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お礼ですか?

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なんだか頭に誰かの温もりを感じて心地良い…


「んん…」

「あ…起きたのか?」


薄らと声のした方へ目を開けると、マテリオールさんが優しい瞳でこちらを見ていた


「マテリオール…さん…?」

「俺の名前を知っているんだな
俺も、マナ…さんと呼んだ方がいいだろうか?」

「へ?
あ、全然呼び捨てで大丈夫です!」


あれ?
私マテリオールさんに名乗った事なんてあったかな? 

まぁ、私と同じでシャルさんとかに聞いたのかも…


「あの…もう起きて平気なんですか?」


顔色は戻ったみたいだけど、隈はまだ酷いままだ


「あぁ、最近あまり寝られなかったんだが…
何故か今日はぐっすり寝られた
マ…マナがついていてくれたお陰かもしれない
騎士としては倒れるなんて恥ずべき事だが、本当にありがとう」

「いえ、私なんて何もしてないですし
騎士さんだろうが何だろうが人なんですから、生きてれば体調ぐらい崩す時もありますよ!
しかも私、いつの間にか寝ちゃって…」


あれ?
そういえば今何時だろ!?

バッと窓の方を見ると、夕日が沈みかけていた


「あ、私帰らないと…」

「それなら俺が部屋まで送ろう」

「いやいや、マテリオールさんはまだ寝てないと!
部屋ぐらい1人で帰れますから大丈夫です!!」

「でも何か…お礼がしたい」

「へ…?」

「俺の事も運んでくれたらしいし、このまま何もしないのは騎士道に反する」

「いやいや、運んだと言っても殆ど男性執事の方が運んでくれましたし
私なんて足を持ってただけで、ほぼ何にもしてないですよ?」

「それだけじゃないぞ!
お前さんと手を繋いだまま、寝汗を拭いてやったり、中々に献身的な看護をしておったよ」


あ……
おじいちゃん先生がいる事をすっかり忘れてた


「あの、手を繋いでたというか
マテリオールさんが魘されながら手を伸ばしてたから、安心させようと手を握ったらこうなったと言うか…」

「そうか、マナが…
悪夢を見ていたのに、途中から光に変わって、誰かが引っ張り上げてくれた気がした
その後は嘘みたいに良い夢に変わったんだ
きっとマナのお陰だ…」


マテリオールさんの口端が一瞬だけど上がった気がした


「そ、そんな事ないです…」

「ホッホッホッ…
遠慮などせんと、せっかく男がお礼がしたいと言っておるんじゃ
ここはデートでも行ってきて、一発ヤるなりしてきたらどうじゃ?」

「は……?」

「へ……?」


で、デートなんかした事ない
それにやるって…何を?


「なんじゃ、そのアホ面は…
若いうちにハッスルせんでどうする?
ワシみたいに歳をとるとヤりたくても勃…もがっ!?」


マテリオールさんは飛び起きて、おじいちゃん先生の口を塞いでいる

ハッスルって、なに…?
よく分かんない…


「あの助平スケベ爺さんの言うことは気にするな
こ、今度食事にでも誘って良いだろうか?」

「は…はい…」


私は都合の良い日にと、マテリオールさんと食事の約束をした

美味しい行きつけの場所があると言われたので
まさか超ご立腹の王子様が仁王立ちで待ってるとは夢にも思わず、ルンルンで自室に帰った





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