騎士爵とおてんば令嬢【完結済】

弓立歩

文字の大きさ
13 / 56
本編

13

しおりを挟む
「~それでサーラったらひどいんですよ。早々に婚約者を決めて、週末はいっつも婚約者と過ごしてて。仲もよくて、『幸せを分けてあげられなくて残念』なんていうんですよ…」

「ティアナはサーラと仲がいいんだな。楽しい学園生活を送っているようで安心したよ」

ガーランド様と一緒に道すがら話をする。いろいろお話したいとは思っていたけれど、さっきから私ばかり話しているような気がする…そうだ!

「ガーランド様、朝は私がたくさんお話ししてしまっているので、帰りはガーランド様のお話を聞かせてください!」

「そんなに楽しい話はないがそれでもいいなら構わない」

「本当ですか。別に面白くなくてもいいですよ。普段していることとか、仕事中は何をされているとか何でもいいです!!」

「そうか、なら何か話を考えておくことにする」

楽しい時間はあっという間で校門までついてしまった。名残惜しいけれど送ってもらって遅刻したなんて不名誉をもらうわけにはいかないので、ここまでだ。

「送っていただいてありがとうございます。お仕事頑張ってください!」

「ティアナこそな」

私は校門のところからガーランド様が見えなくなるまで見送ってから校舎へと向かおうとする。すると、そこかしこから視線を感じる。何なんだろうと思いながらも教室へと向かった。

「おはよう~」

いつものように挨拶をして席に着く。淑女としてはちょっと礼節に欠けるけれど、ここは学園なんだしそこまで気を使うこともないとクラスメイト達も慣れた感じだ。

「おはよう、ティアナ。さっき窓から見てたけど騎士様に送ってもらってたよね。あの方がそうなの?」

「サーラったらみてたの?そうだよ、あの人がガーランド様よ」

「へぇ~中々優しそうな人ね。王宮警備隊だから一緒に途中まで来たの?」

「それもあるけど、危ないから今日から送り迎えしてくれるんだって、そんな必要ないのにね。でも、お話しできるから私はうれしいけど…」

だいたいこれまでも何にもなかったしと授業の準備をする。その横でガタタッッと音がする。

「ティアナを送り迎えですって…」

「あのレーガン嬢に警護…そもそも何者なんだよ」

「そういや校門で話してたな。ただの護衛じゃないのか…」

一気に教室がざわめく。私が男の人と一緒に登校しただけで何なのか。失礼なクラスだ。その後、授業が始まり1限目が終わると、クラスメイト達がさっとサーラを連れ出す。一体何なんだろう。普段彼女にはあんまり話しかけない令嬢もいる。


「サーラ様、一体どういうことか教えてくださらない?あの、ティアナ様が急に殿方と一緒に登校なさるなんて信じられないですわ?」

うん、まあ気持ちはわかるけど、落ち着いてください。あなた侯爵令嬢ですよね?仮面剥がれかけてます。

「え~と、なんでも夜会の時に不届き者を取り押さえた騎士様が気になっていると言ったら子爵様が縁談を進めたらしいですわ」

「それっていつなの!私のところにもない情報ですけど?」

伯爵令嬢のあなたが知らないなら、私も知らないことにしたいので適当に濁しましょう。

「さ、さあ、ですがティアナも急に決まったといっていたので、最近だと…」

「じゃあ、やっぱりもうティアナ様は剣術の授業は受けてくれないのか?」

ちょ…あなた婚約者いますよね。内容には気を付けて。はぁ、ティアナは飾らないところが受けて実際はおてんば姫と呼んでいるのは、高位の一部貴族や夜会に来るお姉さま方位だ。はつらつとした話し方が好まれて、身内の多いパーティーでは彼女も元気に話すので、おじさま方の受けもいい。しかし、本人に聞いて欲しいのだけど。

「さすがにそれは…騎士爵の方で面識もありませんので何とも言えませんね。本人に聞いたらいかがですか?」

「そんなことできるわけがないだろう。何を話していいか…それにあの笑顔を向けられたら…」

「ああ……」

アホですか。ああ、でも彼女に簡単に聞けそうな人が一人いましたね。その人を使わせてもらって解放してもらいましょう。

「では、グライム様にお願いしては?彼ならそういったこともなく聞けるのではないですか?」

「グライム様か…確かにあの単細…真っ直ぐな方ならうってつけだ。ありがとうサーラ嬢」

まだ、聞きたそうな人たちもそろそろ時間なのでお引き取りいただいた。これが続くのだろうか…。ちなみにグライムというのはグライム=バルクといい、バルク伯爵家の次男だ。2代に1代は騎士団長という武闘派で彼自身もかなりの腕前だという。実際にティアナも彼に対しては通算負け越しだ。特に入学時はともかく、最近は負けが込んでいて悔しがっていた。家で学ぶのに限りあるティアナとグライム様では全然違うと思うのだが当人は負けること自体が悔しいとのこと。

「まあ、これで次の時間は少なくともグライム様のところに話を持っていくでしょうし昼までは持つでしょう」

何もわかっていない顔でのほほんと席でペンを走らせている友人を見ながら私は席に戻ったのだった。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

離婚が決まった日に惚れ薬を飲んでしまった旦那様

しあ
恋愛
片想いしていた彼と結婚をして幸せになれると思っていたけど、旦那様は女性嫌いで私とも話そうとしない。 会うのはパーティーに参加する時くらい。 そんな日々が3年続き、この生活に耐えられなくなって離婚を切り出す。そうすれば、考える素振りすらせず離婚届にサインをされる。 悲しくて泣きそうになったその日の夜、旦那に珍しく部屋に呼ばれる。 お茶をしようと言われ、無言の時間を過ごしていると、旦那様が急に倒れられる。 目を覚ませば私の事を愛していると言ってきてーーー。 旦那様は一体どうなってしまったの?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

二度目の初恋は、穏やかな伯爵と

柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。 冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。

女王は若き美貌の夫に離婚を申し出る

小西あまね
恋愛
「喜べ!やっと離婚できそうだぞ!」「……は?」 政略結婚して9年目、32歳の女王陛下は22歳の王配陛下に笑顔で告げた。 9年前の約束を叶えるために……。 豪胆果断だがどこか天然な女王と、彼女を敬愛してやまない美貌の若き王配のすれ違い離婚騒動。 「月と雪と温泉と ~幼馴染みの天然王子と最強魔術師~」の王子の姉の話ですが、独立した話で、作風も違います。 本作は小説家になろうにも投稿しています。

離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています

腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。 「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」 そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった! 今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。 冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。 彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――

腹違いの弟くんの執着

ひぽたま
恋愛
あかね(29才)は医局勤めの新人女医。 とある理由があってど田舎の診療所に派遣を申し出るが、到着したその家には「とある理由」である腹違いの弟、葵くんがすでに到着していた! あかねは元々葵の家庭教師だったが、葵はあかねにベタ惚れ。あかねも葵を可愛がっていたのだが、お互いの両親の無責任から二人は腹違いの姉弟だとわかり、そこから葵の暴走が始まった。 常に逃げ腰のあかねに、追う葵。 葵の大学卒業を期にこっそり距離をおくつもりだったあかねを、なんと葵は就職も蹴って追いかけてきたのだった。 場所はど田舎。知り合いもいなければ逃げ込む先もない診療所兼住居で葵は堂々と宣言する。 「ここなら僕たち、夫婦として暮らせるよね」 冗談じゃない!が、患者さんを放り出して逃げるわけにもいかない。 かくしてあかね先生と葵くんの倫理をかけた駆け引きがはじまるのだったーー。

仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!

ぽんちゃん
恋愛
 ――仕事で疲れて会えない。  十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。  記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。  そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?

処理中です...