騎士爵とおてんば令嬢【完結済】

弓立歩

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本編

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着替えて行く準備の整った私は玄関前に来た。上は動きやすい服とジャケット、下はキュッとしまったズボンだ。令嬢としてどうかという事だが、結構、街では見かけるのでおかしくないだろう。そして腰にはレイピア。実家でねだりにねだって買ってもらったものだ。鞘も剣もシンプルだが女性らしくなるように、持ち手のつば付近にだけバラの細工が施されている。

「久しぶりに一緒だね~」

以前、持っていったときからすでに3か月は経っている。なかなか、邸を出るときにつけていくことを許してもらえなかったので、数回しか付けられなかったのだ。

「準備ができたようだな。おや、思っていたよりもシンプルなデザインなんだな?」

そういえばガーランド様にこのレイピアを見せるのは初めてだっけ。

「ええ、街に持っていくのに飾りっけばかりのものだと悪目立ちするので…」

「確かに、それでは貴族ですと言っているようなものだろう。では、その格好にあったような服に着替えてくる」

5分もしないうちにガーランド様が戻ってくる。私と同じように上はジャケット、下はズボンだ。腰には長剣が1本。私に合わせてくれたようで、いつも着けられている騎士の剣とは違ってシンプルだ。というか飾りすらない。

「そんな剣もお持ちだったのですね」

「ああ、非番の日にまで騎士の剣を帯剣していては、何か任務を受けていないかと見回りの騎士たちが思うのでな」

そういえばガーランド様たちは王宮仕えだった。いかに、外周部とはいえ王宮警護のものが街で騎士剣をつけているというのは何か訝しまれるのだろう。

「じゃあ、行くぞ」

「はい!」

サーラたちと一緒とはいえ今日はデートだ、大いに楽しもうと私は家を出た。


家を出て、15分ほど歩いた学園通りで私たちはサーラを待つ。待ち合わせ時間より少し早いが、近くに待ち合わせ場所となっている噴水広場があるのでそこに腰かけて待つ。しばらくするとサーラたちと思しき姿が見えた。

「フォルト。あれだと思う…」

「多分間違いないと思うけど。ほんとに帯剣してるんだね」

「私だってそう思いたくなかったのだけど。子爵令嬢が休日まで帯剣して、まさか婚約者の紹介をするなんて思わなかった」

「とりあえず待たせても悪いし、行こう」

「サーラ、こんにちは。フォルトさんも」

「久しぶりだねティアナ嬢。今日は婚約者の紹介と聞いてきたのだけれど、剣技場にでも寄るのかい?」

「あっ、これは単純に最近レイピアを使ってないからっていうのでガーランド様に合わせてつけてきたんです!」

「そ、そうかい」

「立ち話もなんだし、店に入りましょうか?」

「そうだね。まだおやつの時間には少し早いから空いてるみたいだね」

私たちは学園通りにある有名お菓子店「バッツァ」に入る。

「いらっしゃいませ~2組様ですね」

「はい」

「ではこちらの4人掛けにどうぞ」

私たちは案内されるまま席に座る。注文はと…。

「ガーランド様は何にします?」

「ここは何が有名なんだ?」

「ひょっとしてこういうお店あまり来ないですか?」

「ああ、元々は夕方見回りが多かったのもあるが、こういう通り沿いの店にはほとんど入ったことがない。一つ横の通りの酒場ぐらいだな」

「そうなんですね。じゃあ、今度案内してくださいね。因みにここはパフェやケーキがおいしいんです」

「そうか。なら…このケーキにする」

ガーランド様が指したのはビターチョコケーキだ。結構ケーキ好きなのかな?私とサーラはパフェ、フォルト様はタルトだった。なんでもフルーツタルトが好きだとか。

「じゃあ、これとこれと後これを。それに紅茶を4つ」

「畏まりました」

サーラが代表して注文してくれ私たちは注文の商品が届くまで雑談をして待つ。届いた商品はさすがにうわさになるほどの見た目と味でついついスプーンが進む。ふと横を見るとガーランド様がこっちを見ていた。

「?」

「ああ、いや。美味しそうに食べるなと思って」

ボフッっと顔が赤くなる。食い意地張ってると思われたかな。

「すまん。そういうことではなくて、幸せそうでその…かわいいなと」

「そ、そうですか…」

恥ずかしくなってゆっくりと食べ進める私。因みにガーランド様はもうほとんどケーキを食べ終えている。やっぱり男の人だけあって、早いんだな~。そっちもおいしいそうだ。

「ちょっとだけ食べてもいいですか?」

「ん、ああ構わないが」

「じゃあ、頂きま~す」

ひょいっとケーキをすくって食べる。ん~ちょっと苦いけどおいしい!今度来るときはケーキを食べようかな。

「サーラ、あれはティアナ様だよね…」

「そうよ。私も直接見るのは初めてだけど、一応は同一人物のはずよ」

なんだかサーラたちが不思議そうな目で私を見ている。おかしなことでもしただろうか?

それからはお互いの婚約者の紹介やら、卒業後の進路やらを話してとりあえず今日の顔見せ会は終了となった。2人に私もガーランド様を紹介出来てうれしかった。やっぱり身内だけより友人にも祝福されたいしね。

「今日はおごってもらってありがとうねサーラ!」

「いつでもといいたいけれど、会える時にね」

「ガーランド殿、今日はお時間を頂きありがとうございました」

「こちらこそ、何かお困りのことがあればできる限りのことはしましょう」

「そうですね。護衛の依頼などあればお願いするかもしれません」

そう言って別れようとしたとき、急に人影が近づいてきた。

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