33 / 56
本編
33
しおりを挟む
着替えて行く準備の整った私は玄関前に来た。上は動きやすい服とジャケット、下はキュッとしまったズボンだ。令嬢としてどうかという事だが、結構、街では見かけるのでおかしくないだろう。そして腰にはレイピア。実家でねだりにねだって買ってもらったものだ。鞘も剣もシンプルだが女性らしくなるように、持ち手のつば付近にだけバラの細工が施されている。
「久しぶりに一緒だね~」
以前、持っていったときからすでに3か月は経っている。なかなか、邸を出るときにつけていくことを許してもらえなかったので、数回しか付けられなかったのだ。
「準備ができたようだな。おや、思っていたよりもシンプルなデザインなんだな?」
そういえばガーランド様にこのレイピアを見せるのは初めてだっけ。
「ええ、街に持っていくのに飾りっけばかりのものだと悪目立ちするので…」
「確かに、それでは貴族ですと言っているようなものだろう。では、その格好にあったような服に着替えてくる」
5分もしないうちにガーランド様が戻ってくる。私と同じように上はジャケット、下はズボンだ。腰には長剣が1本。私に合わせてくれたようで、いつも着けられている騎士の剣とは違ってシンプルだ。というか飾りすらない。
「そんな剣もお持ちだったのですね」
「ああ、非番の日にまで騎士の剣を帯剣していては、何か任務を受けていないかと見回りの騎士たちが思うのでな」
そういえばガーランド様たちは王宮仕えだった。いかに、外周部とはいえ王宮警護のものが街で騎士剣をつけているというのは何か訝しまれるのだろう。
「じゃあ、行くぞ」
「はい!」
サーラたちと一緒とはいえ今日はデートだ、大いに楽しもうと私は家を出た。
家を出て、15分ほど歩いた学園通りで私たちはサーラを待つ。待ち合わせ時間より少し早いが、近くに待ち合わせ場所となっている噴水広場があるのでそこに腰かけて待つ。しばらくするとサーラたちと思しき姿が見えた。
「フォルト。あれだと思う…」
「多分間違いないと思うけど。ほんとに帯剣してるんだね」
「私だってそう思いたくなかったのだけど。子爵令嬢が休日まで帯剣して、まさか婚約者の紹介をするなんて思わなかった」
「とりあえず待たせても悪いし、行こう」
「サーラ、こんにちは。フォルトさんも」
「久しぶりだねティアナ嬢。今日は婚約者の紹介と聞いてきたのだけれど、剣技場にでも寄るのかい?」
「あっ、これは単純に最近レイピアを使ってないからっていうのでガーランド様に合わせてつけてきたんです!」
「そ、そうかい」
「立ち話もなんだし、店に入りましょうか?」
「そうだね。まだおやつの時間には少し早いから空いてるみたいだね」
私たちは学園通りにある有名お菓子店「バッツァ」に入る。
「いらっしゃいませ~2組様ですね」
「はい」
「ではこちらの4人掛けにどうぞ」
私たちは案内されるまま席に座る。注文はと…。
「ガーランド様は何にします?」
「ここは何が有名なんだ?」
「ひょっとしてこういうお店あまり来ないですか?」
「ああ、元々は夕方見回りが多かったのもあるが、こういう通り沿いの店にはほとんど入ったことがない。一つ横の通りの酒場ぐらいだな」
「そうなんですね。じゃあ、今度案内してくださいね。因みにここはパフェやケーキがおいしいんです」
「そうか。なら…このケーキにする」
ガーランド様が指したのはビターチョコケーキだ。結構ケーキ好きなのかな?私とサーラはパフェ、フォルト様はタルトだった。なんでもフルーツタルトが好きだとか。
「じゃあ、これとこれと後これを。それに紅茶を4つ」
「畏まりました」
サーラが代表して注文してくれ私たちは注文の商品が届くまで雑談をして待つ。届いた商品はさすがにうわさになるほどの見た目と味でついついスプーンが進む。ふと横を見るとガーランド様がこっちを見ていた。
「?」
「ああ、いや。美味しそうに食べるなと思って」
ボフッっと顔が赤くなる。食い意地張ってると思われたかな。
「すまん。そういうことではなくて、幸せそうでその…かわいいなと」
「そ、そうですか…」
恥ずかしくなってゆっくりと食べ進める私。因みにガーランド様はもうほとんどケーキを食べ終えている。やっぱり男の人だけあって、早いんだな~。そっちもおいしいそうだ。
「ちょっとだけ食べてもいいですか?」
「ん、ああ構わないが」
「じゃあ、頂きま~す」
ひょいっとケーキをすくって食べる。ん~ちょっと苦いけどおいしい!今度来るときはケーキを食べようかな。
「サーラ、あれはティアナ様だよね…」
「そうよ。私も直接見るのは初めてだけど、一応は同一人物のはずよ」
なんだかサーラたちが不思議そうな目で私を見ている。おかしなことでもしただろうか?
それからはお互いの婚約者の紹介やら、卒業後の進路やらを話してとりあえず今日の顔見せ会は終了となった。2人に私もガーランド様を紹介出来てうれしかった。やっぱり身内だけより友人にも祝福されたいしね。
「今日はおごってもらってありがとうねサーラ!」
「いつでもといいたいけれど、会える時にね」
「ガーランド殿、今日はお時間を頂きありがとうございました」
「こちらこそ、何かお困りのことがあればできる限りのことはしましょう」
「そうですね。護衛の依頼などあればお願いするかもしれません」
そう言って別れようとしたとき、急に人影が近づいてきた。
「久しぶりに一緒だね~」
以前、持っていったときからすでに3か月は経っている。なかなか、邸を出るときにつけていくことを許してもらえなかったので、数回しか付けられなかったのだ。
「準備ができたようだな。おや、思っていたよりもシンプルなデザインなんだな?」
そういえばガーランド様にこのレイピアを見せるのは初めてだっけ。
「ええ、街に持っていくのに飾りっけばかりのものだと悪目立ちするので…」
「確かに、それでは貴族ですと言っているようなものだろう。では、その格好にあったような服に着替えてくる」
5分もしないうちにガーランド様が戻ってくる。私と同じように上はジャケット、下はズボンだ。腰には長剣が1本。私に合わせてくれたようで、いつも着けられている騎士の剣とは違ってシンプルだ。というか飾りすらない。
「そんな剣もお持ちだったのですね」
「ああ、非番の日にまで騎士の剣を帯剣していては、何か任務を受けていないかと見回りの騎士たちが思うのでな」
そういえばガーランド様たちは王宮仕えだった。いかに、外周部とはいえ王宮警護のものが街で騎士剣をつけているというのは何か訝しまれるのだろう。
「じゃあ、行くぞ」
「はい!」
サーラたちと一緒とはいえ今日はデートだ、大いに楽しもうと私は家を出た。
家を出て、15分ほど歩いた学園通りで私たちはサーラを待つ。待ち合わせ時間より少し早いが、近くに待ち合わせ場所となっている噴水広場があるのでそこに腰かけて待つ。しばらくするとサーラたちと思しき姿が見えた。
「フォルト。あれだと思う…」
「多分間違いないと思うけど。ほんとに帯剣してるんだね」
「私だってそう思いたくなかったのだけど。子爵令嬢が休日まで帯剣して、まさか婚約者の紹介をするなんて思わなかった」
「とりあえず待たせても悪いし、行こう」
「サーラ、こんにちは。フォルトさんも」
「久しぶりだねティアナ嬢。今日は婚約者の紹介と聞いてきたのだけれど、剣技場にでも寄るのかい?」
「あっ、これは単純に最近レイピアを使ってないからっていうのでガーランド様に合わせてつけてきたんです!」
「そ、そうかい」
「立ち話もなんだし、店に入りましょうか?」
「そうだね。まだおやつの時間には少し早いから空いてるみたいだね」
私たちは学園通りにある有名お菓子店「バッツァ」に入る。
「いらっしゃいませ~2組様ですね」
「はい」
「ではこちらの4人掛けにどうぞ」
私たちは案内されるまま席に座る。注文はと…。
「ガーランド様は何にします?」
「ここは何が有名なんだ?」
「ひょっとしてこういうお店あまり来ないですか?」
「ああ、元々は夕方見回りが多かったのもあるが、こういう通り沿いの店にはほとんど入ったことがない。一つ横の通りの酒場ぐらいだな」
「そうなんですね。じゃあ、今度案内してくださいね。因みにここはパフェやケーキがおいしいんです」
「そうか。なら…このケーキにする」
ガーランド様が指したのはビターチョコケーキだ。結構ケーキ好きなのかな?私とサーラはパフェ、フォルト様はタルトだった。なんでもフルーツタルトが好きだとか。
「じゃあ、これとこれと後これを。それに紅茶を4つ」
「畏まりました」
サーラが代表して注文してくれ私たちは注文の商品が届くまで雑談をして待つ。届いた商品はさすがにうわさになるほどの見た目と味でついついスプーンが進む。ふと横を見るとガーランド様がこっちを見ていた。
「?」
「ああ、いや。美味しそうに食べるなと思って」
ボフッっと顔が赤くなる。食い意地張ってると思われたかな。
「すまん。そういうことではなくて、幸せそうでその…かわいいなと」
「そ、そうですか…」
恥ずかしくなってゆっくりと食べ進める私。因みにガーランド様はもうほとんどケーキを食べ終えている。やっぱり男の人だけあって、早いんだな~。そっちもおいしいそうだ。
「ちょっとだけ食べてもいいですか?」
「ん、ああ構わないが」
「じゃあ、頂きま~す」
ひょいっとケーキをすくって食べる。ん~ちょっと苦いけどおいしい!今度来るときはケーキを食べようかな。
「サーラ、あれはティアナ様だよね…」
「そうよ。私も直接見るのは初めてだけど、一応は同一人物のはずよ」
なんだかサーラたちが不思議そうな目で私を見ている。おかしなことでもしただろうか?
それからはお互いの婚約者の紹介やら、卒業後の進路やらを話してとりあえず今日の顔見せ会は終了となった。2人に私もガーランド様を紹介出来てうれしかった。やっぱり身内だけより友人にも祝福されたいしね。
「今日はおごってもらってありがとうねサーラ!」
「いつでもといいたいけれど、会える時にね」
「ガーランド殿、今日はお時間を頂きありがとうございました」
「こちらこそ、何かお困りのことがあればできる限りのことはしましょう」
「そうですね。護衛の依頼などあればお願いするかもしれません」
そう言って別れようとしたとき、急に人影が近づいてきた。
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
二度目の初恋は、穏やかな伯爵と
柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。
冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
働かないつもりでしたのに、気づけば全部うまくいっていました ――自由に生きる貴族夫人と溺愛旦那様』
鷹 綾
恋愛
前世では、仕事に追われるだけの人生を送り、恋も自由も知らないまま終わった私。
だからこそ転生後に誓った――
「今度こそ、働かずに優雅に生きる!」 と。
気づけば貴族夫人、しかも結婚相手は冷静沈着な名門貴族リチャード様。
「君は何もしなくていい。自由に過ごしてくれ」
――理想的すぎる条件に、これは勝ち確人生だと思ったのに。
なぜか気づけば、
・屋敷の管理を改善して使用人の待遇が激変
・夫の仕事を手伝ったら経理改革が大成功
・興味本位で教えた簿記と珠算が商業界に革命を起こす
・商人ギルドの顧問にまで祭り上げられる始末
「あれ? 私、働かない予定でしたよね???」
自分から出世街道を爆走するつもりはなかったはずなのに、
“やりたいことをやっていただけ”で、世界のほうが勝手に変わっていく。
一方、そんな彼女を静かに見守り続けていた夫・リチャードは、
実は昔から彼女を想い続けていた溺愛系旦那様で――。
「君が選ぶなら、私はずっとそばにいる」
働かないつもりだった貴族夫人が、
自由・仕事・愛情のすべてを“自分で選ぶ”人生に辿り着く物語。
これは、
何もしないはずだったのに、幸せだけは全部手に入れてしまった女性の物語。
婚約者を妹に譲ったら、婚約者の兄に溺愛された
みみぢあん
恋愛
結婚式がまじかに迫ったジュリーは、幼馴染の婚約者ジョナサンと妹が裏庭で抱き合う姿を目撃する。 それがきっかけで婚約は解消され、妹と元婚約者が結婚することとなった。 落ち込むジュリーのもとへ元婚約者の兄、ファゼリー伯爵エドガーが謝罪をしに訪れた。 もう1人の幼馴染と再会し、ジュリーは子供の頃の初恋を思い出す。
大人になった2人は……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる