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本編
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ガーランド様にお菓子を口実におねだりしてから初めての休日。今日は準備ができているという事で初めての稽古の日だ。
「今日は初めての稽古の日ですね。よろしくお願いします」
私は一礼をしてガーランド様に改めてお礼を言う。こういうことはきっちり言っておかないと、今日からこの時間は弟子?門下生?になるのだから。
「ああ、それより用意した鎧だがきちんとサイズはあっているか?」
そうなのだ。ガーランド様の昔使っていた鎧!ということで最初はちょっと興奮していたのだけど、やっぱり子供のころのものといっても、ちょっと合わないところがあってロイさんに手直しをしてもらっていた。
「はい、きちんと仕立て直していただいたおかげで、ぴったりです。でもちょっと残念ですね。もう少し成長したら着れなくなってしまうかもしれません」
「ははっ、そうなったら今度こそ金属鎧だな。そっちもいいぐらいのがあるから準備はしておくよ」
「本当ですか!」
私は思わずきらきらとした目でガーランド様を見てしまう。騎士の一家の鎧を身につけさせてもらえるというだけでも光栄なのに、金属製となればもう騎士見習いの気分だ。それもあこがれの男性のものを着させていただけるなんて…。
「あまり期待しないでくれ。そのころはちょうどカイラスに出会ったころだからな。結構、傷んでいる部分も多いからな」
「でしたら、今の鎧で使える部分に関しては使ってもいいかもしれませんね。私はあまり力がある方でもありませんし、全身金属鎧なんて軽装でも難しそうですし」
「ま、まあそんな姿で外に出ることもないだろうから特に問題ないだろう」
そっか、この格好で出るなんて厳しそうだよね。確かに皮自体はいいものだろうけど、ちょっと色もくすんでるし傭兵みたいな感じの女が騎士の横に立ってたら連行されてる最中だと思われそう。よ~し、久しぶりにかわいい娘権限でも発動させよう。父さまは屋敷で自由にする以外、あんまりわがままを言わない私に言われるの待ってるからな~。
「むふふ~」
「なんだかうれしそうだがどうかしたか?」
「いやなんでもないですよ。早く始めましょう!!」
ガーランド様には気づかれないように気持ちを切り替えて稽古を始める。私が覚えている型は王国流の型の1つらしい。この国では王国流が一般的でほぼみんながこの型なんだそうだ。1対1での戦いに優れていて、騎士たちにも浸透している型だ。一方、ガーランド様が使われているのは帝国流とのこと。隣国の帝国が編み出した流派で、集団戦や対野盗などの多数戦に向いている剣技だそうだ。
「どうしてガーランド様は帝国流なのですか?」
「私の先祖、つまり最初の騎士爵を賜った人物が帝国から剣術指南役として招かれた方でな。以来、剣術で身を立てるものは我が家ではみな帝国流だ。王国としても数少ない帝国流の使い手として今まで爵位を取り上げられずにこれたというわけだ」
「じゃあ、現在でも傍流の方が指南役を?」
「…それがな、前回の戦争の時に王国流剣士の現騎士団長殿の活躍が大きくてな。対多数戦でも王国流と大差ないと指南役を務めるものは数少ないんだ」
「では、ますます今度で名を挙げてアピールしませんと。そうすれば一気に盛り返せますわ!」
「中々難しいだろう。出ることが決まっても勝てるかどうか…」
「きっと、勝てます!そうです!私もこの訓練を経てライバルを打ち負かしますのでガーランド様も負けないでください」
「頼むからケガはしてくれるな…」
そういいながらも丁寧にガーランド様は私に教えてくれた。今までの型より自由度が高いかと思われたが、そう見えて角度や向きが決まっているらしくちょっと窮屈だ。これは自室でも練習しておかなくては。
「よし、今日はこのくらいでいいだろう」
ガーランド様に言われて私も剣を置く。最近はお菓子作りで多少は動いたとはいえ、授業以外で剣を握ることがなかったため、短い時間でも結構疲れていた。そのまま、簡単に体を洗って一緒に昼食を取る。
「そういえば、今日は午後からサーラたちと一緒に買い物に行く予定でしたけど、準備は済んでおられますか?」
「ああ、男の準備など着替え程度だからな。すぐにでも出発できる。一応小振りの剣は持っていくつもりだが…」
「私も持っていった方がいいですか?」
「持っていくといっても、街で歩く格好で持つのか?冒険者のような格好でないと怪しまれるぞ」
「大丈夫です。これでも、割と持ち歩いてても声をかけられないんですよ」
最初のころは見回りの騎士に変な子がいると声をかけられたが、逆に回数が上がってからは気にされることがなくなっていた。
「じゃあ、一旦用意ができたら見せてくれ。その姿に合わせた服で用意する」
そう言って、ガーランド様と話をしながらご飯を食べた。30分後に玄関前に来るという事で一旦着替えに部屋に戻る。
「今日は初めての稽古の日ですね。よろしくお願いします」
私は一礼をしてガーランド様に改めてお礼を言う。こういうことはきっちり言っておかないと、今日からこの時間は弟子?門下生?になるのだから。
「ああ、それより用意した鎧だがきちんとサイズはあっているか?」
そうなのだ。ガーランド様の昔使っていた鎧!ということで最初はちょっと興奮していたのだけど、やっぱり子供のころのものといっても、ちょっと合わないところがあってロイさんに手直しをしてもらっていた。
「はい、きちんと仕立て直していただいたおかげで、ぴったりです。でもちょっと残念ですね。もう少し成長したら着れなくなってしまうかもしれません」
「ははっ、そうなったら今度こそ金属鎧だな。そっちもいいぐらいのがあるから準備はしておくよ」
「本当ですか!」
私は思わずきらきらとした目でガーランド様を見てしまう。騎士の一家の鎧を身につけさせてもらえるというだけでも光栄なのに、金属製となればもう騎士見習いの気分だ。それもあこがれの男性のものを着させていただけるなんて…。
「あまり期待しないでくれ。そのころはちょうどカイラスに出会ったころだからな。結構、傷んでいる部分も多いからな」
「でしたら、今の鎧で使える部分に関しては使ってもいいかもしれませんね。私はあまり力がある方でもありませんし、全身金属鎧なんて軽装でも難しそうですし」
「ま、まあそんな姿で外に出ることもないだろうから特に問題ないだろう」
そっか、この格好で出るなんて厳しそうだよね。確かに皮自体はいいものだろうけど、ちょっと色もくすんでるし傭兵みたいな感じの女が騎士の横に立ってたら連行されてる最中だと思われそう。よ~し、久しぶりにかわいい娘権限でも発動させよう。父さまは屋敷で自由にする以外、あんまりわがままを言わない私に言われるの待ってるからな~。
「むふふ~」
「なんだかうれしそうだがどうかしたか?」
「いやなんでもないですよ。早く始めましょう!!」
ガーランド様には気づかれないように気持ちを切り替えて稽古を始める。私が覚えている型は王国流の型の1つらしい。この国では王国流が一般的でほぼみんながこの型なんだそうだ。1対1での戦いに優れていて、騎士たちにも浸透している型だ。一方、ガーランド様が使われているのは帝国流とのこと。隣国の帝国が編み出した流派で、集団戦や対野盗などの多数戦に向いている剣技だそうだ。
「どうしてガーランド様は帝国流なのですか?」
「私の先祖、つまり最初の騎士爵を賜った人物が帝国から剣術指南役として招かれた方でな。以来、剣術で身を立てるものは我が家ではみな帝国流だ。王国としても数少ない帝国流の使い手として今まで爵位を取り上げられずにこれたというわけだ」
「じゃあ、現在でも傍流の方が指南役を?」
「…それがな、前回の戦争の時に王国流剣士の現騎士団長殿の活躍が大きくてな。対多数戦でも王国流と大差ないと指南役を務めるものは数少ないんだ」
「では、ますます今度で名を挙げてアピールしませんと。そうすれば一気に盛り返せますわ!」
「中々難しいだろう。出ることが決まっても勝てるかどうか…」
「きっと、勝てます!そうです!私もこの訓練を経てライバルを打ち負かしますのでガーランド様も負けないでください」
「頼むからケガはしてくれるな…」
そういいながらも丁寧にガーランド様は私に教えてくれた。今までの型より自由度が高いかと思われたが、そう見えて角度や向きが決まっているらしくちょっと窮屈だ。これは自室でも練習しておかなくては。
「よし、今日はこのくらいでいいだろう」
ガーランド様に言われて私も剣を置く。最近はお菓子作りで多少は動いたとはいえ、授業以外で剣を握ることがなかったため、短い時間でも結構疲れていた。そのまま、簡単に体を洗って一緒に昼食を取る。
「そういえば、今日は午後からサーラたちと一緒に買い物に行く予定でしたけど、準備は済んでおられますか?」
「ああ、男の準備など着替え程度だからな。すぐにでも出発できる。一応小振りの剣は持っていくつもりだが…」
「私も持っていった方がいいですか?」
「持っていくといっても、街で歩く格好で持つのか?冒険者のような格好でないと怪しまれるぞ」
「大丈夫です。これでも、割と持ち歩いてても声をかけられないんですよ」
最初のころは見回りの騎士に変な子がいると声をかけられたが、逆に回数が上がってからは気にされることがなくなっていた。
「じゃあ、一旦用意ができたら見せてくれ。その姿に合わせた服で用意する」
そう言って、ガーランド様と話をしながらご飯を食べた。30分後に玄関前に来るという事で一旦着替えに部屋に戻る。
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