身代わりの伯爵令息は冷徹公爵の寵愛を得る

ミヅハ

文字の大きさ
93 / 133

ある日の夜※

 ルディウス様の手は優しくて温かくて、触れられると嬉しくて幸せってなる。もっともっと触って欲しいって思うくらい。
 でもこういう時は恥ずかしくてドキドキして、どうしたらいいか分からなくて僕はぎゅっとクッションを抱き締めてた。

「ん⋯ゃ⋯」
「アルシエ」
「あ、だ、だめです⋯っ」

 胸元の尖りを撫でる硬い指に反応して声が出るのが恥ずかしくて、クッションに顔を埋めて隠してたのに取り上げられてしまった。
 急いで手を伸ばしたけど唇が塞がれて、大きな手が身体を這い始める。
 さっきまで着ていた寝衣は脱がされて僕は裸なのに、ルディウス様はシャツの前をはだけさせてるだけでずるい。
 のちのちに慣れる為って言われたけど、それならルディウス様だって脱いで欲しかった。

「んん⋯っ」

 厚みのある舌が入ってきて、それと同時に大きくなってるところを摘まれビクリと跳ねる。
 全部の指先で上下になぞられるだけでも堪らなくて、ルディウス様の服を強めに掴んだら音を立てて唇が離れた。

「⋯っ、ぁ⋯」
「⋯アルシエ」
「⋯⋯?」

 きゅっと握られて思わず足を閉じようとしたら、真剣な声で名前が呼ばれて膝が押さえられる。

「少し、奥にも触れていいか?」
「奥⋯?」

 僕にそれを聞くって事は僕の身体なんだろうけど、奥ってどこだろう。
 分からなくて首を傾げる僕に苦笑したルディウス様は、ベッドサイドにある棚についている引き出しを開け何かを取り出した。
 それは茶色いガラスの小瓶で、中には液体が入ってるみたい。

「触るから、嫌だったらすぐに言ってくれ」
「え⋯」

 言いながら小瓶の蓋を開けたルディウス様は、中身を手の平に出して握り込んだ。トロッとしてたから水とは違うんだろうけど、あれを何に使うのかな。
 指へと纏わせる様子を見ていた僕は、その手の行き先を知って目を見瞠る。

「る、ルディウス様⋯?」
「⋯私とアルシエは同じ男だから、私を受け入れて貰う為にはここを柔らかくしなくてはいけないんだ」
「柔らかく⋯?」
「ああ。たくさん指で解せばな」
「それも⋯〝夫婦の在り方〟、ですか⋯?」
「そうだよ」

 どんな事だろうとルディウス様を受け入れないなんて選択肢はないけど、ここって綺麗とは言えない場所だから触られるのは躊躇ってしまう。
 戸惑う僕を見てふっと笑ったルディウス様は、おでこに口付けると何もついていない方の手で頭を撫で手拭きを取った。

「やめておこうか」
「あ⋯」
「少しでも慣れておいた方がいいと思ったが、焦る事でもないからな」

 そう言いながら手につけた液体を拭き取り、僕の身体も拭こうとしたから慌てて止めたらルディウス様は不思議そうな顔をする。
 ちゃんと伝えないと⋯ルディウス様に勘違いして欲しくない。

「あ、あの⋯嫌ではないんです⋯⋯でもそこは⋯汚いから⋯」
「アルシエに汚いところなどある訳がない」
「え? あ、ありますよ⋯?」

 汗を掻いたり埃を被ったりして汚いって感じる時はあるし、ルディウス様が触ろうとしているところは身体の中でも一番汚いところだと思うんだけど。
 目を瞬きつつ答えたら、ルディウス様は怪訝そうに眉を顰めて再び小瓶を手に取った。手の平から指先に出し、何も言わずにお尻の奥まったところに触れ塗り広げる。

「⋯ッ⋯」
「汚くないから触るな」
「ん⋯っ」

 撫でられて何とも言えない感覚に身体を震わせてたら、指先が入ってきてゾワリと背筋に悪寒が走った。
 何だろ⋯異物感というか⋯あんまりいい気持ちじゃない。

「⋯ぅ⋯」
「痛いか?」
「い、痛くは、ないです⋯」
「我慢しなくていいから、嫌だったら言ってくれ」
「⋯や、じゃない⋯⋯」

 今のところ気持ち悪さだけで痛みもないし本当に嫌とも思ってない。
 ゆっくりと指が奥まで入ってきて、無意識に唇を噛んだら空いている手で開かれ親指が差し込まれた。

「噛むなら私の指にしろ」
「ぁ⋯⋯は、ぅ⋯」
「いい子だ」

 ルディウス様の指を噛みたくないのに、中にある指が引かれてまた戻ってきて堪らず歯を立ててしまった。
 すぐに離したけど、きっと歯型ついちゃっただろうな。
 なるべく噛まないよう意識してても、中で指が動くたび力が入ってそのあとも何回か噛んでしまった。
 でもだんだんと別の感覚も感じ始めて異物感が和らいできた頃、指の動きが変わり探るようにお腹側を撫で始めた。
 前を触られてる時みたいにムズムズする。

「ふぁ⋯ん⋯ん⋯」
「少しマシになってきたみたいだな」
「ぅ⋯ゃ⋯⋯っひぁ⋯!」
「⋯ここか」
「⋯っ、?」

 ルディウス様の太い指が出たり入ったりするたび腰が震えて、自分でも声が高くなったのを感じながらシーツを掴んで耐えていたんだけど、ある場所をぐって押された瞬間身体がビクリと跳ねた。
 何が何だか分からない僕とは逆に、ルディウス様はホッとした顔をしてそこを押してくる。
 もう噛まなくなってたから、親指も抜かれて口元が拭われた。

「や、ぁ、そこへん⋯っ」
「変じゃなくて、アルシエが気持ちいいところだよ」
「あ、ぁ⋯ん⋯っ」

 押されるたび勝手に声が出て、恥ずかしくて顔を背けた僕の頬にルディウス様の唇が触れる。咄嗟に戻したら今度は唇が重なってお互いの舌が絡んだ。
 頭、ぼんやりしてきた⋯気持ちいい。
 ルディウス様の首に腕を回し、夢中になって舌を吸ってたら不意に前が握られ上下に擦られる。

「んん⋯っ」

 後ろと前と口の中とを同時に攻められ、僕の目の前がチカチカし始めた。

「は、ぁ⋯あ、だめ、一緒だめ⋯っ」
「可愛いな、アルシエ」
「やぁ⋯あ⋯も、出ちゃ⋯っ⋯ん、ん⋯ッ、――⋯!」

 ゆるゆると頭を振り、それでも追い上げられて限界を迎えた僕はルディウス様のシャツを強く掴み果てた。
 今までにないくらいの疲労感に見舞われ、ぼんやりと上がった息を整えてるうちに目蓋が重くなってきて、ウトウトしているとおでこに少しだけカサついた唇が触れ低い声に「おやすみ」って囁かれる。
 その記憶を最後に、僕の意識はプツリと途切れた。

 夫婦って、僕が思うよりもずっと凄い事をしてるんだって知った夜だった。
感想 86

あなたにおすすめの小説

【完結】一生に一度だけでいいから、好きなひとに抱かれてみたい。

村松砂音(抹茶砂糖)
BL
第13回BL大賞で奨励賞をいただきました! ありがとうございました!! いつも不機嫌そうな美形の騎士×特異体質の不憫な騎士見習い <あらすじ> 魔力欠乏体質者との性行為は、死ぬほど気持ちがいい。そんな噂が流れている「魔力欠乏体質」であるリュカは、父の命令で第二王子を誘惑するために見習い騎士として騎士団に入る。 見習い騎士には、側仕えとして先輩騎士と宿舎で同室となり、身の回りの世話をするという規則があり、リュカは隊長を務めるアレックスの側仕えとなった。 いつも不機嫌そうな態度とちぐはぐなアレックスのやさしさに触れていくにつれて、アレックスに惹かれていくリュカ。 ある日、リュカの前に第二王子のウィルフリッドが現れ、衝撃の事実を告げてきて……。 親のいいなりで生きてきた不憫な青年が、恋をして、しあわせをもらう物語。 ※性描写が多めの作品になっていますのでご注意ください。 └性描写が含まれる話のサブタイトルには※をつけています。 ※表紙は「かんたん表紙メーカー」さまで作成しました。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。

竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。 あれこれめんどくさいです。 学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。 冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。 主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。 全てを知って後悔するのは…。 ☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです! ☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。 囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317

身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される

秋津むぎ
BL
第13回BL大賞奨励賞頂きました! 最終17位でした!応援ありがとうございます! あらすじ 魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。 ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。 死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――? 傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

ぼくの婚約者を『運命の番』だと言うひとが現れたのですが、婚約者は変わらずぼくを溺愛しています。

夏笆(なつは)
BL
 公爵令息のウォルターは、第一王子アリスターの婚約者。  ふたりの婚約は、ウォルターが生まれた際、3歳だったアリスターが『うぉるがぼくのはんりょだ』と望んだことに起因している。  そうして生まれてすぐアリスターの婚約者となったウォルターも、やがて18歳。  初めての発情期を迎えようかという年齢になった。  これまで、大切にウォルターを慈しみ、その身体を拓いて来たアリスターは、やがて来るその日を心待ちにしている。  しかし、そんな幸せな日々に一石を投じるかのように、アリスターの運命の番を名乗る男爵令息が現れる。  男性しか存在しない、オメガバースの世界です。     改定前のものが、小説家になろうに掲載してあります。 ※蔑視する内容を含みます。

何もしない悪役令息になってみた

ゆい
BL
アダマス王国を舞台に繰り広げられるBLゲーム【宝石の交響曲《シンフォニー》】 家名に宝石の名前が入っている攻略対象5人と、男爵令息のヒロイン?であるルテウスが剣と魔法で、幾多の障害と困難を乗り越えて、学園卒業までに攻略対象とハッピーエンドを目指すゲーム。 悪役令息として、前世の記憶を取り戻した僕リアムは何もしないことを選択した。 主人公が成長するにつれて、一人称が『僕』から『私』に変わっていきます。 またしても突発的な思いつきによる投稿です。 楽しくお読みいただけたら嬉しいです。 誤字脱字等で文章を突然改稿するかもです。誤字脱字のご報告をいただけるとありがたいです。 2025.7.31 本編完結しました。 2025.8.2 番外編完結しました。 2025.8.4 加筆修正しました。 2025.11.7 番外編追加しました。 2025.11.12 番外編追加分完結しました。 第13回BL大賞で奨励賞を賜りました。お読みくださった方、投票してくださった方、本当に、本当にありがとうございます。 2026.1.11 ムーンライトノベル様に投稿しました。細かい箇所は改稿しているので、アルファポリスとは多少内容が変わっています。

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。