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幼少期編
47 再び限界突破なんです
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デザートに作ったフルーツグラタンは好評だった。特にユリウスは、感動した様に噛み締めて食べていた。
楽しい昼食後、早速自室で鍛錬着に着替えたレティシアは、模擬戦を行う室内鍛錬場へと向かった。
レオナルドとルシータは、忙しい為欠席だ。その代わり、ルドルフは観覧するので、録画出来る魔導具で試合を撮影するようシンリーに指示していた。
鍛錬場の入口近くで軽く柔軟運動をしていると、鍛錬着のユリウスがルドルフを抱っこした状態でデュオとシンリーを引き連れて到着した。
「お待たせ」
「おまたせー」
「二人共、すっかり仲良しさんだね」
「そうだね。ルディと僕は仲良しだね」
「うん! にーにとボク、なかよし!」
楽しそうに笑い合う。麗しい兄弟の尊い姿に、思わず昇天しそうだ。
「じゃあレティ、そろそろ始めようか。ルディは危ないから、観覧席で見ててね」
「はーい」
「……ハッ、はいっ」
ルドルフは地面に下ろされると、シンリーとデュオと共に観覧席へ向かって行った。
「兄様、魔法の使用は禁止にするとして。得物……じゃない、武器は木刀で良い?」
「万が一、木刀がレティに当たったらと思うと怖くて上手く振るえないから。今回は木刀ではなくて、だいぶ前に義母様がここで編み出した『ライトセイバー』で戦うのはどうかな?」
「ラ、ライトセイバー!? って兄様、ライトセイバーを、というか魔力を具現化出来るの!?」
「うん、だいぶ苦労したけどね。ライトセイバーだと、僕より魔力の高いレティは当たっても痛くないだろうし。どうかな?」
「わ、わかった。じゃあライトセイバーで」
ユリウスと共に鍛錬場の中央まで歩くと、間隔を開けて向かい合った。
ユリウスは右手の手の平に魔力を集め、剣を握るように握り拳を胸の前に向ける。レティシアも同じように拳を胸の前に向けた。
ユリウスの拳から魔力が立ち上がり、水色と緑色の美しい斑模様のライトセイバーが姿を現した。
レティシアも剣をイメージして魔力を放出した。
しかしレティシアの魔力は無色透明。
ほぼ目視出来ない、暗殺し放題のライトセイバーが出来上がった。
(だめだこりゃ。ちゃんと見えるように調整しないと)
以前見たルシータのライトセイバーと同じように、光属性を纏わせてみる。すると白く輝くライトセイバーに変化した。
「わー! にーにとねーねのアレ、カッコいいー! ボクもつかいたい!!」
「ルドルフ様、見学中はお静かに」
「う……ごめん」
「コホン、……ルドルフ様が十歳になられたら、奥様かお二人に教えてもらいましょう?」
「うん!」
観覧席でルドルフのはしゃぐ声と、やんわり諫めるシンリーの声が聞こえた。やはりルドルフも男の子。ライトセイバーがいたくお気に召したらしい。
ルドルフにも扱えるように、ライトセイバーに更に細工を施してみる。
色がルドルフの髪の色に似た緑色に変わると、レティシアはおもむろに剣身を掴んだ。
そのままクニュっと折り曲げてみる。そしてパッと手を離すと、ビヨーンと元に戻った。
「うん、これだけ柔軟性を持たせれば怪我の心配も無いし、ルルーの専用おもちゃとしても使えそう!」
「……やっぱり、レティの魔法には感服するよ。僕はそこまでライトセイバーに形態付与出来ないから。人体に触れると消滅するようにだけ、調整しておくよ」
「うん、分かった。こちらも同じ条件にするね」
ライトセイバーを光属性に戻すと、人に触れたら自動消滅するように付与し直した。
「……じゃあ、兄様。勝負だよ!!」
「先手は譲るよ。かかっておいで」
ユリウスはゆっくりとライトセイバーを構える。
公言通り、鍛錬を相当積んでいるようだ。まるで隙がない。
しかも凄く様になっていて、思わず拝みたくなる程カッコいい。
(……いかん。油断すると一瞬で負けそう。私は体力がないから長期戦に持ち込まれると不利だし。ここは気合いを入れて、最初から全力で行くよ!)
レティシアは煩悩を封印すると、身体強化魔法を身に纏って一番得意な型でライトセイバーを構えた。
ゆっくりと腰を落とした瞬間にユリウスに向かって走り出した。
そのまま霞の構えで、高速の横薙ぎに一文字斬りを放つ。
ユリウスが剣身で受けたので、反動をつけてレティシアは右回転し、今度は反対側から勢いを付けて回転斬りを繰り出す。
しかし、それもユリウスは下段から弾き返す様に受け止めた。
その後何度も得意の高速攻撃を繰り出すが難なく受けられて、お返しのカウンター攻撃が来るので避けるのに必死だ。
(ユリウス兄様つえぇっ! やっぱり兄様は凄く……尊い!!)
少し煩悩が漏れてしまったので、一旦ユリウスから距離を開けた。
「レティ、思っていた以上に強くて驚いたよ。凄く頑張ったんだね」
「ありがとう。兄様も凄く強いね。学園で頑張っているんだね。でも、私……負けないよ!」
「僕も、負けるつもりは無いよ。でも、このままだと、長期戦になりそうだし……次の攻撃で終わらせるよ」
ユリウスが下段にライトセイバーを構えたので、レティシアは受け流してカウンターで仕留めようと正面に構えた。
ユリウスは一気に距離を詰め、流れる様な速さで斜めにライトセイバーを振るう。
(よしっ! 予想通り!!)
狙い通りの角度で斬り込んできたチャンスを見逃さないように、力強い攻撃をギリギリまで引き込んで弾いた。
お互いの顔が自然と近付く。
真剣な眼差しのユリウスと一瞬、目が合って。
「レティシア、愛してる」
「にゃ゛?!」
ボンっと顔を赤らめたレティシアは、動揺を隠し切れずカウンターの軌道がズレた。
急にヘッポコになった一撃をユリウスは難なく避けると、ポンっとレティシアの頭にライトセイバーを当てた。
すると、ユリウスのライトセイバーは、光の粒子となって消滅した。
「はい、僕の勝ち」
「~~!! ズルい兄様ーー!!」
レティシアのライトセイバーも消滅させると、勢いよくユリウスに食ってかかった。
「れっきとした戦術だよ? 心理戦も鍛えなきゃね、レティ?」
爽やかな笑顔で返された。
「ぅ゛……」
(た、確かにそうだけど……。今のは……アレは流石に反則じゃない!?)
「ねーねー! にーにー!」
ルドルフが興奮した様に目を輝かせて駆け寄ってきた。
「にーに、ねーね、すごくカッコよかった! ねーねまけちゃったね」
「う、うん。……負けちゃった」
内心、不完全燃焼を禁じ得ない気分だったが。ルドルフの手前だ。素直に負けを認める事にした。
「ちょっーーと不満だけど、負けは負けだし。兄様のお願い事を叶えてあげる! さあ! 何でも言って頂戴!!」
「ありがとう。じゃあ僕の願いを、伝えるね」
そう言うとユリウスは、レティシアの手を掴んで軽く手前に引いた。
引き寄せられたレティシアはそのまま、すっぽりと強く抱きしめられた。
突然の事で驚くレティシアの耳元で、ユリウスは囁いた。
「レティ。来年の年末年始、多分帰れないと思う。だから今、直接伝えておきたいんだ」
一呼吸、間を置いてからユリウスは言葉を紡いだ。
「……レティが学園を卒業するまでに、好きな人が居なければ。……僕を兄ではなく、一人の男として、見てほしい」
「……え……?」
「これが僕の叶えて欲しい事。ね、約束だよ?」
チュッと、左頬から音が聞こえた。
「さて、勝負もついたし。そろそろ学園に戻らないと。世話しないけど、ここで別れようか。じゃあね二人共。行ってきます」
「にーに、いってらしゃーい!」
「ルディ。レティのこと、僕の代わりに守ってあげてくれるかな?」
「うん! まかせて!!」
笑顔で見送るルドルフに対し、レティシアは今何が起こったか理解が追い付かず、硬直したまま何も言えなかった。
固まったまま動けないレティシアを後目に、ユリウスは爽やかな微笑みで手を振ると出口に向かって歩き出した。
デュオを引き連れ立ち去るユリウスの姿を、呆然と見送る事しか出来なかった。
そして姿が見えなくなったと同時に、レティシアは顔が熱くなるのを感じながら、萎んだ風船の様にその場にへたり込んだ。
ユリウスの唇が触れた左頬を、震える左手で包んだ。
「ねーね、どうしたの? だいじょうぶ?」
(ねーね、限界突破ですぅ……)
楽しい昼食後、早速自室で鍛錬着に着替えたレティシアは、模擬戦を行う室内鍛錬場へと向かった。
レオナルドとルシータは、忙しい為欠席だ。その代わり、ルドルフは観覧するので、録画出来る魔導具で試合を撮影するようシンリーに指示していた。
鍛錬場の入口近くで軽く柔軟運動をしていると、鍛錬着のユリウスがルドルフを抱っこした状態でデュオとシンリーを引き連れて到着した。
「お待たせ」
「おまたせー」
「二人共、すっかり仲良しさんだね」
「そうだね。ルディと僕は仲良しだね」
「うん! にーにとボク、なかよし!」
楽しそうに笑い合う。麗しい兄弟の尊い姿に、思わず昇天しそうだ。
「じゃあレティ、そろそろ始めようか。ルディは危ないから、観覧席で見ててね」
「はーい」
「……ハッ、はいっ」
ルドルフは地面に下ろされると、シンリーとデュオと共に観覧席へ向かって行った。
「兄様、魔法の使用は禁止にするとして。得物……じゃない、武器は木刀で良い?」
「万が一、木刀がレティに当たったらと思うと怖くて上手く振るえないから。今回は木刀ではなくて、だいぶ前に義母様がここで編み出した『ライトセイバー』で戦うのはどうかな?」
「ラ、ライトセイバー!? って兄様、ライトセイバーを、というか魔力を具現化出来るの!?」
「うん、だいぶ苦労したけどね。ライトセイバーだと、僕より魔力の高いレティは当たっても痛くないだろうし。どうかな?」
「わ、わかった。じゃあライトセイバーで」
ユリウスと共に鍛錬場の中央まで歩くと、間隔を開けて向かい合った。
ユリウスは右手の手の平に魔力を集め、剣を握るように握り拳を胸の前に向ける。レティシアも同じように拳を胸の前に向けた。
ユリウスの拳から魔力が立ち上がり、水色と緑色の美しい斑模様のライトセイバーが姿を現した。
レティシアも剣をイメージして魔力を放出した。
しかしレティシアの魔力は無色透明。
ほぼ目視出来ない、暗殺し放題のライトセイバーが出来上がった。
(だめだこりゃ。ちゃんと見えるように調整しないと)
以前見たルシータのライトセイバーと同じように、光属性を纏わせてみる。すると白く輝くライトセイバーに変化した。
「わー! にーにとねーねのアレ、カッコいいー! ボクもつかいたい!!」
「ルドルフ様、見学中はお静かに」
「う……ごめん」
「コホン、……ルドルフ様が十歳になられたら、奥様かお二人に教えてもらいましょう?」
「うん!」
観覧席でルドルフのはしゃぐ声と、やんわり諫めるシンリーの声が聞こえた。やはりルドルフも男の子。ライトセイバーがいたくお気に召したらしい。
ルドルフにも扱えるように、ライトセイバーに更に細工を施してみる。
色がルドルフの髪の色に似た緑色に変わると、レティシアはおもむろに剣身を掴んだ。
そのままクニュっと折り曲げてみる。そしてパッと手を離すと、ビヨーンと元に戻った。
「うん、これだけ柔軟性を持たせれば怪我の心配も無いし、ルルーの専用おもちゃとしても使えそう!」
「……やっぱり、レティの魔法には感服するよ。僕はそこまでライトセイバーに形態付与出来ないから。人体に触れると消滅するようにだけ、調整しておくよ」
「うん、分かった。こちらも同じ条件にするね」
ライトセイバーを光属性に戻すと、人に触れたら自動消滅するように付与し直した。
「……じゃあ、兄様。勝負だよ!!」
「先手は譲るよ。かかっておいで」
ユリウスはゆっくりとライトセイバーを構える。
公言通り、鍛錬を相当積んでいるようだ。まるで隙がない。
しかも凄く様になっていて、思わず拝みたくなる程カッコいい。
(……いかん。油断すると一瞬で負けそう。私は体力がないから長期戦に持ち込まれると不利だし。ここは気合いを入れて、最初から全力で行くよ!)
レティシアは煩悩を封印すると、身体強化魔法を身に纏って一番得意な型でライトセイバーを構えた。
ゆっくりと腰を落とした瞬間にユリウスに向かって走り出した。
そのまま霞の構えで、高速の横薙ぎに一文字斬りを放つ。
ユリウスが剣身で受けたので、反動をつけてレティシアは右回転し、今度は反対側から勢いを付けて回転斬りを繰り出す。
しかし、それもユリウスは下段から弾き返す様に受け止めた。
その後何度も得意の高速攻撃を繰り出すが難なく受けられて、お返しのカウンター攻撃が来るので避けるのに必死だ。
(ユリウス兄様つえぇっ! やっぱり兄様は凄く……尊い!!)
少し煩悩が漏れてしまったので、一旦ユリウスから距離を開けた。
「レティ、思っていた以上に強くて驚いたよ。凄く頑張ったんだね」
「ありがとう。兄様も凄く強いね。学園で頑張っているんだね。でも、私……負けないよ!」
「僕も、負けるつもりは無いよ。でも、このままだと、長期戦になりそうだし……次の攻撃で終わらせるよ」
ユリウスが下段にライトセイバーを構えたので、レティシアは受け流してカウンターで仕留めようと正面に構えた。
ユリウスは一気に距離を詰め、流れる様な速さで斜めにライトセイバーを振るう。
(よしっ! 予想通り!!)
狙い通りの角度で斬り込んできたチャンスを見逃さないように、力強い攻撃をギリギリまで引き込んで弾いた。
お互いの顔が自然と近付く。
真剣な眼差しのユリウスと一瞬、目が合って。
「レティシア、愛してる」
「にゃ゛?!」
ボンっと顔を赤らめたレティシアは、動揺を隠し切れずカウンターの軌道がズレた。
急にヘッポコになった一撃をユリウスは難なく避けると、ポンっとレティシアの頭にライトセイバーを当てた。
すると、ユリウスのライトセイバーは、光の粒子となって消滅した。
「はい、僕の勝ち」
「~~!! ズルい兄様ーー!!」
レティシアのライトセイバーも消滅させると、勢いよくユリウスに食ってかかった。
「れっきとした戦術だよ? 心理戦も鍛えなきゃね、レティ?」
爽やかな笑顔で返された。
「ぅ゛……」
(た、確かにそうだけど……。今のは……アレは流石に反則じゃない!?)
「ねーねー! にーにー!」
ルドルフが興奮した様に目を輝かせて駆け寄ってきた。
「にーに、ねーね、すごくカッコよかった! ねーねまけちゃったね」
「う、うん。……負けちゃった」
内心、不完全燃焼を禁じ得ない気分だったが。ルドルフの手前だ。素直に負けを認める事にした。
「ちょっーーと不満だけど、負けは負けだし。兄様のお願い事を叶えてあげる! さあ! 何でも言って頂戴!!」
「ありがとう。じゃあ僕の願いを、伝えるね」
そう言うとユリウスは、レティシアの手を掴んで軽く手前に引いた。
引き寄せられたレティシアはそのまま、すっぽりと強く抱きしめられた。
突然の事で驚くレティシアの耳元で、ユリウスは囁いた。
「レティ。来年の年末年始、多分帰れないと思う。だから今、直接伝えておきたいんだ」
一呼吸、間を置いてからユリウスは言葉を紡いだ。
「……レティが学園を卒業するまでに、好きな人が居なければ。……僕を兄ではなく、一人の男として、見てほしい」
「……え……?」
「これが僕の叶えて欲しい事。ね、約束だよ?」
チュッと、左頬から音が聞こえた。
「さて、勝負もついたし。そろそろ学園に戻らないと。世話しないけど、ここで別れようか。じゃあね二人共。行ってきます」
「にーに、いってらしゃーい!」
「ルディ。レティのこと、僕の代わりに守ってあげてくれるかな?」
「うん! まかせて!!」
笑顔で見送るルドルフに対し、レティシアは今何が起こったか理解が追い付かず、硬直したまま何も言えなかった。
固まったまま動けないレティシアを後目に、ユリウスは爽やかな微笑みで手を振ると出口に向かって歩き出した。
デュオを引き連れ立ち去るユリウスの姿を、呆然と見送る事しか出来なかった。
そして姿が見えなくなったと同時に、レティシアは顔が熱くなるのを感じながら、萎んだ風船の様にその場にへたり込んだ。
ユリウスの唇が触れた左頬を、震える左手で包んだ。
「ねーね、どうしたの? だいじょうぶ?」
(ねーね、限界突破ですぅ……)
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