転生先が同類ばっかりです!

羽田ソラ

文字の大きさ
6 / 132
異世界転生編

5.ギルドに登録するよ

しおりを挟む
 俺に応対した女性、名をマリアというらしいが、非常に感じよくしてくれた。聞けばこの街に……というかこの国に流れ着いた人が初めて訪れるのがこのギルドということはよくあるそうで、それなりに受付も慣れているのだという。
 ……案内所か何かも兼ねてるのかな?

「それでは総合職ギルドについて説明します。当ギルドは名前の通り仕事の内容を問わず受け付けているギルドです。内容によっては鍛冶ギルドや服飾ギルド、はたまた冒険者ギルドなどに協力を要請したりしますが、基本的には独立して仕事依頼を受け付けております」
「……ん? 総合職ギルドの他に冒険者ギルドがあるんですか?」
「そうですね、皆様それで結構疑問に思われるんですが、こちらは必ずしも武力が必要な職種ではございませんので、そこで住み分けの方を」

 なるほど、本当に何でも屋って感じなんだな……しかしそうなると。

「この総合職ギルドと……いわゆる専門のギルドの違いって何なんです? こっちが何でも屋なら、全部こっちに任せちゃってもいいんじゃ」
「専門のギルドの方が置いてある備品などが上質なので、コストパフォーマンスがいいんですよ。こちらで同じ作業をしようとした場合、高度なものであれば倍くらい値段が変わります」
「ああ、だから住み分け」
「そういうことです。さて、ではギルド登録をしてしまいましょう。お名前をフルネームでお願いします」
「トーゴ=ミズモトです。トーゴが名前でミズモトが苗字」
「トーゴ=ミズモトさんですね。ではこちらの金属板に手を載せてください。これで現在のミズモトさんの状態をステータス化しますので」
「はい」

 差し出された金属板は今まで結構長く使っていたのか、ところどころ古くなっている部分が見受けられる。こういう時は石板にしないのか、とも思ったが、そう言えば市内の路面電車やトロリーバスは金属の電線を使ってたな……電気と同じ感覚で魔力を使っているんだとしたら、石では無理なのかも。
 そんなことを考えつつ金属板に手を載せること30秒ほど。

「はい、結構です。ではこちらのディスプレイでステータスを確認後、ギルドカードを作成します」

 俺が板から手を放したのを確認したマリアさんが手元のデバイスで何やら操作すると、彼女の言う通り俺のステータスがディスプレイに表示された。

 HP:360/360
 MP:1600/1600
 STR:125
 DEX:267
 WIL:103
 INT:221
 LUC:57

 取得魔法一覧:
  素材捜索
  素材鑑定
  素材合成
  素材分解
  素材変換
  性質付与
  自動製作
  製作物強化
  ポーション合成
  ポーション鑑定
  ……



 うん、最初に確認したステータスと同じだな。俺の場合は自分で好きな時にこれを見られるけど、普通はこうして確認するものなのか……

「魔力が4桁!? 今まで新人からベテランまでいろいろな人のステータスを見てきましたが、こんな数値見たことありませんよ!? 運以外3桁ですし、これ普通の専門職ギルドでも問題なく登録可能なレベルです!」
「……そうなんですか? 他の人のことはよくわからなくて」
「非常に優秀な冒険者で生命力と魔力が200台中盤、その他ステータスが100前後……ああ、運に関してはそこから少し前後しますが、それくらいなんです。一般人だと生命力と魔力以外が一桁なんてのも珍しくはありません。
 それと取得魔法一覧! 何ですかこの種類の数!!」
「いやー、何か結構便利だなーと思いながら使ってましたけどそんなになってましたか」

 ゴメンナサイ。特別転生の特典です。それにここには書いてませんが不老不死も不可視インベントリもあります……あれ? 今何か転生時にはない引っ掛かりがあったような……まあいいか、後で。

「しかしこれだけのステータスは本当に見たことがありません……が、いずれにしてもギルドへの登録手続きの一環として、まずひとつ簡単な依頼を受けて頂きます」
「簡単な依頼、ですか?」
「依頼と言ってもチュートリアル的なものですので、依頼主は当ギルドとなります。着手金はなし、達成報酬は5銅、報酬で2階の食堂で使える食券を購入いただく……までがセットです」
「なるほど、そういうことですか」

 達成報酬が5銅……銅貨5枚だと思うが、日本円に直すと500円くらいか? ということは本当に簡単な作業なんだろうな。

「大体こういうギルドに登録する方は普通の方が多いので、多くは上の食堂で皿洗い1時間といった形になるんですが、それでもよろしいですか?」
「お願いします。見ての通り一張羅しかありませんし」

 1時間の皿洗い、ということは時給500円くらいか。この世界の基準が分からないけどそのくらいなのかな? それに補償に使われるであろう着手金もなしで済むならそれが一番いいしな……

「分かりました。それではこちらのエプロンをつけて、この用紙を持って2階の厨房に行ってください。ギルドカードはそれが終わってからお渡ししますので」



 言われた通りエプロンをつけて2階に上がって、従業員用のドアから入ったところでもらった用紙を回収された。本スタッフにしても、チュートリアルの依頼ということもあってか手馴れている感が凄い。
 そして皿洗いの具体的な作業内容を聞くと、大雑把に皿についた汚れを落としてカゴに放り込んでおけばいい、とのこと。そんなレベルでいいのか、とも思ったけど、どうやら食洗器のようなものでちゃんと消毒までするらしい。
 ……って、食洗器まであるのかこの世界。ますます中世ヨーロッパから技術レベルが外れてるな……

 そんなこんなで皿洗いを続けていたのだが。

「……あれ」
「ん、どうした?」
「ああいえ、何でもありません」

 洗い物として運ばれる皿という皿、どこを見ても陶磁器が存在しない。全部木製か鉄板、あとはフォークとナイフが金属製なくらいだ。鉄板にしてもそれほど多いわけではなく、8割くらいが木製の食器だろうか。
 なるほど、皿を割る可能性もあるのに着手金がなしなのはどういうことかと思ったが、そもそも割る確率が低いってことなんだ。それともそれを見越してこういう食器にしているのか……両方なんだろうな。

 しかし簡単な作業とは言っていたが、これを1時間やって5銅か……何となく、報酬の基準がつかめてきた気がする。あとは物価だけど、5銅分が食券になることを考えるとそこまで常識外れな感じにはならない気がする。
 まあとにかく、1時間は皿洗いに徹しよう。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

転生したみたいなので異世界生活を楽しみます

さっちさん
ファンタジー
又々、題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… 沢山のコメントありがとうございます。対応出来なくてすいません。 誤字脱字申し訳ございません。気がついたら直していきます。 感傷的表現は無しでお願いしたいと思います😢 ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

処理中です...