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本編
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「そこまで作ったものを褒めていただけるとありがたいです。…ところで何か気になる点などはありませんか?今日もう一度作る予定なのですが、皆さんの意見を参考にしたくって…」
「正直、男爵家の私ではこれ以上のものを食べた記憶がございませんので分かりませんわね」
「私も、なんというかお力に成れず申し訳ありません」
「いえ、食べていただけでうれしいので、ルミナリア様はどうでしょうか?」
「…味という事ではありませんが、なにか付けるものを用意するのはどうでしょうか?」
「付けるものですか?生クリームとか?」
「そうです。このままでももちろんおいしいのですが、私は婚約者様がどのような味がお好みなのか存じ上げません。そこで、そういったいくつか好物のものと組み合わせたクリームやソースを用意して、一緒に食べるのですわ」
「なるほど!いつも、形には気を付けていましたが、精々が割れないようにだったのでそういった遊び心のあるようなものは作ったことがありませんでした。皆さんに食べて頂いた甲斐がありました」
「そういって頂ければ私も意見を出したものとしてうれしいですわ。余計なことかと思いましたので」
「そんなことはありません。どうしても作り手の意識が強く出てしまうので、感想を頂けるとありがたいです。使用人の方たちだと遠慮されることが多いので…」
「確かにそうですわね。これだけのものを仕えている主人の娘から頂くのですから、文句の一つも言えませんわね。侯爵家でそんなことを言ったら即これですわね」
そういうとレミリア様はピッと左から右へ腕を動かす。一瞬の受け答えで首になっちゃうなんて、やっぱり高位貴族のうちは大変なんだなぁ。まあ、あそこは商業一家としても有名だから、機敏に富んだ人じゃないと難しいだけかもしれないけど。
「レミリア様は何かありましたの?」
「そうですわねぇ。たしかに、見た目は少し地味ですがあまりに小綺麗でもそれはそれでお店のもののような気がしますし…。お茶はありますわよね…そうですわ!」
すくっと立ち上がったと思うとレミリア様は大きめの声で宣言なさいました。
「今日作る分もどなたかの分ですわよね?」
「ええ、皆さんの意見を参考にガーランド様にと…」
なんだか改めて口にするとちょっと恥ずかしいな。
「…ですわよね。でしたら、お渡しするだけではなくて今のように庭などで一緒に召し上がってはいかがですか?庭はありますわよね」
「はい、中庭がありますが…」
「私、思いましたの。今食べているものは確かにおいしいですけれど、それ以上に作ってくださった方が目の前にいてうれしいのもありますわ。きっと、婚約者の方もそう思われるのではないでしょうか?」
「そう、なのでしょうか?」
「そうですわ。渡されるだけでもうれしいですが、その後、一緒に時間を過ごすことができるというのも大事ですわね。お二人は婚約者同士なのですからなおのことだと思いますわ」
「わかりました!頑張って一緒に食べましょうと渡すときにお願いします」
「その意気ですわ」
「でも、なぜ私がガーランド様に作ると思われたのですか?」
「私たちに作って意見を聞いてまで、改めて作りたい方なんて他にいらっしゃらないでしょう?クラスはもとより今や学園中で噂ですわよ。騎士同伴で仲睦まじく登校するご令嬢がおられると」
「教師の方もなんだか難しい顔をしておりましたわね。護衛として同行されている以上は注意もできませんが、あまりに仲がよろしいので手をつながれるのを注意すべきかと」
「あら、ルミナリア様。婚約者同士ですし、王都といえど危険がないわけではありませんわ。手をつないでいた方が安心ですわよね?」
「そうです。それに今はちょっと歳の離れた婚約者をお持ちの方が、ティアナ様に続けと打診しているらしいですわ。ここで横やりが入ってしまっては面白くありません」
「あの…手をつないでましたか?」
全く、これっぽっちも意識していなかったのだが、そんなことしていたのだろうか?つなぎたいとか言ったり言われたりした記憶はないのですが。
「あら、ティアナ様は気づいておられませんでしたの?それはもったいないことをしましたわね」
「そうよルミナリア。もしかしたら、急に気付いて恥ずかしがるティアナ様を見られたかもしれないのに、減点1ね」
何の点数かは分からないけれど、私が手をつないでいたことは確実のようだ。恥ずかしい…帰りに聞いてみるべきか、でも変に意識していますというのも。
「あらあら、さっきから百面相のようですわね」
「申し訳ありません」
「いいえ。私たちも安心しましたわ。ティアナ様はサーラ様とは仲良くお話しされますが、あまり交友関係もありませんでしたし、一本気な性格ですのでいつか危険なことに巻き込まれないかと心配しておりましたの。王宮警備隊というところは引っ掛かりますが、護衛としても十分ですわ」
「気にかけていただきありがとうございます。でも、ガーランド様は実は強いんです!ただ、それを見せる機会がないのですわ…」
私がしょんぼりとしてしまう。すると、レミリア様が思いもよらないことを告げられた。
「正直、男爵家の私ではこれ以上のものを食べた記憶がございませんので分かりませんわね」
「私も、なんというかお力に成れず申し訳ありません」
「いえ、食べていただけでうれしいので、ルミナリア様はどうでしょうか?」
「…味という事ではありませんが、なにか付けるものを用意するのはどうでしょうか?」
「付けるものですか?生クリームとか?」
「そうです。このままでももちろんおいしいのですが、私は婚約者様がどのような味がお好みなのか存じ上げません。そこで、そういったいくつか好物のものと組み合わせたクリームやソースを用意して、一緒に食べるのですわ」
「なるほど!いつも、形には気を付けていましたが、精々が割れないようにだったのでそういった遊び心のあるようなものは作ったことがありませんでした。皆さんに食べて頂いた甲斐がありました」
「そういって頂ければ私も意見を出したものとしてうれしいですわ。余計なことかと思いましたので」
「そんなことはありません。どうしても作り手の意識が強く出てしまうので、感想を頂けるとありがたいです。使用人の方たちだと遠慮されることが多いので…」
「確かにそうですわね。これだけのものを仕えている主人の娘から頂くのですから、文句の一つも言えませんわね。侯爵家でそんなことを言ったら即これですわね」
そういうとレミリア様はピッと左から右へ腕を動かす。一瞬の受け答えで首になっちゃうなんて、やっぱり高位貴族のうちは大変なんだなぁ。まあ、あそこは商業一家としても有名だから、機敏に富んだ人じゃないと難しいだけかもしれないけど。
「レミリア様は何かありましたの?」
「そうですわねぇ。たしかに、見た目は少し地味ですがあまりに小綺麗でもそれはそれでお店のもののような気がしますし…。お茶はありますわよね…そうですわ!」
すくっと立ち上がったと思うとレミリア様は大きめの声で宣言なさいました。
「今日作る分もどなたかの分ですわよね?」
「ええ、皆さんの意見を参考にガーランド様にと…」
なんだか改めて口にするとちょっと恥ずかしいな。
「…ですわよね。でしたら、お渡しするだけではなくて今のように庭などで一緒に召し上がってはいかがですか?庭はありますわよね」
「はい、中庭がありますが…」
「私、思いましたの。今食べているものは確かにおいしいですけれど、それ以上に作ってくださった方が目の前にいてうれしいのもありますわ。きっと、婚約者の方もそう思われるのではないでしょうか?」
「そう、なのでしょうか?」
「そうですわ。渡されるだけでもうれしいですが、その後、一緒に時間を過ごすことができるというのも大事ですわね。お二人は婚約者同士なのですからなおのことだと思いますわ」
「わかりました!頑張って一緒に食べましょうと渡すときにお願いします」
「その意気ですわ」
「でも、なぜ私がガーランド様に作ると思われたのですか?」
「私たちに作って意見を聞いてまで、改めて作りたい方なんて他にいらっしゃらないでしょう?クラスはもとより今や学園中で噂ですわよ。騎士同伴で仲睦まじく登校するご令嬢がおられると」
「教師の方もなんだか難しい顔をしておりましたわね。護衛として同行されている以上は注意もできませんが、あまりに仲がよろしいので手をつながれるのを注意すべきかと」
「あら、ルミナリア様。婚約者同士ですし、王都といえど危険がないわけではありませんわ。手をつないでいた方が安心ですわよね?」
「そうです。それに今はちょっと歳の離れた婚約者をお持ちの方が、ティアナ様に続けと打診しているらしいですわ。ここで横やりが入ってしまっては面白くありません」
「あの…手をつないでましたか?」
全く、これっぽっちも意識していなかったのだが、そんなことしていたのだろうか?つなぎたいとか言ったり言われたりした記憶はないのですが。
「あら、ティアナ様は気づいておられませんでしたの?それはもったいないことをしましたわね」
「そうよルミナリア。もしかしたら、急に気付いて恥ずかしがるティアナ様を見られたかもしれないのに、減点1ね」
何の点数かは分からないけれど、私が手をつないでいたことは確実のようだ。恥ずかしい…帰りに聞いてみるべきか、でも変に意識していますというのも。
「あらあら、さっきから百面相のようですわね」
「申し訳ありません」
「いいえ。私たちも安心しましたわ。ティアナ様はサーラ様とは仲良くお話しされますが、あまり交友関係もありませんでしたし、一本気な性格ですのでいつか危険なことに巻き込まれないかと心配しておりましたの。王宮警備隊というところは引っ掛かりますが、護衛としても十分ですわ」
「気にかけていただきありがとうございます。でも、ガーランド様は実は強いんです!ただ、それを見せる機会がないのですわ…」
私がしょんぼりとしてしまう。すると、レミリア様が思いもよらないことを告げられた。
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