身代わりの伯爵令息は冷徹公爵の寵愛を得る

ミヅハ

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愛おしい(ルディウス視点)※

 時は遡って午前九時。
 いつものように部下たちと作戦会議をしていた私は、突然現れた殿下により指揮権が奪われ、端へと追いやられた。
 おまけに部下たちも殿下側についてニヤニヤしてて、訝しむ私に白々しく「団長は今日お休みだったのでは?」とか聞いてきて⋯何なんだって思ってたら殿下がわざとらしく微笑んだ。

「今日までで下準備は充分に出来ている。細々した事はまだ残っているだろうけど、当日までには完璧に仕上げられると思うよ。つまり、今日一日ルディウスがいなくても問題ないという事だ」
「いえ、〝という事だ〟と言われましても⋯」
「だからさっさと帰って、アルシエの誕生日を祝ってあげなさい」
「⋯はい?」

 何が言いたいのか分からず眉を顰めたら考えないようにしていた事を言われ、ますます私の頭の中に疑問符が浮かぶ。
 確かに私の部下は優秀で、さらに殿下が指揮を執ってくださるなら安心出来るものの、唐突に言われて了承なんて出来るはずがない。もちろんアルシエの誕生日を祝えるなら祝いたいが、この件が何よりも大事なのはアルシエだって分かってくれている。
 困惑する私の肩に手を置いた殿下は、顔を寄せ声を潜めて付け加えてきた。

「実は、これはアルシエへのお礼でもあるんだ」
「アルシエへの礼?」
「そう。一番望む形で返すって約束したから、今日のルディウスの役目はアルシエの傍にいる事だよ」
「⋯⋯⋯」

 なぜ殿下がアルシエに礼をするに至ったのかは分からないが、ここに来てやっとそれが殿下のお気遣いなのだと分かった。
 しかも、部下もそれに乗っかっている。
 ここまでお膳立てをされて断るのはさすがに意固地というものだ。

「分かりました。殿下やみなの気持ちを有り難く受け入れる事にします」

 私を慮ってか、はたまたアルシエへの甘さかは不明だが、他でもない愛しい妻の誕生日を祝えるのだ。断る理由などあるはずもない。
 私は感謝を述べて会議室をあとにし、屋敷へ戻って華やかな誕生日パーティを終えての今、嬉しそうに笑っていたアルシエが私の腕の中で身体を震わせている。
 年齢よりも幼く見える顔は紅色し、大きな目には涙を溜め、小刻みに息を吐くアルシエの眉間には皺が寄っていた。
 私とアルシエでは体格に差がある為、どうしても苦しさは取り除いてやれない。
 このまま無理に進めるより一度抜いた方がいいと腰を引いたら、アルシエが繋いでいない方の手で腕を掴み「やだ」と首を振った。

「アルシエ⋯」
「や、だ⋯⋯やめない、で⋯」
「だが⋯」
「苦しくていい⋯から⋯」

 私はそんな思いはして欲しくないのだが、アルシエがさらに腕を伸ばしてくる為顔を近づければそのまま首に回してきた。

「ルディウス様⋯」

 縋るような声に胸が詰まり、私は片手で細い身体を抱いて肩へと口付けた。

「なら、もう少し頑張ってくれ」
「ん⋯っ⋯」

 小さく頷いたアルシエの頬や首筋、腕に唇を押し当て少しずつ腰を進めていく。
 アルシエの呼吸と様子を見つつ、感じる場所にも触れながら時間をかけ、どうにか入れるところまで収めた私は長く息を吐いた。
 まだもう少し奥まで行けなくはないが、初めてなのだから無理をする必要はない。
 アルシエの背中を撫で名前を呼べば、強く閉じていた目を開けて見上げてくる。

「入ったよ⋯」
「⋯はいっ、た⋯?」
「ああ⋯頑張ってくれてありがとう、アルシエ」

 こんなに小さな身体で、私を受け入れてくれたアルシエにどうしようもなく愛おしさが溢れる。私が思う以上に、アルシエの気持ちは固まっていたようだ。
 汗の滲んだ額に口付け、髪を撫でればアルシエは目線を動かして下肢へと向け、何かを確かめるように下腹に触れる。

「⋯すごい⋯⋯僕の中⋯ルディウス様でいっぱい⋯」
「そうだな」
「へへ⋯嬉しい⋯」
「⋯⋯⋯」

 アルシエの中は熱く、気を抜けばすぐにでも達してしまいそうなのをどうにか堪えていたのだが、アルシエは可愛らしくはにかみながら可愛らしい事を言って私の理性を吹き飛ばそうとしてくる。
 馴染むまでは動かずにいようと思っていた気持ちが揺らぎ、私は息を吐いた。

「⋯っあ⋯!」
「素直なのも困りものだ」
「なに⋯⋯ゃ、ん⋯っ」

 腰を引き、また押し込むとアルシエがビクリと反応する。
 早々に動きを速めたい気持ちも奥を突きたい衝動にも耐え、ゆるゆると前後に揺らしていたら次第にアルシエの声に甘さが増してきた。

「あ、ぅ⋯ん、ん⋯っ」

 涙に濡れ、切なく眉を寄せた顔を可愛いと感じる日が来るとは思わなかった。いや、アルシエが見せてくれる表情は全て愛らしいんだが、今の表情は特にそう思う。
 こんなに興奮するのもアルシエだからだろう。
 思わず白く細い首筋に歯を立てたら奥が締まった。危うく持っていかれそうになり、寸でで堪える。

「は、ぁ⋯ルディウス様⋯⋯噛んじゃや⋯」
「⋯身体は正直だけどな」
「んんッ」

 小刻みに首を振るアルシエに笑い、少しだけ強めに突き入れると背中に爪が立てられる。痛くはないが、この感覚は癖になりそうだ。
 何度か繰り返し、反応的に大丈夫そうだと今度は前立腺を狙って抽挿を速めれば嬌声が鳴き声のようになる。

「やぁ、あ、そこだめ、だめ⋯っ」
「⋯アルシエ」
「あ、ゃ、なんか⋯っ⋯お腹変⋯っ」
「大丈夫だ、アルシエ」
「ぁ、ん、ルディウス様、ルディウス様⋯っ」

 中がヒクつき始め、アルシエの声も高くなる。
 もう限界が近いのだと察した私はアルシエの性器を握り、腰の動きに合わせて上下させ達せるよう促した。

「ひぁ、あ、いっしょだめ⋯っ⋯あぁ、ゃ、も⋯ん、ん⋯ッ⋯――⋯!」
「⋯っ、く⋯!」

 驚いたアルシエが慌てたように手を伸ばそうとするが、先端が弱いと知っている私がわざとそこを強めに擦れば大きく身体を震わせて吐精した。
 その際の締め付けに私も中へと吐き出し、余韻が治まってから自身を抜いた瞬間アルシエの身体がベッドへと沈む。見ると気を失っていて、赤い痕の散った胸が忙しなく上下していた。
 最後は少し手荒だったかもしれないな。
 少しして寝息に変わった事にホッとし、アルシエの髪を撫でていた私はふと思い出す。
 いつだったか、アルシエが私に尋ねてきた事を答えようと思っていたのだが。

「子供が出来る仕組みを教えてやれなかったな」

 まぁこれきりではないだろうし、アルシエは私との子を望んでくれているから教える機会はいくらでもある。
 とりあえず今はアルシエを綺麗にしてやる事にして、私は部屋に備え付けてあるシャワールームへと向かった。
 ある意味、アルシエが気を失ってくれて良かったかもしれない。
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