事は好きじゃない。
しかし…醤油が欲しいぜ…。
「ねえ」
「ん?」
隣に陣取る若い娘に声をかけられた。まあ、グレンよりは歳は行っているだろうが。
「アンタの魚、焼き加減と塩加減絶妙そう、一切れくれない?」
なんだ、こいつ昼から飲んでいるのか。
「じゃ、そっちのまだ口付けていない切り身と交換してくれ」
「ああ、いいよ」
手づかみで寄越しやがった。いやいや怒るな、こちらでは、これが当然かもしれないだろう。
俺は串に刺している調理済みの切り身を渡した。
女は大口開けて、はむっと食べた。骨は抜いてある。優しいな俺は…。
「うんま~。サーバってこんなに美味しいのね~」
鯖はサーバかよ…。覚えやすいけど。
しかし、さっき醤油が欲しいって言ったけれど、ここの塩はすごく美味いな。さすが海の町だ。魚も美味いし、この世界の川魚も早く食べてみたいぜ。
隣の女がジーと俺を見ている。自分の魚も俺が味付けして焼いた方が美味いと思ったのだろう。
「ああもう、じゃ全部寄越せよ。俺が焼くから」
「ホント!アリガトーッ!」
酒臭いな…。若い娘が昼間から飲んで…いやいやいや、これもこの世界では当然なのかもしれないだろう。
店には席台を払うだけ、うん、この町にいるうちは贔屓にさせてもらおうかな。
「ありがとうね。美味しかった」
「ああ、一人分作るのも二人分作るのも同じだからな」
「あ、私は市場で働くエレナよ、よろしく」
「ああ、俺は旅の者で(グレンはダメだな)ケンジだ。よろしく」
「ケンジね、また、あの店で会ったらお願いしちゃおうかな」
「ああ、いいよ」
店の前で俺とエレナは別れた。
そして積み荷運びの仕事は思いのほか、あっさり見つかった。
さすがは元勇者の体だ。精神が健常となれば、それなりに地力もある。重い積み荷も苦にはならなかった。
「おう、最近の若いのにしちゃ根性あるじゃねえか。明日、違う船の積み荷の下ろしが入ってんだ。来るか?」
「はい、やらせていただきます」
「礼儀もなっているねぇ…」
そりゃ、礼儀に厳しい仕事に就いていたから。
それにしても六十五歳で定年退職して以降、忘れていたな、この額に汗して働く喜びを。
俺は港近くの安宿を定宿とし週六日働いた。
エレナとは時々、炭焼き小屋で会い、共に食事をしている。そして、ついに十分な旅の資金を稼ぎ、そして食後に切り出した。
「西の大陸に行こうと思う。落ち着き先は、大陸に渡ってから決める」
「そっか…」
「ありがとうな、今まで俺が調理した魚、美味い美味いと食べてくれて。嬉しかったよ」
「もう食べられないんだね…」
「調理の仕方、教えたろう」
「ねえ…。ケンジ」
「ん?」
「私ね、嘘ついていた。市場で働いているなんて嘘、実は娼婦なんだ」
「そうなのか」
「私のお母さんね、手足の先が腐っていく病気で…毎日治癒魔法をかけてもらっていて、それにお金がかかるからね…。薄情な娘よね、母親がそんな状態なのに、ここで昼間からお酒飲んでさ」
「飲まなきゃやっていられないってのは男にも女にもあるさ。それとお母さんの病気、ちょっと詳しく聴かせてくれ」
エレナから改めて病状を聴く俺。
「突発性脱疽…」
「え?」
日本で言えば中村久子さんが有名だ。幼少期に手足をその病で失いながらも、立派に子供を育てて、かのヘレン・ケラーに『私より不幸な人、私より偉大な人』と賞賛された人物…。
まだ壊死して四肢が落ちていないなら治癒魔法に取り外傷扱いとなる。治癒魔法(大)を持つ俺ならば、もしかして…。
「エレナ、君の家に案内してくれ」
「えっ、どういうこと?」
「何でもっと早く言わない。俺は治癒魔法を使える。今まで来てもらっていた治癒魔法使いは大中小どれだ?」
「小、それ以上の術者は高くて…」
「分かった。俺は一応それ以上のものを使えるから早く」
俺はエレナの家へと走った。家に入るなり強烈な異臭、人体腐臭の臭いだ。
「ううっ、痛い、痛い…。うううっ」
「お母さんの声だ。今日は特にひどいみたい」
お母さんの部屋に入った俺、手早く自己紹介をする。
「ご息女の友人ケンジです」
俺の言葉など耳に入らない。かなり痛そうだな…。四肢を確認、もう完全に腐っている。離断して落ちるのは時間の問題だ。
かつて治癒魔法(中)だった勇者グレンだが、救急救命士でもある俺が亡きグレンに転生したことで(大)になった。今まで使う機会はなかったがグレンの記憶が魔法の使い方を教えてくれる。
『ハイヒール』
「んっ…!?」
「うそ…」
エレナの母親ティナさんの四肢が俺の魔法に包まれていく。真っ黒く壊死していた四肢が美しい肌となっていく。
「ああっ、ああああ!神様!」
痛みと醜さから解放されたティナさんは俺に手を合わせてくれた。
「良かったですね…。あと一日でも遅れていたら、おそらく左手首は自然に離断してしまったでしょう。そうなってしまったら手に負えなかった…。間に合ってよかった」
手を合わせるティナさんの手を俺は握った。そして
「では、俺は明日の船旅の支度があるので」
特に金を請求することもなく出て行った。相場も知らないし、何よりこっちは汗一つかいていない。その程度の事案に求めるものは何もない。
そもそも俺たち消防士は医療行為をやって患者やその家族から報酬をもらうという仕組みを知らない。消防士が現場で人を助けて、その場で金を要求するか?しないでしょ、だから分かんないのよ実際の話。俺たち消防士は人命救助をやって当然なのだから。
でもまあ
「いいことをしたなぁ、という気持ちはあるわ」
海から飛んできたカモメを俺は微笑みつつ見つめた。
その夜、定宿の窓から海を眺めていた俺、いよいよこの国ともお別れだな…。
すると来客が訪れた。エレナだった。
「ひどいのね、お礼も言わせてもらえないなんて」
「気を利かせたつもりだったんだけどな…。母娘で本当に嬉しそうに抱き合っていたから」
「ねえ、どうしても西の大陸に行くの?私をお嫁さんにして、このシートピアで一緒に暮らすって出来ないの」
正直びっくりした。この世界の女性は地球より性欲が強く、積極的だと言う設定はあった。
しかし実際に目の当たりにすると驚く。ここまでストレートに言ってくるなんて。
「どうしてくれんのよ、お母さんに『あんないい男を逃したらアンタ大馬鹿だよ』と言われるし」
「…君は勇者グレンを知っているか」
「…え?」
「仲間である女性二人を狂暴なモンスターとの戦いに置き去りにした男だよ」
「…もちろん、バレンシアで知らない人はいないんじゃないかな」
「俺なんだよ、それ」
「えっ!?」
「どうしようもない過ちを犯してしまった…。せめて仲間二人が助かって本当に良かったと思うが…俺はもう冒険者の資格と勇者の称号も剥奪され、王都にもいられず実家からは勘当…。そして、ここシートピアもバレンシア国内、いずれ俺がここにいると王都に知られるだろう。国外追放の身だから憲兵に見つかれば投獄される」
期日以内に国外に出て行かなければ罰則が上乗せされる。最悪死刑も有りうる。
実を言うと、とっくに期日は過ぎていた。路銀が無ければ出て行きようが無かったからだ。髪型をスポーツ刈にして髭を少し伸ばし始めたのが幸いしたか、発見されず今に至る。
「…………」
「俺は自分の意思で国外に出るんじゃない。国外追放だから出て行くしかないんだよ。そんな俺と伴侶になれば君と、お母さんとて罪人だ。だから…」
「だから?」
「お母さんの病を治したのは旅の治癒師と言い張るんだぞ。絶対に勇者グレンに治してもらったと言ってはいけない」
「あっ、当たり前でしょ!モンスターとの戦いで女の子二人置き去りにする外道なんかに!今までよくも騙してくれたわね!最低よ!」
急ぎ部屋を出てドアを乱暴に閉じたエレナ。八十五年生きたのだ。人の気持ちの機微も何となく分かる。
「ありがとう…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
<エレナ視点>
私はエレナ、十九歳の娼婦だ。
お母さんがヒドい病気になっちゃって治癒魔法を定期的にかけてもらうため娼婦になったの。港近くの店だから気の荒い海の男が多くて、とても疲れる仕事だった。精神的な鬱憤も溜まって、行きつけの炭焼き小屋で昼間からお酒を飲むことだけが楽しみ。
そんな時、炭焼き小屋で出会ったのがケンジだった。金色の短髪、とっても美男子。しかも面構えも良かった。
そして彼の魚を焼く手際の良さ、炭の配置、火加減、食べ時の見極め、海育ちの私でも、こいつただもんじゃねえと思って声をかけてみた。思った通り、彼が焼いたお魚馬鹿ウマ!
私と彼の逢瀬はその店だけだった。毎日朝から晩まで積み荷運びとして働いている。
何と言うか、その時の姿がたまらないんだよね。でも、いずれ他所の国に行くつもりなんだろうなと思っていた。旅の者と言っていたし、旅のためのお金を貯めているんだと。私が娼婦として誘っても旅のお金を貯めている彼は来てはくれないだろう。だから彼が旅立つ日の前夜、一人の女として抱かれに行こう、そう思っていた。やはり、いい男には抱かれたいし。彼が旅の中に出会った女、私はそのうちの一人になりたいと。
そして、ついに翌日発つことを告げられ、私は今まで彼に秘密にしていたことを話した。実は娼婦なんだと。彼は顔色を変えなかった。嬉しい。
娼婦をしている理由を話すと彼は『トッパツセイなんちゃら』とつぶやき、家に連れて行けと言った。その時の顔が忘れられない。何かのスイッチが入ったの?女なら一目でイチコロと言い切れる顔だった。私は意味があまり分からなかったけれど彼が治癒魔法を体得していて、それをお母さんに使ってくれるんだと言うのは分かった。
でも、そんなお金は払えない…。あ、いやいやどの道私は今夜、ケンジに抱かれるつもりだったのだから問題ない。私の体で支払わせてもらえば。
そこから私が見た光景は奇跡そのものだった。真っ黒だったお母さんの四肢は瑞々しく美しい肌となり、ずっと寝たきりで出来ていた床ずれさえ、綺麗さっぱり無くなっていた。
私がお母さんと喜びを共にして抱き合い、ようやく我に返ったら、ケンジはその場から消えていた。お礼も言わせてもらえないって、ひどくないかケンジ。恩着せて『やらせろ』と言うような三流男じゃないと分かっている。
だからこそ落とすのにも苦労する。面倒くさいな男って。
私は身を清め、元気になったお母さんに『絶対に子種せしめろ!』と何やら戦にでも出るように送り出された。
娼婦を辞めるため店に行き辞意を伝えたあと彼のいる宿に向かった。
彼は秘密を私に明かした。自分は、あの勇者グレンなんだと。それを聞いて頭が真っ白になった。
仲間の女二人を戦闘中に置き去りにして逃げたクズ、王国内で知らない者はいない。
でも私にはそんなこと正直どうでもよかった。お母さんを助けようとしてくれた時の顔、そして治してくれた時の姿に私は完全にあいつに惚れてしまったんだ。
だけど、勇者グレンと交わった女と知られれば私はともかくお母さんも何をされるか分からない。
だから私はあえてケンジを罵って部屋を出た。その方が彼も楽だと思った。私のこともすぐに忘れてくれる。涙が止まらなかった…。
家に戻った。お母さんにすべて話した。お母さんは
「人は誰しも過ちを冒すものよ。彼は勇者なんて言われていたから、その反動が大きかっただけ。誤った人間が、どうして見返りも求めず貧しい女を病から助けてくれるの?現在、彼は国外追放を機に人生をやり直そうとしている。しかし、それについていくのは迷惑でしかないのかもしれない。せめて笑って見送ってあげましょう」
腹は決まった。私は一夜の花にはなれなかったけれど、積み荷運びと言うキツい仕事の毎日で昼食を共にして、少しは彼の癒しになれただろうか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、俺は西の大陸に向かう船の上にいた。甲板に立ち、依り代であるグレンの故郷バレンシア王国の町並みを眺めていた。もう、ここに来ることもない。
この世界には写真が無いから、海を渡ってしまえば勇者グレンの悪評もないだろうし、その顔も知られていない。完全にゼロから人生を仕切り直せる。令和日本じゃ人生のリセットは中々出来ないからな…。今から自分にどんなことが待ち受けているかワクワクするよ。
「ケンジー!」
「ケンジさーん!」
船から桟橋を見ると、エレナとお母さんであるティナさんがいた。手を振っている。俺も手を振り返す。
「ありがとう!今はこうして港にも歩いてこられるほどになりました!」
「元気でねーッ!ケンジーッ!」
「ありがとう!エレナ!ティナさん!」
出航の鐘が響く。船が出た。俺がグレンの体に転生して四十日後のことだった。
エレナとティナさんは、ずっと手を振ってくれている。俺は最後に思い切り
「いってきまーす!」
と叫んだ。かすかだが
“いってらっしゃい”と聴こえた気がした。
この金が尽きる前に仕事を探さないとな…。
俺はグレンの特技である『地図』を使ってみた。頭にグー〇ルマップみたいなのが浮かんできた。
「すげえ…。グレン、こんな特技ありながら、どうして人生やり直せなかったんだ。まあ…前世で自損事案は何度も行っているが…見えなくなるんだな、というより決めつけてしまうんだよな、自分はもうダメだと勝手に…」
確か、物語の舞台はバレンシア王国だったな。グレンが勇者の称号を得たのは故郷の教会で、その故郷も同王国内だ。その勇者の称号を剥奪されたのは王都の冒険者ギルドだった。
ふむ、ここは王都より東に離れた海洋都市シートピアか。すごいな、神様視点で地形と場所を把握できる。
王都から離れた地方都市とはいえ、アランがパレードなんてやっているのだから、この町の冒険者ギルドに属するのは無理だろう。負のイメージしか定着していない俺は、このバレンシア王国を出て行った方がいい。どのみち国外追放の身、いつ元の依り代のツケを支払わされるか分かったものじゃない。
幸い、この町は海に面している。港に向かってみよう。荷下ろしなどの仕事にありつけるかもしれない。
港に着いた。ほえ~。すごい活気だ。船乗り、漁師、卸売り人、荷下ろし、人がたくさんだ。
人々が話しているのは、やはりアラン属するパーティー『鋼鉄の絆』の噂だ。
パレードが終わってまだ間もないから興奮も覚めないのか。
それにしても腹が減ったな…。すると、港の一角に海産物の炭焼き小屋みたいのを見つけた。看板を見ると『自分の獲物を調理してご自由に食べて下さい』とある。いいねぇ、こういうの!
でも、今から釣ったりするのは手間だな。すると魚籠を持った海女さんが歩いてきた。
すかさず
「すみません。二千ゴルダーで何か獲物を分けてくれませんか?」
「いいよ~。アンタ、シートピアの人じゃないね」
「はい、パレードを見に来たもので…」
「海女に直接獲物を売ってくれと云うのは市場を通さないことになるんで、ちょっとルール違反になるんだけんども、今日は町の外から多くの人が来ると分かっていたし、ええよ、分けてあげる」
地球で言う鯖、鰹、そしてハマグリのような貝を売ってもらった。
綺麗な海女さんだったな。日焼けしたオッパイの谷間とか…。ああ八十五歳の俺が十八の男に戻ったんだ。そりゃ女も欲しくなるな…。香苗のような女はおらんだろうか。
少し熱くなった股間を鎮めつつ、俺は炭焼き小屋に。昼食時から少し外れていたので人は少なかった。俺は店内の台所に立ち、魚を調理し始めた。やはり鯖、鰹、ハマグリだった。やはり海があれば海の生き物も地球と同じように進化していくのだろうか。取れる時期が地球と同じなのかは分からないが、ともあれ新鮮な魚を食べられるのは嬉しい。
しかし、さすがに生ではやめておいた方がいいだろう。鰹はタタキで食べたかったが仕方ない。久しぶりに魚を捌くな…。若いころ、当時の署長が釣り好きだったから、しょっちゅう魚を持って来て、俺たち若手に捌き方と調理の仕方を教えてくれたな…。
いま食べきれない分は収納(中)に入れた。時間が経過しないらしいから便利だ。
こんなすごい能力を持ちながらグレンは…いや、もうよそう。絶望がそのまま死因となった若い者に今さらかける言葉はない。
いま食べる分を炭焼き小屋のテーブルに持っていき、鯖と鰹の切り身、ハマグリを塩焼き、夜には酒場にもなりそうなので賑やかな店内となるのだろうが昼下がりの今は、みんな黙々と食べている。いいね、やかましい中での食事は好きじゃない。
しかし…醤油が欲しいぜ…。
「ねえ」
「ん?」
隣に陣取る若い娘に声をかけられた。まあ、グレンよりは歳は行っているだろうが。
「アンタの魚、焼き加減と塩加減絶妙そう、一切れくれない?」
なんだ、こいつ昼から飲んでいるのか。
「じゃ、そっちのまだ口付けていない切り身と交換してくれ」
「ああ、いいよ」
手づかみで寄越しやがった。いやいや怒るな、こちらでは、これが当然かもしれないだろう。
俺は串に刺している調理済みの切り身を渡した。
女は大口開けて、はむっと食べた。骨は抜いてある。優しいな俺は…。
「うんま~。サーバってこんなに美味しいのね~」
鯖はサーバかよ…。覚えやすいけど。
しかし、さっき醤油が欲しいって言ったけれど、ここの塩はすごく美味いな。さすが海の町だ。魚も美味いし、この世界の川魚も早く食べてみたいぜ。
隣の女がジーと俺を見ている。自分の魚も俺が味付けして焼いた方が美味いと思ったのだろう。
「ああもう、じゃ全部寄越せよ。俺が焼くから」
「ホント!アリガトーッ!」
酒臭いな…。若い娘が昼間から飲んで…いやいやいや、これもこの世界では当然なのかもしれないだろう。
店には席台を払うだけ、うん、この町にいるうちは贔屓にさせてもらおうかな。
「ありがとうね。美味しかった」
「ああ、一人分作るのも二人分作るのも同じだからな」
「あ、私は市場で働くエレナよ、よろしく」
「ああ、俺は旅の者で(グレンはダメだな)ケンジだ。よろしく」
「ケンジね、また、あの店で会ったらお願いしちゃおうかな」
「ああ、いいよ」
店の前で俺とエレナは別れた。
そして積み荷運びの仕事は思いのほか、あっさり見つかった。
さすがは元勇者の体だ。精神が健常となれば、それなりに地力もある。重い積み荷も苦にはならなかった。
「おう、最近の若いのにしちゃ根性あるじゃねえか。明日、違う船の積み荷の下ろしが入ってんだ。来るか?」
「はい、やらせていただきます」
「礼儀もなっているねぇ…」
そりゃ、礼儀に厳しい仕事に就いていたから。
それにしても六十五歳で定年退職して以降、忘れていたな、この額に汗して働く喜びを。
俺は港近くの安宿を定宿とし週六日働いた。
エレナとは時々、炭焼き小屋で会い、共に食事をしている。そして、ついに十分な旅の資金を稼ぎ、そして食後に切り出した。
「西の大陸に行こうと思う。落ち着き先は、大陸に渡ってから決める」
「そっか…」
「ありがとうな、今まで俺が調理した魚、美味い美味いと食べてくれて。嬉しかったよ」
「もう食べられないんだね…」
「調理の仕方、教えたろう」
「ねえ…。ケンジ」
「ん?」
「私ね、嘘ついていた。市場で働いているなんて嘘、実は娼婦なんだ」
「そうなのか」
「私のお母さんね、手足の先が腐っていく病気で…毎日治癒魔法をかけてもらっていて、それにお金がかかるからね…。薄情な娘よね、母親がそんな状態なのに、ここで昼間からお酒飲んでさ」
「飲まなきゃやっていられないってのは男にも女にもあるさ。それとお母さんの病気、ちょっと詳しく聴かせてくれ」
エレナから改めて病状を聴く俺。
「突発性脱疽…」
「え?」
日本で言えば中村久子さんが有名だ。幼少期に手足をその病で失いながらも、立派に子供を育てて、かのヘレン・ケラーに『私より不幸な人、私より偉大な人』と賞賛された人物…。
まだ壊死して四肢が落ちていないなら治癒魔法に取り外傷扱いとなる。治癒魔法(大)を持つ俺ならば、もしかして…。
「エレナ、君の家に案内してくれ」
「えっ、どういうこと?」
「何でもっと早く言わない。俺は治癒魔法を使える。今まで来てもらっていた治癒魔法使いは大中小どれだ?」
「小、それ以上の術者は高くて…」
「分かった。俺は一応それ以上のものを使えるから早く」
俺はエレナの家へと走った。家に入るなり強烈な異臭、人体腐臭の臭いだ。
「ううっ、痛い、痛い…。うううっ」
「お母さんの声だ。今日は特にひどいみたい」
お母さんの部屋に入った俺、手早く自己紹介をする。
「ご息女の友人ケンジです」
俺の言葉など耳に入らない。かなり痛そうだな…。四肢を確認、もう完全に腐っている。離断して落ちるのは時間の問題だ。
かつて治癒魔法(中)だった勇者グレンだが、救急救命士でもある俺が亡きグレンに転生したことで(大)になった。今まで使う機会はなかったがグレンの記憶が魔法の使い方を教えてくれる。
『ハイヒール』
「んっ…!?」
「うそ…」
エレナの母親ティナさんの四肢が俺の魔法に包まれていく。真っ黒く壊死していた四肢が美しい肌となっていく。
「ああっ、ああああ!神様!」
痛みと醜さから解放されたティナさんは俺に手を合わせてくれた。
「良かったですね…。あと一日でも遅れていたら、おそらく左手首は自然に離断してしまったでしょう。そうなってしまったら手に負えなかった…。間に合ってよかった」
手を合わせるティナさんの手を俺は握った。そして
「では、俺は明日の船旅の支度があるので」
特に金を請求することもなく出て行った。相場も知らないし、何よりこっちは汗一つかいていない。その程度の事案に求めるものは何もない。
そもそも俺たち消防士は医療行為をやって患者やその家族から報酬をもらうという仕組みを知らない。消防士が現場で人を助けて、その場で金を要求するか?しないでしょ、だから分かんないのよ実際の話。俺たち消防士は人命救助をやって当然なのだから。
でもまあ
「いいことをしたなぁ、という気持ちはあるわ」
海から飛んできたカモメを俺は微笑みつつ見つめた。
その夜、定宿の窓から海を眺めていた俺、いよいよこの国ともお別れだな…。
すると来客が訪れた。エレナだった。
「ひどいのね、お礼も言わせてもらえないなんて」
「気を利かせたつもりだったんだけどな…。母娘で本当に嬉しそうに抱き合っていたから」
「ねえ、どうしても西の大陸に行くの?私をお嫁さんにして、このシートピアで一緒に暮らすって出来ないの」
正直びっくりした。この世界の女性は地球より性欲が強く、積極的だと言う設定はあった。
しかし実際に目の当たりにすると驚く。ここまでストレートに言ってくるなんて。
「どうしてくれんのよ、お母さんに『あんないい男を逃したらアンタ大馬鹿だよ』と言われるし」
「…君は勇者グレンを知っているか」
「…え?」
「仲間である女性二人を狂暴なモンスターとの戦いに置き去りにした男だよ」
「…もちろん、バレンシアで知らない人はいないんじゃないかな」
「俺なんだよ、それ」
「えっ!?」
「どうしようもない過ちを犯してしまった…。せめて仲間二人が助かって本当に良かったと思うが…俺はもう冒険者の資格と勇者の称号も剥奪され、王都にもいられず実家からは勘当…。そして、ここシートピアもバレンシア国内、いずれ俺がここにいると王都に知られるだろう。国外追放の身だから憲兵に見つかれば投獄される」
期日以内に国外に出て行かなければ罰則が上乗せされる。最悪死刑も有りうる。
実を言うと、とっくに期日は過ぎていた。路銀が無ければ出て行きようが無かったからだ。髪型をスポーツ刈にして髭を少し伸ばし始めたのが幸いしたか、発見されず今に至る。
「…………」
「俺は自分の意思で国外に出るんじゃない。国外追放だから出て行くしかないんだよ。そんな俺と伴侶になれば君と、お母さんとて罪人だ。だから…」
「だから?」
「お母さんの病を治したのは旅の治癒師と言い張るんだぞ。絶対に勇者グレンに治してもらったと言ってはいけない」
「あっ、当たり前でしょ!モンスターとの戦いで女の子二人置き去りにする外道なんかに!今までよくも騙してくれたわね!最低よ!」
急ぎ部屋を出てドアを乱暴に閉じたエレナ。八十五年生きたのだ。人の気持ちの機微も何となく分かる。
「ありがとう…」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
<エレナ視点>
私はエレナ、十九歳の娼婦だ。
お母さんがヒドい病気になっちゃって治癒魔法を定期的にかけてもらうため娼婦になったの。港近くの店だから気の荒い海の男が多くて、とても疲れる仕事だった。精神的な鬱憤も溜まって、行きつけの炭焼き小屋で昼間からお酒を飲むことだけが楽しみ。
そんな時、炭焼き小屋で出会ったのがケンジだった。金色の短髪、とっても美男子。しかも面構えも良かった。
そして彼の魚を焼く手際の良さ、炭の配置、火加減、食べ時の見極め、海育ちの私でも、こいつただもんじゃねえと思って声をかけてみた。思った通り、彼が焼いたお魚馬鹿ウマ!
私と彼の逢瀬はその店だけだった。毎日朝から晩まで積み荷運びとして働いている。
何と言うか、その時の姿がたまらないんだよね。でも、いずれ他所の国に行くつもりなんだろうなと思っていた。旅の者と言っていたし、旅のためのお金を貯めているんだと。私が娼婦として誘っても旅のお金を貯めている彼は来てはくれないだろう。だから彼が旅立つ日の前夜、一人の女として抱かれに行こう、そう思っていた。やはり、いい男には抱かれたいし。彼が旅の中に出会った女、私はそのうちの一人になりたいと。
そして、ついに翌日発つことを告げられ、私は今まで彼に秘密にしていたことを話した。実は娼婦なんだと。彼は顔色を変えなかった。嬉しい。
娼婦をしている理由を話すと彼は『トッパツセイなんちゃら』とつぶやき、家に連れて行けと言った。その時の顔が忘れられない。何かのスイッチが入ったの?女なら一目でイチコロと言い切れる顔だった。私は意味があまり分からなかったけれど彼が治癒魔法を体得していて、それをお母さんに使ってくれるんだと言うのは分かった。
でも、そんなお金は払えない…。あ、いやいやどの道私は今夜、ケンジに抱かれるつもりだったのだから問題ない。私の体で支払わせてもらえば。
そこから私が見た光景は奇跡そのものだった。真っ黒だったお母さんの四肢は瑞々しく美しい肌となり、ずっと寝たきりで出来ていた床ずれさえ、綺麗さっぱり無くなっていた。
私がお母さんと喜びを共にして抱き合い、ようやく我に返ったら、ケンジはその場から消えていた。お礼も言わせてもらえないって、ひどくないかケンジ。恩着せて『やらせろ』と言うような三流男じゃないと分かっている。
だからこそ落とすのにも苦労する。面倒くさいな男って。
私は身を清め、元気になったお母さんに『絶対に子種せしめろ!』と何やら戦にでも出るように送り出された。
娼婦を辞めるため店に行き辞意を伝えたあと彼のいる宿に向かった。
彼は秘密を私に明かした。自分は、あの勇者グレンなんだと。それを聞いて頭が真っ白になった。
仲間の女二人を戦闘中に置き去りにして逃げたクズ、王国内で知らない者はいない。
でも私にはそんなこと正直どうでもよかった。お母さんを助けようとしてくれた時の顔、そして治してくれた時の姿に私は完全にあいつに惚れてしまったんだ。
だけど、勇者グレンと交わった女と知られれば私はともかくお母さんも何をされるか分からない。
だから私はあえてケンジを罵って部屋を出た。その方が彼も楽だと思った。私のこともすぐに忘れてくれる。涙が止まらなかった…。
家に戻った。お母さんにすべて話した。お母さんは
「人は誰しも過ちを冒すものよ。彼は勇者なんて言われていたから、その反動が大きかっただけ。誤った人間が、どうして見返りも求めず貧しい女を病から助けてくれるの?現在、彼は国外追放を機に人生をやり直そうとしている。しかし、それについていくのは迷惑でしかないのかもしれない。せめて笑って見送ってあげましょう」
腹は決まった。私は一夜の花にはなれなかったけれど、積み荷運びと言うキツい仕事の毎日で昼食を共にして、少しは彼の癒しになれただろうか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝、俺は西の大陸に向かう船の上にいた。甲板に立ち、依り代であるグレンの故郷バレンシア王国の町並みを眺めていた。もう、ここに来ることもない。
この世界には写真が無いから、海を渡ってしまえば勇者グレンの悪評もないだろうし、その顔も知られていない。完全にゼロから人生を仕切り直せる。令和日本じゃ人生のリセットは中々出来ないからな…。今から自分にどんなことが待ち受けているかワクワクするよ。
「ケンジー!」
「ケンジさーん!」
船から桟橋を見ると、エレナとお母さんであるティナさんがいた。手を振っている。俺も手を振り返す。
「ありがとう!今はこうして港にも歩いてこられるほどになりました!」
「元気でねーッ!ケンジーッ!」
「ありがとう!エレナ!ティナさん!」
出航の鐘が響く。船が出た。俺がグレンの体に転生して四十日後のことだった。
エレナとティナさんは、ずっと手を振ってくれている。俺は最後に思い切り
「いってきまーす!」
と叫んだ。かすかだが
“いってらっしゃい”と聴こえた気がした。
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