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親睦偏
可愛くなりたいだけのようです
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「……違うのか?」
今まで口にしていなかっただけで、ツキの心が純粋な男性ではないことは間違いないと思っていたのだけれど。
ツキの様子を見ていたら、そんな自信も揺らいでしまった。
「違うんじゃないですか? 少なくとも、私はそんなこと一度も考えたことないですよ?」
あっけらかんとツキは話す。
どうやら勝手に翠がタブーだと感じていただけで、ツキは心の性別についての話題を避けていたわけでもないらしい。
むしろどうでもいいとすら思っている、そんな言い草だ。
「そうなのか……いや、それだったら謝る。勝手に気を遣ってたみたいだ……」
「いえ、別に気にしてないからいいんですけど。でも、どうしてアキラさんはそう思ったんですか? 私の心が女の子だって」
「そりゃ……ツキを見てたら、そう考えるのが自然なんじゃないか?」
「? そうですか……?」
「だって、ツキってかなり女性的じゃないか。可愛いことに強くこだわってるし、昨日の部屋着だってあれレディースだろ?」
可愛いが好き=女性的というのはもう古い価値観として扱われるのだろう。
しかし女性用の服を着ていたら、精神的には女性に近いと思ってもおかしくはないのではないか。
「私が可愛いを追及しているのはその通りです。昨日のエロカワな部屋着もアキラさんの仰る通りレディースですけど……でも、別に女性用であることに拘りがあるわけじゃないんですよね。可愛い服が女性用に多いだけというか……もしくは、私が男の子だからこそ、女性用の服が可愛く見えるんでしょうか……?」
「男性だからこそ……なるほど……」
いわゆる男受けを狙った女性服というのは、男性の目から見ても魅力的に映るようにデザインされていると思われる。
それを考えると、ツキが女性服を愛用していても心の性別とは離して考えるべきなのだろう。
「女性を羨んだことはありますけど、私は女性になりたいと思ったことはないですね。朝にも話した通り、男性ならではの可愛いもありますから」
「あくまで、ツキは可愛くなりたいだけってことか……」
「それに……」
「それに?」
「男性を相手にして同性を落とす快感を味わえるのも、男の娘の特権ですから♡」
「あっそう……」
「セックスで一番気持ちいいのも男性同士みたいですし……♡ それを体感できる体に生まれて良かったなって、心の底から思ってますよ……♡」
発言内容は置いておくとして、ツキが体の性別に悩んでいないのなら、それはとても喜ばしいことだ。
「でも、それなら恋愛対象は? ツキは男性が好きじゃないか。これは女性的って言えるんじゃないか?」
「私が好きなのは男性じゃなくて、アキラさんですよ♡」
「今ちょっと真面目な話してるから」
「ふざけてないですよ!」
ぷんぷんとオノマトペを飛ばしながらツキは怒った。
どこからどう見てもふざけている。
今まで口にしていなかっただけで、ツキの心が純粋な男性ではないことは間違いないと思っていたのだけれど。
ツキの様子を見ていたら、そんな自信も揺らいでしまった。
「違うんじゃないですか? 少なくとも、私はそんなこと一度も考えたことないですよ?」
あっけらかんとツキは話す。
どうやら勝手に翠がタブーだと感じていただけで、ツキは心の性別についての話題を避けていたわけでもないらしい。
むしろどうでもいいとすら思っている、そんな言い草だ。
「そうなのか……いや、それだったら謝る。勝手に気を遣ってたみたいだ……」
「いえ、別に気にしてないからいいんですけど。でも、どうしてアキラさんはそう思ったんですか? 私の心が女の子だって」
「そりゃ……ツキを見てたら、そう考えるのが自然なんじゃないか?」
「? そうですか……?」
「だって、ツキってかなり女性的じゃないか。可愛いことに強くこだわってるし、昨日の部屋着だってあれレディースだろ?」
可愛いが好き=女性的というのはもう古い価値観として扱われるのだろう。
しかし女性用の服を着ていたら、精神的には女性に近いと思ってもおかしくはないのではないか。
「私が可愛いを追及しているのはその通りです。昨日のエロカワな部屋着もアキラさんの仰る通りレディースですけど……でも、別に女性用であることに拘りがあるわけじゃないんですよね。可愛い服が女性用に多いだけというか……もしくは、私が男の子だからこそ、女性用の服が可愛く見えるんでしょうか……?」
「男性だからこそ……なるほど……」
いわゆる男受けを狙った女性服というのは、男性の目から見ても魅力的に映るようにデザインされていると思われる。
それを考えると、ツキが女性服を愛用していても心の性別とは離して考えるべきなのだろう。
「女性を羨んだことはありますけど、私は女性になりたいと思ったことはないですね。朝にも話した通り、男性ならではの可愛いもありますから」
「あくまで、ツキは可愛くなりたいだけってことか……」
「それに……」
「それに?」
「男性を相手にして同性を落とす快感を味わえるのも、男の娘の特権ですから♡」
「あっそう……」
「セックスで一番気持ちいいのも男性同士みたいですし……♡ それを体感できる体に生まれて良かったなって、心の底から思ってますよ……♡」
発言内容は置いておくとして、ツキが体の性別に悩んでいないのなら、それはとても喜ばしいことだ。
「でも、それなら恋愛対象は? ツキは男性が好きじゃないか。これは女性的って言えるんじゃないか?」
「私が好きなのは男性じゃなくて、アキラさんですよ♡」
「今ちょっと真面目な話してるから」
「ふざけてないですよ!」
ぷんぷんとオノマトペを飛ばしながらツキは怒った。
どこからどう見てもふざけている。
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