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第2章
第17話 逃げられない
しおりを挟む頭が痛い。目眩と吐き気で気分が悪い。
薄らと目を開くなり、手前の状況に混乱を覚えた。無理もない。おれの視界が捉えたのは、動く床だったのだから。
それからしばらく経ってようやく──おれは自分が、誰かの肩に乗せられて居るのだと察する。その時だった。
「はあい、ポチくん。世界一かっこいいウィンが来たよ~」
そこに居たのは──王宮反発派の一員として、ノルと行動を共にする男『ウィン』の姿だった。
「なんでここに……」
「実はノルくんに頼まれてたんだ。君が『弟クンと再会』しても『再開できなくても』必ず連れ戻すように、ね」
無意識的に背筋が伸びる。ノルは全て気付いていたんだ……おれがジークと二人だけで逃げようとしていた事に。身体から噴き出す汗が、絶望と共に皮膚を伝う。
「彼に捕まってしまった時点で、君はもう逃げられないだろうね。でも、それはそれでスリルがあって面白いじゃないか。ボクはノルくんの『そういうところ』に惹かれたんだ──まあ、何れ君にも分かると思うよ」
(これじゃあ、一生アイツから……逃げられないじゃないか)
ウィンの言葉が、うまく頭に流れて来なかった。おれはその場で脱力したように下を向くと、ただ静かに──目を瞑った。
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