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第二夜
義弟は我慢ができない
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「っあぁ~、いい湯だ」
神経をすり減らした後に入る風呂はいつもより格別だ。緊張で固まった体に温かい湯が染み渡っていく。
「あー、このバブ当たりかもな。いい香りだ」
「うん、そうだね……」
背中側から聞こえるカオルの声はまだ少し固い。勃起をしなかったとはいえ、やはり包皮をむいた性器を直接触られるのは応えるのだろう。俺だって、例えカオルが相手だろうと性器を身内に触られれば心にしこりを残す。
しかし俺はもう心配していない。脱衣所で、カオルは笑ってくれたから。
人は慣れる生き物だ。痛みにも、苦痛にも、羞恥にも。カオルの介護においてこの行為が避けられない以上、大事なのは焦らないで時間をかけることだと思う。そうすればまたカオルは笑ってくれると、そう思う。
「そういや、今はまだふたりで浴槽に入れるけど。カオルがもう少し大きくなったらもう狭いよな」
「んー」
「もうそろそろ、俺とカオルの風呂の時間は分けた方がいいかもな」
カオルは一人では体を洗えない。どうせ俺が洗うのならばついでに入ってしまえと、当初はそう決めてしまったがカオルは思春期であると同時に成長期だ。いつかはふたりでは入れなくなるのは必至であり、これからはカオルの体を洗った後は退室した方がいいだろう。
「万が一風呂で溺れたりしないかとか不安にも思ってたけど、寝たりしなければ大丈夫そうだしな」
「……いや?」
ぽつりと背中から呟かれた声。同時に、背中にカオルの額が当たるのを感じる。
「ケン君は、オレと入るの嫌?」
中学生であれば、少しでも一人の時間が欲しいものだと思っていた。俺がそうだったからだ。親からの干渉を嫌って、よく反抗していたから。
カオルは甘えん坊だ。母親にべったりな子だったけれど、その親を喪い、そして体も削がれた子供だ。俺とは、何もかもが違うことを、忘れてはいけなかった。
「……入れなくなってから考えるか」
「うん……」
すりすりとカオルが背中に額を擦りつける。それから、しばらくはふたりは無言だった。天井から垂れる水滴が落ちる音と、換気扇が空気を循環させる音。それと、互いの心音。それだけが聴こえた。
「そろそろ出るか」
指がふやけて皮膚がしわしわになった頃、俺はそう言って立ち上がった。カオルも立ち上がり、浴槽の縁を跨いで湯船から上がる。
「よし、じゃあ体を拭くぞ」
湯船でかいた汗をシャワーで洗い流したカオルにバスタオルを被せる。頭から下に向かって、体の水滴を拭っていく。後は服を着せて、ドライヤーで髪を完全に乾かせば今日のお風呂もお終いだ。
どうなることかと思ったが、これで俺たちはいつも通りだ。
「カオル、足上げてくれないか?」
いつもは下着を準備すれば何も言わなくても足を上げてくれていた。しかし、なぜかカオルは声をかけても一向に足を上げない。
「カオル? 早く服着ないと体が冷めちまうぞ?」
「……っ、しっ……して」
上手く声が出せないのか、カオルの口がパクパクと開く。それだけで、俺は察してしまった。カオルが何を言いたくて、今まで何を考えていたのか。
「け、ケン君……し、してほしい……」
「……ずっと、それが言いたくて我慢してたのか?」
こくりと、カオルは小さく頷いた。きゅっと閉じられた目を見ると、心が痛んだ。俺がもっとカオルをちゃんと見てやれていれば、気づけたのだろうか。
「バカだな。そんな思いつめた表情しなくていいんだよ。遠慮するなって言っただろ?」
「うん……」
「服を着て、髪を乾かしてからでもいいか? じゃないとお互い湯冷めしちゃうからな」
「ごめん……」
「謝るなって」
わしゃわしゃとカオルの髪を撫でる。
カオルの自慰を手伝うのはこれで二回目で、二日連続だ。今回は石鹸の滑りが使えないが、それでもなんとかなるだろう。問題は、もっと別のところにある。
気にするなと、俺は言った。遠慮するなとも、俺は言った。それは紛れもない本心だ。カオルの性器を手淫すること自体にはなんの嫌悪感もない。
そしてカオルは俺の言葉通りにしたわけだが、カオルは勃起しているわけではない。下着を履かせている今も性器は小さいままで、昨日の今日で性欲が溜まりすぎて辛いということもないだろう。つまり、ただ気持ちよくなりたいだけなのだ、カオルは。
両腕のないカオルが楽しむことのできる娯楽は限られている。特にスポーツのような肉体に刺激を得るような娯楽だ。人目に触れるのを嫌がっていることもあり、カオルは事故に遭った日からまともに運動をしていない。そんなカオルにとって、肉体への性的快感は強すぎたのかもしれない。
だから、カオルが性的刺激に依存してしまったのかもしれない。
神経をすり減らした後に入る風呂はいつもより格別だ。緊張で固まった体に温かい湯が染み渡っていく。
「あー、このバブ当たりかもな。いい香りだ」
「うん、そうだね……」
背中側から聞こえるカオルの声はまだ少し固い。勃起をしなかったとはいえ、やはり包皮をむいた性器を直接触られるのは応えるのだろう。俺だって、例えカオルが相手だろうと性器を身内に触られれば心にしこりを残す。
しかし俺はもう心配していない。脱衣所で、カオルは笑ってくれたから。
人は慣れる生き物だ。痛みにも、苦痛にも、羞恥にも。カオルの介護においてこの行為が避けられない以上、大事なのは焦らないで時間をかけることだと思う。そうすればまたカオルは笑ってくれると、そう思う。
「そういや、今はまだふたりで浴槽に入れるけど。カオルがもう少し大きくなったらもう狭いよな」
「んー」
「もうそろそろ、俺とカオルの風呂の時間は分けた方がいいかもな」
カオルは一人では体を洗えない。どうせ俺が洗うのならばついでに入ってしまえと、当初はそう決めてしまったがカオルは思春期であると同時に成長期だ。いつかはふたりでは入れなくなるのは必至であり、これからはカオルの体を洗った後は退室した方がいいだろう。
「万が一風呂で溺れたりしないかとか不安にも思ってたけど、寝たりしなければ大丈夫そうだしな」
「……いや?」
ぽつりと背中から呟かれた声。同時に、背中にカオルの額が当たるのを感じる。
「ケン君は、オレと入るの嫌?」
中学生であれば、少しでも一人の時間が欲しいものだと思っていた。俺がそうだったからだ。親からの干渉を嫌って、よく反抗していたから。
カオルは甘えん坊だ。母親にべったりな子だったけれど、その親を喪い、そして体も削がれた子供だ。俺とは、何もかもが違うことを、忘れてはいけなかった。
「……入れなくなってから考えるか」
「うん……」
すりすりとカオルが背中に額を擦りつける。それから、しばらくはふたりは無言だった。天井から垂れる水滴が落ちる音と、換気扇が空気を循環させる音。それと、互いの心音。それだけが聴こえた。
「そろそろ出るか」
指がふやけて皮膚がしわしわになった頃、俺はそう言って立ち上がった。カオルも立ち上がり、浴槽の縁を跨いで湯船から上がる。
「よし、じゃあ体を拭くぞ」
湯船でかいた汗をシャワーで洗い流したカオルにバスタオルを被せる。頭から下に向かって、体の水滴を拭っていく。後は服を着せて、ドライヤーで髪を完全に乾かせば今日のお風呂もお終いだ。
どうなることかと思ったが、これで俺たちはいつも通りだ。
「カオル、足上げてくれないか?」
いつもは下着を準備すれば何も言わなくても足を上げてくれていた。しかし、なぜかカオルは声をかけても一向に足を上げない。
「カオル? 早く服着ないと体が冷めちまうぞ?」
「……っ、しっ……して」
上手く声が出せないのか、カオルの口がパクパクと開く。それだけで、俺は察してしまった。カオルが何を言いたくて、今まで何を考えていたのか。
「け、ケン君……し、してほしい……」
「……ずっと、それが言いたくて我慢してたのか?」
こくりと、カオルは小さく頷いた。きゅっと閉じられた目を見ると、心が痛んだ。俺がもっとカオルをちゃんと見てやれていれば、気づけたのだろうか。
「バカだな。そんな思いつめた表情しなくていいんだよ。遠慮するなって言っただろ?」
「うん……」
「服を着て、髪を乾かしてからでもいいか? じゃないとお互い湯冷めしちゃうからな」
「ごめん……」
「謝るなって」
わしゃわしゃとカオルの髪を撫でる。
カオルの自慰を手伝うのはこれで二回目で、二日連続だ。今回は石鹸の滑りが使えないが、それでもなんとかなるだろう。問題は、もっと別のところにある。
気にするなと、俺は言った。遠慮するなとも、俺は言った。それは紛れもない本心だ。カオルの性器を手淫すること自体にはなんの嫌悪感もない。
そしてカオルは俺の言葉通りにしたわけだが、カオルは勃起しているわけではない。下着を履かせている今も性器は小さいままで、昨日の今日で性欲が溜まりすぎて辛いということもないだろう。つまり、ただ気持ちよくなりたいだけなのだ、カオルは。
両腕のないカオルが楽しむことのできる娯楽は限られている。特にスポーツのような肉体に刺激を得るような娯楽だ。人目に触れるのを嫌がっていることもあり、カオルは事故に遭った日からまともに運動をしていない。そんなカオルにとって、肉体への性的快感は強すぎたのかもしれない。
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