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プロローグ
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僕の名前は字志築(あざなしづき)。13歳にして病気で死んでしまったんだ。何もできなかったなと思って次に目が覚めると、真っ白な空間に目の前には人が立っていた。
「おじさんだれ?」
「私か?私は君たちが言うところの神様だ。君があまりに可哀そうだったのでこうしてここに呼んだんだよ?」
「でも、世界中に僕みたいな子はいるよ?」
だからあなたも頑張ってねというのが、いつも白い服を着た人たちの言う言葉だった。
「うむ。だから、他の子たちも君の後で呼ぶことにしているんだ」
「そうなんだ。じゃあ、よかった」
だって、僕は頑張れなかった子だから。じゃなきゃもっと生きられたはずだしね。
「そうだ、今回呼んだのはだな。君を転生させてあげようと思ってね」
「てんせい?」
「新しく生まれ変わるってことだよ。記憶とかはちょっと薄れるけどね」
「ほんとう?」
「ああ」
「じゃあ、どんな感じになるのかな」
「それは君の希望を聞こうと思ってここに呼んだんだよ。何か希望はあるかい?」
「ん~と…それじゃあね、剣と魔法が使えるかわいい子がいいな。ちょうど、そんな子が出てくる本が読んでる途中で死んじゃったの」
「ふむ。本当にいいんだね、それで」
「うん」
「他に追加で願うことはないかい?」
「大丈夫だよ」
「遠慮はいらないよ。それにこういっては何だけど、君が行く予定の世界はそういった力を持つとその反動が来る世界なんだ。人もうらやむ幸運とか良いのかい?」
「いいよ。その子はそれで幸せそうだったし、それにその子は剣も魔法もどっちも最強なんだ!」
ああ、本の続きが読めない代わりにこんなことが起きるなんて。神様ありがとう。
「…分かった。それじゃあ、問題に対処できるように強くしておくよ。この先は僕にもどうしようもないからね」
「お願いします!」
「では、君の世界が幸福でありますように…」
その瞬間、僕の体は光に包まれて消えて行った。多くの記憶とともに…。
「あれからもう6年も経っちゃった…。もっとあの時にねだっておけばよかったのかも」
「3の姫様。陛下のもとへ!こちらはもう駄目です!ぐわっ!」
私はエレノア王国の第三王女として生まれ変わり、優しい母と厳格な父と2人の兄と2人の姉に囲まれ幸せだった。だけど、昨年に勃発した戦争により、この国は亡ぼうとしている。
「っ!みんな陛下のもとに行きます!」
「はっ!」
僅かな手勢を連れて玉座へと向かう。そこはすでに乱戦となっていた。奥の方では父が隠し扉から逃げているのが見える。そしてその前には下の兄さまが立ちはだかり、敵兵を止めている。
「兄さま!」
「クレイディア!無事か?」
「はい!みんな、加勢して!」
「はっ!」
急に現れた私たちに敵兵もたじろぎ一時的に優位になる。
「上の兄さまは?」
「残念だが…」
「そうですか…」
ここまで敵兵が来ているからもしかしてと思ったけど、ダメだったみたい。それにしてもこの血の海に気分が…。
「うっ!気分が…」
「大丈夫かクレイディア!お前もすぐに脱出を…」
「いけませんお兄様!上のお兄様がなくられた今、お父様と兄上しか国を背負うものはいないのです。ここは私が!」
「お前はまだ6歳だぞ!」
「ですが王女です!」
「……分かった。必ずまた会おう」
「お兄様も。さあ、こちらを…」
お父様が使ったのとは別の通路からお兄様を逃がす。これで王家の血が絶えることは低くなったと思いたい。
「皆さん、申し訳ありませんがここで足止めを!」
「姫様を守るためならこの命惜しくはありません!」
「…ごめんなさい、ありがとう」
私は残った僅かな手勢を使って、隠し通路に行く兵士を足止めする。
ザシュ
「うわぁ!」
しかし、こちらは数名。あちらはどんどんなだれ込んでくる。ついに残りは私一人だ。
「お前が王女だな。もうあきらめたらどうだ。姉も待っているぞ」
「!」
お姉さまたちも…。
「ではなおさら諦められません!王族として、2人に負けられません!」
私は不用意に近づいてきた兵士にタックルして剣を奪う。
「はん!そんな素人の構えで何ができる。いけっ!」
兵士が一人切りかかってくる。大丈夫だ。私には神様にもらった才能があるんだから!
「はぁ!!」
兵士をすれ違いざまに一閃した。
ドウ
「なに?確かに素人の構えのはず。ええい、手を抜いたか!」
「来なさい!ここは通しません!」
とはいえ私の力では剣をまともに振れるのは一瞬だ。1人、また1人と倒すものの、すぐに息が上がる。このままじゃ、通路にまで兵士が…そうだ!魔法を使えば。でも、どうやって使ったらいいかわからないし…ええぃどうとでもなっちゃえ。
「爆炎よ!」
私は自分の後ろに魔法を放つ。一瞬ですさまじい火が通路の前を覆う。これでお兄様も安全になったかしら?
「どうした、まだかかるのか?」
「団長!あそこにいる王女が…」
「…貴様ら、あのような小娘に手間取っているのか?」
「そ、それが、すでに3人もやられて」
「言い訳は不要だ。要は全力を尽くさなかったからだろう?一旦引くぞ!」
「はっ、しかしそれでは隠し通路が…」
「お前はあの炎に飛び込む勇気があるか?それは蛮勇だ」
ちらりと見ると通路の前はさっきよりさらに燃え盛っている。人が足を踏み入れようものなら一瞬で火に包まれるだろう。
「はっ!」
兵士たちが隊長の命令で下がっていく。良かった…これで守れた…。
そして私は意識を手放した。
隊長に従って下がると、今まで鬼気迫る表情でこちらをにらんでいた少女が突然倒れた。どういうことだろう?
「やはりな。幼子故、緊張を長時間保つほどの体力がなかったか。我らが一旦引き安心したのだろう」
「しかし、あの者をどうしますか?兵士もやられましたしここで…」
「何を言っている?やられたのは気を抜いたそいつらの無能さだ。我が団には不要だ。王女はすでに亡国の姫。この場で命を取るほどではない」
「では?」
「連れて帰るぞ。先ほどの報告通りなら、我が団としては国王も第2王子も逃したのだろう?何か成果を持って帰らねばならぬ」
「ははっ1」
部下たちが少女を何とも複雑な思いで抱えて玉座の間を後にする。
「しかし、これだけの魔法と剣気を放つことが出来るとはな。数年後に戦場で戦っていればどうなっていたことか」
この国は少数精鋭且つ、剣主体の軍だからこそ物量で我が軍が勝てたが、このような魔法使いもいては戦局はどう傾いたか。全くこの歳にしては恐ろしい才能だ。そう思い俺も敵城を後にする。のちの報告で国王と王妃は捕らえられ、戦争責任を問われ処刑されたが、第2王子の行方はようとして知れなかった。
「おじさんだれ?」
「私か?私は君たちが言うところの神様だ。君があまりに可哀そうだったのでこうしてここに呼んだんだよ?」
「でも、世界中に僕みたいな子はいるよ?」
だからあなたも頑張ってねというのが、いつも白い服を着た人たちの言う言葉だった。
「うむ。だから、他の子たちも君の後で呼ぶことにしているんだ」
「そうなんだ。じゃあ、よかった」
だって、僕は頑張れなかった子だから。じゃなきゃもっと生きられたはずだしね。
「そうだ、今回呼んだのはだな。君を転生させてあげようと思ってね」
「てんせい?」
「新しく生まれ変わるってことだよ。記憶とかはちょっと薄れるけどね」
「ほんとう?」
「ああ」
「じゃあ、どんな感じになるのかな」
「それは君の希望を聞こうと思ってここに呼んだんだよ。何か希望はあるかい?」
「ん~と…それじゃあね、剣と魔法が使えるかわいい子がいいな。ちょうど、そんな子が出てくる本が読んでる途中で死んじゃったの」
「ふむ。本当にいいんだね、それで」
「うん」
「他に追加で願うことはないかい?」
「大丈夫だよ」
「遠慮はいらないよ。それにこういっては何だけど、君が行く予定の世界はそういった力を持つとその反動が来る世界なんだ。人もうらやむ幸運とか良いのかい?」
「いいよ。その子はそれで幸せそうだったし、それにその子は剣も魔法もどっちも最強なんだ!」
ああ、本の続きが読めない代わりにこんなことが起きるなんて。神様ありがとう。
「…分かった。それじゃあ、問題に対処できるように強くしておくよ。この先は僕にもどうしようもないからね」
「お願いします!」
「では、君の世界が幸福でありますように…」
その瞬間、僕の体は光に包まれて消えて行った。多くの記憶とともに…。
「あれからもう6年も経っちゃった…。もっとあの時にねだっておけばよかったのかも」
「3の姫様。陛下のもとへ!こちらはもう駄目です!ぐわっ!」
私はエレノア王国の第三王女として生まれ変わり、優しい母と厳格な父と2人の兄と2人の姉に囲まれ幸せだった。だけど、昨年に勃発した戦争により、この国は亡ぼうとしている。
「っ!みんな陛下のもとに行きます!」
「はっ!」
僅かな手勢を連れて玉座へと向かう。そこはすでに乱戦となっていた。奥の方では父が隠し扉から逃げているのが見える。そしてその前には下の兄さまが立ちはだかり、敵兵を止めている。
「兄さま!」
「クレイディア!無事か?」
「はい!みんな、加勢して!」
「はっ!」
急に現れた私たちに敵兵もたじろぎ一時的に優位になる。
「上の兄さまは?」
「残念だが…」
「そうですか…」
ここまで敵兵が来ているからもしかしてと思ったけど、ダメだったみたい。それにしてもこの血の海に気分が…。
「うっ!気分が…」
「大丈夫かクレイディア!お前もすぐに脱出を…」
「いけませんお兄様!上のお兄様がなくられた今、お父様と兄上しか国を背負うものはいないのです。ここは私が!」
「お前はまだ6歳だぞ!」
「ですが王女です!」
「……分かった。必ずまた会おう」
「お兄様も。さあ、こちらを…」
お父様が使ったのとは別の通路からお兄様を逃がす。これで王家の血が絶えることは低くなったと思いたい。
「皆さん、申し訳ありませんがここで足止めを!」
「姫様を守るためならこの命惜しくはありません!」
「…ごめんなさい、ありがとう」
私は残った僅かな手勢を使って、隠し通路に行く兵士を足止めする。
ザシュ
「うわぁ!」
しかし、こちらは数名。あちらはどんどんなだれ込んでくる。ついに残りは私一人だ。
「お前が王女だな。もうあきらめたらどうだ。姉も待っているぞ」
「!」
お姉さまたちも…。
「ではなおさら諦められません!王族として、2人に負けられません!」
私は不用意に近づいてきた兵士にタックルして剣を奪う。
「はん!そんな素人の構えで何ができる。いけっ!」
兵士が一人切りかかってくる。大丈夫だ。私には神様にもらった才能があるんだから!
「はぁ!!」
兵士をすれ違いざまに一閃した。
ドウ
「なに?確かに素人の構えのはず。ええい、手を抜いたか!」
「来なさい!ここは通しません!」
とはいえ私の力では剣をまともに振れるのは一瞬だ。1人、また1人と倒すものの、すぐに息が上がる。このままじゃ、通路にまで兵士が…そうだ!魔法を使えば。でも、どうやって使ったらいいかわからないし…ええぃどうとでもなっちゃえ。
「爆炎よ!」
私は自分の後ろに魔法を放つ。一瞬ですさまじい火が通路の前を覆う。これでお兄様も安全になったかしら?
「どうした、まだかかるのか?」
「団長!あそこにいる王女が…」
「…貴様ら、あのような小娘に手間取っているのか?」
「そ、それが、すでに3人もやられて」
「言い訳は不要だ。要は全力を尽くさなかったからだろう?一旦引くぞ!」
「はっ、しかしそれでは隠し通路が…」
「お前はあの炎に飛び込む勇気があるか?それは蛮勇だ」
ちらりと見ると通路の前はさっきよりさらに燃え盛っている。人が足を踏み入れようものなら一瞬で火に包まれるだろう。
「はっ!」
兵士たちが隊長の命令で下がっていく。良かった…これで守れた…。
そして私は意識を手放した。
隊長に従って下がると、今まで鬼気迫る表情でこちらをにらんでいた少女が突然倒れた。どういうことだろう?
「やはりな。幼子故、緊張を長時間保つほどの体力がなかったか。我らが一旦引き安心したのだろう」
「しかし、あの者をどうしますか?兵士もやられましたしここで…」
「何を言っている?やられたのは気を抜いたそいつらの無能さだ。我が団には不要だ。王女はすでに亡国の姫。この場で命を取るほどではない」
「では?」
「連れて帰るぞ。先ほどの報告通りなら、我が団としては国王も第2王子も逃したのだろう?何か成果を持って帰らねばならぬ」
「ははっ1」
部下たちが少女を何とも複雑な思いで抱えて玉座の間を後にする。
「しかし、これだけの魔法と剣気を放つことが出来るとはな。数年後に戦場で戦っていればどうなっていたことか」
この国は少数精鋭且つ、剣主体の軍だからこそ物量で我が軍が勝てたが、このような魔法使いもいては戦局はどう傾いたか。全くこの歳にしては恐ろしい才能だ。そう思い俺も敵城を後にする。のちの報告で国王と王妃は捕らえられ、戦争責任を問われ処刑されたが、第2王子の行方はようとして知れなかった。
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