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3日目
刷り込み
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弥生は本当は女の子なんだよ。
それが、少年にかけられた魔法でした。
まだ自分の名前もわからなかった頃から、少年は己の性を教え込まれていました。
男の子と女の子の違いもわからないのに、自身が女の子なのは確かな事実だったのです。
皆は弥生を男の子だって言うけど、それは知らないだけなんだよ。
それが、少年にとっての真実でした。
お母さんと皆のどちらかが間違っているのなら、正しいのはお母さんに決まっています。
弥生は女の子なんだから、可愛い服を好きになろうね。
お父さんが帰ってきたら、スカートが履きたいってお願いしてごらん。
いつでも傍に居てくれるお母さんと比べて、お父さんは少年の傍に居る時間は少ないですから。知らないのも無理はありません。
少年がお父さんに正しいことを教えてあげると、お父さんは驚いた後に優しく頭を撫でてくれました。
こうして、3人は真実を共有し合った本当の家族になりました。少年は女の子として生きて、両親はそんな少年に理解を示して認めてくれていました。
でも、お父さんは一つだけ気になることがあったようです。
弥生は、どうして自分を女の子だって思ったのかな?
だって、お母さんが教えてくれたから。
この時を境にして、本当の家族は終わってしまいました。少年の一言が、家族をバラバラにしてしまったのです。
ごめんなさい、ごめんなさい。
もうあんなことは言いません。
だから、もうお母さんを怒らないでください。
少年にはお母さんが責められる謂れがわかりませんでした。少年にとってはお母さんはお母さんでしかなかったのです。
しかし、お父さんにとってはもうお母さんは家族ではありませんでした。お母さんは家から追い出されて、少年は本当に正しいことを教えてもらいました。
お母さんは悪い人でした。
でも、それでも……私にとってはお母さんです。
やりきれない想いを抱えていた少年は、本日を以て少女になりました。やっぱり、お母さんは正しかったのです。
きっとお母さんは戻ってきてくれる。だって本当の女の子になったのだから。
少女はお母さんを今か今かと待ち侘びます……既に別の少女のお母さんになっていることも知らないままに。
いつまでも。いつまでも。
それが、少年にかけられた魔法でした。
まだ自分の名前もわからなかった頃から、少年は己の性を教え込まれていました。
男の子と女の子の違いもわからないのに、自身が女の子なのは確かな事実だったのです。
皆は弥生を男の子だって言うけど、それは知らないだけなんだよ。
それが、少年にとっての真実でした。
お母さんと皆のどちらかが間違っているのなら、正しいのはお母さんに決まっています。
弥生は女の子なんだから、可愛い服を好きになろうね。
お父さんが帰ってきたら、スカートが履きたいってお願いしてごらん。
いつでも傍に居てくれるお母さんと比べて、お父さんは少年の傍に居る時間は少ないですから。知らないのも無理はありません。
少年がお父さんに正しいことを教えてあげると、お父さんは驚いた後に優しく頭を撫でてくれました。
こうして、3人は真実を共有し合った本当の家族になりました。少年は女の子として生きて、両親はそんな少年に理解を示して認めてくれていました。
でも、お父さんは一つだけ気になることがあったようです。
弥生は、どうして自分を女の子だって思ったのかな?
だって、お母さんが教えてくれたから。
この時を境にして、本当の家族は終わってしまいました。少年の一言が、家族をバラバラにしてしまったのです。
ごめんなさい、ごめんなさい。
もうあんなことは言いません。
だから、もうお母さんを怒らないでください。
少年にはお母さんが責められる謂れがわかりませんでした。少年にとってはお母さんはお母さんでしかなかったのです。
しかし、お父さんにとってはもうお母さんは家族ではありませんでした。お母さんは家から追い出されて、少年は本当に正しいことを教えてもらいました。
お母さんは悪い人でした。
でも、それでも……私にとってはお母さんです。
やりきれない想いを抱えていた少年は、本日を以て少女になりました。やっぱり、お母さんは正しかったのです。
きっとお母さんは戻ってきてくれる。だって本当の女の子になったのだから。
少女はお母さんを今か今かと待ち侘びます……既に別の少女のお母さんになっていることも知らないままに。
いつまでも。いつまでも。
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