身代わりの伯爵令息は冷徹公爵の寵愛を得る

ミヅハ

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番外編

願っていた景色

「ねぇお母様、ロイドに聞かれたんだけど、お祖父様とお祖母様ってどこにいるの?」

 子供に手がかからなくなり、少しずつお屋敷の仕事を再開してしばらく、図書室で調べ物をしていた僕に窓辺で本を読んでたシェリアがそう聞いてきた。
 お祖父様とお祖母様って、父様と母様の事だよね? どこと言われても⋯。

「僕の両親って事だよね?」
「うん」
「父様は分からないけど、母様は南にある村で暮らしてるよ」

 ルディウス様は結局何も言わなかったものの母様で間違いないからそう答えれば、シェリアは不思議そうな顔で首を傾げた。

「村? お母様は貴族じゃないの?」
「一応、伯爵位は持ってたけど⋯」

 正直、今のマルグリアがどうなっているのか分からない。
 父様も姉様も最後に見た日以降ぱったりと姿を現さなくなったし、誰も話題にさえ上げなくなった。ただ母様があの村に一人で住んでる時点で、父様と母様の間に何かあったのは確かなんだろうな。
 シェリアは本を閉じ窓辺から立ち上がると、僕の隣に腰掛け顔を覗き込んできた。
 ルディウス様の血が強いのか我が子は総じて綺麗な顔をしていて、シェリアも例に漏れず美人さんだ。親の僕でもドキドキしてしまう。

「でも、今は村にいる?」
「う、うん」
「何だ、じゃあ会おうと思えば会えるんだ。ロイドがね、一度も会った事がないのはおかしいって言うのよ」
「そっか⋯」

 シェリアが産まれて八年、確かに一度も会ったことがないのは珍しいかも。
 ルディウス様のご両親は亡くなってるから会いたくても会えないけど、僕の母様はご存命だから会おうと思えば会える。でも母様の気持ちは分からないし、安易に会いに行こうなんて言えなかった。
 子供が産まれるたびにルディウス様が母様に報告してくれて、おめでとうの言葉を受け取って帰って来てたくらいで会いたいとは言ってなかったみたいだし。

「会ってみたいな」
「お父様にお願いしたら会えるんじゃないかな」
「? お母様のお母様なのに?」

 そう聞かれて僕は思わず言葉に詰まった。
 何も知らないシェリアがそう思うのも仕方ないけど、僕としてはそれ以上は言えなくて頭を悩ませる。
 現状、母様に面と向かって会えてるのはルディウス様だけだから。
 理由を説明する訳にもいかなくてどうしようかと考えてたら、図書室の扉がノックされセルティスが入ってきた。

「母様、エリオスが腹痛を訴えて倒れました」
「え!?」
「今リーネが急いで医者の手配をしております」
「すぐ行く! シェリア、お祖母様の事は父様に聞いてみるね」
「ありがとう。それより早くエリオスのところに行きましょう!」

 途端に慌ただしくなってしまったけど、さっきの話の続きをすればシェリアは微笑んで頷いた。
 僕とシェリアは机の上もそのままに、険しい顔をしているセルティスを追いかける。
 いったいエリオスに何があったんだろう。



「なるほど、それでエリオスはリーネから説教をされてたんだな」

 夕方、帰って来たルディウス様に昼間あった事を話せば、ルディウス様は着替えながら苦笑を漏らした。
 エリオスの腹痛は何て事ない食べ過ぎで、子供たちの為にとルディウス様が買い込んでいたお菓子をついつい食べてしまったらしい。一日いくつまでって決めてたのに。

「よく食べる子だと思っていたが」
「エリオスは、自分の胃なら大丈夫だと思ってたそうです」
「十四歳にもなって⋯」

 呆れて首を振ったルディウス様はラフな格好になると、僕を抱き寄せ軽く唇を触れ合わせてきた。
 お互いそれなりに歳をとったけど、ルディウス様は変わらず愛してくれてこうして触れてくれる。子供たちと何かをしている時ももちろんそうなんだけど、こうしてルディウス様の腕の中にいる時が一番幸せだ。
 あ、そうだ。ルディウス様に言おうとしてた事があったんだ。

「あの、ルディウス様」
「ん?」
「母様の事なんですけど⋯その、シェリアが会いたがっていて」
「そうか⋯私も何度か孫にだけでもとは言っていたんだが⋯」
「難しい⋯ですよね?」

 ルディウス様の反応から色良い返事は貰えていないのは分かってる。
 愛する娘の願いを叶えてあげたい気持ちはあっても、これは母様の気持ちありきだからルディウス様も快諾は出来ないだろうな。
 ルディウス様は僕の頭に顎を乗せて考えたあと、僕の背中を軽く叩いて頷いた。

「分かった、オリヴィエ夫人に聞いてみるよ。もしかしたら、孫から会いたいと言われたら気が変わるかもしれないしな」
「ありがとうございます。ごめんなさい、ルディウス様ばかりにお任せして⋯」
「私が好きでしている事だ、気にするな」

 母様が僕に会えないと思っている以上どうしてもルディウス様頼みになってしまうのが申し訳ない。
 目を伏せる僕にフッと笑ったルディウス様は、そう言ってぎゅっと抱き締めてくれた。
 せめて会いたいって口にしたシェリアにだけでも会ってくれたらいいんだけど。



 それから日が経って、今日はセルティスの十八歳の誕生日。
 成人となる記念すべき日だから例年より豪華なパーティになってて、前日から使用人総出でホールの飾り付けをしてくれたらしい。
 ちなみにこのホールは、子供が友人を招いた時に自由に使えるようにとルディウス様が新設したものだ。

「セルティス、誕生日おめでとう」
「ありがとうございます、母様」
「正式入隊のお祝いも込めて、母様からはお守りと飾り紐だよ」
「もしかして、手作りですか?」
「うん。お店のほど綺麗じゃないけど」

 ルディウス様にはどっちも贈った事はあって、切れたり破れたりしたら新しい物を作って渡すようにしてた。飾り紐は最初のは既製品だったけど今では作れるようになってて、それなりに見られるようにはなったもののやっぱり渡すときは恥ずかしい。
 ちなみに色はセルティスの好きな紫色。ルディウス様と同じ属性だけど、緋色はぼくにとってルディウス様の色だから。
 セルティスは両手で受け取ると、眩しいくらいの笑顔を返してくれた。

「そんな事ありませんよ。凄く丁寧に作られてて、お店の物より綺麗です。大事にしますね」

 本心から嬉しそうなセルティスにホッとする。
 エリオスとシェリア、使用人がそれぞれプレゼントを渡していく中、僕はルディウス様がまだ帰って来ていない事に気付いた。
 朝から出かけて行った事は知ってたけど、パーティまでには戻るって言ってたのに。
 ちょっと玄関の方を見てこようかなって入り口を振り返ったら、ちょうど扉が開いてルディウス様が入ってきた。

「すまない、少し遅れた」
「父様」
「お父様!」

 セルティスとシェリアの表情が一際明るくなり、シェリアに至っては駆け寄って飛び付いてる。
 ルディウス様はそんなシェリアを抱き上げると優しく微笑みながら扉から一歩離れ、どうしてかその向こうへと視線を送った。

「セルティスの誕生日だが、子供たちと、アルシエにとってのサプライズを用意した」
「僕も?」

 子供たちだけなら分かるけど僕も含まれてるなんて思ってなくて、目を瞬いていた僕はルディウス様が「どうぞ」と促して入って来た人を見て息を飲んだ。
 姉様と同じプラチナブロンドの髪に、エメラルドのような緑の瞳。、ほとんど顔を合わせた事はないけど、最後に見た時よりも歳は重ねてるけど分かる。

「かあ⋯さま⋯」

 呆然としたまま呟く僕を見てゆっくりと近付いてきた母様は、少しだけ間を空けて止まると躊躇いがちに口を開いた。

「⋯本当は、二度と貴方の前に現れるつもりはなかったの。でも公爵様がずっと、孫にだけでも会わないかって言ってくださっていて⋯⋯今日、貴方の初めての子が成人するって聞いて胸がいっぱいになった⋯⋯どうしても、顔だけでも見たくて⋯来てしまったわ⋯⋯」
「母様」

 不安げに、たどたどしく話す母様は今にも泣きそうで、僕は強く握られた手を取ると俯いてる顔を覗き込んだ。
 何も言わなくてもいい。顔が見たいって思ってくれただけでも充分だ。

「僕は母様に会えて嬉しいです。こうしてお顔を見て、お話出来る事が本当に嬉しい。だから、謝ったりはしないでくださいね?」
「⋯⋯アルシエ⋯」

 あの手紙で母様の気持ちは充分知れたから、謝るよりも笑って欲しい。
 そう言って笑顔になれば、母様はポロポロと涙を流して僕を抱き締めた。
 初めて感じる母様の温もりと、小さな頃に嗅いだ事のある柔らかな匂いに僕の目からも涙が溢れ抱き合いながら二人でしばらく泣いてら、我慢出来なくなったのかシェリアが母様の服を引き「お祖母様?」と聞いてきた。
 母様はそれにまた涙を零し、僕が頷くと手を離して膝をつきシェリアと目線を合わせる。

「ええ⋯あなたたちのお祖母様よ」
「! お祖母様!」

 パッと笑顔になったシェリアが母様に抱き着き、母様も愛おしそうにシエリアを抱き締める。
 そこにセルティスとエリオスも来て、母様は孫に囲まれた。
 母様は嬉しそうに子供たちの名前を聞いてて、三人の手を握りそれぞれの顔を見ながら話してる。
 まさか、こんな光景が見られる日が来るなんて⋯。

「アルシエ」

 微笑ましい四人を眺めてたら、肩が抱かれてこめかみに口付けられた。
 見上げるとルディウス様が微笑んでて、反対の手で僕の目尻を拭い息を吐く。

「直前まで断られてたんだが、少しだけでもと食い下がったら腰を上げてくれたよ。子供たちが嬉しそうで良かったな」
「はい。母様も幸せそうです。⋯ルディウス様」
「ん?」
「本当にありがとうございます。ルディウス様がたくさん母様に話してくださったから、こうしてまた会えました。感謝してもしきれません」

 ルディウス様にはたくさんの贈り物を貰ったけど、この光景は子供を授かった時くらい嬉しくてありがとうって言葉じゃ足りないくらいだ。
 僕の言葉に笑みを深めたルディウス様は、僕の左手を掬うと指輪へと口付けそのまま握って軽く引き母様たちの方へと歩き出した。

「さあ、改めてセルティスの成人を祝おうか」
「お祖母様は、私の隣ね」
「あ、シェリアずるい!」
「私がお祖母様にお会いしたいって言ったんだもん」
「喧嘩しないの。ほら、右手も空いてるわよ」

 すっかり母様と打ち解けたエリオスとシェリアは母様の手を両側から握り、主役であるセルティスについてケーキの前へと移動する。
 僕とルディウス様もセルティスの傍に立ち、誕生日パーティを再開した。
 ルディウス様からのプレゼントはセルティスの身長に合わせたオーダーメイドの長剣で、柄の部分に赤色の守護石が嵌められている。
 セルティストは凄く喜んで、腰に下げる剣はそれにするって決めたらしくさっそく僕が渡した飾り紐をつけてた。それを誇らしげに見せてくれるセルティスが愛おしい。
 どうかあの剣が、セルティスを守ってくれますように。
 

 パーティのあと、母様とたくさん話してお屋敷に住む案も出したけど、ケジメだからって頷いてはくれなかった。
 でも時々会いに来てくれるし、会いに行ってもいいって言って貰えたからそれで充分。
 母様とはここからがスタートだけど、ルディウス様や子供たちと一緒に〝家族〟としてたくさんの時間を過ごせるといいな。





FIN.

✧• ────────────────────── •✧

これにて、番外編も終了となります!
長編という事もありかなり長くなってしまいましたが、楽しんで読んでいただけましたでしょうか?

本編終了の後書きでも書きましたが、本作は初めてBL大賞にエントリーをし奨励賞をいただいた作品なので思い入れが強く、終わりが来る事が寂しかったです。
ですが無事完走できて、達成感と安堵感にも包まれています。
本当に本当に、ここまでお付き合いくださりありがとうございました!
感想、エール、いいね、お気に入り登録も感謝しかありません🥲
ちなみにお気に入りが3000を超えたのは初めてなので、最初見た時はおったまげました(笑)

次回作についてですが、少し話数が足りないので今月の残り2日は制作期間としてお休みをいただき、2月1日の9時からまた毎日更新したいと思っております🙂‍↕️
少し間が空いてしまいますが、よければそちらもぜひお読みいただけたら嬉しいです☺️

最後になりますが、皆さまに最大限の感謝の気持ちを込めて⋯本当に本当に本当にありがとうございました✨✨
感想 86

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みんなの感想(86件)

もるもる
2026.03.08 もるもる
ネタバレ含む
2026.03.08 ミヅハ

コメントありがとうございます🙇‍♀️

すみません、そちらの疑問だったのですね。

これは私が説明足らずだった事もあり、のちのちこうした方が良かったと思った部分ではありますが、教団側で、〝半年前に女神像が涙を流した〟、〝これは女神が降臨した証〟だと話しており、信者たちが捜索を始め、その過程で信者たちの話が偶然父親の耳に入り特徴が合致するアルシエを売ったという感じです。
なので、父親自身はアルシエが女神の生まれ変わりだとは信じておりません。
アルシエを苦しめられるなら何でもいいという気持ちしかないので。
ここをちゃんと説明出来たら良かったのですが⋯。

あの兄妹に関しては完全にざまぁのタイミングを逃しました💦
すみません😣

長いので、ぜひ無理のない範囲でお楽しみいただけたらと思います😊
嬉しいです、ありがとうございます!
拙い作品ばかりですが、どれか1つでもお気に召すお話があると幸いです✨

解除
もるもる
2026.03.07 もるもる
ネタバレ含む
2026.03.07 ミヅハ

コメントありがとうございます🙇‍♀️

すみません、分かりにくいですよね💦

本文で記していたかの確証がないので申し訳ないのですが、設定では、セレーナから聞いて半信半疑だった父親も、アルシエが花たちと会話しているのを目撃して怒鳴りつけている、としています。
なのでアルシエは人に見られてはいけないんだと、一人の時のみ動植物と話をするようになりました。

余談ですが、父親からマルグリアの人間に伝わり、魔力が過小な事も相俟って屋敷では気味悪がられていたという感じですね。

そうですね、ルディウスは最初本当にクズ男でした😅
ですが両想いになってからはアルシエが笑顔でいられるようにと考えているので、誰よりも幸せにする気概で頑張ると思います😊

解除
ぴよこ
2026.02.03 ぴよこ
ネタバレ含む
2026.02.03 ミヅハ

コメントありがとうございます🙇‍♀️

ようやく母として接せられるようになったので、オリヴィエも相当アルシエに甘くなりそうです🤭
それこそルディウスといい勝負になるかも?(笑)

みんなの幸せを願ってくださりありがとうございます🙂‍↕️
きっとこれからも公爵家は、笑顔と幸せ溢れる日々を過ごすと思います✨

解除

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