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5日目

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「とうとうこの日が来てしまったか…」

今日の科目は外国語だ。これだけは本当にどうしようもない。魔力と違って自分で認識して練習なんてことも出来ないし、もうあきらめ半分だとそう思っていたのだが…。

「殿下は何を心配しているのですか?」

「いや、今日は外国語の試験だろ?憂鬱でさ」

「殿下は外国語については得意でしたわよね?」

「は!?そうだったか」

「しっかりしてくださいませ」

そう言われて思い出してみると、確かにポンポンと言葉が浮かんで来る。なぜだと思ったがダンスとマナーは完璧。この言葉に尽きる。マナーの中には当然、外国の大使などと会った時に相手の母国語で会話することも入る。失礼なく令嬢をエスコートすることに特化していたアーダンは、そこにはいつも全力だったのだ。で、なんでそのアーダンがこの教科が欠点だというと…。

「あの日は確か魔獣討伐に騎士団が行くという話を耳にしたんだったな…」

「そうですわ。その所為で折角の満点が取れる教科を落としたのです。つまらないとは言いませんが、アーダン様はもう少し自分のことを考えてくださいませ」

「エディンは単純に叱らないんだな」

「アーダン様のそういうところは素晴らしいと思います。ですが、統治者となられるのですから危険な真似は控えて頂きたいです」

「エディンの言う通りだな。俺もエディンに未亡人になって欲しくはないしな」

「み、未亡人だなんて縁起でもありません!というか未亡人ということは私は殿下と…あわわ」

「エディン?どうしたんだ」

「ナンデモアリマセン。行きましょう」

「ああ」

いつものように馬車に乗って今日も補習を受ける。

「殿下。今日は得意な語学ですな。これの心配はしておりませんからすぐに口頭でやってしまいましょう」

言うが否や教師は直ぐにテストを始めた。しかし、そこはアーダン得意教科。すらすらと言葉も出て来て、難なく合格した。ほんと、頭が悪いわけではなくてよかった。別の意味で悪いのだが…。

「さあ、アーダン様。今日はもう終わりですし、明日に向けて頑張りましょう!」

「そうだな。明日は…魔法学か。大丈夫かな?」

「こんなこともあろうかと魔法省につないでおきました。午後に来られます」

「そうか。エディンは流石だな!」

「い、いえ、王子の手配で慣れてますので」

こうして午後からは魔法省から派遣されたものに習い、何とか卒業に必要な分を教えてもらった。

「殿下はさすがですね。側妃様も出は魔導の家ですし、今まで力を抑えておられたというのは本当だったのですね!」

「ん?誰がそんなことを」

「アーヴィン様です。何でも、王太子でないとエディン様と婚約が解消されるからと伺いました。かねてより民への愛情深い方と思っておりましたが、その思いが婚約者であるエディン様にも向き臣下一同歓迎しております」

「いや、まあ、そうだな」

否定するのもどうかと思いエディンをちらりと見る。すると彼女は真っ赤になっていた。

「そのような事…アーダン様は元々お優しい方ですから」

「では、私はこれで」

魔法省の教員を務めたものが帰るとその日は少し気まずいまま俺たちも帰ったのだった。



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