異世界もそんなに悪くない 〜きみと二人きりの異世界生活〜

宮崎世絆

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5 このまま異世界で

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 こうして異世界にやって来てから、あっという間に三年の月日が過ぎていったんだ。


 三年前、異世界に迷い込んだと理解した時は普通にパニクったが、今となっては何かと便利な都会から何かと不便で辺鄙なド田舎に移り住んだ位の気持ちになっている。

 それくらい既にここの暮らしに馴染んでいた。

 三年かけてスピカに森での知識を叩き込んでもらったし、地球での俺は元々アウトドア派で、仕事の休みの日にはよく一人キャンプや登山巡りなどに出掛けてた。

 主にブッシュクラフトでキャンプをするのだが、日常生活では味わえない自給自足ならではの達成感が、俺は堪らなく好きだった。
 趣味でサバイバルの基礎を学んでいたお陰で、魔法が使えなくても火起こし程度なら簡単に出来る。

 何を隠そう俺は、自給自足の田舎暮らしに憧れていたんだ。

 将来会社を早期退職して、どこかの田舎に移住したいなと思っていたら、早々に移住先が異世界となったけど。異世界生活は案外上手くいっていた。

 それに。ひとりっ子だった俺になんと可愛い妹まで出来た。

 スピカはとても働き者で、朝早く起きては畑仕事に精を出し、昼間は罠に掛かった獣を捌き、再び畑仕事に勤しむ。そしてたまに麓まで降りて、捌いた獣肉や畑で採れた野菜を売りに行くんだ。

 俺もそれを手伝うようになると、一人で暮らしていた頃より楽になったとスピカは喜んでくれた。

 毎日炊事洗濯もなんでも卒なくこなすスピカ。

 ……なあスピカ。お前こんな山奥に住んでいなかったら、絶対モテてたと思うぞ。

 ……兄ちゃん、お前がいずれお嫁に行くかもなんて、考えたくもないよ……。

 ……俺はもう、スピカがいない生活には戻れないのかもしれない。


 今の状況は若干スピカのヒモのようで少し気が引けるが、こうやってのんびりとした異世界生活を続けていると、忙しなく働き詰めだった地球での生活より、満ち足りた今の生活の方が断然居心地の良さを感じていた。


「お兄ちゃーん! そろそろお昼にしようー? お昼ご飯、もうすぐ出来るよー?」
「分かったー。今行くー」

 家の玄関から顔を出してスピカが昼食に呼んだので、畑仕事を一旦休止して俺は立ち上がった。

 ずっと中腰で少し痛かったので、身体をほぐす為に俺は大きく伸びをした。
 背中や腰がグーッと伸びて気持ちいい。

「……はあ。……やっぱり俺。地球よりも、こっちの世界の方が性に合ってるのかも、知れないな」

 小鳥の囀りが聞こえる青空を見上げて、俺は無意識にそう呟いていた。
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