やっぱりご飯は山王イリス!

弓立歩

文字の大きさ
3 / 3
お話

第3話 お久しぶりの机印!

しおりを挟む
「ふわぁ~、ちょっと眠いなぁ~。最近残業続きで疲れが残ってるのかな?」

 今日も1時間ほどだが、下で作業を手伝い帰宅の途に着く。

「う~ん、久しぶりにあっちに行ってみるかな?」

 こういう日に直ぐ帰って休めばいいと思うのだが、そこは人間の性。変わった行動をとりたくなるものだ。私は以前に住んでいた地区で降りてスーパーに入ると、目当てのものを発見した。

「あったあった。このメーカーの物って今住んでる駅近には売ってないのよね」

 私が探し求めていたのは以前愛用していた机印のパックご飯だ。200gで10個入りでも値段控えめのいい商品だったのだけど、残念ながら近くの店には売っていないのだ。

「正しくは売っていたんだけどね。3か月前にそのドラッグストアも閉まっちゃって完全に買えなくなったのよね」

 とはいえ、いつも食べている低温製法米や銀シャリに勝るものでもない。もちろん、不味いということもないのだが、価格と量のバランス型なのだ。

「銀シャリは10食も買えば1,000円超えちゃうしね。こっちなら800円以下で買えるし、やっぱり財布が気になるから以前はよく買ってたのよね~」

 それも昔、よりよい生活を手に入れるため引っ越した私の誤算でもあった。

「ま、そのおかげで今の出会いがあるわけだし、一長一短よね!さて、後は卵とキムチにしようかな?久しぶりにちょっと高いけど、ミノスの中華スープも買ってと…」

 私は懐かしい思い出の中華スープも手に取ってかごに入れる。高校生の頃、受験勉強中にお世話になった5個入りのインスタントスープだ。当時は何気なく買ってきてって頼んでたけど、今思うとこれ結構高かったんだよね。

「お母さんにも感謝しないとね!こうしてお仕事もできてるわけだし」

 濃い味が欲しい時はお湯を少なめに、反対に薄い味が欲しい時は多めにお湯を入れて楽しんだものだ。あのトロっとしたスープに卵とチンゲン菜が入ってて、美味しかったんだよね。

「後はやっぱり一緒に入っているきくらげよね!あれがないと始まらないわ」

 うんうんとうなずきながら他の商品も見ていく。

「おっと、この前のステーキでねぎは使い切っちゃったから買い足しておかないと。なんにでも使えて便利なのよね」

 一人暮らしをして思ったことは食材の汎用性だ。もちろん、どの食材も色々使えるんだろうけど、私はそこまで料理が得意ではないので、簡単に使えるものが主になってしまう。

「白菜も鍋の季節以外は買わないし、レタスはサラダ以外だとね…。それなら、キャベツや玉ねぎの方がいいのよね~。あっ、これとこれを追加して買ってあれを作ろう!」

 私はちょっと組み合わせが変かなと思いつつも、いくつか食材をかごに追加する。

 さて、今日はこのぐらいでいいかな?後はお菓子を…。

「うむむ、久しぶりに挑戦するべきか…」

 私は売り場の一か所で足を止める。久しぶりに挑戦したい気持ちとどうせ無理だという気持ちで心がせめぎ合っている。

「カカオ96%…やはり強敵よね。うん、80%台のものにしましょう!」

 少し悩んだ末に私は隣の少し甘いものを選ぶ。甘いといっても苦めなわけだけど。

「やっぱり90%を超えてくるとおいしさがね。甘いコーヒーと一緒でもつらいもん」

 いつかはこういうものもおいしく食べたいと思いながらも、3度ほど食べてから食指が伸びない。それぐらい私にはハードルの高い商品なのだ。

「実際どういう人が買ってるんだろう?売ってるってことは需要があるわけだし…」

 会社に勤める前は思わなかったけど、うちの会社でも売上お悪いものは折を見て廃番になっている。作っている以上はそれなりに売り上げが見込めるのだろうけど、買ってる人を見たことがないんだよね。

「ま、棚を見てると減ったりしてるし、次のチャンスを待とう!」

 気持ちを切り替えて会計を済ませると、家に帰って調理開始だ。

「最初は鍋に水を入れてと。沸くのを待ったら水切りしたごぼうと豚肉ともやしを入れて、後は油を足して…」

 ぐっぐっと煮立ったところに油を投下する。変かもしれないけど、この方が冷めにくいし私は好きなのだ。

「後は味噌を入れたら弱火にして、こっちに取り掛からないとね」

 私はメインのご飯料理に手を付ける。

「まずは豚肉を小さく切ってと。ねぎも切って、火をつけてフライパンに油を引いて…おっと、先に買って来た机印のご飯を2分。これは高さがないから表記通りの2分で柔らかご飯だから助かるわ」

 レンジにご飯を入れて2分でスタートさせると、フライパンに卵を2つ。

 じゅ~~~~

「パパっとかき混ぜていったん卵を出してと。肉を投入!」

「色が変わったらちょっと醤油を入れて、次にご飯をレンジから出して混ぜる。そしてちょっとかき混ぜたら、ねぎと卵を追加して…最後は鶏がらスープの素を溶いて投入して軽く炒める」

 後は強火で時間との戦いだ。

 じゃっじゃっ

「鍋を振ってご飯がぱらついたら、雪特製チャーハンの出来上がり!後は火を切ってお椀に豚汁を入れてと」

 チャーハンをお玉でなんてできないので、木べらで適当に平皿に盛る。

「後は紅しょうがを足して完成~!」

 私は出来上がった2品をテーブルに持っていく。

「いただきま~す!うん、やっぱりこの味だね。豚汁も味噌と油の割合がいい感じ。チャーハンもいい出来だ~。久しぶりだったからちょっと不安だったんだけどね」

 その後、忘れていたお湯を沸かしてお風呂から上がる。

「ん~、いい湯だった。さて、今日はご褒美に久しぶりのカップスープで締めだね」

 私は沸かしていたお湯をカップに注ぐ。するとふわぁっと中に入っていた中華スープの卵が崩れていく。

「うんうん、この瞬間がたまらないよね!後は、しばらく待って…」

 ラーメン用のレンゲを取り出して、一口すする。

 ずずっ

「ん~~、手軽でおいしい!卵もチンゲン菜もきくらげも全部いい味出してる!幸せ~」

 それから歯を磨いて今日も一日が終わっていく。


「ふぅ~、明日も頑張ろう。今日のご飯は机印!多少の贅沢も吸収できるコスパの神様!」




しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

うっかり結婚を承諾したら……。

翠月るるな
恋愛
「結婚しようよ」 なんて軽い言葉で誘われて、承諾することに。 相手は女避けにちょうどいいみたいだし、私は煩わしいことからの解放される。 白い結婚になるなら、思う存分魔導の勉強ができると喜んだものの……。 実際は思った感じではなくて──?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

おばさんは、ひっそり暮らしたい

波間柏
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

処理中です...