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罰則ですか!?4 ※

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「あの、そう言えばクロムハート家からもう2人先に来てたと思うんですけど…
彼女達はどこに配属になったんですか?」

「あぁ、彼女達はそれぞれ母上と、兄上の下についてもらったよ
女性が本当に少ないから是非うちにもほしいって言われてね
なんの仕事になるかは2人に任せてるから分からないけど…」

「そ、そうですか…」


ちょっとホッとした
馬車であんな事があった後だから仕事場が同じだと気まずいもんね…


「そう言えば、シャルさんに王子様のお世話をする人だって言われたんですけど…
新人の私には出来ないので配属を変えていただきたいんです!」

「王子…」

「あの…?」


あれ?
なんか王子様の様子がおかしい


「マナはまた私の呼び方から教えないといけないのかな?」

「へ…?」


え…あ!
つい小説を読んでた時の癖で呼んじゃってた!?


「す、すみません、王太子殿下ですよね!」


そう、これが正式な王子様の呼び方だったはず!
王宮の侍女なんだから王子様呼びはまずいですよね…


「違うでしょ?
私はあの時しっかり躾けたとおもったんだけどね…」
 
「え…?」


あの時とは…?


「まさか…忘れてるの?」

「ひっ……」


グッと私のお腹周りを持たれてる手に力を入れられる


やばい、なんか分かんないけどこれ絶対怒ってる…


私はない頭をフル回転させて考えた

あの時って、小屋での時の事なんじゃ…
あの忘れたい卑猥な事故を思い出してまた顔が熱くなる

そういえばあの時何故か物凄く名前を呼ばせたがってたな…


「ディ…ディーンアデライト…殿下…?」

「マナ、ちょっと違うよね?」

「む、無理です!?
愛称呼びなんて不敬罪になっちゃいます!!」

「ならないし、私が許可するって前も言ったはずだよ?」

「ひゃあっ♡」


いきなりカプっと背後から耳を甘噛みされる


「ななな何するんですか!?」


驚いて身体を離そうとしたけど、すぐにお腹を引き寄せられてそんなに離せなかった


「相変わらず感じやすいんだね」

「なっ!?」


信じられない!?
あの時は仕方ないとはいえ、私が押し倒しちゃったのも悪かったから、きっと魔が差しちゃったんだなとかって思ってたけど…

やっぱりただのエロ王子じゃない!?


「ほら、なんて呼ぶんだっけ?」

「やっ…んっ…」


わざと耳に触れるか触れないかぐらいで囁いてきて擽ったい

これ早く言わなきゃ私の身がもたない気がする…


「ディ、ディーン様!!」


必死だったから少し大きな声がでちゃった…


「よく言えたね…」


頭を少し撫でられました


うぅ…自分で言わせたくせに…
飴と鞭の使い方がうまいというか、急に王子様感だしてきて優しくなるのは反則だと思うんですよね!?


「私の侍女なんだし、今後は絶対そう呼ぶようにしてね
破ったら私の膝の上より酷い罰則を設けるからね?」

「ひ……き、気をつけます!!」


冗談じゃない!?
さっきのサミュエルさんに見られたのだって、あまりの羞恥で、大切な何かが削れていくような感覚だったのに…
なんか私が考えてた恐ろしい罰則とは大分違うみたいだし、精神がえぐられるから本当に気をつけよう…

でもそっか、不敬罪かと思ったけど…
もしかしたら王子様付きの侍女なら愛称呼びが普通なのかも?


「あ、あとさっきの話だと、私のお世話をしたくないって風に聞こえたんだけど、気のせいだよね?」

「したくないとかじゃなくてですね…
王…ディーン様のお世話をするなんて、私は新人ですし、あまりにも荷が重すぎるので、元々やってた人と仕事を変えてほしいなって思いまして…」

「それはできないよ
私の侍女をしていたドーラが今日から休暇で、2週間ほど隣国のバカンスに行っちゃったからね
私の世話係りが誰もいないことになるんだよね…」

「え、お世話係が1人しかいないんですか!?」


王子様なのに!?

でも確かに書斎に入る前に扉横に護衛騎士の方が2人いたぐらいで、侍女が私以外見当たらなかったかも…


「女性が元々少ないのもあるけど、以前は3人ぐらいいたんだ…
けど、こっそり寝所に忍び込んできたり、媚薬を盛られたりとか、他にも色々あってね…
今は唯一信用できる、私の乳母もやっていたドーラだけを侍女としておいてるんだよ」

「そ、それは大変ですね…」


うわぁ…
王子様で顔が美形すぎるのも大変だな…


「で、でもそれなら尚更新人の私なんて絶対駄目じゃないですか!?
何かしちゃうかもしれないし、信用できないですよね?」

「え…マナが何かしてくれるの?」

「へ…?」


ど、どうしたんだろ…?
なんか妙に言葉に熱が籠ってるような…


「マナならいつでも大歓迎だよ」

「え???」


何が大歓迎なのか全く分からないんですが!?


「とにかく、人がいないんだから変更はできないよ」

「は、はい…」


うぅ…
これはもうやるしかないですね…

せいぜいやらかさないように頑張ろ!








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