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リバースストーリー
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そろそろ前にカノンが来てから二か月近く経つ。多くの貴族にも私の病状が治りつつあると広まっており、ここにきて新たに縁談が来ていると兄上から聞かされた。死にかけの時に放っておきながら調子のいい奴らだ。
しかも、侯爵家からも縁談が来ているようでカノンの立場も危うい。また、エディンの実家からも来ており、私の病気を治したという噂があって、あそこも候補としてはかなり有力になってきていた。
「まだ、背後にいるものが誰か分からんのか」
「あと一歩です。直接の実行犯はギュシュテン伯爵だと分かったのですが、その先が見えぬのです。直接乗り込みでもしない限りは難しいかもしれません」
「乗り込むとなると私の権限では……何とか探れないか?」
「手のものでは……」
カコンと天井から音がする。
「報告か……後にせよ!」
「いえ、私であればその期待に応えることが出来るかと」
「お前はアーニャか。カノンに付けと言ったはずだが?」
「はっ、そちらについては申し訳ございません。しかし、お嬢様は今回の婚約のことで大変悩んでおられ、私としても黒幕を確保することが一番良いと思い来ました」
「悩みとは何なのだ?」
「そちらはぜひ、次に会われる時にお聞きくださいませ」
「分かった。しかし、本当に大丈夫なのか? 今やっている邸の調査とは違うぞ」
「お任せください。お嬢様のためでしたらこの程度造作もありません。数日中に成果を上げてまいります」
頼んだと言う暇もなく、アーニャの姿が掻き消える。
「よろしいのですか?」
「よろしいも何もすでに出て行った。あれを止められるのは兄上のところにいる者か、父上についているものだけだ。吉報を待つしかない」
こうして、さらに我慢すること二日。今日も部屋はうるさい。
「ほら、クレヒルト殿下。お外へ行きましょう」
「行かぬといっている。これ以上言うのであれば、叩き出す」
「恥ずかしがらなくても結構ですのよ。さあ!」
「ええい……」
カコンと本来であれば他人がいる所で鳴らぬはずの音がする。あえてのことだろう。
「むっ、アーニャか?」
「はい、ご報告があるのですがよろしいでしょうか?」
「構わん。エディン嬢、使いの者からの報告だ出て行ってくれ」
「嫌です。私がいても構わないでしょう? どうせ、一緒になるのですし」
「何を言っている。王族として私はこの者から報告を受けているのだ。退出せぬならスパイとして処する!」
「わ、わかりました。すぐ、終わらせてくださいね」
さすがに私の言葉で怖くなったのかエディンは出ていった。
「元気なバカですね」
「バ……まあいい、報告を」
「はっ! 調査完了いたしました。ギュシュテン伯爵と繋がっていたのはアルター侯爵でした。ここに密書もございます。どうやら侯爵はレスター殿下を亡き者にして、殿下を使い傀儡政権を打ち立てる算段だったようです」
「しかし、なぜ婚約者にまで踏み込むのだ。別にエレステン伯爵家のままでもよかろう?」
アルター侯爵家にはエレステン伯爵も逆らわぬだろうが……。
「彼は政務に長けていないですが野心家です。また、カノンお嬢様は世間知らずではありますが、慈悲深く殿下に色々進言すると思われたのでしょう。エディン子爵令嬢なら物さえ与えておけば問題ないですし、自分の娘ならなお良いと考えているようです」
「許せんな。そんなことでカノンを害そうとするとは」
「全くです!」
力強くアーニャも答える。全く許せんことだ。
「だが、これでもはや我慢することはなくなったな。明後日に行われる私の快気祝いパーティーで存分に叩いてくれる!」
「はい。ですが、それにつきましては事前に宰相や陛下と打ち合わせをされた方がよろしいかと。相手は腐っても侯爵家。殿下の権限では廃しきれぬ可能性もございます」
「うむ。自分の手だけでやりたいところではあるが、カノンのためにもここは我慢せねばならんな」
「では、手配してまいります」
「頼んだぞ」
アーニャが部屋から出て行くと代わりにエディンが入ってくる。
「何のお話だったんですか?」
「明後日の快気祝いパーティーの話だ」
「それなら、私も楽しみにしておりますわ」
「私も楽しみにしている。当日の打ち合わせもあるからすまないがこれで……」
何せ体調不良で、何年もできなかった婚約披露パーティーだからな。この日をどれだけ待ち望んだか。
「そうですね。当日はあっと言わせて見せますから」
その後、エディンはくねくねしながら出て行った。気持ち悪いがさっさと出て行ってくれたので助かる。しばらくすると宰相閣下と父上がやって来た。
「クレヒルト殿下、お久しぶりでございます。最近は体調も良いようで、何よりです」
「宰相閣下もお元気そうですね」
「ええ、これもカノン様のお陰です。最近また新しく栄養剤をお作り頂いて、私も仕事の効率が上がっております。お陰で少しは休日を作ることが出来ました」
「それは…お疲れ様です。しかし、あまりカノンに負担をかけないでいただきたい」
「それについては私も申し訳なく思っております」
「して、我らに話とは何用だ。クレヒルトよ」
「はっ、父上。いや、国王陛下。かねてより私の病気を治す薬を盗んだ罪人を調べていたところ、国賊にたどり着きましたのでご報告をと思いまして…」
「薬を盗む?お前はエディン嬢が献身的な介護で治したと噂になっておるが…」
「とんでもありません!あの女こそ今回の件での実行犯であり罪人です。まずはこれをご覧ください」
私はアーニャが持ってきてくれた密書を2人に見せる。
「こ、これは…しかし、侯爵ともあろうものがここまでのことを」
「いや、だが確かに侯爵は新たな婚約者を設けるべきと、自分の娘とエディン嬢を推薦してきている。クレヒルトがここまでして言うのだからそうなのだろう」
「しかし、これをどのような形で発表しましょう…混乱は避けられません」
「いっそのこと慶事をもって対応するのはどうでしょう。例えば…」
「ふむ、確かに功績からいえば今回のことはそれだけの成果でしょう。しかし、そのような前例はなく反発が大きいのでは?」
「そこで、私が出るのです。将来を考えれば皆も口を挟まぬでしょう。その前の出来事を考えればそれで済むわけですから」
「確かにな。このところ王族を軽視するわけではないが、自治を強めるものも増えた。いい牽制になるだろう」
「ではこの件は宰相閣下と合同で捜査をしたということで…」
「殿下はそれでよろしいのでしょうか?」
「不本意ではありますが、私は何の実績もない身。十分な裏付けもなく証拠も本物か疑わしいと言われれば押し切られるかもしれません。しかし、宰相閣下であれば貴族たちからの信任も厚く、不正がないと納得するでしょう」
「手柄を横取りするようで申し訳ありませんが、のちのことを考えると乗らせていただきましょう」
「それでは細かい打ち合わせをせんとな。息子の一生に一度の晴れ舞台だ!」
そして私たちは今後の方針を細かく詰めていく。すべては愛するカノンを守り、憎き犯人を地獄に落とすため私は話し合いをするのだった。
「陛下お呼びですか?」
「うむ。これと同じ書類がアルター侯爵のもとにもあるはずだ。それを持ってくるのだ」
「御身から離れることになりますが…」
「構わぬ。それに、せっかく息子がやる気を出したのだ。きれいに事を進めんとな」
「御意に」
スッと音もなく影が消えてゆく。当日これで何が起きようとも大丈夫だろう。我が国の影の恐ろしさを知るがいいわ!しかし、あのカノンという娘のお陰であと100年はあの家もおとなしく従うだろう。本当に良い薬を作ってくれたものだ。王はワインを飲み干すと、満面の笑みを浮かべ床についたのだった。
しかも、侯爵家からも縁談が来ているようでカノンの立場も危うい。また、エディンの実家からも来ており、私の病気を治したという噂があって、あそこも候補としてはかなり有力になってきていた。
「まだ、背後にいるものが誰か分からんのか」
「あと一歩です。直接の実行犯はギュシュテン伯爵だと分かったのですが、その先が見えぬのです。直接乗り込みでもしない限りは難しいかもしれません」
「乗り込むとなると私の権限では……何とか探れないか?」
「手のものでは……」
カコンと天井から音がする。
「報告か……後にせよ!」
「いえ、私であればその期待に応えることが出来るかと」
「お前はアーニャか。カノンに付けと言ったはずだが?」
「はっ、そちらについては申し訳ございません。しかし、お嬢様は今回の婚約のことで大変悩んでおられ、私としても黒幕を確保することが一番良いと思い来ました」
「悩みとは何なのだ?」
「そちらはぜひ、次に会われる時にお聞きくださいませ」
「分かった。しかし、本当に大丈夫なのか? 今やっている邸の調査とは違うぞ」
「お任せください。お嬢様のためでしたらこの程度造作もありません。数日中に成果を上げてまいります」
頼んだと言う暇もなく、アーニャの姿が掻き消える。
「よろしいのですか?」
「よろしいも何もすでに出て行った。あれを止められるのは兄上のところにいる者か、父上についているものだけだ。吉報を待つしかない」
こうして、さらに我慢すること二日。今日も部屋はうるさい。
「ほら、クレヒルト殿下。お外へ行きましょう」
「行かぬといっている。これ以上言うのであれば、叩き出す」
「恥ずかしがらなくても結構ですのよ。さあ!」
「ええい……」
カコンと本来であれば他人がいる所で鳴らぬはずの音がする。あえてのことだろう。
「むっ、アーニャか?」
「はい、ご報告があるのですがよろしいでしょうか?」
「構わん。エディン嬢、使いの者からの報告だ出て行ってくれ」
「嫌です。私がいても構わないでしょう? どうせ、一緒になるのですし」
「何を言っている。王族として私はこの者から報告を受けているのだ。退出せぬならスパイとして処する!」
「わ、わかりました。すぐ、終わらせてくださいね」
さすがに私の言葉で怖くなったのかエディンは出ていった。
「元気なバカですね」
「バ……まあいい、報告を」
「はっ! 調査完了いたしました。ギュシュテン伯爵と繋がっていたのはアルター侯爵でした。ここに密書もございます。どうやら侯爵はレスター殿下を亡き者にして、殿下を使い傀儡政権を打ち立てる算段だったようです」
「しかし、なぜ婚約者にまで踏み込むのだ。別にエレステン伯爵家のままでもよかろう?」
アルター侯爵家にはエレステン伯爵も逆らわぬだろうが……。
「彼は政務に長けていないですが野心家です。また、カノンお嬢様は世間知らずではありますが、慈悲深く殿下に色々進言すると思われたのでしょう。エディン子爵令嬢なら物さえ与えておけば問題ないですし、自分の娘ならなお良いと考えているようです」
「許せんな。そんなことでカノンを害そうとするとは」
「全くです!」
力強くアーニャも答える。全く許せんことだ。
「だが、これでもはや我慢することはなくなったな。明後日に行われる私の快気祝いパーティーで存分に叩いてくれる!」
「はい。ですが、それにつきましては事前に宰相や陛下と打ち合わせをされた方がよろしいかと。相手は腐っても侯爵家。殿下の権限では廃しきれぬ可能性もございます」
「うむ。自分の手だけでやりたいところではあるが、カノンのためにもここは我慢せねばならんな」
「では、手配してまいります」
「頼んだぞ」
アーニャが部屋から出て行くと代わりにエディンが入ってくる。
「何のお話だったんですか?」
「明後日の快気祝いパーティーの話だ」
「それなら、私も楽しみにしておりますわ」
「私も楽しみにしている。当日の打ち合わせもあるからすまないがこれで……」
何せ体調不良で、何年もできなかった婚約披露パーティーだからな。この日をどれだけ待ち望んだか。
「そうですね。当日はあっと言わせて見せますから」
その後、エディンはくねくねしながら出て行った。気持ち悪いがさっさと出て行ってくれたので助かる。しばらくすると宰相閣下と父上がやって来た。
「クレヒルト殿下、お久しぶりでございます。最近は体調も良いようで、何よりです」
「宰相閣下もお元気そうですね」
「ええ、これもカノン様のお陰です。最近また新しく栄養剤をお作り頂いて、私も仕事の効率が上がっております。お陰で少しは休日を作ることが出来ました」
「それは…お疲れ様です。しかし、あまりカノンに負担をかけないでいただきたい」
「それについては私も申し訳なく思っております」
「して、我らに話とは何用だ。クレヒルトよ」
「はっ、父上。いや、国王陛下。かねてより私の病気を治す薬を盗んだ罪人を調べていたところ、国賊にたどり着きましたのでご報告をと思いまして…」
「薬を盗む?お前はエディン嬢が献身的な介護で治したと噂になっておるが…」
「とんでもありません!あの女こそ今回の件での実行犯であり罪人です。まずはこれをご覧ください」
私はアーニャが持ってきてくれた密書を2人に見せる。
「こ、これは…しかし、侯爵ともあろうものがここまでのことを」
「いや、だが確かに侯爵は新たな婚約者を設けるべきと、自分の娘とエディン嬢を推薦してきている。クレヒルトがここまでして言うのだからそうなのだろう」
「しかし、これをどのような形で発表しましょう…混乱は避けられません」
「いっそのこと慶事をもって対応するのはどうでしょう。例えば…」
「ふむ、確かに功績からいえば今回のことはそれだけの成果でしょう。しかし、そのような前例はなく反発が大きいのでは?」
「そこで、私が出るのです。将来を考えれば皆も口を挟まぬでしょう。その前の出来事を考えればそれで済むわけですから」
「確かにな。このところ王族を軽視するわけではないが、自治を強めるものも増えた。いい牽制になるだろう」
「ではこの件は宰相閣下と合同で捜査をしたということで…」
「殿下はそれでよろしいのでしょうか?」
「不本意ではありますが、私は何の実績もない身。十分な裏付けもなく証拠も本物か疑わしいと言われれば押し切られるかもしれません。しかし、宰相閣下であれば貴族たちからの信任も厚く、不正がないと納得するでしょう」
「手柄を横取りするようで申し訳ありませんが、のちのことを考えると乗らせていただきましょう」
「それでは細かい打ち合わせをせんとな。息子の一生に一度の晴れ舞台だ!」
そして私たちは今後の方針を細かく詰めていく。すべては愛するカノンを守り、憎き犯人を地獄に落とすため私は話し合いをするのだった。
「陛下お呼びですか?」
「うむ。これと同じ書類がアルター侯爵のもとにもあるはずだ。それを持ってくるのだ」
「御身から離れることになりますが…」
「構わぬ。それに、せっかく息子がやる気を出したのだ。きれいに事を進めんとな」
「御意に」
スッと音もなく影が消えてゆく。当日これで何が起きようとも大丈夫だろう。我が国の影の恐ろしさを知るがいいわ!しかし、あのカノンという娘のお陰であと100年はあの家もおとなしく従うだろう。本当に良い薬を作ってくれたものだ。王はワインを飲み干すと、満面の笑みを浮かべ床についたのだった。
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