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眠れる理由
あれだけ続いていたフローラ様の呼び出しが少しずつ減っていき、僕の日常はまたお屋敷中心に戻りつつあった。
どうやらお妃教育というものが始まったらしく、フローラ様は毎日お勉強してるんだって。王女様だからもちろん最初からって訳じゃないけど、自分の国と違うところもあるから大変だってお休みの日に言ってた。
そんな中、そろそろイステリテにも慣れてきただろうと、陛下の計らいでフローラ様の歓迎パーティが開かれる事になった。筆頭から下位貴族まで招かれ、食事にダンスにとフローラ様に楽しんで貰う事が目的らしい。
ルディウス様は殿下の護衛騎士としてではなく公爵家の当主として参加する事になっていて、奥さんである僕も当然お呼ばれしてる。
だからか、仕立て屋さんや商人さんがお屋敷に来て僕の採寸をしたり、靴や小物をリーネさんが楽しそうに見繕ったり。こうやって国の経済を回すんですよって言われたらもったいないなんて言えないよね。
一週間以内には出来上がるとの事で、僕よりもリーネさんの方が楽しみにしている感じだった。
リーネさんがおしゃれしてるところも見てみたいって言ったらしてくれないかな。
「アルシエ」
湯浴みを済ませて寝る前の準備をしていたら、お屋敷の仕事をしているはずのルディウス様が何かを手に部屋へと入ってきた。
「はい」
「パーティの日は、これを身に着けて欲しい」
そう言って差し出された箱には、ダイヤ型にカットされた赤色の宝石がついた襟につけるピンが入ってて、リーネさんが選んだ物とは違う装飾品だった。
受け取り、摘み上げて宝石を見てみると何となくゆらゆらしてる気がする。
「耳飾りと合わせれば、もし何かあった時アルシエを守ってくれる」
「何か⋯」
「もちろんそんな事が起こらないよう団員たちを配備させているが、万が一を考えて着けておいてくれ」
「分かりました」
ルディウス様は筆頭貴族だし、ずっと僕の傍にいられる訳じゃないもんね。挨拶回りとか、僕がいたら出来ない事業の話とかもあるだろうし。
その時は大人しくしてるつもりだから、何かあるとしたら本当に万に一つだ。
頷き、箱に戻して蓋をした僕は、分かりやすい場所に置いてルディウス様に抱き着いた。
「お仕事、終わったんですか?」
「いや、まだもう少しかかる。先に寝てていい⋯と言っても、起きているんだろうな」
「はい、待ってます」
「今度、調香師に頼んで香でも作って貰うか」
「こう?」
「ああ。私がいなくとも眠れるように」
〝ちょうこうし〟も〝こう〟も初めて聞いたけど、それを使う事で本当に眠れるようになるのかな。
僕の場合はちゃんと眠れる理由があるんだけど⋯。
「でも僕が眠れるのは、ルディウス様の温もりがあるからですよ?」
「⋯⋯⋯」
「隣にルディウス様がいるから、安心して眠れるんです」
〝こう〟がどんなものかは分からないけど、そこにルディウス様がいないとたぶん眠れないと思う。
僕にとって安心って、凄く大きな事だから。
そう言えば、ルディウス様は困ったように笑って僕を抱き締めた。
「本当に可愛らしい事を言う」
「本心です」
「分かってる。ただ、やはり以前のように私の帰宅が遅い時はちゃんと眠れるようになって欲しいんだ。だから試してみよう」
「ルディウス様がそう言うなら⋯」
僕が眠れない事で、ルディウス様だけじゃなくみんなに心配をかけてる事は分かってる。僕だって、ルディウス様がいればいいって思ってたし。
でも確かにルディウス様の言う通り、ルディウス様がいなくても眠れるようになれれば僕の事を気にしなくても良くなるんだよね。一人で寝るのはちょっと寂しいけど、ルディウス様がそうして欲しいなら僕は受け入れるだけだ。
隙間がないくらい身体をくっつけ、頬を押し当ててたら不意に顎が掬われて口付けられた。
「私が戻ってきた時、まだ眠くないなら抱いてもいいか?」
低い声に囁くように聞かれて僕の背中がゾクリと震える。
少し前、僕とルディウス様が繋がる行為には色んな言い方があるって教えて貰って、この〝抱く〟もそうなんだって知った。
ドキドキしながら小さく頷いたら、また唇が塞がれて軽く吸われる。
「ん⋯っ」
「手早く片付けてくる」
「はい⋯行ってらっしゃいませ」
ルディウス様と繋がってから、唇を触れ合わせるだけでお腹の下がきゅってなるようになった。中も、すっかりルディウス様を覚えたし。
するりと僕の頬を撫でてルディウス様は部屋を出て行き、残った僕はふぅと息を吐いてベッドに座る。
いつだってルディウス様のしたいようにしてくれていいんだけど、始めるまでが凄く恥ずかしい。あの骨張った大きな手に触られれば、すぐに頭の中が気持ちいいでいっぱいにはなるけど。
⋯そのうち慣れたりするのかな。
そのあと、一時間くらいして湯浴みまで済ませて戻ってきたルディウス様に読んでいた本を取り上げられた僕は、口付けと共に押し倒されあっという間に裸にされてしまった。
ルディウス様、色んなところに吸い付いてくるから、そのうち僕の身体は赤い痕だらけになるかもしれない。
どうやらお妃教育というものが始まったらしく、フローラ様は毎日お勉強してるんだって。王女様だからもちろん最初からって訳じゃないけど、自分の国と違うところもあるから大変だってお休みの日に言ってた。
そんな中、そろそろイステリテにも慣れてきただろうと、陛下の計らいでフローラ様の歓迎パーティが開かれる事になった。筆頭から下位貴族まで招かれ、食事にダンスにとフローラ様に楽しんで貰う事が目的らしい。
ルディウス様は殿下の護衛騎士としてではなく公爵家の当主として参加する事になっていて、奥さんである僕も当然お呼ばれしてる。
だからか、仕立て屋さんや商人さんがお屋敷に来て僕の採寸をしたり、靴や小物をリーネさんが楽しそうに見繕ったり。こうやって国の経済を回すんですよって言われたらもったいないなんて言えないよね。
一週間以内には出来上がるとの事で、僕よりもリーネさんの方が楽しみにしている感じだった。
リーネさんがおしゃれしてるところも見てみたいって言ったらしてくれないかな。
「アルシエ」
湯浴みを済ませて寝る前の準備をしていたら、お屋敷の仕事をしているはずのルディウス様が何かを手に部屋へと入ってきた。
「はい」
「パーティの日は、これを身に着けて欲しい」
そう言って差し出された箱には、ダイヤ型にカットされた赤色の宝石がついた襟につけるピンが入ってて、リーネさんが選んだ物とは違う装飾品だった。
受け取り、摘み上げて宝石を見てみると何となくゆらゆらしてる気がする。
「耳飾りと合わせれば、もし何かあった時アルシエを守ってくれる」
「何か⋯」
「もちろんそんな事が起こらないよう団員たちを配備させているが、万が一を考えて着けておいてくれ」
「分かりました」
ルディウス様は筆頭貴族だし、ずっと僕の傍にいられる訳じゃないもんね。挨拶回りとか、僕がいたら出来ない事業の話とかもあるだろうし。
その時は大人しくしてるつもりだから、何かあるとしたら本当に万に一つだ。
頷き、箱に戻して蓋をした僕は、分かりやすい場所に置いてルディウス様に抱き着いた。
「お仕事、終わったんですか?」
「いや、まだもう少しかかる。先に寝てていい⋯と言っても、起きているんだろうな」
「はい、待ってます」
「今度、調香師に頼んで香でも作って貰うか」
「こう?」
「ああ。私がいなくとも眠れるように」
〝ちょうこうし〟も〝こう〟も初めて聞いたけど、それを使う事で本当に眠れるようになるのかな。
僕の場合はちゃんと眠れる理由があるんだけど⋯。
「でも僕が眠れるのは、ルディウス様の温もりがあるからですよ?」
「⋯⋯⋯」
「隣にルディウス様がいるから、安心して眠れるんです」
〝こう〟がどんなものかは分からないけど、そこにルディウス様がいないとたぶん眠れないと思う。
僕にとって安心って、凄く大きな事だから。
そう言えば、ルディウス様は困ったように笑って僕を抱き締めた。
「本当に可愛らしい事を言う」
「本心です」
「分かってる。ただ、やはり以前のように私の帰宅が遅い時はちゃんと眠れるようになって欲しいんだ。だから試してみよう」
「ルディウス様がそう言うなら⋯」
僕が眠れない事で、ルディウス様だけじゃなくみんなに心配をかけてる事は分かってる。僕だって、ルディウス様がいればいいって思ってたし。
でも確かにルディウス様の言う通り、ルディウス様がいなくても眠れるようになれれば僕の事を気にしなくても良くなるんだよね。一人で寝るのはちょっと寂しいけど、ルディウス様がそうして欲しいなら僕は受け入れるだけだ。
隙間がないくらい身体をくっつけ、頬を押し当ててたら不意に顎が掬われて口付けられた。
「私が戻ってきた時、まだ眠くないなら抱いてもいいか?」
低い声に囁くように聞かれて僕の背中がゾクリと震える。
少し前、僕とルディウス様が繋がる行為には色んな言い方があるって教えて貰って、この〝抱く〟もそうなんだって知った。
ドキドキしながら小さく頷いたら、また唇が塞がれて軽く吸われる。
「ん⋯っ」
「手早く片付けてくる」
「はい⋯行ってらっしゃいませ」
ルディウス様と繋がってから、唇を触れ合わせるだけでお腹の下がきゅってなるようになった。中も、すっかりルディウス様を覚えたし。
するりと僕の頬を撫でてルディウス様は部屋を出て行き、残った僕はふぅと息を吐いてベッドに座る。
いつだってルディウス様のしたいようにしてくれていいんだけど、始めるまでが凄く恥ずかしい。あの骨張った大きな手に触られれば、すぐに頭の中が気持ちいいでいっぱいにはなるけど。
⋯そのうち慣れたりするのかな。
そのあと、一時間くらいして湯浴みまで済ませて戻ってきたルディウス様に読んでいた本を取り上げられた僕は、口付けと共に押し倒されあっという間に裸にされてしまった。
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