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4話 しくじり
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一週間気楽に暮らしてよと言われたものの、義宗さん無理そうです。
ご飯は美味しい、寝る所はのびのびとできるし、部屋は綺麗、住むには最高の条件が揃っている。
家に一切不満はない。
「終わったら、一緒に帰ろっかスズ」
「キャンセルってできますか」
「帰ろ、な」
俺が縦に首を振ると三船は役目が終わったかのように自分の教室に戻っていく。
そして、後ろを見なくても感じる、教室の皆んなが俺の背中を指している事が。
何故、噂の三船と平凡な野郎が朝一緒に登校しているのと、皆口元を隠して話しているのだろう。
だから、一緒の登校は嫌だと言ったのにと、地団駄を踏んでも遅い。
そもそも、家を出る前にちょっとした発言が引き金になった。
別々に家を出るつもりだった俺は、朝ご飯、歯磨きなど身支度をゆっくりとしたりと、タイミングをずらして家を出ようした。
初めの三船は特に一緒に出ようが、出ないが、どちらでも良かったのだと思う。
そう思わせるように、身支度終えた三船は、特に気にせず俺を置いて家から出ようとしたのを横目で見ているからだ。
そこに洗濯物運んでいた義宗さんが偶々通りかかって、
「三船、スズ君のことよろしくね」
義宗さん的には、学校でも仲良くしてあげてねという特に深い意味ない気兼ねない言葉だった筈だ。
そう特に意味はない言葉に、三船は機械のように突然ピタリと止まる。
『嫌です』とか言われるのだろうかと内心ハラハラしながら見守っていた。
けれど、特に返事はせず数秒経ったぐらいにまた玄関の方に進みだした。
明らかに挙動がおかしい。どうしたのだろうかと思いつつ、俺は歯を磨くのに集中を戻す。これが大きな勘違いだということを気づかずに。
家にいないだろうと、思うタイミングで全ての身支度終わらせて、スクール鞄を持ち玄関に向えば、何故か頬杖をついて待ちぼうけいる三船がいた。
「遅い」
そして、俺に向かってぶっきらぼうに言うのだ。
曲がった背中が見えた時点で何故いると、思わず『イッ』としゃくりのような声が出ていた。
「さっさきに出たはず」
「……先に行こうとしたけど、義宗が」
「義宗さんが?」
「アンタ、スズのこと頼むって言われたから、スズの事護らないといけない。だから、学校まで送り届ける」
「えっ、いや、そんなこといつ言って」
「さっき、よろしくって……」
遅刻すると俺の腕を引っ張る三船。
「待って、それ多分というか、確実に解釈違いだと思んですけど、というか靴はかせて!」
玄関で叫ぶ事になった俺。その後、靴は履かせてもらい、学校までの道のりで誤解を解こうとしたが無理だった。
「だから、俺たちが一緒に移動することによって、不利益が働くの、わかる!」
どれだけ力説しても、大声で叫んでも、無視して突き進む三船。
一ミリも彼の心を動かせなかった結果が、冒頭の朝の登校事件に戻る。
その光景に『どう言う事』『何故』皆の興味津々の視線に押され、俺の肩が小さく小さく畳まれていく。
「なに、なに、いつの間に噂のイケメンと仲良くなってるんだ」
席につけば、友人の富田が小鼻を膨らまして近づいてきた。
友人よ、楽しい話ではない。
「いや。ホント、色々あって」
「えーと、話が長い感じか」
「納得している人を説得させる大変さを今日知った」
「大丈夫か、話聞こうか」
「……聞いてくれる」
富田は気まずく『おう』と返事をする。全て話す前に、皆が聞き耳を立てている教室とは違う場所、昼休みに屋上で話すことにした。
ご飯は美味しい、寝る所はのびのびとできるし、部屋は綺麗、住むには最高の条件が揃っている。
家に一切不満はない。
「終わったら、一緒に帰ろっかスズ」
「キャンセルってできますか」
「帰ろ、な」
俺が縦に首を振ると三船は役目が終わったかのように自分の教室に戻っていく。
そして、後ろを見なくても感じる、教室の皆んなが俺の背中を指している事が。
何故、噂の三船と平凡な野郎が朝一緒に登校しているのと、皆口元を隠して話しているのだろう。
だから、一緒の登校は嫌だと言ったのにと、地団駄を踏んでも遅い。
そもそも、家を出る前にちょっとした発言が引き金になった。
別々に家を出るつもりだった俺は、朝ご飯、歯磨きなど身支度をゆっくりとしたりと、タイミングをずらして家を出ようした。
初めの三船は特に一緒に出ようが、出ないが、どちらでも良かったのだと思う。
そう思わせるように、身支度終えた三船は、特に気にせず俺を置いて家から出ようとしたのを横目で見ているからだ。
そこに洗濯物運んでいた義宗さんが偶々通りかかって、
「三船、スズ君のことよろしくね」
義宗さん的には、学校でも仲良くしてあげてねという特に深い意味ない気兼ねない言葉だった筈だ。
そう特に意味はない言葉に、三船は機械のように突然ピタリと止まる。
『嫌です』とか言われるのだろうかと内心ハラハラしながら見守っていた。
けれど、特に返事はせず数秒経ったぐらいにまた玄関の方に進みだした。
明らかに挙動がおかしい。どうしたのだろうかと思いつつ、俺は歯を磨くのに集中を戻す。これが大きな勘違いだということを気づかずに。
家にいないだろうと、思うタイミングで全ての身支度終わらせて、スクール鞄を持ち玄関に向えば、何故か頬杖をついて待ちぼうけいる三船がいた。
「遅い」
そして、俺に向かってぶっきらぼうに言うのだ。
曲がった背中が見えた時点で何故いると、思わず『イッ』としゃくりのような声が出ていた。
「さっさきに出たはず」
「……先に行こうとしたけど、義宗が」
「義宗さんが?」
「アンタ、スズのこと頼むって言われたから、スズの事護らないといけない。だから、学校まで送り届ける」
「えっ、いや、そんなこといつ言って」
「さっき、よろしくって……」
遅刻すると俺の腕を引っ張る三船。
「待って、それ多分というか、確実に解釈違いだと思んですけど、というか靴はかせて!」
玄関で叫ぶ事になった俺。その後、靴は履かせてもらい、学校までの道のりで誤解を解こうとしたが無理だった。
「だから、俺たちが一緒に移動することによって、不利益が働くの、わかる!」
どれだけ力説しても、大声で叫んでも、無視して突き進む三船。
一ミリも彼の心を動かせなかった結果が、冒頭の朝の登校事件に戻る。
その光景に『どう言う事』『何故』皆の興味津々の視線に押され、俺の肩が小さく小さく畳まれていく。
「なに、なに、いつの間に噂のイケメンと仲良くなってるんだ」
席につけば、友人の富田が小鼻を膨らまして近づいてきた。
友人よ、楽しい話ではない。
「いや。ホント、色々あって」
「えーと、話が長い感じか」
「納得している人を説得させる大変さを今日知った」
「大丈夫か、話聞こうか」
「……聞いてくれる」
富田は気まずく『おう』と返事をする。全て話す前に、皆が聞き耳を立てている教室とは違う場所、昼休みに屋上で話すことにした。
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