38 / 133
末路(セレーナ視点)
幼い頃は、それはそれはアルシエの事が可愛くて仕方なかった。初めての弟だもの、私が守ってあげなきゃって思ったの。
まだ四つの私よりも小さくて、抱き上げた時の重さや温もりは昨日の事のように覚えてる。
でも、それが一変したのは測定の日。
アルシエには動物や植物と話せるという意味の分からない能力があったけれど、マルグリア家に生まれた後継者である事には変わらなかったから、誰もがその魔力値を期待した。私という前例もあったし。
だけどアルシエには生まれたばかりの赤ん坊と同じほどの魔力しかなく、父は落胆と怒りですぐにアルシエに与えていたあらゆる物を取り上げた。
服も、本も、おもちゃも、それまでの愛情も何もかも。
代わりに与えられたのは離れにあるボロ小屋と、使用人の着古したサイズの合わない服だけ。
それからは使用人よりもひどい扱いを受け、あの子はどんどん痩せ細り、仕事もろくに出来ず怒鳴られ続ける日々を送った。
時々お母様が様子を伺ってたみたいだけど、ほとんど食事も摂れない中で良く生きていたと思うわ。
そして私も、あの子をそうして扱う一人になった。
あの子がいるせいで、私は友人たちから笑われ、家門をバカにされ、たくさん悔しい思いをしたの。許せなかった。積み上げてきたマルグリア家の功績が、私のこれまでの実績が、アルシエたった一人に崩された事が。
だからあの子を悪者に仕立て上げ、立場を弱いものにしていった。
幸せになんてさせない。私が味わった屈辱以上のものをあの子に与えなきゃ気が収まらない。これは恨みに等しかった。
それなのに、公爵様はあの子を選んだ。最初に求婚した私ではなく、役立たずで出来損ないのあの子を。
どうして? あの子の何がいいの?
いつもおどおどして、まともに話せもしないあの子のどこが。
腹立たしかったけど、私にはまだ秘策があった。魔力の高い私だからこそ出来る事が。
今までだってこの力を利用して来たんだから、公爵様を私のものに出来るならなんでもいい。アルシエにだけは渡さない。絶対に。
部屋の中が静まり返っている。
私のした事を悟った公爵様が部屋へと訪れ、なぜあんな事をと詰問してきた。あの執事長にかけた術が解けた時に気付かれた事を知ったけど、まさかそのあと全員を一斉に解放するとは思わなかったわ。
王族を除けば最強クラスの魔力持ちと謳われるだけある。
バレてしまったし、特に隠すつもりもないから理由を話したけど、それを聞いた公爵様はさらに険しい顔をして、私はすぐにでも火炙りにされるじゃないかと思った。
何もかも上手くいってたのに⋯やっぱり公爵様をどうにかする事は無理だったみたい。
さすがは筆頭貴族であらせられるリトルハイム公爵閣下様だわ。
「同情の余地すらないな」
「してくださるつもりでした? 残念です」
「お前が味わった屈辱とやらは、アルシエが望んだ事ではないだろう。この世界で魔力が少ない事は生活面に於いては致命的だが、非道な扱いをされる理由にはならない」
それはあなたが、魔力の少ないあの子を守ってやれる力があるからよ。
あの家では、望まれるだけの魔力がない者は生きる権利さえなくなる。アルシエが命を繋いだのはおそらく動物たちの施しがあったからでしょうけど、動植物と話も出来なかったらあの子はとっくに死んでた。
それくらい、マルグリアにとっては重要な事なのよ。
「アルシエはお前に助けを求めなかったか? それまで可愛がってくれていた姉を、アルシエは愛していたと思うがな」
「あの子の手を取れば、私までひどい目に遭う。あの子だけで済んで良かったのよ」
「どうしてそこまで⋯」
「可愛さ余って憎さ百倍、という言葉をご存知?」
八年は決して短くない。私にだって情はあったけど、それ以上に周りから笑われる事が耐えられなかった。
私に媚びへつらっていたくせに、途端に手の平を返してアルシエと並べて語る。
アルシエさえいなければ、私があんな目に遭う事はなかった。
「⋯改善する気はないんだな?」
「ありません。私は、あの子が憎くて堪らないのですから」
今更この性格を治す事なんて出来ない。ずっと憎んで、早くいなくなればいいって思ってたんだから。
公爵様はソファから立ち上がると、何かのボタンを押して息を吐いた。
「どんな理由があれ、魔法で人の思考を操る事は禁忌だ。お前を自警団へ引き渡す」
「⋯⋯⋯」
「手を出せ。言っておくが、大人しく従った方が身の為だぞ。お前はアルシエを傷付けた、情けはかけない」
私の魔法にあっさりとかかったあいつらの方が悪いでしょうに、公爵様は何を言っているのかしら。
抵抗する気なんて最初からなく、素直に腕を出せば魔力封じの術が施された手錠が嵌められ部屋の扉や窓にも結界が張られる。
「夜が更けるまでここで待っていろ」
「あら、猶予をいただけるんですか?」
「まさか。アルシエにとっては腐っても家族だからな。見せたくないだけだ」
「ずいぶんと過保護です事」
愛されて、甘やかされて、あの子もずいぶんといいご身分になったものね。
私とは違って、ありのままの自分を大切にして貰えてる。何て贅沢なのかしら。
「公爵様、あの子に伝言をお願いしても?」
「⋯なんだ」
禁忌魔法を使った者は、魔力を極限まで奪われた上に北にある白の塔で死ぬまで幽閉される。伯爵家ももうおしまいね。
これはすべてアルシエが招いた事。だから、気持ちは変わらない。
「〝私は一生、貴方を恨んで生きていくわ〟」
「⋯⋯反吐が出るな」
分かってはいたけど伝えてくれる気はなさそうで、公爵様はそう吐き捨てると足音を立てて部屋から出て行った。それが次第に遠ざかり、聞こえなくなったところで私はベッドへと腰を下ろす。
「何を言われようと、一矢は報いてやったわ」
まったく何も出来ないよりはマシよね。
それにしても、魔力を使い過ぎて使われたわ。自警団が来るまで時間もあるし、少し休むとしようかしら。
結界のおかげで何の音もしないこの静かな部屋で、ゆっくりとね。
まだ四つの私よりも小さくて、抱き上げた時の重さや温もりは昨日の事のように覚えてる。
でも、それが一変したのは測定の日。
アルシエには動物や植物と話せるという意味の分からない能力があったけれど、マルグリア家に生まれた後継者である事には変わらなかったから、誰もがその魔力値を期待した。私という前例もあったし。
だけどアルシエには生まれたばかりの赤ん坊と同じほどの魔力しかなく、父は落胆と怒りですぐにアルシエに与えていたあらゆる物を取り上げた。
服も、本も、おもちゃも、それまでの愛情も何もかも。
代わりに与えられたのは離れにあるボロ小屋と、使用人の着古したサイズの合わない服だけ。
それからは使用人よりもひどい扱いを受け、あの子はどんどん痩せ細り、仕事もろくに出来ず怒鳴られ続ける日々を送った。
時々お母様が様子を伺ってたみたいだけど、ほとんど食事も摂れない中で良く生きていたと思うわ。
そして私も、あの子をそうして扱う一人になった。
あの子がいるせいで、私は友人たちから笑われ、家門をバカにされ、たくさん悔しい思いをしたの。許せなかった。積み上げてきたマルグリア家の功績が、私のこれまでの実績が、アルシエたった一人に崩された事が。
だからあの子を悪者に仕立て上げ、立場を弱いものにしていった。
幸せになんてさせない。私が味わった屈辱以上のものをあの子に与えなきゃ気が収まらない。これは恨みに等しかった。
それなのに、公爵様はあの子を選んだ。最初に求婚した私ではなく、役立たずで出来損ないのあの子を。
どうして? あの子の何がいいの?
いつもおどおどして、まともに話せもしないあの子のどこが。
腹立たしかったけど、私にはまだ秘策があった。魔力の高い私だからこそ出来る事が。
今までだってこの力を利用して来たんだから、公爵様を私のものに出来るならなんでもいい。アルシエにだけは渡さない。絶対に。
部屋の中が静まり返っている。
私のした事を悟った公爵様が部屋へと訪れ、なぜあんな事をと詰問してきた。あの執事長にかけた術が解けた時に気付かれた事を知ったけど、まさかそのあと全員を一斉に解放するとは思わなかったわ。
王族を除けば最強クラスの魔力持ちと謳われるだけある。
バレてしまったし、特に隠すつもりもないから理由を話したけど、それを聞いた公爵様はさらに険しい顔をして、私はすぐにでも火炙りにされるじゃないかと思った。
何もかも上手くいってたのに⋯やっぱり公爵様をどうにかする事は無理だったみたい。
さすがは筆頭貴族であらせられるリトルハイム公爵閣下様だわ。
「同情の余地すらないな」
「してくださるつもりでした? 残念です」
「お前が味わった屈辱とやらは、アルシエが望んだ事ではないだろう。この世界で魔力が少ない事は生活面に於いては致命的だが、非道な扱いをされる理由にはならない」
それはあなたが、魔力の少ないあの子を守ってやれる力があるからよ。
あの家では、望まれるだけの魔力がない者は生きる権利さえなくなる。アルシエが命を繋いだのはおそらく動物たちの施しがあったからでしょうけど、動植物と話も出来なかったらあの子はとっくに死んでた。
それくらい、マルグリアにとっては重要な事なのよ。
「アルシエはお前に助けを求めなかったか? それまで可愛がってくれていた姉を、アルシエは愛していたと思うがな」
「あの子の手を取れば、私までひどい目に遭う。あの子だけで済んで良かったのよ」
「どうしてそこまで⋯」
「可愛さ余って憎さ百倍、という言葉をご存知?」
八年は決して短くない。私にだって情はあったけど、それ以上に周りから笑われる事が耐えられなかった。
私に媚びへつらっていたくせに、途端に手の平を返してアルシエと並べて語る。
アルシエさえいなければ、私があんな目に遭う事はなかった。
「⋯改善する気はないんだな?」
「ありません。私は、あの子が憎くて堪らないのですから」
今更この性格を治す事なんて出来ない。ずっと憎んで、早くいなくなればいいって思ってたんだから。
公爵様はソファから立ち上がると、何かのボタンを押して息を吐いた。
「どんな理由があれ、魔法で人の思考を操る事は禁忌だ。お前を自警団へ引き渡す」
「⋯⋯⋯」
「手を出せ。言っておくが、大人しく従った方が身の為だぞ。お前はアルシエを傷付けた、情けはかけない」
私の魔法にあっさりとかかったあいつらの方が悪いでしょうに、公爵様は何を言っているのかしら。
抵抗する気なんて最初からなく、素直に腕を出せば魔力封じの術が施された手錠が嵌められ部屋の扉や窓にも結界が張られる。
「夜が更けるまでここで待っていろ」
「あら、猶予をいただけるんですか?」
「まさか。アルシエにとっては腐っても家族だからな。見せたくないだけだ」
「ずいぶんと過保護です事」
愛されて、甘やかされて、あの子もずいぶんといいご身分になったものね。
私とは違って、ありのままの自分を大切にして貰えてる。何て贅沢なのかしら。
「公爵様、あの子に伝言をお願いしても?」
「⋯なんだ」
禁忌魔法を使った者は、魔力を極限まで奪われた上に北にある白の塔で死ぬまで幽閉される。伯爵家ももうおしまいね。
これはすべてアルシエが招いた事。だから、気持ちは変わらない。
「〝私は一生、貴方を恨んで生きていくわ〟」
「⋯⋯反吐が出るな」
分かってはいたけど伝えてくれる気はなさそうで、公爵様はそう吐き捨てると足音を立てて部屋から出て行った。それが次第に遠ざかり、聞こえなくなったところで私はベッドへと腰を下ろす。
「何を言われようと、一矢は報いてやったわ」
まったく何も出来ないよりはマシよね。
それにしても、魔力を使い過ぎて使われたわ。自警団が来るまで時間もあるし、少し休むとしようかしら。
結界のおかげで何の音もしないこの静かな部屋で、ゆっくりとね。
あなたにおすすめの小説
【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。
村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました!
ありがとうございました!!
いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い
<あらすじ>
魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。
見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。
いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。
ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。
親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。
※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。
└性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。
※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました!
最終17位でした!応援ありがとうございます!
あらすじ
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ぼくの婚約者を『運命の番』だと言うひとが現れたのですが、婚約者は変わらずぼくを溺愛しています。
夏笆(なつは)
BL
公爵令息のウォルターは、第一王子アリスターの婚約者。
ふたりの婚約は、ウォルターが生まれた際、3歳だったアリスターが『うぉるがぼくのはんりょだ』と望んだことに起因している。
そうして生まれてすぐアリスターの婚約者となったウォルターも、やがて18歳。
初めての発情期を迎えようかという年齢になった。
これまで、大切にウォルターを慈しみ、その身体を拓いて来たアリスターは、やがて来るその日を心待ちにしている。
しかし、そんな幸せな日々に一石を投じるかのように、アリスターの運命の番を名乗る男爵令息が現れる。
男性しか存在しない、オメガバースの世界です。
改定前のものが、小説家になろうに掲載してあります。
※蔑視する内容を含みます。
何もしない悪役令息になってみた
ゆい
BL
アダマス王国を舞台に繰り広げられるBLゲーム【宝石の交響曲《シンフォニー》】
家名に宝石の名前が入っている攻略対象5人と、男爵令息のヒロイン?であるルテウスが剣と魔法で、幾多の障害と困難を乗り越えて、学園卒業までに攻略対象とハッピーエンドを目指すゲーム。
悪役令息として、前世の記憶を取り戻した僕リアムは何もしないことを選択した。
主人公が成長するにつれて、一人称が『僕』から『私』に変わっていきます。
またしても突発的な思いつきによる投稿です。
楽しくお読みいただけたら嬉しいです。
誤字脱字等で文章を突然改稿するかもです。誤字脱字のご報告をいただけるとありがたいです。
2025.7.31 本編完結しました。
2025.8.2 番外編完結しました。
2025.8.4 加筆修正しました。
2025.11.7 番外編追加しました。
2025.11.12 番外編追加分完結しました。
第13回BL大賞で奨励賞を賜りました。お読みくださった方、投票してくださった方、本当に、本当にありがとうございます。
2026.1.11 ムーンライトノベル様に投稿しました。細かい箇所は改稿しているので、アルファポリスとは多少内容が変わっています。
その首輪は、弟の牙でしか外せない。
ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。
第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。
初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。
「今すぐ部屋から出ろ!」
独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。
翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。
「俺以外に触らせるな」
そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。
弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。
本当にこのままでもいいのか。
ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。
その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。
どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。
リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24)
※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。
三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。