上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee

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追及偏

再訪しました

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 仕事が終わった。

 午後も客先から連絡はなく。
 振り返りも滞りなく終わり。
 定時で会社を出ることができた。

 飯田に飲みに誘われなかったのは運が良かった。
 飯田は連日でも容赦なく誘う時は飲みに誘う男だ。
 今日は飲む気分じゃなかっただけかもしれないが、その気まぐれには素直に感謝したい。

 飯田がどこまでツキとのことを知っているのかはわからない。

 控室でツキと長時間ふたりきりだったことは知っているはずだ。
 帰宅の面倒をツキに見てもらったことを知っていてもおかしくはない。
 ツキとふたりでホテルに泊まったことを知っている可能性もなくはない。

 直接訊けば教えてもらえるのだろうけれど、
 それはツキ相手に記憶をなくすほど酔いつぶれたと自白するようなものだ。
 どうせまたからわかわれるだろうから、あまり訊きたくない。

 飯田にまた店に行くことも知られるわけにはいかない。
 目的はツキであるとはいえオカマバーなのだ。
 絶対にからかわれるし、社内にオカマバーに入り浸っているという噂が広まりかねない。

 だから、この店にまた一人で来ることができたのは、本当に幸運だったと思う。

「いらっしゃいませ……あら、ミドリくんじゃないの」

 昨日も訪れたオカマバーエンジェル。
 昨日と同じく、店内には着物を着たオカマであるヨシミしか見当たらなかった。

 他の客も。
 濃いオカマたちも。
 ツキも。
 誰一人見当たらない。

「こんばんは、ヨシミさん。えっと……もう開いてますよね?」
「ええ、開いてるわ。テツさんからのお使いかしら?」
「いえ、そういうわけではありません」
「ということは、お客様として来てくれたの?」
「ええ。大丈夫ですか?」
「もちろん。ミドリくんが今日のお客様第一号よ。さっ、カウンターでもテーブルでも、好きな席に座ってどうぞ」

 テーブルに座れば昨日のようにオカマ達に接待をされるのだろう。
 ツキが接待をしてくれる可能性もあるが、出社しているかはわからない。
 昨日も来店した時点ではツキは出社していなくて、着替えている最中に邂逅したのだ。
 オカマたちに囲まれて地獄を味わう可能性のある選択肢はできれば選びたくはない。

 カウンターに座ればヨシミと話をすることになるだろう。
 ちひろたちのようなオカマと比べれば、ヨシミは違和感があるだけで不快ではない。

 何より、ヨシミは昨日の閉店時の状況を把握しているはずだ。
 ツキと話す前にヨシミと話をするのもいいかもしれない。

 少しだけ悩んだ後、ヨシミの正面のカウンター席に座ることにした。

「では、失礼します」
「注文は何にする? せっかくのリピーターさんだし、最初の一杯はサービスするわよ」
「ありがとうございます。では――」

 バーなのだから、何かアルコールを注文するのが正着だろう。
 しかし本音としては、昨日酔い潰れてしまった手前アルコールは避けたいという思いもある。
 二日酔いの後遺症もまだ完全には抜けきっていない。

 ここは――

「ウーロン茶をいただけますか?」
「あら、ミドリくんはカルーアミルクが好きなんだと思っていたけど。やっぱり、あの子が作ったカルーアミルクが好きってことなのかしら?」
「…………」

 どこまで知っているのか。
 意味ありげな笑みを浮かべながら、ヨシミはウーロン茶をグラスに注いでくれた。
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