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ルディウスの為に出来ること
ルディウス様が迎えに来てくれた時、その顔にあるものに僕は大きく目を見瞠った。
「る、ルディウス様⋯その傷は⋯」
「いや、書類が顔に当たって⋯」
「どう扱ったらそこに当たるんですか⋯!」
ルディウス様の綺麗な顔に傷が⋯幸い浅いみたいだしすぐに目立たなくなるだろうけど、それより怪我をした事実が問題だよ。
思わず手を伸ばしたら屈んでくれて、指先でそっと触れると優しく微笑まれる。
「い、痛くない、ですか?」
「ああ。血もすぐ止まったし、問題はない」
「消毒は? 確か、怪我を治してくれる方いますよね?」
「いるにはいるが面倒でな。放っておけばそのうち治る」
確かにもう傷口が残ってるだけだけど放っておくなんて⋯本当にいいのかな。
バイキンが入っても大変だからもう触らないように手を下ろしたら、代わりに抱き上げられ頬に口付けられる。
その後ろから咳払いが聞こえて振り向くと殿下とアンジェラ様がいて、アンジェラ様は呆れたように肩を竦めた。
「その後の話は追って連絡するから、今日は帰っていいよ」
「そうですね。顔を見たらまた燃やしてしまいそうですし」
「え?」
「ほんと、君が味方で良かったと心から思うよ」
〝また〟って事は、戻ってくる前に何か燃やしてたのかな。でも殿下と一緒に?
困惑する僕ににこっと笑いかけた殿下は、僕の手に何かが入った瓶を持たせるとアンジェラ様の肩を抱いてその場を去って行った。
「何を貰ったんだ?」
「えっと⋯⋯キャンディーの詰め合わせ?」
「喉に詰めないようにな」
そこまで鈍臭くないし子供ではないんだけど、ルディウス様が心配性なのは分かってるから頷き落とさないよう両手でしっかり持つ。
ルディウス様に抱っこされたまま転移装置でお屋敷に戻ったら何となく違和感があったものの分からなくて、出迎えてくれたリーネさんを見ると満面の笑顔で返された。何だろう、それにさえ変な感じがする。
僕の気のせいかな。
「部屋で少し休む。夕飯時になっても食堂に現れなかったら呼びに来てくれ」
「かしこまりました」
「あ、リーネさん。これお願いします」
「はい。お部屋に置いておきますね」
このままルディウス様の部屋に連れて行かれるだろうから、手に持っていたキャンディーの瓶をリーネさんに差し出すと察して受け取ってくれる。
言葉が足りなくてもこうして気付いてくれるの、リーネさんの凄いところだよね。
手を振って別れ、静かな廊下を歩いてルディウス様の部屋に着くとベッドに座らされ靴が脱がされる。
ルディウス様も腰掛けたんだけど、吸った息を深く吐いて騎士服の首元を緩める姿に疲労感が見えて、僕は広い背中を見て首を傾げた。
「お疲れですか?」
「⋯少しな。だが、アルシエがいればすぐに吹き飛ぶ」
「じゃあ、して欲しい事あったらおっしゃってください」
僕に出来る事で、ルディウス様の疲れをちょっとでも和らげられるなら何だってしてあげたい。そう思って背中に触れると、振り向いたルディウス様が自分の膝を叩いた。
這うように近付き、跨って座ると強めに抱き締められる。
「何でもいいのか?」
「はい」
「なら、アルシエから口付けて欲しい」
「え⋯」
それは予想してなかった。一瞬ポカンとしてしまった僕だけど、それでルディウス様が元気になるならと頷き、お尻を浮かせるように背伸びをして軽く触れ合わせる。
頑張ればもっとちゃんと出来るけど、言われてからするのはいつもより恥ずかしい。
「もう一回」
「も、もう一回?」
まさかのおかわりに驚きつつ、目を閉じたまま待つルディウス様に覚悟を決めた僕は、腕を伸ばして首へと回しさっきよりも強く唇を押し当てる。
下手なりにルディウス様がいつもするみたいに薄い唇を食んでたら、大きな手が服の裾から入ってきて背中を撫で始めた。ゴツゴツしてカサついてるけどあったかくて、寒くはないのにゾワゾワする。
ルディウス様の舌が僕の舌に触れ、どちらともなく絡ませ合ったところで腰が浮いてベッドへと寝かせられた。
「ん⋯⋯ルディウス、様⋯」
「⋯アルシエ」
ルディウス様が僕の上に被さってきて、上手に息が出来ない僕はだんだんと深くなる口付けについていくのに必死だ。それでも酸欠にならないのは、ルディウス様がところどころで吸える時間をくれるから。
さんざん口の中を舐め回し、音を立てて離れたルディウス様の唇がそのまま首筋に移動する。チクリと小さな痛みが数回して、顔を上げたルディウス様が満足そうにそこを撫でてきた。
今の感覚、何だったんだろう。
「アルシエのおかげで元気が出た。ありがとう」
そう言って微笑むルディウス様は普段と同じだけど、何となくまだ本調子じゃない気がして腕を伸ばした僕はルディウス様の頭を胸へと抱き寄せる。思ったよりも柔らかな髪に頬を擽られながらも撫でたら、大きな身体から力が抜けた。
いつもは僕がこうして貰うばかりだから、今日くらいは僕がルディウス様を甘やかすんだ。
「今から僕はルディウス様の枕なので、もっと元気になるまで休んでください」
心地良さもない枕だとは思うけど、心音って案外落ち着くし少しでも眠って回復して欲しいからそう言ってルディウス様の背中を一定のリズムで叩き始めたら、ルディウス様はクスリと笑ったあと身体を反転させて僕が上になるよう体勢を変えた。
「こっちの方がいい」
「で、でも⋯」
「アルシエの重みを僅かでも感じられる方が眠れるよ」
僕の頭を撫でたルディウス様は目を閉じると、少しして静かな寝息を立て始めた。
眠れるならいいんだけど、結局いつも通りになっちゃっな。でも、僕よりも遅く寝て、僕よりも早く起きるルディウス様の寝顔は貴重だからこうやって見られるのは嬉しい。
どんな姿でも変わらずカッコいいルディウス様の寝顔を眺めているうちに僕も寝落ちてしまい、夕飯の時間になって呼びに来てくれたリーネさんに起こされるまで温かい腕の中でぐっすり寝てた。
ルディウス様といると安心して、ついつい寝過ぎちゃうな。
「る、ルディウス様⋯その傷は⋯」
「いや、書類が顔に当たって⋯」
「どう扱ったらそこに当たるんですか⋯!」
ルディウス様の綺麗な顔に傷が⋯幸い浅いみたいだしすぐに目立たなくなるだろうけど、それより怪我をした事実が問題だよ。
思わず手を伸ばしたら屈んでくれて、指先でそっと触れると優しく微笑まれる。
「い、痛くない、ですか?」
「ああ。血もすぐ止まったし、問題はない」
「消毒は? 確か、怪我を治してくれる方いますよね?」
「いるにはいるが面倒でな。放っておけばそのうち治る」
確かにもう傷口が残ってるだけだけど放っておくなんて⋯本当にいいのかな。
バイキンが入っても大変だからもう触らないように手を下ろしたら、代わりに抱き上げられ頬に口付けられる。
その後ろから咳払いが聞こえて振り向くと殿下とアンジェラ様がいて、アンジェラ様は呆れたように肩を竦めた。
「その後の話は追って連絡するから、今日は帰っていいよ」
「そうですね。顔を見たらまた燃やしてしまいそうですし」
「え?」
「ほんと、君が味方で良かったと心から思うよ」
〝また〟って事は、戻ってくる前に何か燃やしてたのかな。でも殿下と一緒に?
困惑する僕ににこっと笑いかけた殿下は、僕の手に何かが入った瓶を持たせるとアンジェラ様の肩を抱いてその場を去って行った。
「何を貰ったんだ?」
「えっと⋯⋯キャンディーの詰め合わせ?」
「喉に詰めないようにな」
そこまで鈍臭くないし子供ではないんだけど、ルディウス様が心配性なのは分かってるから頷き落とさないよう両手でしっかり持つ。
ルディウス様に抱っこされたまま転移装置でお屋敷に戻ったら何となく違和感があったものの分からなくて、出迎えてくれたリーネさんを見ると満面の笑顔で返された。何だろう、それにさえ変な感じがする。
僕の気のせいかな。
「部屋で少し休む。夕飯時になっても食堂に現れなかったら呼びに来てくれ」
「かしこまりました」
「あ、リーネさん。これお願いします」
「はい。お部屋に置いておきますね」
このままルディウス様の部屋に連れて行かれるだろうから、手に持っていたキャンディーの瓶をリーネさんに差し出すと察して受け取ってくれる。
言葉が足りなくてもこうして気付いてくれるの、リーネさんの凄いところだよね。
手を振って別れ、静かな廊下を歩いてルディウス様の部屋に着くとベッドに座らされ靴が脱がされる。
ルディウス様も腰掛けたんだけど、吸った息を深く吐いて騎士服の首元を緩める姿に疲労感が見えて、僕は広い背中を見て首を傾げた。
「お疲れですか?」
「⋯少しな。だが、アルシエがいればすぐに吹き飛ぶ」
「じゃあ、して欲しい事あったらおっしゃってください」
僕に出来る事で、ルディウス様の疲れをちょっとでも和らげられるなら何だってしてあげたい。そう思って背中に触れると、振り向いたルディウス様が自分の膝を叩いた。
這うように近付き、跨って座ると強めに抱き締められる。
「何でもいいのか?」
「はい」
「なら、アルシエから口付けて欲しい」
「え⋯」
それは予想してなかった。一瞬ポカンとしてしまった僕だけど、それでルディウス様が元気になるならと頷き、お尻を浮かせるように背伸びをして軽く触れ合わせる。
頑張ればもっとちゃんと出来るけど、言われてからするのはいつもより恥ずかしい。
「もう一回」
「も、もう一回?」
まさかのおかわりに驚きつつ、目を閉じたまま待つルディウス様に覚悟を決めた僕は、腕を伸ばして首へと回しさっきよりも強く唇を押し当てる。
下手なりにルディウス様がいつもするみたいに薄い唇を食んでたら、大きな手が服の裾から入ってきて背中を撫で始めた。ゴツゴツしてカサついてるけどあったかくて、寒くはないのにゾワゾワする。
ルディウス様の舌が僕の舌に触れ、どちらともなく絡ませ合ったところで腰が浮いてベッドへと寝かせられた。
「ん⋯⋯ルディウス、様⋯」
「⋯アルシエ」
ルディウス様が僕の上に被さってきて、上手に息が出来ない僕はだんだんと深くなる口付けについていくのに必死だ。それでも酸欠にならないのは、ルディウス様がところどころで吸える時間をくれるから。
さんざん口の中を舐め回し、音を立てて離れたルディウス様の唇がそのまま首筋に移動する。チクリと小さな痛みが数回して、顔を上げたルディウス様が満足そうにそこを撫でてきた。
今の感覚、何だったんだろう。
「アルシエのおかげで元気が出た。ありがとう」
そう言って微笑むルディウス様は普段と同じだけど、何となくまだ本調子じゃない気がして腕を伸ばした僕はルディウス様の頭を胸へと抱き寄せる。思ったよりも柔らかな髪に頬を擽られながらも撫でたら、大きな身体から力が抜けた。
いつもは僕がこうして貰うばかりだから、今日くらいは僕がルディウス様を甘やかすんだ。
「今から僕はルディウス様の枕なので、もっと元気になるまで休んでください」
心地良さもない枕だとは思うけど、心音って案外落ち着くし少しでも眠って回復して欲しいからそう言ってルディウス様の背中を一定のリズムで叩き始めたら、ルディウス様はクスリと笑ったあと身体を反転させて僕が上になるよう体勢を変えた。
「こっちの方がいい」
「で、でも⋯」
「アルシエの重みを僅かでも感じられる方が眠れるよ」
僕の頭を撫でたルディウス様は目を閉じると、少しして静かな寝息を立て始めた。
眠れるならいいんだけど、結局いつも通りになっちゃっな。でも、僕よりも遅く寝て、僕よりも早く起きるルディウス様の寝顔は貴重だからこうやって見られるのは嬉しい。
どんな姿でも変わらずカッコいいルディウス様の寝顔を眺めているうちに僕も寝落ちてしまい、夕飯の時間になって呼びに来てくれたリーネさんに起こされるまで温かい腕の中でぐっすり寝てた。
ルディウス様といると安心して、ついつい寝過ぎちゃうな。
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三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。