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2人の王子 情と欲
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ようやく部屋に戻ってきた私だったが、ろくに寝ていないことを思い出した。
「全く。気付いてしまうと中々、頭から離れんものだ」
疲労感がどっと押し寄せてくるので、今日は寝ることにする。この状態では良い案も浮かばないだろうしな。
-----
「う…ん」
今は何時だ?起きてすぐにカーテンをめくり、時間を確認する。まだ、夜が明けてすぐのようだ。侍女たちが来るまでは時間があるので、昨日出来なかった情報をまとめ始める。
「まずはカノン嬢の件だな。こちらに関してはうまく行っただろう。後はエレンディアとの式の予定が決まり次第、後宮入りする日を決めるぐらいだな。それと、今後の会う日程か…。流石に大公殿にも配慮せねばならんし、気ままにとはいかんな」
こればかりはどうしようもない。陛下は私に王位を譲りたがっているし、そこまで年数がかかることはないだろうが、あと数年はかかりそうだ。
「次はアルター侯爵の件か…。貴族派の急先鋒の彼の動向は気にせんとな。排除できれば一番なのだが、今しばらくはかかるだろう」
これが出来れば、他の貴族派も鳴りを潜め、数十年は安定した運営が出来そうだ。
「これは必ずなさねばな」
特に、陛下の代で貴族派の不満はかなり高まってしまっている。内定していた、貴族派からの次期王妃への推薦もなくなったし、今回の件に関してもだ。婚約破棄がどうというより、カノン嬢の価値というものを王族が認識できていないということが明るみになったことの方が重い。次の世代の教育についてはあれこれ口を出す貴族も出てくるだろう。
「それもこれも貴族派の勢いが強まっているせいだ。貴族派を一掃できればそんなこともなくなるだろう」
コンコン
「はいれ!」
「おはようございます、レスター殿下」
「うむ、何か予定はあるか?」
「いえ、お帰りになられたのが昨日の夜ですので、2、3日はご予定は入らないかと思われます」
「分かった」
着替えを済ませ朝食をとる。とはいっても、別に家族でという訳ではない。陛下はそうしたいようだが、私は執務や報告事が多いので、普段から自室で取ることにしている。
「食事をお持ちしました」
「では、これで失礼します。何かあればお呼びください」
「うむ」
シリウスが朝食を運んでくると侍女たちは下がっていく。いつもの朝の光景だ。毒見はシリウスが済ませているし、この場では報告も同時に行うため、侍女たちは外に出させている。
「報告を」
「はっ!昨日からの追加情報としましては、アルター侯爵に動きありとのことです。殿下が現れたこともですが、何やら画策していた模様で相当焦っているようです」
「なるほどな。図らずも私の行動が予想外で計画が狂ったということか。ここは一気に片付けてしまおう。陛下には話を通すから、2人で任務に当たれ」
「了解いたしました。必ず吉報を持ってまいります」
食事を終え、その日は溜まっている書類の束を片付けた。視察に行く前に必死に片づけたものが、ここまですでに溜まっているとは…。
「決裁権だけでなく、提出についてもある程度条件を厳しくする必要があるな」
王子である私の所まで回ってくる書類が多すぎる。類似の内容も多いし、ある程度手前の部署で審査落ち出来るように権限を移行させなければな。貴族どもがうるさいだろうが、中身の無い書類と格闘していても時間の無駄だ。改善案も出たところで、今日は程々でおいておくことにしよう。どうにもまだ本調子ではない。疲れが抜けきっていないようだ。
「今後は長丁場になるだろうし、このあたりで十分に休まなければな」
事態が動きさえすれば次に休めるのは数日先になるだろう。そう考えれば今日は早めに休んでおきたい。
「その前にカノン嬢に手紙を書かなくてはな」
折角手に入れたものを手放すことになっては元も子もない。早めに手紙を送っておけば、エレステン伯爵も安心するだろう。テーブルの前に座り、早速手紙を書き始める。
「珍しく、筆の進みがいいな。まあ、助かることではあるが…」
手紙というのはどうにも苦手だ。立場上令嬢に送れば誤解を生みかねないし、貴族に送るにしても話題や内容にも気を付けておかなければ足元をすくわれかねない。何通も書く羽目になるものの思わぬ重労働なのだ。だが、今回は伯爵向けに簡単なあいさつ文と、自由な文章で済ませられるのが影響しているのかもしれない。
「まあ、こんなものだろう」
手紙を置くと、書類の束とは別の箱に入れておく。執務を兼ねているこの部屋では処理ごとに箱が置かれている。業務に入れておけば回収され処理されるし、個人の箱に入れておけば、それとは別に処理される。もちろん、だれでも回収できるわけではない。曜日ごとに担当の次女かシリウスが回収することになっている。
「あとはまあ、事態の変遷を見守るぐらいだな。おとなしく休むとしよう」
-----
「お、お手紙ありがとうございました」
「いや、気にすることはない。口約束ではないということを証明しないといけませんしね。貴族たちの中には所詮口約束だと思うものもいるでしょうから」
「はい、父も喜んでいました。第2夫人といっても次期国王陛下の席に加われるって」
「彼の立場からすると、その点は重要だからね。だが、心配しないでほしいカノン嬢。元々、私は君に興味があったからね。話したいことはたくさんあるんだ。あっちで話そうか?」
「でも、あんな素晴らしいお庭で…私は作法とか知りませんし」
「それぐらい構わない。別に誰かの前で披露する訳でもない。嫁ぐといっても第2夫人ではよほどのことがない限り、公式の行事にも顔を出さないし気にしないでいい」
「そうなんですか?でも、それだとエレンディア様が大変じゃないですか?」
「無論そうだが、そもそも王妃という立場自体が大変だ。それを理解して小さい頃から学んできたのが彼女だ。それぐらいなんでもないさ」
「じゃあ、私は何をすればいいんでしょう?」
「別に何もしなくても構わないさ。そもそも、第2夫人は置けるというだけで、置いたこともそこまでないし周りもとやかくは言わないさ」
「う~ん、それじゃあ、せめて研究は続けますね。それだったら、何とか貢献できそうです!」
「そうかい?すまないな。正直、研究は程々でもいいから続けてくれると助かるよ。そうだ!折角だから婚姻祝いを考えておこう。何か今研究所で足りないものとかはないか?」
「足りないものですか?う~ん、薬草の栽培に使える場所ですかね。やっぱり、材料を買い集めてるんですけど、季節で手に入らないものや、そこそこ高価なものはあまり使えませんから」
「研究所の予算もかなり少ないとは思っていたが、そんなにだったのか。すぐに手配しよう」
「あっ、でも、施設だけあっても育てる人が…」
「その点は大丈夫だ。今すぐにでも研究所に入りたい人間がたくさんいるからな」
「レスター様って、そんな所まで知ってるんですね。やっぱりすごいです!私なんか研究所と家を往復するぐらいですから、他にはほとんど何もわからなくて…」
「なら、今度は王宮ではなくて街に招待するとしよう」
「うれしいです!でも、エレンディア様は良いのですか?」
「気になるか?」
「はい…」
「なら、彼女も一緒に呼ぶとしよう。どちらかを構ってつまらないことを言われても敵わんしな」
「楽しみに待ってますね!」
その後も彼女と話をして別れた。返信の手紙もそうだったが、本当に貴族らしくない少女だ。そのくせ、仕事に対しての意識はかなり高い。いやはやあの環境でよくもこうなったものだ。
「それにしても、次出かけるときはエレンディアも付いてくるのか…。小言が多いからなあいつは」
回る店についても少し考えないといけないな。
「全く。気付いてしまうと中々、頭から離れんものだ」
疲労感がどっと押し寄せてくるので、今日は寝ることにする。この状態では良い案も浮かばないだろうしな。
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「う…ん」
今は何時だ?起きてすぐにカーテンをめくり、時間を確認する。まだ、夜が明けてすぐのようだ。侍女たちが来るまでは時間があるので、昨日出来なかった情報をまとめ始める。
「まずはカノン嬢の件だな。こちらに関してはうまく行っただろう。後はエレンディアとの式の予定が決まり次第、後宮入りする日を決めるぐらいだな。それと、今後の会う日程か…。流石に大公殿にも配慮せねばならんし、気ままにとはいかんな」
こればかりはどうしようもない。陛下は私に王位を譲りたがっているし、そこまで年数がかかることはないだろうが、あと数年はかかりそうだ。
「次はアルター侯爵の件か…。貴族派の急先鋒の彼の動向は気にせんとな。排除できれば一番なのだが、今しばらくはかかるだろう」
これが出来れば、他の貴族派も鳴りを潜め、数十年は安定した運営が出来そうだ。
「これは必ずなさねばな」
特に、陛下の代で貴族派の不満はかなり高まってしまっている。内定していた、貴族派からの次期王妃への推薦もなくなったし、今回の件に関してもだ。婚約破棄がどうというより、カノン嬢の価値というものを王族が認識できていないということが明るみになったことの方が重い。次の世代の教育についてはあれこれ口を出す貴族も出てくるだろう。
「それもこれも貴族派の勢いが強まっているせいだ。貴族派を一掃できればそんなこともなくなるだろう」
コンコン
「はいれ!」
「おはようございます、レスター殿下」
「うむ、何か予定はあるか?」
「いえ、お帰りになられたのが昨日の夜ですので、2、3日はご予定は入らないかと思われます」
「分かった」
着替えを済ませ朝食をとる。とはいっても、別に家族でという訳ではない。陛下はそうしたいようだが、私は執務や報告事が多いので、普段から自室で取ることにしている。
「食事をお持ちしました」
「では、これで失礼します。何かあればお呼びください」
「うむ」
シリウスが朝食を運んでくると侍女たちは下がっていく。いつもの朝の光景だ。毒見はシリウスが済ませているし、この場では報告も同時に行うため、侍女たちは外に出させている。
「報告を」
「はっ!昨日からの追加情報としましては、アルター侯爵に動きありとのことです。殿下が現れたこともですが、何やら画策していた模様で相当焦っているようです」
「なるほどな。図らずも私の行動が予想外で計画が狂ったということか。ここは一気に片付けてしまおう。陛下には話を通すから、2人で任務に当たれ」
「了解いたしました。必ず吉報を持ってまいります」
食事を終え、その日は溜まっている書類の束を片付けた。視察に行く前に必死に片づけたものが、ここまですでに溜まっているとは…。
「決裁権だけでなく、提出についてもある程度条件を厳しくする必要があるな」
王子である私の所まで回ってくる書類が多すぎる。類似の内容も多いし、ある程度手前の部署で審査落ち出来るように権限を移行させなければな。貴族どもがうるさいだろうが、中身の無い書類と格闘していても時間の無駄だ。改善案も出たところで、今日は程々でおいておくことにしよう。どうにもまだ本調子ではない。疲れが抜けきっていないようだ。
「今後は長丁場になるだろうし、このあたりで十分に休まなければな」
事態が動きさえすれば次に休めるのは数日先になるだろう。そう考えれば今日は早めに休んでおきたい。
「その前にカノン嬢に手紙を書かなくてはな」
折角手に入れたものを手放すことになっては元も子もない。早めに手紙を送っておけば、エレステン伯爵も安心するだろう。テーブルの前に座り、早速手紙を書き始める。
「珍しく、筆の進みがいいな。まあ、助かることではあるが…」
手紙というのはどうにも苦手だ。立場上令嬢に送れば誤解を生みかねないし、貴族に送るにしても話題や内容にも気を付けておかなければ足元をすくわれかねない。何通も書く羽目になるものの思わぬ重労働なのだ。だが、今回は伯爵向けに簡単なあいさつ文と、自由な文章で済ませられるのが影響しているのかもしれない。
「まあ、こんなものだろう」
手紙を置くと、書類の束とは別の箱に入れておく。執務を兼ねているこの部屋では処理ごとに箱が置かれている。業務に入れておけば回収され処理されるし、個人の箱に入れておけば、それとは別に処理される。もちろん、だれでも回収できるわけではない。曜日ごとに担当の次女かシリウスが回収することになっている。
「あとはまあ、事態の変遷を見守るぐらいだな。おとなしく休むとしよう」
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「お、お手紙ありがとうございました」
「いや、気にすることはない。口約束ではないということを証明しないといけませんしね。貴族たちの中には所詮口約束だと思うものもいるでしょうから」
「はい、父も喜んでいました。第2夫人といっても次期国王陛下の席に加われるって」
「彼の立場からすると、その点は重要だからね。だが、心配しないでほしいカノン嬢。元々、私は君に興味があったからね。話したいことはたくさんあるんだ。あっちで話そうか?」
「でも、あんな素晴らしいお庭で…私は作法とか知りませんし」
「それぐらい構わない。別に誰かの前で披露する訳でもない。嫁ぐといっても第2夫人ではよほどのことがない限り、公式の行事にも顔を出さないし気にしないでいい」
「そうなんですか?でも、それだとエレンディア様が大変じゃないですか?」
「無論そうだが、そもそも王妃という立場自体が大変だ。それを理解して小さい頃から学んできたのが彼女だ。それぐらいなんでもないさ」
「じゃあ、私は何をすればいいんでしょう?」
「別に何もしなくても構わないさ。そもそも、第2夫人は置けるというだけで、置いたこともそこまでないし周りもとやかくは言わないさ」
「う~ん、それじゃあ、せめて研究は続けますね。それだったら、何とか貢献できそうです!」
「そうかい?すまないな。正直、研究は程々でもいいから続けてくれると助かるよ。そうだ!折角だから婚姻祝いを考えておこう。何か今研究所で足りないものとかはないか?」
「足りないものですか?う~ん、薬草の栽培に使える場所ですかね。やっぱり、材料を買い集めてるんですけど、季節で手に入らないものや、そこそこ高価なものはあまり使えませんから」
「研究所の予算もかなり少ないとは思っていたが、そんなにだったのか。すぐに手配しよう」
「あっ、でも、施設だけあっても育てる人が…」
「その点は大丈夫だ。今すぐにでも研究所に入りたい人間がたくさんいるからな」
「レスター様って、そんな所まで知ってるんですね。やっぱりすごいです!私なんか研究所と家を往復するぐらいですから、他にはほとんど何もわからなくて…」
「なら、今度は王宮ではなくて街に招待するとしよう」
「うれしいです!でも、エレンディア様は良いのですか?」
「気になるか?」
「はい…」
「なら、彼女も一緒に呼ぶとしよう。どちらかを構ってつまらないことを言われても敵わんしな」
「楽しみに待ってますね!」
その後も彼女と話をして別れた。返信の手紙もそうだったが、本当に貴族らしくない少女だ。そのくせ、仕事に対しての意識はかなり高い。いやはやあの環境でよくもこうなったものだ。
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