重槍士は褐色毒ショタに出会う

papporopueeee

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流れ星がこの身に降ってくるかのように

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「ガル……?」

「憶えてるか? 森に出発する朝……話したこと……」

 忘れるわけがない。ガルと過ごしたすべての瞬間が、僕の心には刻み込まれている。忘れたくたって忘れられないくらいに。

「神殿でのことですか?」

「そうだ……悪いな、ルカテ……実は俺、嘘吐いてたんだ」

「嘘……? ガル、いったい何の話をしているんですか?」

 この状況で、その告白に何の意味があるのだろうか。過去に嘘を吐いていたからって、この状況に何か影響があるのだろうか。

「サーメル様……俺の信仰をしている神様が、何の神だったか……憶えてるか?」

「食の神様ですよね? 胃が頑丈になって、悪食になるって……」

「そう……本当のこと言ったら、変な風に思われるかなと思って……咄嗟にそう言ったんだ……よいしょっとっ」

「ガルっ!?」

 ガルは立ち上がった。膝をついた状態ですら倒れそうだったのに。毒に侵されフラつきながらも、2本の足で立ち上がった。

 そして、右腕を背中へと回した。

「動くんじゃない、旅人よ。そんな死に体の身体で何ができる。無駄な抵抗はせず、おとなしく死んでおけ。ルカテが血を流す姿を見ながら死にたくはないだろう?」

 兵士たちの構えたボウガンが僕にも向けられる。

 それもいいかもしれない。ガルが死んでしまった後に処刑されるくらいなら、今ここで死んでしまいたい。どうせ死ぬのなら、ガルと一緒に僕は死にたい。

「食の神様じゃあ、ないんだ……俺の信仰してるサーメル様は……――っ!!」

「撃て」

 ガルが動き出した瞬間に、レスト王が号令をかけた。

 間に合わない。ただでさえ重く大きな盾に、毒で弱った身体なのだ。片や、指をほんの少し動かすだけでボウガンの矢は射出される。

 ガルが大盾を構えるよりも早く、放たれた矢は僕の脳天へと――

 ――凄まじい衝撃が、離宮の中に轟き渡った。

「わあっ!!??」

 揺れている。地面も、空気も、建物も。レスト国中に響くほどの衝撃で、離宮が悲鳴を上げていた。

 ボウガンの方が早いはずだった。ガルが背負った盾を掴むよりも先に、ボウガンは射出されていた。僕とガルはボウガンによって命を落とすはずだった。

 しかし、結果的に盾は間に合っていた。僕の目では捉えきれない速度で、この離宮を破壊しかねない力で、ガルは大盾を床に叩きつけ矢を防いだ。

 人間業ではない。そのスピードも、パワーも。少なくとも、毒に侵された身体で出していいものではなかった。

「が、ガル……?」

「……サーメル様は、毒の神様だ。俺の身体は、その恩寵で満たされている」

「どく……毒?」

「俺の身体はあらゆる毒に対する抵抗を持ってるんだ……だから、ルカテの毒じゃ死なないよ」

「っ!? ……ガルっ……ガルっ!」

 これはきっと、僕の人生において最大の幸運だ。どれだけの奇跡を積み重ねたって、この幸運には遠く及ばない。

 流れ星がこの身に降ってくるかのように、僕はこの運命の人に巡り合えた。この広い世界でただ唯一の貴方に出会えた。

「ガルっ、ガルっ! ~~っ、ガルっ!」

 名前を呼ばずにはいられなかった。その身体に抱き着かずにはいられなかった。

 嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。僕はガルの名前を呼びながら、その身体を力いっぱいに抱きしめた。
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