【完結】大金を手に入れたので奴隷を買った!

セイヂ・カグラ

文字の大きさ
20 / 30

17話:変わらぬ日常※

しおりを挟む
 奴隷紋を就けられて数日。俺の日常は殆ど変わらなかった。

 朝食を作って、ギルドまでローレンスを見送って、家に帰ったら掃除洗濯を済ませ、夕飯を作る。最近は、弁当を作るようになったりして、益々奥様のようになっている。あとは、ローレンスが触れてくる…、夜のご奉仕が週に数回。それは、俺からすればむしろご褒美だし…。自分で言うのも何だが、本当に俺、ローレンスの奥様状態。正直、ローレンスにはメロメロというかなんというか。ローレンスの奴隷にしてもらえて幸せというか…、むしろ満足している自分に変態性を感じざる負えない。自分が奴隷だということを忘れるくらい甘やかされている。

 ローレンスは毎日、俺の首に奴隷紋があることを確認する。外に出る時は首を覆うような服を着るか、首輪を着けさせられる。首輪はネックレスのようなもので、ミール曰く最近ではオシャレのひとつらしい。ローレンスから貰った初めてのプレゼント。俺はそれがお気に入りで、しょっちゅう身に着けた。今日もローレンスは俺の首に触れる。相変わらず無言な彼は、するりと首を撫でて満足気に尻尾を揺らすのだ。首輪には見えない鎖が繋がっていて、その先にはローレンスがいる。

「今夜は美味いものが喰いたい。」

 ギルドに着くと、ローレンスは口元に三日月のよう笑みを浮かべて言った。この台詞を言われると、俺の身体は勝手に熱くなって耳まで紅くなる。これは奉仕をしろという命令なのだが、俺は勝手にお誘いだと思っている。まったく、俺の脳はお花畑。

「…おう」

 反抗なんてしない。流されるまま流されて、それを悦んですらいる。

「おかえり」
「早く喰わせろ」

 ちょっとだけ意地悪で優しいローレンスとのセックスは好き。

「わっ、ぁ…、は、んっ」
「ふっ、美味そうな匂いだ。オレのはたまらなく愛らしい。」
「ろ、れんす、ぁっ、あ…、ひぅっ」
「腰を下ろせ、ゼン。自分で挿れろ、教えたからできるよな?」
「…っ、……ふ、ふーっ、ぅ」

 でも俺は、ローレンスの恋人じゃない。
 忘れちゃいけない、勘違いしちゃいけない。俺は、ローレンスの恋人じゃなくて奴隷。
 それでも、ローレンスがあんまりに甘ったるいから、間違えちゃいそうになるんだ。
 まるで俺に執着してるみたいな…、俺を欲しがっているみたいな、そんな態度のせい。
 まだ聞けない。『どうして俺を奴隷にしたんだ?』と問いたい。
 返ってきた返事がもしも、満たされるものでなかったらと思うと怖くて聞けない。

 このままで、いいじゃないか。
 このままでいれば、俺は大好きなローレンスに抱いてもらえる。  
 恋する人の側に居られるのなら、この関係を壊したくない。

「ローレンスっ、んっ、ぁあっ…!」
「ゼン…っ、気持ち良いか?」
「ぁ、あっ、いいっ、いい、んっ。イクッ、イクぅっ、ーーーーっ!」


  


 それでも、やっぱり俺はちょっとだけ勘違いをする。

 気がつけば、ギルドの掲示板で見かけた貼り紙を思わず手に取っていた。ローレンスのためになると思って、良い考えだと上機嫌にそれを渡した。

「家庭教師…? なんだこれは」
「ローレンス、勉強してみないか!」
「あ?」
「ローレンスは文字も読めるし、頭が良いだろ! 勉強したら、やりたいこともっと色々できるんじゃねぇかなぁって考えてさっ。ああ、金のことは心配ないぞ、俺が出す! だからっ」
「必要ない」

 バッサリと切るように言い放たれ、俺は呆気に取られた。
 あ、間違った。俺、偉そうに何してんだろ。
 自分の立場も忘れて、勝手に舞い上がって馬鹿なことを…。

「ご、ごめん。俺さ、ガキの頃から働いてたから学校とか勉強する場所に行ったことなくて…文章だって、まともに読めない。勉強ができたらもっと良い仕事を見つけられるんじゃないかって何度も思った。魔法が使えなくても文字の読み書きができれば仕事がある。だから、勉強というものに憧れてた…。」

 ローレンスは、俺の話を静かに聞いている。止めることも頷く無く、ただジッと俺を見つめた。
 その視線に緊張しながらも早口に言葉が溢れ出して止まらなかった。

「生憎、俺は馬鹿だから勉強しても仕方が無いだろ…。でも、ローレンスは頭が良いし、若い?から、きっと勉強すれば将来が広がるんじゃないかって思った。」

 尻窄みになっていく声と、いつの間にか自分の足先を見る視線。その視線の端でローレンスが足を組み替えるのが見えた。

「ゼンが勉強すればいいだろう。」
「へっ?」

 予想していなかった言葉に素っ頓狂な声が出る。
 少しだけ、興味はある。でも、俺が俺に金を使うのは勿体無い。

「いや、俺はいいよ。ローレンスにどうかって思ったんだ。必要なかったらいいんだ。ただ、ローレンスには希望があるからさ。」

 もうこのチラシはいらないと、ローレンスの手から回収するため手を伸ばすが、紙は引っ込められ掴めない。代わりに顔を上げたローレンスが、まじまじとチラシを読んだ。

「……試してみてもいい。」
「えっ…、本当!」
「試すだけだ」
「も、もちろん! わかんねぇけど、きっとすげぇ良いと思う!」

 そうして俺達は、この家にはじめて他人を招き入れることになった。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜

飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。 でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。 しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。 秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。 美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。 秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

転生したらスパダリに囲われていました……え、違う?

米山のら
BL
王子悠里。苗字のせいで“王子さま”と呼ばれ、距離を置かれてきた、ぼっち新社会人。 ストーカーに追われ、車に轢かれ――気づけば豪奢なベッドで目を覚ましていた。 隣にいたのは、氷の騎士団長であり第二王子でもある、美しきスパダリ。 「愛してるよ、私のユリタン」 そう言って差し出されたのは、彼色の婚約指輪。 “最難関ルート”と恐れられる、甘さと狂気の狭間に立つ騎士団長。 成功すれば溺愛一直線、けれど一歩誤れば廃人コース。 怖いほどの執着と、甘すぎる愛の狭間で――悠里の新しい人生は、いったいどこへ向かうのか? ……え、違う?

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます

ふくやまぴーす
BL
旧題:平凡な俺が双子美形御曹司に溺愛されてます〜利害一致の契約結婚じゃなかったの?〜 名前も見た目もザ・平凡な19歳佐藤翔はある日突然初対面の美形双子御曹司に「自分たちを助けると思って結婚して欲しい」と頼まれる。 愛のない形だけの結婚だと高を括ってOKしたら思ってたのと違う展開に… 「二人は別に俺のこと好きじゃないですよねっ?なんでいきなりこんなこと……!」 美形双子御曹司×健気、お人好し、ちょっぴり貧乏な愛され主人公のラブコメBLです。 🐶2024.2.15 アンダルシュノベルズ様より書籍発売🐶 応援していただいたみなさまのおかげです。 本当にありがとうございました!

給餌行為が求愛行動だってなんで誰も教えてくれなかったんだ!

永川さき
BL
 魔術教師で平民のマテウス・アージェルは、元教え子で現同僚のアイザック・ウェルズリー子爵と毎日食堂で昼食をともにしている。  ただ、その食事風景は特殊なもので……。  元教え子のスパダリ魔術教師×未亡人で成人した子持ちのおっさん魔術教師  まー様企画の「おっさん受けBL企画」参加作品です。  他サイトにも掲載しています。

転移先で辺境伯の跡継ぎとなる予定の第四王子様に愛される

Hazuki
BL
五歳で父親が無くなり、七歳の時新しい父親が出来た。 中1の雨の日熱を出した。 義父は大工なので雨の日はほぼ休み、パートに行く母の代わりに俺の看病をしてくれた。 それだけなら良かったのだが、義父は俺を犯した、何日も。 晴れた日にやっと解放された俺は散歩に出掛けた。 連日の性交で身体は疲れていたようで道を渡っているときにふらつき、車に轢かれて、、、。 目覚めたら豪華な部屋!? 異世界転移して森に倒れていた俺を助けてくれた次期辺境伯の第四王子に愛される、そんな話、にする予定。 ⚠️最初から義父に犯されます。 嫌な方はお戻りくださいませ。 久しぶりに書きました。 続きはぼちぼち書いていきます。 不定期更新で、すみません。

処理中です...