上司に連れられていったオカマバー。唯一の可愛い子がよりにもよって性欲が強い

papporopueeee

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親睦偏

苦手だったようです

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「ばか……ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばか」
「悪かったって……」

 エントランスに戻って来てから、ツキはずっとこの調子だ。

 体型を維持する為に頑張っているとはなんだったのか。
 不機嫌な顔でポップコーンを抱え込んで、さくさくと貪っている。

「でも、ホラーが苦手だったんなら言ってくれればよかったじゃないか。別に絶対にあの映画じゃないとダメってわけじゃなかったんだし」

 記憶が正しければ、ツキはジャンルがホラーであることを知った上で承諾していたはずだ。
 途中退室を懇願するほど苦手なのであれば、事前に言わなかったツキにも責任があるのではないか。

「だって……」
「……なんだよ」

 ツキが頬を膨らましながら不満気にこちらの顔を見上げてきた。

「……怖がってたら、アキラさんから可愛いって思ってもらえるかなって」

 ツキが白状した言葉は、余りにも打算的だった。

「なんだそれ……」
「うーっ、そんな顔で見ないでくださいよー! いいじゃないですか! デートなんですから! 私だって可愛く思われたいんです!」
「だからって、苦手なホラーを我慢して観るまでするか? しかもツキの場合は相当だろ、あれ」

 最後まで見れなかったので全容はわからないが、おそらく恐怖シーンのピークには辿り着けていないのだろう。
 ツキは怖いシーンで叫び声をあげるどころか、怖いシーンが来るという想像だけでギブアップしたというわけだ。

「なんですか! お化けが怖いのなんて当たり前じゃないですか! アキラさんは怖くないって言うんですか! お化けなんていないって言うんですか!?」
「いや、お化けがいるかどうかは知らないけど……あれはお化けを題材にしてるけどあくまで映画であって、フィクションだから――」
「同じですよ!」

 同じではないだろう。
 お化けが実在するかどうかのオカルト論争と、ホラー映画は全く別の話だ。

 存在するかどうかが定かではないお化けに怯えるのはわからなくもないが、
 映画はフィクションであることが確定している。
 演出に驚かされたりハラハラすることはあっても、恐怖を覚える気持ちには共感できない。

「アキラさんのひとでなし……! 目の前で可愛い子が弱ってるんですから、慰めてくださいよ!」
「あー、はいはい……怖かったねー……」
「うーっ、ぎゅってしてください……」
「いや、ここ映画館だから。人の目があるから」
「……人の目が無かったらしてくれるんですか?」
「……」

 正直な話として。
 ここまで怯えているツキは物珍しいというか。
 優しく甘やかしたくなるというか。
 可愛いと思ってしまっているというか。

「アキラさん……?」
「……さっさとポップコーン平らげて、移動しようか」
「それは賛成です。こんなところ、早く出ましょう……!」

 ジャンル選びが悪かっただけで、映画館には何の非もないのだけれど。
 ここで映画館の肩を持つとまた不機嫌になりそうなので、何も言わずにポップコーンを食べることにした。
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