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23話
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互いにハンデを抱えた戦いは、勝敗を決する一撃を与えられず、長期戦にもつれ込んだ。
そうなると体力の限界を超えているセキロウの旗色が悪くなり、ダンテの攻撃が掠るようになる。
「…右往左往するのももう限界だろ?そろそろくたばれ」
「…めちゃくちゃ息切れしてるヤツが何言ってんだ」
全身が揺れ動く程、激しく息切れしているのを棚に上げ、反射的に言い返したセキロウへダンテは一足飛びで距離を詰めた。
「そんな状態もで意地張れるのは正直感心するわ」
首を捕まれ全身を地面へ叩き付けられた直後、蹴りつけられる前に転がって寸で避け、立ち上がった所になぎ払いの爪がセキロウの脇腹を裂いた。
豹族の当主、ダンテとの一昼夜にわたる戦いに幕を引く決定的な一撃だったが、それでも膝を着かないセキロウの執念染みた気迫に密かに感じ入ってしまったダンテは攻撃態勢を解く。
周囲には息切れした両者の荒い呼吸の音が殺伐と響いた。
汗と土埃と血で薄汚れても見劣りするどころか男ぶりが上がったダンテの顔に、ほとほと呆れた表情が浮かぶ。
それはセキロウに対してだけではなく、自分自身にも向けられていた。
互いに譲れないものを欲するならば競うしかないが、それが当主の立場であれ、個人的な感情からであれ、自身が劣勢であってもそれを体現するセキロウの姿を見て、感慨深く思ってしまうあたり、セキロウに対して情が涌いていた事を認めざるを得ない。
(セキロウには過去から現在に至るまで無礼しか働かれてないってのに、どうしたんだかな…。悪ガキを更生させた気分からの…父性愛?…何でだよ!マジでやなんですけど)
愛溢れてしまう博愛な自分に悶々としつつ、セキロウに止めは刺さないが、自身も当主として龍珠を求める事を止める訳にはいかない。
「…はあ…流石にその傷で動き回ればお前、出血多量で死ぬぞ?少しでも生き永らえたかったらそのままじっとしてろ。まあ、手遅れかも知れないが。
じゃあな、セキロウ。…生きてたらそのしつこさに免じて酒でも奢ってやるよ」
今生の別れを告げたダンテはセキロウには最早、膝を着かないだけの気力しかないと分かった上で背を向ける。
「お前に免じて貰う事なんてない」と内心でダンテの誘いを断りつつ茫洋とする視界に遠ざかるダンテの背を映しながら、ゆっくりと膝が挫け、セキロウは倒れた。
ダンテも片腕では本来の力が振るえなかったのか、幸い内臓に損傷はないが裂傷とは出血が盛大なもので、止血の為にそこへ手をやると見なくても分かる程、べったりと血に染まる。
(これではリンの側にはいけないな。リンがこの世界に来た初日に血塗れた姿を見て吐かれた時は俺でも凹んだ)
少し前の事を思い出したのを皮切りに、過去の出来事がぽつぽつと頭に浮かんでは消えて行く。
ぼんやりとした頭の中で行われる追憶は、甘美な睡魔を引き連れており、瞼が何度も落ちる。
その度に自分の身体の血を洗い流さなければならない事を思い出して、浅い眠りから目覚めることが出来た。
一時間程抗い、それも限界を迎えるとセキロウは睡魔を振り切る為、身体を起こそうとした。
「いけません、セキロウ様」
それを制する声がして、セキロウが目を向ける前にその者はセキロウの傍らに片膝を付いた。
「私は第二師団副師団長を務めておりますイザヨイと申します。師団長のヨノモリ様の指示で参りました。
まずは応急処置をさせていただきます」
イザヨイと名乗った者の印象は、銀色の長髪と深い緑の目を持つ儚げで中性的なものだったが、手際よく処置を施し、血止めの包帯を巻く時の手さばきと力強さは間違いなく男の力だった。
処置を終え、付帯のポーチから小さな黄色の木の実を取り出し、セキロウの口へ当てる。
「黄龍の施しです。ご承知の通り、栄養価が高く、吸収も早いので是が非でもお召し上がりを」
セキロウは「黄龍の施し」と訊いてイザヨイの白く美麗な顔を睨みつけた。
「黄龍の施し」は、龍がこの地に現れたと伝わる秘境にある樹から採れる非常に貴重な木の実で、滋養強壮の効果の高さと色がその名の由来だった。
但し、とても不味い。一センチの実に毛ほども旨味と言う優しさを持ち合わせず、苦味しか凝縮されていない硬派な代物だった。
第二師団の副長ともなるとセキロウの睨みにも動じないのかと思わせたが実際は違う。
セキロウは睨んだつもりだったが、戦闘力ゼロの目元は力無くイザヨイを見詰めただけだった。
イザヨイはセキロウの上体をゆっくりと起こし、その手に水袋と黄龍の施しを握らせる。
しかし、覚悟を決めかねているセキロウへイザヨイは何処か楽しげな声音で微笑混じりに畳み掛けた。
「お手伝い致しましょうか?」
「…?」
何をどうやって手伝うのか理解できないでいるセキロウの手から水袋をとり、その飲み口にイザヨイが口を付けようとした所で、イザヨイが何をするつもりなのか理解した。
「…分かったから…そう脅すな」
「脅すなど滅相もありません。ただ、当主に付け入れる機会などそうそうありませんので残念ではありますね」
「…どういう意味だ?…当主の座が欲しいのか?」
「いえ、そのような大それた事は思いつきもしません。ただ私は弱い者に堪らなく触発されてしまうようです。セキロウ様が悪いのですよ?あの様に、縋る様な目で私を見るから…」
イザヨイの深い緑の目に妖しげな光を見た時、セキロウは、この危うい性癖の副長を遣わせたヨノモリに悪意すら感じた。
傍目には医療処置に長けたイザヨイを遣わす適材適所の采配と思わせておいて、蓋を開ければ過去最大に弱って満足な抵抗も出来ない相手に盛る野郎を送り込んでくる所業は、悪の教典第一章に堂々記述されているに違いない悪行だ。
(ヨノモリめ、一体何が不満なんだ?)
セキロウがヨノモリの真意を考えあぐねていると、イザヨイの手がダンテとの戦いで負ったセキロウの身体に無数にある傷の内、首にある傷に触れた。
只でさえ出血過多であるのに、妙な触り方をされたものだからゾッとして血管が縮み、不覚にも意識が薄れ掛かった。
だが、そこは寿命を削ってでも意識を覚醒させて水袋を奪い、その水で黄龍の施しを流し込んだ。
かみ砕いていないのに瞬時に口内に溶け出す比類なき苦味。
そして、無事セキロウは昇天したのだった。
基、余りの不味さにとうとう意地が折れ、意識が飛んだのだった。
因みに、第五師団師団長のナタクも粉末版黄龍の施しを盛られて気絶していた。
―――――――――――
リンが倒れてからジエは傍でずっと見守っていたが、意識が戻る事はなく、その兆候さえ感じられずに一夜が明けた。
「…師団長」
天幕の木戸からタキの声がした。
タキの他に気配があるのを察して、ジエは入るように返答すると、センカとギンナも来ていた。
「リンさん、まだ意識が戻らないんですね」
リンの白い顔に目を落としながら、タキが心配でならないといった表情でジエに声を掛けた。
リンの容体を目にしたギンナはその顔の白さに衝撃を受けて言葉が出ず、センカは話を聞いて想像していたよりも深刻な状態のリンの容体を見て、胸中の不安をジエに吐露した。
「…リンちゃんがこんなことになったのって、過労が原因って訊いたんですけど、本当にそれだけなんですか?」
「それは…分からないわ。
龍珠の事に詳しいヨノモリならもしかしたら何か分かるかも知れないけど」
「!それ、本当ですか、師団長!」
「ヨノモリ様、すごーい!」
リンを気遣い、声量は抑えていたが、ジエから齎された朗報に三人の表情は打って変わって明るくなった。
居ても立っても居られないタキなどは文字通り膝たちの状態だ。
「僕、ヨノモリ様を迎えに行ってきましょうか?」
「少し落ち着きなさい。まずこの場に私たちがいるのは黒豹に対抗する為の人員配置って事、忘れないで。
それからカノイからの伝令で私達も知ったように、黒豹が単独でリンを追って私たちの隊へ向かってることは第二師団にも伝わってるから、動いてはいると思うのよ。
念の為、迎えを二人向かわせているけど、ヨノモリが間に合わない場合は意識のないリンを守りながら黒豹とやり合う事になるわ。皆、頼りにしてるわよ」
激励が込められたジエの目を見た三人は気を引き締め、その期待に応えるように頷いた。
ヨノモリ率いる第二師団はカノイの伝令を受けて直ぐ、副長のイザヨイをセキロウの元へ急行させ、ジエの隊へ合流するべく移動を開始した。
その道すがら、二度の獣化した豹族の強襲を受け、これを退けながらの移動だとは誰も知りえなかった。
そうなると体力の限界を超えているセキロウの旗色が悪くなり、ダンテの攻撃が掠るようになる。
「…右往左往するのももう限界だろ?そろそろくたばれ」
「…めちゃくちゃ息切れしてるヤツが何言ってんだ」
全身が揺れ動く程、激しく息切れしているのを棚に上げ、反射的に言い返したセキロウへダンテは一足飛びで距離を詰めた。
「そんな状態もで意地張れるのは正直感心するわ」
首を捕まれ全身を地面へ叩き付けられた直後、蹴りつけられる前に転がって寸で避け、立ち上がった所になぎ払いの爪がセキロウの脇腹を裂いた。
豹族の当主、ダンテとの一昼夜にわたる戦いに幕を引く決定的な一撃だったが、それでも膝を着かないセキロウの執念染みた気迫に密かに感じ入ってしまったダンテは攻撃態勢を解く。
周囲には息切れした両者の荒い呼吸の音が殺伐と響いた。
汗と土埃と血で薄汚れても見劣りするどころか男ぶりが上がったダンテの顔に、ほとほと呆れた表情が浮かぶ。
それはセキロウに対してだけではなく、自分自身にも向けられていた。
互いに譲れないものを欲するならば競うしかないが、それが当主の立場であれ、個人的な感情からであれ、自身が劣勢であってもそれを体現するセキロウの姿を見て、感慨深く思ってしまうあたり、セキロウに対して情が涌いていた事を認めざるを得ない。
(セキロウには過去から現在に至るまで無礼しか働かれてないってのに、どうしたんだかな…。悪ガキを更生させた気分からの…父性愛?…何でだよ!マジでやなんですけど)
愛溢れてしまう博愛な自分に悶々としつつ、セキロウに止めは刺さないが、自身も当主として龍珠を求める事を止める訳にはいかない。
「…はあ…流石にその傷で動き回ればお前、出血多量で死ぬぞ?少しでも生き永らえたかったらそのままじっとしてろ。まあ、手遅れかも知れないが。
じゃあな、セキロウ。…生きてたらそのしつこさに免じて酒でも奢ってやるよ」
今生の別れを告げたダンテはセキロウには最早、膝を着かないだけの気力しかないと分かった上で背を向ける。
「お前に免じて貰う事なんてない」と内心でダンテの誘いを断りつつ茫洋とする視界に遠ざかるダンテの背を映しながら、ゆっくりと膝が挫け、セキロウは倒れた。
ダンテも片腕では本来の力が振るえなかったのか、幸い内臓に損傷はないが裂傷とは出血が盛大なもので、止血の為にそこへ手をやると見なくても分かる程、べったりと血に染まる。
(これではリンの側にはいけないな。リンがこの世界に来た初日に血塗れた姿を見て吐かれた時は俺でも凹んだ)
少し前の事を思い出したのを皮切りに、過去の出来事がぽつぽつと頭に浮かんでは消えて行く。
ぼんやりとした頭の中で行われる追憶は、甘美な睡魔を引き連れており、瞼が何度も落ちる。
その度に自分の身体の血を洗い流さなければならない事を思い出して、浅い眠りから目覚めることが出来た。
一時間程抗い、それも限界を迎えるとセキロウは睡魔を振り切る為、身体を起こそうとした。
「いけません、セキロウ様」
それを制する声がして、セキロウが目を向ける前にその者はセキロウの傍らに片膝を付いた。
「私は第二師団副師団長を務めておりますイザヨイと申します。師団長のヨノモリ様の指示で参りました。
まずは応急処置をさせていただきます」
イザヨイと名乗った者の印象は、銀色の長髪と深い緑の目を持つ儚げで中性的なものだったが、手際よく処置を施し、血止めの包帯を巻く時の手さばきと力強さは間違いなく男の力だった。
処置を終え、付帯のポーチから小さな黄色の木の実を取り出し、セキロウの口へ当てる。
「黄龍の施しです。ご承知の通り、栄養価が高く、吸収も早いので是が非でもお召し上がりを」
セキロウは「黄龍の施し」と訊いてイザヨイの白く美麗な顔を睨みつけた。
「黄龍の施し」は、龍がこの地に現れたと伝わる秘境にある樹から採れる非常に貴重な木の実で、滋養強壮の効果の高さと色がその名の由来だった。
但し、とても不味い。一センチの実に毛ほども旨味と言う優しさを持ち合わせず、苦味しか凝縮されていない硬派な代物だった。
第二師団の副長ともなるとセキロウの睨みにも動じないのかと思わせたが実際は違う。
セキロウは睨んだつもりだったが、戦闘力ゼロの目元は力無くイザヨイを見詰めただけだった。
イザヨイはセキロウの上体をゆっくりと起こし、その手に水袋と黄龍の施しを握らせる。
しかし、覚悟を決めかねているセキロウへイザヨイは何処か楽しげな声音で微笑混じりに畳み掛けた。
「お手伝い致しましょうか?」
「…?」
何をどうやって手伝うのか理解できないでいるセキロウの手から水袋をとり、その飲み口にイザヨイが口を付けようとした所で、イザヨイが何をするつもりなのか理解した。
「…分かったから…そう脅すな」
「脅すなど滅相もありません。ただ、当主に付け入れる機会などそうそうありませんので残念ではありますね」
「…どういう意味だ?…当主の座が欲しいのか?」
「いえ、そのような大それた事は思いつきもしません。ただ私は弱い者に堪らなく触発されてしまうようです。セキロウ様が悪いのですよ?あの様に、縋る様な目で私を見るから…」
イザヨイの深い緑の目に妖しげな光を見た時、セキロウは、この危うい性癖の副長を遣わせたヨノモリに悪意すら感じた。
傍目には医療処置に長けたイザヨイを遣わす適材適所の采配と思わせておいて、蓋を開ければ過去最大に弱って満足な抵抗も出来ない相手に盛る野郎を送り込んでくる所業は、悪の教典第一章に堂々記述されているに違いない悪行だ。
(ヨノモリめ、一体何が不満なんだ?)
セキロウがヨノモリの真意を考えあぐねていると、イザヨイの手がダンテとの戦いで負ったセキロウの身体に無数にある傷の内、首にある傷に触れた。
只でさえ出血過多であるのに、妙な触り方をされたものだからゾッとして血管が縮み、不覚にも意識が薄れ掛かった。
だが、そこは寿命を削ってでも意識を覚醒させて水袋を奪い、その水で黄龍の施しを流し込んだ。
かみ砕いていないのに瞬時に口内に溶け出す比類なき苦味。
そして、無事セキロウは昇天したのだった。
基、余りの不味さにとうとう意地が折れ、意識が飛んだのだった。
因みに、第五師団師団長のナタクも粉末版黄龍の施しを盛られて気絶していた。
―――――――――――
リンが倒れてからジエは傍でずっと見守っていたが、意識が戻る事はなく、その兆候さえ感じられずに一夜が明けた。
「…師団長」
天幕の木戸からタキの声がした。
タキの他に気配があるのを察して、ジエは入るように返答すると、センカとギンナも来ていた。
「リンさん、まだ意識が戻らないんですね」
リンの白い顔に目を落としながら、タキが心配でならないといった表情でジエに声を掛けた。
リンの容体を目にしたギンナはその顔の白さに衝撃を受けて言葉が出ず、センカは話を聞いて想像していたよりも深刻な状態のリンの容体を見て、胸中の不安をジエに吐露した。
「…リンちゃんがこんなことになったのって、過労が原因って訊いたんですけど、本当にそれだけなんですか?」
「それは…分からないわ。
龍珠の事に詳しいヨノモリならもしかしたら何か分かるかも知れないけど」
「!それ、本当ですか、師団長!」
「ヨノモリ様、すごーい!」
リンを気遣い、声量は抑えていたが、ジエから齎された朗報に三人の表情は打って変わって明るくなった。
居ても立っても居られないタキなどは文字通り膝たちの状態だ。
「僕、ヨノモリ様を迎えに行ってきましょうか?」
「少し落ち着きなさい。まずこの場に私たちがいるのは黒豹に対抗する為の人員配置って事、忘れないで。
それからカノイからの伝令で私達も知ったように、黒豹が単独でリンを追って私たちの隊へ向かってることは第二師団にも伝わってるから、動いてはいると思うのよ。
念の為、迎えを二人向かわせているけど、ヨノモリが間に合わない場合は意識のないリンを守りながら黒豹とやり合う事になるわ。皆、頼りにしてるわよ」
激励が込められたジエの目を見た三人は気を引き締め、その期待に応えるように頷いた。
ヨノモリ率いる第二師団はカノイの伝令を受けて直ぐ、副長のイザヨイをセキロウの元へ急行させ、ジエの隊へ合流するべく移動を開始した。
その道すがら、二度の獣化した豹族の強襲を受け、これを退けながらの移動だとは誰も知りえなかった。
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