8 / 11
5日目
しおりを挟む
「とうとうこの日が来てしまったか…」
今日の科目は外国語だ。これだけは本当にどうしようもない。魔力と違って自分で認識して練習なんてことも出来ないし、もうあきらめ半分だとそう思っていたのだが…。
「殿下は何を心配しているのですか?」
「いや、今日は外国語の試験だろ?憂鬱でさ」
「殿下は外国語については得意でしたわよね?」
「は!?そうだったか」
「しっかりしてくださいませ」
そう言われて思い出してみると、確かにポンポンと言葉が浮かんで来る。なぜだと思ったがダンスとマナーは完璧。この言葉に尽きる。マナーの中には当然、外国の大使などと会った時に相手の母国語で会話することも入る。失礼なく令嬢をエスコートすることに特化していたアーダンは、そこにはいつも全力だったのだ。で、なんでそのアーダンがこの教科が欠点だというと…。
「あの日は確か魔獣討伐に騎士団が行くという話を耳にしたんだったな…」
「そうですわ。その所為で折角の満点が取れる教科を落としたのです。つまらないとは言いませんが、アーダン様はもう少し自分のことを考えてくださいませ」
「エディンは単純に叱らないんだな」
「アーダン様のそういうところは素晴らしいと思います。ですが、統治者となられるのですから危険な真似は控えて頂きたいです」
「エディンの言う通りだな。俺もエディンに未亡人になって欲しくはないしな」
「み、未亡人だなんて縁起でもありません!というか未亡人ということは私は殿下と…あわわ」
「エディン?どうしたんだ」
「ナンデモアリマセン。行きましょう」
「ああ」
いつものように馬車に乗って今日も補習を受ける。
「殿下。今日は得意な語学ですな。これの心配はしておりませんからすぐに口頭でやってしまいましょう」
言うが否や教師は直ぐにテストを始めた。しかし、そこはアーダン得意教科。すらすらと言葉も出て来て、難なく合格した。ほんと、頭が悪いわけではなくてよかった。別の意味で悪いのだが…。
「さあ、アーダン様。今日はもう終わりですし、明日に向けて頑張りましょう!」
「そうだな。明日は…魔法学か。大丈夫かな?」
「こんなこともあろうかと魔法省につないでおきました。午後に来られます」
「そうか。エディンは流石だな!」
「い、いえ、王子の手配で慣れてますので」
こうして午後からは魔法省から派遣されたものに習い、何とか卒業に必要な分を教えてもらった。
「殿下はさすがですね。側妃様も出は魔導の家ですし、今まで力を抑えておられたというのは本当だったのですね!」
「ん?誰がそんなことを」
「アーヴィン様です。何でも、王太子でないとエディン様と婚約が解消されるからと伺いました。かねてより民への愛情深い方と思っておりましたが、その思いが婚約者であるエディン様にも向き臣下一同歓迎しております」
「いや、まあ、そうだな」
否定するのもどうかと思いエディンをちらりと見る。すると彼女は真っ赤になっていた。
「そのような事…アーダン様は元々お優しい方ですから」
「では、私はこれで」
魔法省の教員を務めたものが帰るとその日は少し気まずいまま俺たちも帰ったのだった。
今日の科目は外国語だ。これだけは本当にどうしようもない。魔力と違って自分で認識して練習なんてことも出来ないし、もうあきらめ半分だとそう思っていたのだが…。
「殿下は何を心配しているのですか?」
「いや、今日は外国語の試験だろ?憂鬱でさ」
「殿下は外国語については得意でしたわよね?」
「は!?そうだったか」
「しっかりしてくださいませ」
そう言われて思い出してみると、確かにポンポンと言葉が浮かんで来る。なぜだと思ったがダンスとマナーは完璧。この言葉に尽きる。マナーの中には当然、外国の大使などと会った時に相手の母国語で会話することも入る。失礼なく令嬢をエスコートすることに特化していたアーダンは、そこにはいつも全力だったのだ。で、なんでそのアーダンがこの教科が欠点だというと…。
「あの日は確か魔獣討伐に騎士団が行くという話を耳にしたんだったな…」
「そうですわ。その所為で折角の満点が取れる教科を落としたのです。つまらないとは言いませんが、アーダン様はもう少し自分のことを考えてくださいませ」
「エディンは単純に叱らないんだな」
「アーダン様のそういうところは素晴らしいと思います。ですが、統治者となられるのですから危険な真似は控えて頂きたいです」
「エディンの言う通りだな。俺もエディンに未亡人になって欲しくはないしな」
「み、未亡人だなんて縁起でもありません!というか未亡人ということは私は殿下と…あわわ」
「エディン?どうしたんだ」
「ナンデモアリマセン。行きましょう」
「ああ」
いつものように馬車に乗って今日も補習を受ける。
「殿下。今日は得意な語学ですな。これの心配はしておりませんからすぐに口頭でやってしまいましょう」
言うが否や教師は直ぐにテストを始めた。しかし、そこはアーダン得意教科。すらすらと言葉も出て来て、難なく合格した。ほんと、頭が悪いわけではなくてよかった。別の意味で悪いのだが…。
「さあ、アーダン様。今日はもう終わりですし、明日に向けて頑張りましょう!」
「そうだな。明日は…魔法学か。大丈夫かな?」
「こんなこともあろうかと魔法省につないでおきました。午後に来られます」
「そうか。エディンは流石だな!」
「い、いえ、王子の手配で慣れてますので」
こうして午後からは魔法省から派遣されたものに習い、何とか卒業に必要な分を教えてもらった。
「殿下はさすがですね。側妃様も出は魔導の家ですし、今まで力を抑えておられたというのは本当だったのですね!」
「ん?誰がそんなことを」
「アーヴィン様です。何でも、王太子でないとエディン様と婚約が解消されるからと伺いました。かねてより民への愛情深い方と思っておりましたが、その思いが婚約者であるエディン様にも向き臣下一同歓迎しております」
「いや、まあ、そうだな」
否定するのもどうかと思いエディンをちらりと見る。すると彼女は真っ赤になっていた。
「そのような事…アーダン様は元々お優しい方ですから」
「では、私はこれで」
魔法省の教員を務めたものが帰るとその日は少し気まずいまま俺たちも帰ったのだった。
1
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
ひみつの姫君 ~男爵令嬢なのにくじ引きで王子のいる生徒会の役員になりました!~
らな
恋愛
男爵令嬢のリアはアルノー王国の貴族の子女が通う王立学院の1年生だ。
高位貴族しか入れない生徒会に、なぜかくじ引きで役員になることになってしまい、慌てふためいた。今年の生徒会にはアルノーの第2王子クリスだけではなく、大国リンドブルムの第2王子ジークフェルドまで在籍しているのだ。
冷徹な公爵令息のルーファスと、リアと同じくくじ引きで選ばれた優しい子爵令息のヘンドリックの5人の生徒会メンバーで繰り広げる学園ラブコメ開演!
リアには本人の知らない大きな秘密があります。
リアを取り巻く男性陣のやり取りや友情も楽しんでいただけたら嬉しいです。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
顔が良ければそれでいいと思っていたけれど、気づけば彼に本気で恋していました。
朝日みらい
恋愛
魔物を討伐し国を救った若き魔術師アリア・フェルディナンド。
国王から「望むものを何でも与える」と言われた彼女が選んだ褒美は――
「国一番の美男子を、夫にください」
という前代未聞のひと言だった。
急遽開かれた婿候補サロンで、アリアが一目で心を奪われたのは、
“夜の街の帝王”と呼ばれる美貌の青年ルシアン・クロード。
女たらし、金遣いが荒い、家の恥――
そんな悪評だらけの彼を、アリアは迷わず指名する。
「顔が好きだからです」
直球すぎる理由に戸惑うルシアン。
だが彼には、誰にも言えない孤独と過去があった。
これは、
顔だけで選んだはずの英雄と、
誰にも本気で愛されたことのない美貌の青年が、
“契約婚”から始める恋の物語。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる