デュラハンちゃんの旅日記

弓立歩

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第1部 2章 辺境の町メルキス

幕間 ガイエル一家

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「へぇ~、そんなことがあったんだ」

「ああ、あの時は本当にうれしかったぞ。もちろん、最初の子の時もうれしかったがな」

 コンコン

「どうした?」

「もうあれから2時間も経ちましたよ。これ以上はお体に障ります」

「もうそんなに経ったのか。時間が経つのは早いものだな」

「それじゃあ、私はこれで…」

「ああ、時間があったらまた来てくれ」

「はい。ガイエル…様」

 扉をノックしたのはクウィードさんのお母様だった。一緒に世話役と見られるメイドも連れており、私が退室したのと入れ替わりで中に入っていった。


「お義父様、あの少女はなんなのです?」

「別にお前が心配するようなことはない。あの子の祖母に世話になっただけだ」

「それにしては親しげだったご様子ですが…」

「何分、あの子の祖母の話をするのも30年振りでな。つい、話に花が咲いてしまったのだ。まあ、お前ももう少しすれば分かる。また会えると思ってはいなかったからな」

「そうですか。それならばよいのですが…」

「それより、クウィードはどうだ?次期後継者として」

「問題なく。ただ、まだ婚約者が決まらないんですの。言い聞かせてはいるのですが…」

「そうか。まあ、焦ることはあるまい。お前たちの結婚はスムーズだったが、いつもそうとは限らん。現にわしの時も時間がかかったものだ」

「お義父様の時はすぐにまとまったと聞いておりますが?」

「それは縁談話が出てからだろう。その時は22歳だった。まだ、あいつは19歳だろう?そう急かすものでもない」

「そうだとよいのですが」

 コンコン

「ん?今日はやけに客が多いな」

「父上、入ります」

「ああ」

「失礼します。あの少女の処遇はどういたしましょう?」

「うむ。田舎から無理にここに来させてしまったからな。しばらくは街での暮らしに不便をきたすだろうから、クウィードとアルテラを付ける」

「父上、まさか…」

「お前の思うようなことは考えておらん。わしとて、血筋の分からぬものをそうそう迎え入れたりはせんよ」

「そうですか。では、2人にはそう伝えておきます」

「ああ。そうだ、世間の事には疎いだろうから、空き家を一つ用意してやりなさい。くれぐれも粗相のないようにな」

「分かりました。それにしても、今日はずいぶん楽しそうでしたね。外まで声が漏れていましたよ」

「ふっ、旧友の孫にあたるからな。本人と話したかったが、そうもいかなかったのが悔やまれる」

「しかし、父上は彼女の祖母とは一体、いつお知り合いに?」

「お前も聞いたことがあるだろう。俺が見習騎士だった時代に、行方不明になったことがあると」

「確か引退した騎士に聞いたことがあったような…」

「その時に手当や食料の工面をしてくれたのだ。あの時は俺も油断していてな」

「そうでしたか。それは礼をしなければなりませんね」

「そういうことだ」

「では、手配をしてまいります。ランダももう戻ろう」

「ええ、貴方」

 そう言って2人は部屋を出ていく。全部が嘘ではないがあれで納得してもらえると助かるのだが。

「はぁ。全く、守るものが多いと大変だな」

 そうつぶやくと俺はまた眠りについた。


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