レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか

宮崎世絆

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幼少期編

6 突然の訃報からの急展開なんですね

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「ラシュリアータ辺境伯はルシータの兄君が既に後を引き継いで領主となり、既に子供もいる。そこに市井で育った子を受け入れることは出来ない、孤児院に入れさせると言ったらしい。それを聞いたルシータが激怒してだな……」
「……あばりぇちゃた?」
「残念だがその通りだ。辺境伯からその連絡を受けて昨日ルシータを連れ戻しに行ったのだが、中々収拾がつかなくてな」

 レオナルドは疲れた様に溜息をついた。

「今日になってどうにか折り合いが付いたので私が先に帰って来たという訳だ。それで、問題のその子の処遇なのだが……」

 レティシアはごくりと唾を飲み込んだ。

「結論から言うと、我がアームストロング公爵に引き取る事となった」

(ああ嗚呼あああ嗚呼ああああぁぁァァーですよねー!! そう来ると思ってましたわぁー!!)

 と、内心の激しい動揺をおくびにも出さず、コテンと首を傾げた。

「ちゅまり?」
「レティに新しい家族が出来るということだ」

(テンプレ確定!!)

「ルシータが、もうじきその子を連れて帰って来るだろう。……いきなり家族が出来ると聞いて戸惑っているかとは思うが……どうか、受け入れて欲しい」

 口から魂が抜けそうになりながらもながらも、レティシアは頷いた。

「わー、あたらちぃかじょくができるんだーしゅごいなー。さぷらいずなたんじょーびぷれじぇんとみたいだねー。わたちびっくりぃしちゃたー……」
「サプライズプレゼントか。はは、面白い言い回しだな」

 レティシアの頭を優しく撫でた。

「……レティは嫌がるかと思って心配していたのだが、如何やら取り越し苦労だった様だな」

(いいえ! はっきり言って恐怖でしかないです!!)

「さて、色々やらねばならない事が増えてしまったな。セバス、養子縁組等の諸々の書類をまとめておいてくれ。それからシンリー、ルシータ達が到着するまでレティの側に居てやってくれ」
「「はい。承知致しました」」

 セバスと、扉の近くに控えていたシンリーは、深く頭を下げた。

(……もうお風呂入ってさっさと寝たい……)



 ***



 シンリーに連れられてレティシアは自室で待機する事となった。
 白を基調とした落ち着いた部屋だ。しかし、やはり全て一級品の家具で統一されている。

 レティシアは部屋に入ると、小走りに天蓋付きの豪華なベッドへダイブした。
 普段ならシンリーに注意される行為だが、今回は何も言われなかった。

「……レティシア様。……ご無理をされていませんか?」

 クッションに埋めていた顔を上げると、シンリーの心配そうな瞳が見えた。

「だいじょーぶ。ちょっとおどりょいただけ。……まー、なかりょくできりゅかはしんぱいだけどね。しょりぇより、ルシアしゃまだっけ、どんなしとひとだったの?」
「そうですね……。ラシュリアータ辺境伯領で長く侍女を務めさせて頂いていたのですが、ルシア様は小さい頃から病弱なお方で、部屋からお出になられる事は決して多くありませんでした。ですのであまりよくは存じ上げてはおりませんが、誰に対しても分け隔てなく接する、とても優しいお方だったことはよく覚えております」
「やさしーしとひとだったんだ。おかーたまとなかよしだったんだよね?」
「はい、それはもう。……ルシータ様の母君はルシア様をお産みになってすぐにご逝去…お亡くなりになりました。もしかしたらルシア様にとってルシータ様は、姉と言うよりも母親に近かったのではないのかと思います」

(お母様のお母様、つまり私のお祖母様はかなり前に亡くなっていたんだ。知らなかった)

 アトランス公国では公爵が爵位を子供に継承させると、前領主はその家を離れなければならない。別邸に移り住むのだ。
 ちなみにアームストロング公爵も例外ではなく、既にレオナルドが爵位を継承しているのでレティシアの祖父母は別邸に住んでいる。生まれた時はどうだったか覚えてはいないが、物心ついてからはまだ一度も会った事はない。

「わたちも、きょーだいになるコとなかりょくなりたい。……なかりょくなれりゅかな?」
「ええ、勿論なれますとも。お優しかったルシア様のお子ですもの。きっと、仲良くなれますよ」
「……うん」

(あーそう言えば男の子か女の子か聞くの忘れてた。……いるかいないかわからない神様、電波系ヒロインだけはマジで無理です。意思疎通出来る普通の子が良いです。マジでお願いします)

 異世界転生が意図的な出来事であれば、きっと神様も存在しているはず。顔も分からない神様に懸命に祈り続けた。
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