浮気したあなたたちのことなんて、もう知りません。私は幸せになりますけどね。

月橋りら

文字の大きさ
24 / 65
二章

第24話 婚約パーティー

しおりを挟む

◇◇◇
「今宵はお集まりいただきありがとうございます。この度、私、アレクシス・ドット・アスレリカは、セシリア・ラファエルと婚約することをここに宣言します!」

アレクシス様が言う。
婚約ーー一度は私の人生を壊したその言葉は、また私の人生を再スタートさせたと言っても過言ではない。

そして今日は、コーネリアの王妃陛下、王太子殿下、アメリア、そして父がきている。国王陛下は事情により来れなくなったそうだ。

「おめでとう、セシリア。まさか、皇太子殿下と婚約だなんて」

ふふ、と王妃様が笑う。
この方は、私に優しく、小さい頃から色々なことを教えてくださっていた。

「ありがとうございます。久しぶりに再会できて嬉しゅうございます」
「ふふ。立派ね…帝国も安泰、といったところかしら」
「王妃様!」

それは、帝国が傾いていると捉えられてもおかしくない発言だが、アレクシス様はにこにこと笑っている。
王妃様はたくさんの方に挨拶しないとならないので、すぐに別れた。

「どうやって誑かした?セシリア・ラファエル!」

この声はーー。
やっぱり。ジークフリート王太子と、妹アメリアだ。
そして、無礼なことに、くどくどと情報を漏らし始めた。

「そもそも。お前が悪いんだぞ?国の国庫金が足りないから節約しろだの、不作だからなにかしろだの、うるさかったよ、本当に。全く、可愛げのない!」

言っちゃダメ!という情報ーー国庫金が足りない、不作、という機密事項をどんどん漏らしていく王太子。これには、呆れるばかりだ。その隙を狙って、攻めてくる国があるかもしれないのにーー。

「ジークフリート王太子殿下ではございませんか。ご機嫌麗しゅう…」
「全然麗しくない。ああ、あなたはーーアレクシス皇太子?気をつけてくださいね。この女をなぜ選んだのか知りませんけど」

な、な、な……………………!
失礼にも程がある。大体、挨拶をしない。そして、忠告するという上から目線な態度に、「なぜ選んだのか」なんて、皇太子の選択を批判・侮辱するようなもの!
この失礼な男に裏切られて悲しんでいたなんてーー。

「ジークフリート様ぁ。ダメですわ。お姉様は可哀想な方なのですからぁ、そんなに責めては気の毒ですっ」

よく、未来の皇太子妃に向かって「気の毒」なんて言えるわね……。
帝国がその気になれば、コーネリアなど、一瞬で奪えるのに。

「アメリア。それは、この場で話すことではないわ。国賓の皆様が遠くからわざわざお越しになっているというのに、このような場を見せられたら不快になる方もいらっしゃるのよ」
「っ……!ジークフリート様ぁ…!お姉様こわぁい、そんなに怒らなくても…」

淑女の「しゅ」の字もない。
あの演技の涙を、ここで出しては欲しくなかったわ…。
私は姉なのに、妹の悪い素行ぶりは手に負えないのだ。自分が情けないーー。

「いい加減にしろ」

そんな時、隣で婚約者が口を開いた。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

私はあなたの正妻にはなりません。どうぞ愛する人とお幸せに。

火野村志紀
恋愛
王家の血を引くラクール公爵家。両家の取り決めにより、男爵令嬢のアリシアは、ラクール公爵子息のダミアンと婚約した。 しかし、この国では一夫多妻制が認められている。ある伯爵令嬢に一目惚れしたダミアンは、彼女とも結婚すると言い出した。公爵の忠告に聞く耳を持たず、ダミアンは伯爵令嬢を正妻として迎える。そしてアリシアは、側室という扱いを受けることになった。 数年後、公爵が病で亡くなり、生前書き残していた遺言書が開封された。そこに書かれていたのは、ダミアンにとって信じられない内容だった。

王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~

由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。 両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。 そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。 王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。 ――彼が愛する女性を連れてくるまでは。

愛は全てを解決しない

火野村志紀
恋愛
デセルバート男爵セザールは当主として重圧から逃れるために、愛する女性の手を取った。妻子や多くの使用人を残して。 それから十年後、セザールは自国に戻ってきた。高い地位に就いた彼は罪滅ぼしのため、妻子たちを援助しようと思ったのだ。 しかしデセルバート家は既に没落していた。 ※なろう様にも投稿中。

愛してくれないのなら愛しません。

火野村志紀
恋愛
子爵令嬢オデットは、レーヌ伯爵家の当主カミーユと結婚した。 二人の初対面は最悪でオデットは容姿端麗のカミーユに酷く罵倒された。 案の定結婚生活は冷え切ったものだった。二人の会話は殆どなく、カミーユはオデットに冷たい態度を取るばかり。 そんなある日、ついに事件が起こる。 オデットと仲の良いメイドがカミーユの逆鱗に触れ、屋敷に追い出されそうになったのだ。 どうにか許してもらったオデットだが、ついに我慢の限界を迎え、カミーユとの離婚を決意。 一方、妻の計画など知らずにカミーユは……。

お飾り王妃の死後~王の後悔~

ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。 王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。 ウィルベルト王国では周知の事実だった。 しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。 最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。 小説家になろう様にも投稿しています。

あなたが捨てた花冠と后の愛

小鳥遊 れいら
恋愛
幼き頃から皇后になるために育てられた公爵令嬢のリリィは婚約者であるレオナルド皇太子と相思相愛であった。 順調に愛を育み合った2人は結婚したが、なかなか子宝に恵まれなかった。。。 そんなある日、隣国から王女であるルチア様が側妃として嫁いでくることを相談なしに伝えられる。 リリィは強引に話をしてくるレオナルドに嫌悪感を抱くようになる。追い打ちをかけるような出来事が起き、愛ではなく未来の皇后として国を守っていくことに自分の人生をかけることをしていく。 そのためにリリィが取った行動とは何なのか。 リリィの心が離れてしまったレオナルドはどうしていくのか。 2人の未来はいかに···

【完結】王妃を廃した、その後は……

かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。 地位や名誉……権力でさえ。 否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。 望んだものは、ただ一つ。 ――あの人からの愛。 ただ、それだけだったというのに……。 「ラウラ! お前を廃妃とする!」 国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。 隣には妹のパウラ。 お腹には子どもが居ると言う。 何一つ持たず王城から追い出された私は…… 静かな海へと身を沈める。 唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは…… そしてパウラは…… 最期に笑うのは……? それとも……救いは誰の手にもないのか *************************** こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。

処理中です...