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裏側
レスト王の子供は――
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「見たこと無い顔だけれども……どちら様かしら?」
「えっ?」
「もしかして会ったことがあった? ごめんなさいね、最近は忘れっぽくて」
「いっ、いえ……その……」
それは嘘を吐いているという様子では無かった。ティルハ王妃は本当に僕のことを知らないと言っていた。
「ノーラに言われて此処に来たのでしょう? 今お茶を出すから、ゆっくりしていってちょうだいね」
ノーラ、というのはレイス王のことだろう。王を愛称で呼ぶことが出来るのは王妃だけのはずではあるけれども。
「そ、そんなっ、王妃様にお茶を用意してもらうなど! 僕が淹れますので!」
「いいのよ。さあほら、座ってちょうだい」
王妃に肩を掴まれ、半ば強引に椅子に座らされてしまった。
「ふんふふ~ん♪」
「っ……」
鼻唄を口ずさみながらお茶の用意をするなんて、とてもティルハ王妃とは思えない。少しお年を召したようだけれども、その外見は確かにティルハ王妃なのに。その所作が、僕の知っているものとはあまりにも異なっている。
王妃は苛烈な性格で、家族以外にはいつもキツい言葉を浴びせていた。もちろんそれは僕に対しても例外ではなく、むしろ王妃は誰よりも僕の肌のことを嫌っていた。こんな歓迎をされることも、朗らかな顔を見せられるのも初めてだ。
もしかして、本当に僕のことを知らないのだろうか。忘れていることすら忘れてしまっているのなら、この対応もありえるのかもしれないけれども。でも、やっぱり、どこかおかしいような……。
「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね」
「あっ、ありがとうございます……」
「あなた、お名前は?」
「っ……ルカテ……です」
「そう、いい名前ね。響きが軽くて可愛らしいわ」
母様にもらったこの名前を、王の血を掠め取った盗人に相応しい貧相な名だと詰られたことを思い出した。
「今いくつなの?」
「今年で13になりました……」
「あらあら、その割には小柄なのね。でも大丈夫よ、その内大きくなるから」
男性らしくない小柄な体を、王に媚びることしかできない盛った雌犬の血を引いている証だと誹られたことを思い出した。
「ところで、その肌は? 何かの病気?」
「そういうわけでは……生まれつきなんです」
「へー、そういうこともあるのね。まあ、感染するようなものじゃないならいいわ」
母様と同じこの褐色の肌を、汚物を食べて育ったのだと決めつけられたことを思い出した。
やはり、この人はティルハ王妃ではない。見た目は似ているけれども、あまりにも違いすぎる。しかし、そうなると一体誰なのだろうか。ティルハ王妃に双子なんていなかったはずだけれども。
「あらいけない、息子が泣いてるわ。ちょっと待っていてちょうだいね」
「え……?」
ティルハ王妃に似ている人は、ぱたぱたと別室へと駆け出していく。
泣き声と言っていたが、僕の耳にはそんなものは聴こえていない。それに、ここは王様の居住空間だ。赤子がいるのならば、それはレスト王の子であるはずだけれども、レスト王の子供は――
「その様子だと、まだ理解できていないようだな」
いつの間にか、レスト王もこの部屋に入ってきていた。椅子に座る僕の隣に立ち、いつも通り僕を冷たい目で見下ろしている。
「えっ?」
「もしかして会ったことがあった? ごめんなさいね、最近は忘れっぽくて」
「いっ、いえ……その……」
それは嘘を吐いているという様子では無かった。ティルハ王妃は本当に僕のことを知らないと言っていた。
「ノーラに言われて此処に来たのでしょう? 今お茶を出すから、ゆっくりしていってちょうだいね」
ノーラ、というのはレイス王のことだろう。王を愛称で呼ぶことが出来るのは王妃だけのはずではあるけれども。
「そ、そんなっ、王妃様にお茶を用意してもらうなど! 僕が淹れますので!」
「いいのよ。さあほら、座ってちょうだい」
王妃に肩を掴まれ、半ば強引に椅子に座らされてしまった。
「ふんふふ~ん♪」
「っ……」
鼻唄を口ずさみながらお茶の用意をするなんて、とてもティルハ王妃とは思えない。少しお年を召したようだけれども、その外見は確かにティルハ王妃なのに。その所作が、僕の知っているものとはあまりにも異なっている。
王妃は苛烈な性格で、家族以外にはいつもキツい言葉を浴びせていた。もちろんそれは僕に対しても例外ではなく、むしろ王妃は誰よりも僕の肌のことを嫌っていた。こんな歓迎をされることも、朗らかな顔を見せられるのも初めてだ。
もしかして、本当に僕のことを知らないのだろうか。忘れていることすら忘れてしまっているのなら、この対応もありえるのかもしれないけれども。でも、やっぱり、どこかおかしいような……。
「はい、どうぞ。熱いから気をつけてね」
「あっ、ありがとうございます……」
「あなた、お名前は?」
「っ……ルカテ……です」
「そう、いい名前ね。響きが軽くて可愛らしいわ」
母様にもらったこの名前を、王の血を掠め取った盗人に相応しい貧相な名だと詰られたことを思い出した。
「今いくつなの?」
「今年で13になりました……」
「あらあら、その割には小柄なのね。でも大丈夫よ、その内大きくなるから」
男性らしくない小柄な体を、王に媚びることしかできない盛った雌犬の血を引いている証だと誹られたことを思い出した。
「ところで、その肌は? 何かの病気?」
「そういうわけでは……生まれつきなんです」
「へー、そういうこともあるのね。まあ、感染するようなものじゃないならいいわ」
母様と同じこの褐色の肌を、汚物を食べて育ったのだと決めつけられたことを思い出した。
やはり、この人はティルハ王妃ではない。見た目は似ているけれども、あまりにも違いすぎる。しかし、そうなると一体誰なのだろうか。ティルハ王妃に双子なんていなかったはずだけれども。
「あらいけない、息子が泣いてるわ。ちょっと待っていてちょうだいね」
「え……?」
ティルハ王妃に似ている人は、ぱたぱたと別室へと駆け出していく。
泣き声と言っていたが、僕の耳にはそんなものは聴こえていない。それに、ここは王様の居住空間だ。赤子がいるのならば、それはレスト王の子であるはずだけれども、レスト王の子供は――
「その様子だと、まだ理解できていないようだな」
いつの間にか、レスト王もこの部屋に入ってきていた。椅子に座る僕の隣に立ち、いつも通り僕を冷たい目で見下ろしている。
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