まさか俺が異世界転生ものの主人公になるなんて!

越路遼介

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第12話 新たな拠点フィオナ

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「しかし、マーメイドの唾液と膣分泌液に、そんな効力があったとは…」
 ここは魔王城。シュウからレンヤに戻り、新たな旅立ちを魔王ラオコーンに告げに来た。
 最初はマーメイドのことについては語らないつもりだったレンヤだが、この魔王、しっかりとレンヤと死神の会話を『遠聴』というスキルで聴いていたらしい。

「念のため言うが、つまらないことを考えるなよ。付け加えるなら、彼女たちが自分を抱く男を心から愛してこそ含まれる成分、魔王様に無理やりされちゃった展開では何人抱いても意味がない」
「考えんよ。マーメイドの女王テティスの強さは知っているだろう。海に引きずり込まれたら最後、余とお前でも敵わん」
「そうか、それを聞いて安心した。お前と戦った時、マーメイド隊の槍襖は脅威だったし、一人一人が凄腕の槍術士だった。不埒者が来ても撃退できるな」

「で…。新たな旅だと?」
「ああ、シレイアの墓参をして発つよ」
 アマゾネスのシレイアはレンヤとの四人目の女の子を生む時に心不全を起こして、そのまま帰らない人となった。強靭な肉体であるアマゾネスであるが、やはり死は平等に訪れるもの。
 その場にいてシレイアの出産の無事を願っていたレンヤ、ほぼ即死であり、いくら彼でも助けることは出来なかった。しかしシレイアは静かに微笑んで死んでいた。
 自分より強い惚れた漢の子を四人も生めて幸せであったのか。

「そういえば、聞いたことがなかったが…ラオコーン、お前に奥さんは?」
「おらぬ。若い時はおぬしと同じく種族限らず女を毎夜毎晩抱いていたが、伴侶と決めた女はおらなんだ。今さらと思うし、容貌こそ若いと思われるだろうが…もう女に対して情欲も湧かぬ」
「長く生きると…そうなるものか?」
「そうなると思う。生を受けて七百年ほどで女には飽きた」
「七百年か…。何となくだが飽きるのも分かる気がするな」

「若いころの余ならば、敵将を連れ帰り自軍の女たちに与えるなんてことはせんよ。余が自ら子種を与えたでだろう」
「だよなぁ…。その点だけは不思議に思っていた」
「我が国も種族間の柵が取れて獣人と亜人なども夫婦も増えて、子は増え続けている。そろそろそっちの役目からも解放しようと思うが…」
「ああ、だいぶ俺の子種を欲する女もいなくなった。寂しいのか、ホッとするやらだが、時々肌を合わせた女たちの墓参をしにくる程度にしておくつもりだ」
「そうか、まあ元気で暮らせ」
「貴公もな、我が好敵手殿」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 魔王軍の女たちに子種を与える。この務めから、ようやく解放されたレンヤ。
 最近まで拠点にしていたグランシア王国があるテインズ大陸、その西にあるノエル大陸最大国家魔王の国ベルグランド。この世界に転生してより、この二つの大陸を駆けてきたレンヤ。違う大陸に行こうと思う。

 前世立川廉也で四十八歳、レンヤとシュウとして七十六歳、実年齢百二十四歳のレンヤ。
 さらに、これから五百年は生きるという。
 何か、残りの人生すべて賭けてもいいと思える目標でもあればと思うが、今のところない。
「シレイア、君が生きていたら一緒に行きたいところだな…」

 アマゾネスの砦にある大きくて美しい墓、それがシレイアの墓だった。
 最初はひどいことをしたと思った。いきなり行軍中のシレイアの前に現れて顔面を蹴って吹っ飛ばし、その後追撃に来た彼女を捕えて犯した。
 しかし、結果シレイアはレンヤの子供を四人生んだ、魔王軍の女の中で一番愛おしい存在となった。

「父上、これから?」
 共に墓参に来ていたシレイアとの間に生まれた長女オリヴィエが訊ねた。はた目にはオリヴィエが母親でレンヤが息子に見えるが逆なのだ。ちなみにオリヴィエもレンヤと交わり子供をもうけている。所変われば、なのだ。
「ああ、飛行魔法を使ってテインズ大陸の東に向かってみるつもりだ。島や、別の大陸に渡り、病人や怪我人でも治しながら気ままな旅を続けようと思う。そのうち伴侶も出来るだろう。その人と畑でも耕して暮らす、こんなところかな」
「素敵ですね」
「俺もそう思う。ははは」
「旅立つ前に…父上…」
「ん?」
「久しぶりに抱いてくれませんか?」
「やれやれ、いつまで経っても甘えん坊だな、オリヴィエは」

 魔王軍の女たちに子種を与え続け、レンヤの子供はどれだけの人数になるのか、本人にも分かっていない。この世界、人間以外の種族は育児に父親が参加しない。母親の仕事であり、父親が子育てに参加することは女の領域に踏み込んだことになり逆に非難される。まさに所変わればだ。生まれた子は母親を筆頭に集落全体で育てるのが決まりだ。
 そして、生まれた女の子が成長したら、父親がひょっこり現れて交わり子種を与える。地球では考えられない仕組みだが、レンヤはもう慣れた。


 愛娘オリヴィエがレンヤの上に乗り夢中で腰を使っている。母親と同じく騎乗位大好き娘オリヴィエ。レンヤが下から尻と乳房を愛でる。閨房スキルのおかげでレンヤに触れられると女はもうたまらないのだ。
「パパ…!イク…!」
 セックスの時は父上ではなく『パパ』と呼ばせているレンヤ。いい趣味をしているではないか。
「うん、俺もオリヴィエの中に出すから…避妊…」
「ううんっ、大好きなパパの子を生むから!五人目の!」

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 テインズ大陸の東に位置するのはオリバー大陸と言い、この大陸にも大小の国々が存在する。現時点のレンヤでは把握しきれてはいないが、この世界は総称セイラという。我々で言う『地球』だ。球体の世界であるのは間違いなさそうだが地球より広い、大きい。
 レンヤに五百年の命があっても全世界を周るのは無理かもしれない。先の魔王軍対人類の戦いとてセイラ全体から見れば切れ端で起きた戦いだ。

 飛行魔法でオリバー大陸まで飛んでいき、大きな湖に面した国を上空から見つけたレンヤは、今日の宿をそこにすることにした。城下町に直接降りられるが、不法入国扱いになるのはイヤなので律義に城門に並ぶ。
 城門に並ぶ冒険者、旅人、商人の姿形からレンヤが七十六年前に転移してきたグランシアと、そう文化レベルが変わらない感じだ。
(城門の建築様式などを見ても、グランシアとそう変わらない。しかし、七十六年といえば終戦から令和までの時間くらいあるだろう…。どうして文化の発展がこんなに遅いんだろう。魔法があるからか?)

 異世界転生ものでありがちな展開、魔法があるから技術の進歩が遅い。
 これも正解だろうが、この世界、海の交易がほとんど出来ないというマイナス面もある。
 人間では太刀打ちできない海棲モンスターがうようよいるのだ。同じ大陸内での交易しか出来ないのでは文化や技術の進歩も地球より大幅に遅れるはずだ。大航海時代がないのだから。

 ようやくレンヤの順番が来た。
「農民のレンヤ、田舎の四男坊です。この城下町で働きたいと思い、やってきました」
「いい体しているな。冒険者向きだ。それじゃ、この水晶に触れてくれ。犯罪歴、今の言葉の真偽を確かめる」
「分かりました」
 水晶の審査、問題なし。田舎の農村の四男坊というのは女神と死神が設定したもの。現在も有効だ。
「フィオナ王国にようこそ!旅人よ!」
「はい、ありがとうございます」

 街並みを一通り見てみると、かつて拠点としたグランシアと文化レベルは変わらない。
 それにしても僥倖は、この城下町も下水道がしっかりしているということ。
 中世欧州の負の文化をある程度は覚悟していたが、グランシアに続き、これは嬉しい誤算とも言える。
「冒険者ギルドもあるが、また振り出しからやるのも面倒だ。薬草や素材はギルドに登録しなくても買い取ってもらえるわけだし、この国で冒険者になるのはやめとこう」

 ちなみに通貨は共通している。ゴルダーと呼ばれているもの。魔王の国だけレンドルと呼ばれる通貨だが、ゴルダーは大陸を離れても共通している。古代遺跡の遺跡群が文明を誇っていたころ、世界の盟主国家となったバレンシア王国が定めたことらしい。
 ちなみにバレンシア王国はすでに滅亡している。疫病が大流行し、かつ当時の為政者が無能のため反乱が起きて王室は滅び、勝利した民衆たちも疫病に抗えずに死んでいき滅んだということ。一時は世界の盟主国家となったのに信じられないほどのあっけなさであったという。

 話は戻るが、レンヤは十分すぎるほどゴルダーを持っている。シュウとして生きていたころ、ある程度の蓄えがあり、それがそのまま使えるからだ。
 商業ギルドに赴いて、風呂付の中古物件を購入、当分そこに住むことにした。
「グランシアの時なら、即座に色町かナンパしにいくところかね…」
 今日はそんな気にならず部屋と浴室を洗浄し、町で本と酒を買い、ゆっくりと過ごした。


 翌朝、湖の町フィオナは活気に溢れていた。露店が立ち並び、美味しそうな料理のにおいが鼻を刺激する。レンヤは色々と情報収集のため城下町を歩いた。
 そして発見、この城下町には他の異世界転生ものの物語ではめったに見られない『芸術ギルド』があったのだ。趣味範囲なら登録する必要は無いが生業にする場合は登録した方が何かと便利らしい。

 芸術ギルドに入った。売店コーナーに行き
「絵具とキャンバスを見せて下さい」
「はい、こちらが当ギルド自慢一品、スケッチブックです」
 芸術ギルド職員スザンヌが案内してくれた。スケッチブック、上質な画用紙が本のようになっている。各色の絵の具、色鉛筆、クレヨン、筆、パレット、様々なものが揃っていた。
「うーん、趣味範囲ならキャンバスではなくスケッチブックで足りるかな…。一通り下さい」
 散歩を題材にしたテレビ番組、その締めくくりに描く程度の絵でいいかと思っていたレンヤ。
「描きあがったものは当ギルドにお持ちください。それなりの絵であれば食堂や家庭の壁に飾るなど色々と需要があるのですよ」
「そんないいものは描けませんよ。素人の道楽ですから」
 とはいうものの、せっかく美しい湖の町を拠点にしたのだ。湖を囲む森、その向こうにそびえる美しい山々。描いてみたくもなる。

 道中の弁当屋でランチを購入して、さっそくスケッチポイントに出かけたレンヤ。
 空気が上手い。働きもせず、朝から趣味にしようと思う絵が描ける。何と幸せか。
 能力『絵画』を持ち、熟練度は100であるが、実のところレンヤはほとんど絵を描いたことは無い。弟子たちに教えた図面の作成要領についてのスキルは『製図』であり、当たり前の話だが絵画の領域ではない。第三の人生、絵画熟練度100の男が絵画に初挑戦と言うわけだ。

 絶景ポイントに着いた。
「へえ、前世で田沢湖、琵琶湖、諏訪湖、中禅寺湖、浜名湖と行ったが…デカくて美しいな、この湖。バイカル湖くらいあるんじゃないか。わはは、エレ〇ング出てこないだろうな」
 キャンバスを立てて描くことはしない。スケッチブックを腕に抱いて、下書きは無し、のっけから絵の具を使って描く。
「うん、いい調子だな。これが能力『絵画』熟練度100か…。描き終えた…。我ながらすごくね?」

 見た瞬間に、まるでベートーベンの田園が聴こえてきそうな絵だった。
 立っていた位置から見る方角を変えて、次々と描いていく。描き終えた絵は紙の端に重しの石を置いて乾かしていた。
「これは楽しいねぇ。生業にしていこうと決めたぞ絵描き!」

「もし」
「ん?」
「この絵、貴方が?」
「ええ、私が描きました」
 一人の身分が高そうな老爺が通りかかり、レンヤの絵に目を奪われていた。
 老爺の供、というより護衛に近いか、その護衛兵の若者もレンヤの絵に見入っていた。小声で
「大公殿下…。この絵、素人目にも尋常とは思えないのですが…」
「かような絵の大家が、城下に眠っていようとは…」
「ふんふんふーん」
 後ろで面倒ごとが生じそうとも知らず、鼻歌交じりで絵を描くレンヤだった。
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