ジャガイモ

坂田火魯志

文字の大きさ
4 / 5

第四章

しおりを挟む
 その中でだ。ふと幸一がある本を見つけてきたのだ。それは。
 「あっ、これって」
 「どうしたの?」
 「ほら、この本」
  こう言って幸二にもその本を見せたのだった。
 「見て」
 「あれっ、歴史の本なんだ」
 「うん、絵本だよ」
  それは一冊の絵本だった。ドイツ語でこう書かれていた。
 「王様とジャガイモ?」
 「またジャガイモ?」
  幸二はジャガイモの文字を読んでうんざりとした顔になった。
 「本当にジャガイモばかりだよね、ドイツって」
 「そうだね。けれどこの本面白そうだよ」
  幸一は本能的にこのことを悟って言ってきた。
 「どう?読む?」
 「そうだね。読んでみようよ」
 「うん、それじゃあ」
  こう話してであった。二人で席に着いてその絵本を読み出した。底には王様が国民のお腹を一杯にする為にジャガイモを食べさせる話だった。
 「ふうん、ジャガイモをね」
 「あんなの幾らでも食べられるじゃない」
  二人は読みながらまずはこう思った。しかしそれは違っていた。
  読んでいくうちにだ。二人はわかってきた。
 「皆最初はジャガイモ食べなかったんだ」
 「気持ち悪いとか言って」
 「それで王様は考えて」
 「貴族しか食べるなって言ったんだ」
  話を読んでいくうちにその流れがわかってきたのだ。
 「それでなんだ」
 「それで貴族の人しか食べちゃいけないって言って」
 「そうして食べさせたなんて」
 「考えたんだね」
  二人はその話を読んであらためて思ったのだった。
 「それで食べてみたら美味しくて」
 「凄い勢いで広まったんだ」
 「それがジャガイモだったんだ」
  二人はそのことも知った。そして。
  その話を両親にしてみた。するとだった。
 「ああ、そのお話はね」
 「本当のことだぞ」
  こう言うのだった。
 「それはこの国の王様の話で」
 「フリードリヒ大王の話だな」
 「フリードリヒっていったら」
 「どっかで聞いたよね」
  幸一と幸二も聞いたことのある名前だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...