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親睦の化粧編
お化粧の始まり
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「あの、ネコのお化粧はボクがしてもいいですか?」
リサの指導を受けながら洗顔をした後、部屋に戻るとミミが畏まりながらそう言った。
「お、ミミちゃんやりたい? ネコちゃんはどう?」
「ん、まあいいけど」
「ありがとう、ネコ」
「男の子へのお化粧だったら、お姉さんよりミミちゃんの方が経験豊富だもんね」
「そうなのか?」
「自分の顔で練習していますからね」
「ああ、そういうことか……てっきり……」
「てっきり……なんですか?」
それは、我ながら幼い嫉妬心だと思う。
「言ったじゃないですか。ネコはボクの初めてだって。今までに他の誰かに化粧をしたことはありませんし、これから先も……キミが望むなら、いいんですよ?」
「そ、そこまで独占欲強くねーよ!」
「ボクは割と強いですよ。勝手に他の誰かに化粧させたりなんてしないでくださいね? もちろん、それ以外も……ね?」
「いや、化粧なんてそんな気軽にさせられないけど……っていうかそれじゃあまるで恋人じゃねえか!」
「くす、冗談です。さ、座ってください」
「最初にすることはなんだったか憶えていますか?」
「化粧下地だろ?」
「はい。チューブから小豆程度の大きさの粒を手に取って、顔に満遍なく乗せていきます」
ちょんちょんと、ミミの指が顔の上を跳ねまわる。頬、額、鼻、あご。誰かに顔を触られるのは、少し落ち着かない。
「適量を乗せたら、今度は全体に伸ばしていきます。瞼にも塗るので、少し目を閉じていてくださいね?」
するすると、ミミの指が顔の上を滑り回る。おでこ、目尻、ほっぺ。そして、唇に柔らかい何かがあたった。
「ん!?」
驚きで目を開けると、視界一杯にミミの顔が広がっていた。その表情は、いたずらっぽく微笑んでいる。
「どうしました?」
「お、お前、い、いまっ……!」
「指ですよ。本当は唇には塗らないのですけれど……。すみません、当たってしまいました」
「い、いや……今の感触は……」
「疑わしいのなら、試してみますか? 指と、唇。両方試して比較すれば、さっきのがはたしてどちらだったのか、はっきりしますよ?」
「い、いや、いいよ……。」
「くす……いくじなしですね♡」
これは、完全にスイッチが入っている。ミミはもうあの電車の時と同じテンションになってしまっている。普段はクールなのに、えっちな気分になるとキャラが変わると、リサも言っていた。
まだ化粧も終わっていないのにこの調子では身がもたない。最悪、化粧も中途半端に門限の時間が迫る可能性だってある。
助けを乞おうとリサの方を見やると、彼女は真剣な眼差しで撮影をしていた。自らの呼吸の音すらも入れ込まないような気迫で、音を立てずに撮影位置を変えながら、ひたすら真剣に。
どうやら助けは見込めそうになかった。
リサの指導を受けながら洗顔をした後、部屋に戻るとミミが畏まりながらそう言った。
「お、ミミちゃんやりたい? ネコちゃんはどう?」
「ん、まあいいけど」
「ありがとう、ネコ」
「男の子へのお化粧だったら、お姉さんよりミミちゃんの方が経験豊富だもんね」
「そうなのか?」
「自分の顔で練習していますからね」
「ああ、そういうことか……てっきり……」
「てっきり……なんですか?」
それは、我ながら幼い嫉妬心だと思う。
「言ったじゃないですか。ネコはボクの初めてだって。今までに他の誰かに化粧をしたことはありませんし、これから先も……キミが望むなら、いいんですよ?」
「そ、そこまで独占欲強くねーよ!」
「ボクは割と強いですよ。勝手に他の誰かに化粧させたりなんてしないでくださいね? もちろん、それ以外も……ね?」
「いや、化粧なんてそんな気軽にさせられないけど……っていうかそれじゃあまるで恋人じゃねえか!」
「くす、冗談です。さ、座ってください」
「最初にすることはなんだったか憶えていますか?」
「化粧下地だろ?」
「はい。チューブから小豆程度の大きさの粒を手に取って、顔に満遍なく乗せていきます」
ちょんちょんと、ミミの指が顔の上を跳ねまわる。頬、額、鼻、あご。誰かに顔を触られるのは、少し落ち着かない。
「適量を乗せたら、今度は全体に伸ばしていきます。瞼にも塗るので、少し目を閉じていてくださいね?」
するすると、ミミの指が顔の上を滑り回る。おでこ、目尻、ほっぺ。そして、唇に柔らかい何かがあたった。
「ん!?」
驚きで目を開けると、視界一杯にミミの顔が広がっていた。その表情は、いたずらっぽく微笑んでいる。
「どうしました?」
「お、お前、い、いまっ……!」
「指ですよ。本当は唇には塗らないのですけれど……。すみません、当たってしまいました」
「い、いや……今の感触は……」
「疑わしいのなら、試してみますか? 指と、唇。両方試して比較すれば、さっきのがはたしてどちらだったのか、はっきりしますよ?」
「い、いや、いいよ……。」
「くす……いくじなしですね♡」
これは、完全にスイッチが入っている。ミミはもうあの電車の時と同じテンションになってしまっている。普段はクールなのに、えっちな気分になるとキャラが変わると、リサも言っていた。
まだ化粧も終わっていないのにこの調子では身がもたない。最悪、化粧も中途半端に門限の時間が迫る可能性だってある。
助けを乞おうとリサの方を見やると、彼女は真剣な眼差しで撮影をしていた。自らの呼吸の音すらも入れ込まないような気迫で、音を立てずに撮影位置を変えながら、ひたすら真剣に。
どうやら助けは見込めそうになかった。
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