身代わりの伯爵令息は冷徹公爵の寵愛を得る

ミヅハ

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愛息子

 今日は天気もいいからセルティスとお散歩をしようと彼の部屋へと入ったら、セルティスは床に寝そべり一生懸命クレヨンを動かしてた。
 そっと近付いて後ろから覗き込むと、誰かの顔を描いているらしい事が分かる。
 髪の色的に⋯ルディウス様かな?
 三歳になったセルティスはどんどん出来る事が増えて、リーネさん曰く今はお絵描きにハマっているんだとか。塗り潰したり丸だけの絵を描くって聞いてたけど、今描いてるものはちゃんと顔だって分かる。
 こんなに描けるんだって見てたら、気付いたセルティスが僕を見上げてにこっと笑った。

「かあさま」
「セルティス、父様を描いてるの?」
「うん。とうさま、もうすぐおめでとうのひ」
「そっか、贈り物にするんだね」

 どうしてルディウス様なのかと思ったら、もうすぐ誕生日だからプレゼントしたくて描いてたんだ。可愛い。

「とうさま、うれしい?」
「すっごく嬉しいと思うよ。たくさんぎゅーってしてくれるかも」
「へへ」

 照れ笑いを浮かべるセルティスに自然と笑みが零れる。
 近衛騎士の隊長となったルディウス様は忙しくて夜の少しの時間しかセルティスと関われないけど、短時間でもたくさん遊んでくれるからかセルティスは父様が大好きだ。
 ルディウス様も可愛くて仕方ないみたいで、何をされてもにこにこしてる。

「セルティス、描き終わったらお散歩行かない?」
「おさんぽ、いく」
「じゃあおやつ持って行こっか」
「うん!」

 元気よく頷くセルティスの頭を撫で、僕は邪魔にならないよう散らかったままのおもちゃを片付けていく。
 ルディウス様もだけど、陛下やフローラ様、遠くにいるアンジェラ様もたくさんくださるから数が凄い。そしてそれを満遍なく遊ぶセルティスも。
 そろそろ収納場所がなくなってきたかも。

「かあさま、できた」
「わぁ、上手に描けたね。あとでリーネさんにリボン貰おうね」
「うん」

 線は歪でも、髪や瞳の色がちゃんとルディウス様の色だから分かりやすい。
 描き終わった紙を持ってどこに置こうかときょろきょろしたセルティスは、ベッドの下へと置いて隠し満足気に息を吐いた。
 あんなに小さくても、バレないようにしようって考えるんだね。

(本当に可愛いなぁ)

 丸みのある頬も小さい手足もふっくらとした身体も、セルティスという存在自体が愛おしくて堪らない。
 この子の為なら何だって出来るって思える。
 駆け寄ってきたセルティスの小さな手を握り、僕は庭へと向かってゆっくりと歩き出した。
 今日はセルティスと一緒に花壇をいじろうかな。



 ルディウス様の腕の中で眠りについたセルティスをリーネさんに預け、次は僕の番と胸に飛び込めばすぐに抱きしめ返される。
 セルティスが寝たあとは夫婦の時間。

「毎日セルティスを見ているが、驚くほど成長しているな」
「子供の吸収力凄いです。昨日は出来なかったのに今日は出来てる事、たくさんありますよ」
「夜しか一緒にいてやれないのが悔やまれるな」
「でももうすぐお休み貰えるんですよね?」

 実際、近衛隊のお休みがどれくらいあるのかは知らないけど、ルディウス様は定期的に貰ってる。陛下はお優しいから、セルティスの為にくれてるのかもしれないけど。
 ベッドに腰掛けたルディウス様の膝に跨って座り、首を傾げながら聞けば表情を緩めて頬に手が当てられる。

「ああ。どこに行きたい?」
「せっかくのお休みなんですから、ゆっくり過ごしてください」
「休みは家族と過ごす日だろう?」
「⋯⋯じゃあ、我儘言ってもいいですか?」
「もちろん」

 ルディウス様が家族とって思ってくれてるのは嬉しいんだけど、僕としてはもう少しだけでも二人で過ごしたいなって最近思ってた。

「前提として家族の時間も大事だって思ってるんです。僕もみんなで過ごすの好きだし。それにルディウス様はセルティスとは夜だけで、お休みの日だからこそ一緒にいた方がいいんですけど⋯えっと⋯」
「アルシエが一番家族を大切にしている事は分かってる。大丈夫だから、言ってごらん」
「⋯⋯⋯次のお休みは⋯ルディウス様と二人で⋯お出かけしたい、です⋯」

 セルティスが産まれてからは、どこかに行く時はみんなでが当たり前で、もうデートなんてしばらくしてない。
 息子に申し訳ないって気持ちを抱きながらもそう言えば、ルディウス様はクスリと笑って僕のおでこに口付けてきた。

「そうだな、久し振りに二人で出かけようか」
「⋯セルティスを除け者にしたい訳じゃないんです⋯」
「誰もそう思ったりしないから。夫婦が子供を預けて出掛けるなど、みなしている事だ。アルシエは気にしすぎだよ」

 親なのに子供を置いてなんてって思ってたけど、みんなしてるんだ。
 ホッとしてルディウス様に寄りかかれば、髪が撫でられて抱き締められる。

「私もアルシエとの時間が欲しいと思っていたところだ」
「本当ですか?」
「ああ。セルティスももう三歳になったからな」
「? そうですね」

 二人の時間とセルティスが三歳になった事とどんな関係があるのか、不思議に思いつつも頷いた僕の耳にルディウス様が唇を寄せてくる。
 耳たぶを軽く食まれて首を竦めたら、背中にあった手が下りてお尻に触れてきた。

「だからそろそろ、二人目を考えないか?」
「え⋯」
「アルシエとの子供だ、何人いたっていい」
「⋯んっ」

 お尻の割れ目に指が滑り込み、軽く奥が押されて身体がビクッとした。
 夜のお誘いにはそれなりに慣れてきたけど、やっぱりドキドキはするし顔は赤くなる。だけど嫌じゃないから、僕は腕を伸ばしてルディウス様の首に回して頷き口付けた。
 僕だって、ルディウス様との子供は何人でも欲しいって思ってるんだから。
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