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穏やかな時間
柔らかな風が窓から入ってきて、ソファに座る僕の髪を揺らして吹き抜けていく。それにふと目を覚ました僕は、膝に重さを感じて視線を落とした。
同じように揺れてる緋色の髪が目に入り笑みが零れる。
(いつからいたんだろう)
僕の膝を枕にして寝ているルディウス様は、今年三十二歳になるのに出会った時と変わらずとっても若々しい。
男らしいのに綺麗で、強くてカッコいい僕の大好きな人。
横顔も素敵だなーって思いながら髪を撫でてたら、身動いだルディウス様が目を開け僕を見上げてきた。
「⋯アルシエ⋯」
「ごめんなさい、起こしちゃいました」
「いや⋯⋯体調はどうだ?」
「だいぶ落ち着きましたよ。この子も元気です」
「そうか、良かった」
安心したのか、表情を柔らかくしたルディウス様は僕のお腹を撫でたあと、腰に腕を回しておでこを押し当てる。
三ヶ月前から僕は体調を崩して一日のほとんどをベッドで過ごしてたんだけど、今日は吐き気も気持ち悪さもなくて久し振りにソファで日向ぼっこしてた。
ルディウス様にはずっと心配をかけてたから、ホッとした顔が見れて僕も嬉しい。
ちなみに体調不良の原因は病気ではなくて、実は今、僕のお腹の中には小さな命が宿ってた。
僕とルディウス様の子供。
初めてここにいるって分かった時は信じられなかった。今だに実感は湧いてないけど、確かにお腹の中で生きてるんだよね。
「アルシエ。安定期に入ったら少し遠出しないか?」
「え?」
「子供が産まれたら難しいからな。従医の許可が出たら行こう」
そっか。確かに小さい子を連れて遠出は子供も大変だもんね。
下から見上げてくるルディウス様に微笑み、僕はこくりと頷いた。
「久し振りのお出かけですね」
「そうだな。特に最近は殿下の戴冠の時期も迫っていて帰りが遅かったりするからな。妊娠中で体調が悪いのに、傍にいてやれなくてすまない」
「いいえ。ルディウス様にとっても大事な期間だって分かってますから。それに、お休みの日はこうして一緒にいてくれますし」
「私がアルシエといたいんだよ」
アンジェラ様が言っていた通り、ルディウス様は殿下が即位されたら近衛騎士となる事が決まってる。〝緋炎の騎士団〟の団員さんたちは、ルディウス様以外の人の下にはつかないって言ってるらしく、そのまままるっと近衛騎士隊になるみたい。
本当に慕われてるんだなって聞いた時嬉しくなった。
にこにこと返事していればルディウス様が起き上がり、僕の肩を抱いてまたお腹を撫でる。
「せめてこの子が産まれる時は、ずっと傍にいられたらいいんだが」
「いてくれたら心強いなぁ⋯」
「予定日近くになったら仕事は抑えるか」
「あとが大変ですよ」
「アルシエが苦しい時、手を握ってやれるならいい」
こんな風に、ルディウス様は四年経っても僕を甘やかす事を言ってくれる。
小さく笑って頭を寄りかからせれば、ルディウス様は肩に置いていた手でポンポンと叩いて髪に口付けた。
こうやってルディウス様と穏やかに過ごせる時間が一番好き。
「名前は⋯まだ気が早いか」
「そんな事ありませんよ。早く決まったら、産まれてすぐ呼んであげられますし」
「それもそうか。まぁ考えてはいたんだが⋯⋯男児ならセルティス、女児ならシェリアというのはどうだ?」
「素敵です!」
セルティス・ヴァン・リトルハイム、シェリア・ヴァン・リトルハイム⋯うん、凄くいいと思う。気のせいかもしれないけど、ほんのり僕とルディウス様の名前を感じられて嬉しい。
僕はお腹に触れたままのルディウス様の手に自分の手を重ね目を細める。
「元気に産まれて来てくれるならどっちでもいい。魔力がなくたって、大切な子には代わりないですもんね」
「ああ。私とアルシエの宝物だ」
今までたくさんルディウス様やアンジェラ様から貰ったけど、この子はそれ以上の存在で何よりも守るべき本当の宝物。
実感はないものの愛しい気持ちはあって、ルディウス様の手で撫でるように動かしてたら、不意に顎が捉えられて上向かされ唇が塞がれた。
「ん⋯っ」
食むように口付けられて腰やお腹の下がズクンと疼く。
今はダメなのに、もっとなんて思う自分がはしたなくて恥ずかしい。
舌は入ってこないまま唇が離れて、ルディウス様が息を吐いた。
「ここに子供がいるのは喜ばしい事なんだが、アルシエを抱けないのは寂しいな」
「さみ、しい⋯?」
「アルシエと一つになるのはこの上ない幸せだからな。それに、アルシエのおかげで自分の欲が際限ない事を知れた」
「ルディウス様、元気ですよね⋯僕はすぐヘトヘトになっちゃうのに」
一度だけ、ルディウス様の好きにしていいですよって言ったら凄かったもん。
出しても出しても終わらなくて、頭の中ぐちゃぐちゃでおかしくなるかと思った。次の日は休めって言われるまでもなくベッドから出られなくて、お世話をしてくれたリーネさんも「困った方ですね」って苦笑してた。
でも、僕もルディウス様と繋がれると幸せってなるから、気持ち的にはまたあってもいいかなって思ってる。
「アルシエは体力がないからな」
「これでもついた方だとは思うんですけど⋯」
「子供が産まれたらもっと体力を使う事になるぞ。この子の性格にもよるが、元気な子はとことん動き回るからな」
「うぅ⋯頑張ります」
せめてついて行けるくらいには。
産まれるのはまだまだ先だけど、産まれたあとを想像するのはワクワクして楽しい。この子には色んな事を経験させてあげたいな。それこそ、僕の分まで。
僕は間近にあるルディウス様の顔をじっと見て、それからおもむろに口付けた。
男の子でも女の子でも、ルディウス様似なら美人さんになるだろうな。
同じように揺れてる緋色の髪が目に入り笑みが零れる。
(いつからいたんだろう)
僕の膝を枕にして寝ているルディウス様は、今年三十二歳になるのに出会った時と変わらずとっても若々しい。
男らしいのに綺麗で、強くてカッコいい僕の大好きな人。
横顔も素敵だなーって思いながら髪を撫でてたら、身動いだルディウス様が目を開け僕を見上げてきた。
「⋯アルシエ⋯」
「ごめんなさい、起こしちゃいました」
「いや⋯⋯体調はどうだ?」
「だいぶ落ち着きましたよ。この子も元気です」
「そうか、良かった」
安心したのか、表情を柔らかくしたルディウス様は僕のお腹を撫でたあと、腰に腕を回しておでこを押し当てる。
三ヶ月前から僕は体調を崩して一日のほとんどをベッドで過ごしてたんだけど、今日は吐き気も気持ち悪さもなくて久し振りにソファで日向ぼっこしてた。
ルディウス様にはずっと心配をかけてたから、ホッとした顔が見れて僕も嬉しい。
ちなみに体調不良の原因は病気ではなくて、実は今、僕のお腹の中には小さな命が宿ってた。
僕とルディウス様の子供。
初めてここにいるって分かった時は信じられなかった。今だに実感は湧いてないけど、確かにお腹の中で生きてるんだよね。
「アルシエ。安定期に入ったら少し遠出しないか?」
「え?」
「子供が産まれたら難しいからな。従医の許可が出たら行こう」
そっか。確かに小さい子を連れて遠出は子供も大変だもんね。
下から見上げてくるルディウス様に微笑み、僕はこくりと頷いた。
「久し振りのお出かけですね」
「そうだな。特に最近は殿下の戴冠の時期も迫っていて帰りが遅かったりするからな。妊娠中で体調が悪いのに、傍にいてやれなくてすまない」
「いいえ。ルディウス様にとっても大事な期間だって分かってますから。それに、お休みの日はこうして一緒にいてくれますし」
「私がアルシエといたいんだよ」
アンジェラ様が言っていた通り、ルディウス様は殿下が即位されたら近衛騎士となる事が決まってる。〝緋炎の騎士団〟の団員さんたちは、ルディウス様以外の人の下にはつかないって言ってるらしく、そのまままるっと近衛騎士隊になるみたい。
本当に慕われてるんだなって聞いた時嬉しくなった。
にこにこと返事していればルディウス様が起き上がり、僕の肩を抱いてまたお腹を撫でる。
「せめてこの子が産まれる時は、ずっと傍にいられたらいいんだが」
「いてくれたら心強いなぁ⋯」
「予定日近くになったら仕事は抑えるか」
「あとが大変ですよ」
「アルシエが苦しい時、手を握ってやれるならいい」
こんな風に、ルディウス様は四年経っても僕を甘やかす事を言ってくれる。
小さく笑って頭を寄りかからせれば、ルディウス様は肩に置いていた手でポンポンと叩いて髪に口付けた。
こうやってルディウス様と穏やかに過ごせる時間が一番好き。
「名前は⋯まだ気が早いか」
「そんな事ありませんよ。早く決まったら、産まれてすぐ呼んであげられますし」
「それもそうか。まぁ考えてはいたんだが⋯⋯男児ならセルティス、女児ならシェリアというのはどうだ?」
「素敵です!」
セルティス・ヴァン・リトルハイム、シェリア・ヴァン・リトルハイム⋯うん、凄くいいと思う。気のせいかもしれないけど、ほんのり僕とルディウス様の名前を感じられて嬉しい。
僕はお腹に触れたままのルディウス様の手に自分の手を重ね目を細める。
「元気に産まれて来てくれるならどっちでもいい。魔力がなくたって、大切な子には代わりないですもんね」
「ああ。私とアルシエの宝物だ」
今までたくさんルディウス様やアンジェラ様から貰ったけど、この子はそれ以上の存在で何よりも守るべき本当の宝物。
実感はないものの愛しい気持ちはあって、ルディウス様の手で撫でるように動かしてたら、不意に顎が捉えられて上向かされ唇が塞がれた。
「ん⋯っ」
食むように口付けられて腰やお腹の下がズクンと疼く。
今はダメなのに、もっとなんて思う自分がはしたなくて恥ずかしい。
舌は入ってこないまま唇が離れて、ルディウス様が息を吐いた。
「ここに子供がいるのは喜ばしい事なんだが、アルシエを抱けないのは寂しいな」
「さみ、しい⋯?」
「アルシエと一つになるのはこの上ない幸せだからな。それに、アルシエのおかげで自分の欲が際限ない事を知れた」
「ルディウス様、元気ですよね⋯僕はすぐヘトヘトになっちゃうのに」
一度だけ、ルディウス様の好きにしていいですよって言ったら凄かったもん。
出しても出しても終わらなくて、頭の中ぐちゃぐちゃでおかしくなるかと思った。次の日は休めって言われるまでもなくベッドから出られなくて、お世話をしてくれたリーネさんも「困った方ですね」って苦笑してた。
でも、僕もルディウス様と繋がれると幸せってなるから、気持ち的にはまたあってもいいかなって思ってる。
「アルシエは体力がないからな」
「これでもついた方だとは思うんですけど⋯」
「子供が産まれたらもっと体力を使う事になるぞ。この子の性格にもよるが、元気な子はとことん動き回るからな」
「うぅ⋯頑張ります」
せめてついて行けるくらいには。
産まれるのはまだまだ先だけど、産まれたあとを想像するのはワクワクして楽しい。この子には色んな事を経験させてあげたいな。それこそ、僕の分まで。
僕は間近にあるルディウス様の顔をじっと見て、それからおもむろに口付けた。
男の子でも女の子でも、ルディウス様似なら美人さんになるだろうな。
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