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第34話_蒼盾の反乱疑惑
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王都リオスト、東の一角に構える巨大な冒険者ギルド〈蒼盾〉。
翔がギルド本部を訪れるのは、これで何度目になるだろうか。けれど今日の空気は違っていた。
咲耶が彼を出迎えたのは、まだ朝日も完全に昇り切らない静けさの中だった。
「来てくれてありがとう、翔。……どうしても、君の力が必要」
咲耶の言葉は、いつになく重い。
ギルド建物の奥からは、職員たちのざわめきが漏れ聞こえていた。
「何があった? 例の“襲撃情報の漏洩”か?」
翔の問いに、咲耶は頷きながら、手元の書類を翔へ手渡す。
「襲撃当日の三日前、ギルド内から王都中央へ密書が送られていた。受取人不明。内容は暗号文で、解析に時間がかかったけど……“空転祭”“巫王”“記憶核”の語が一致した」
翔は、握った紙から冷たさを感じた。
「つまり、蒼盾の中に……スパイがいる」
咲耶は黙ってうなずく。彼女の瞳の奥には、疑念と怒り、そして焦りが同居していた。
「でも、誰が? ギルドって、冒険者だけじゃなく、職員も多いだろ?」
「そう。だから絞り込むために、君の“リンクフォージ”を使わせてほしい」
翔は一瞬、眉をひそめた。咲耶は即座に続けた。
「“縁”を探るスキルで、漏洩の可能性がある人物との関係性を可視化できるかもしれない。無実の者には触れない。でも、疑念の糸口が必要なの」
翔は答える代わりに、ゆっくりとうなずいた。
「やってみる。俺も、このまま巫王に踊らされるわけにはいかないからな」
咲耶の指示で、ギルドの資料室が捜査の場となった。
机に並ぶのは、連絡記録、受付日誌、魔法通信機の使用ログ、そして一人ひとりの“縁情報カード”。
翔が懐から〈縁探知ペンダント〉を取り出す。
以前、咲耶と鍛えた、縁の震えを感知するための装具だ。
「じゃあ、これから“疑わしい震え”を探していく。咲耶、そっちの記録簿に名前を読み上げてくれ」
「了解。まずは受付チーフ、カーレン・ストレイド」
翔がペンダントに意識を集中させる。
縁の糸が淡く揺れたが、濁りはない。
「問題なし。次」
「警備責任者、ラウト・ゼッツ」
ペンダントが微かに震えた。が、その揺れは仲間に対する信頼と警戒が交じった複雑なものだ。
「グレー……次へ」
「資料担当、ソーニャ・フィルク。直近の通信記録と一致」
その名前を聞いた瞬間、ペンダントがびりりと痙攣した。
翔は反射的に顔を上げた。
「咲耶、ソーニャって誰だ?」
「新人職員。入職三か月。情報管理補佐。地味で目立たないけど、記録の扱いは的確。……まさか」
「彼女と“縁”が強く繋がっているのは、他に誰?」
「えっと、調べる……あっ、配属時に補佐に就いたのが、アルバート・クライス。魔法道具の点検係」
翔の手が動く。〈リンクフォージ〉がうなる。
二人の縁を錬成し、ペンダントに込めると、光の軌跡が揺らいだ。
「この縁……異常だ。偽装されてる。表面は“同僚”、でも、奥にあるのは、命令と服従の縁だ」
咲耶の目が鋭くなった。
「アルバート……彼が黒幕?」
「断定はできない。でも、ソーニャは彼から命じられて動いた可能性がある」
咲耶は手帳を閉じ、ぴたりと立ち上がった。
「翔、これから内密に尋問室を用意する。証拠なしの拘束は避けたいから、あくまで聞き取りという名目でソーニャに接触する」
翔は深くうなずいた。
「わかった。俺も同行する」
ギルド本部の一角にある尋問室は、石壁に囲まれ、外界の音が遮断される静謐な空間だった。
そこに呼び出されたソーニャは、驚いた表情を隠しきれていなかった。
「え、わたし……何か、不備でも……?」
声は震え、細い指先が膝の上で絡まっていた。
彼女は小柄で、亜麻色の髪をきっちりと束ねている。ごく普通の、物静かな文書職員。
咲耶が穏やかに笑みを浮かべ、正面に腰掛けた。
「ごめんなさい、ソーニャ。記録確認のため、いくつか質問させてほしいの。すぐに終わるわ」
「……はい」
翔は部屋の隅で無言を貫いたまま、ペンダントに意識を注いでいた。
ソーニャが嘘をつけば、縁の震えが濁る。言葉と感情に食い違いが出れば、光は波打つ。
「三日前の夜、記録室で魔法通信機を扱った人は、あなた以外にいたかしら?」
「ええと……いいえ、その夜は私ひとりでした」
ペンダントは、震えない。事実だ。
「じゃあ、その通信機で“特殊文字コード”を用いた暗号文を送った覚えは?」
ソーニャは一瞬目を見開き、次の瞬間、視線をそらした。
「……私は、ただ、点検記録を転送しただけで……暗号なんて、使ってません」
ペンダントが小さく、脈打った。
翔の中で、確信が灯った。
彼女は何かを隠している。
「じゃあ、アルバート・クライスとは、どんな関係?」
咲耶が畳みかけるように訊いた。
ソーニャの背筋がぴくりと跳ねた。
「ただの……先輩、です。仕事を教えてもらってただけで……」
ペンダントが強く、はっきりと脈動した。
翔は静かに歩み寄り、ソーニャの前に立った。
「君の縁は、命令と恐怖で縛られてる。無理やり命じられたのか?」
その言葉に、ソーニャの瞳が濡れる。
「……だって、断れなかった……断ったら、家族を……!」
声が掠れ、身体を縮めるように肩をすぼめた。
咲耶が静かに、だが毅然と声を重ねる。
「ソーニャ、協力して。君が知ってる情報を提供してくれれば、私たちが守る。君の家族も含めて」
「ほんとうに……?」
「“絆鍛冶師”の名に誓って」
翔が言い切った瞬間、ソーニャは崩れるように涙を流し、口を開いた。
「……アルバートさんは、“刻印を壊せ”って言ってました。空転祭が始まるって。ギルドの信用を崩して、王都を混乱させるって……わたし、魔導通信で……巫王の使いに……」
翔と咲耶は顔を見合わせた。
「巫王は、ギルドの信用そのものを崩すつもりだったのか……」
「でも、これで計画の一端が明らかになった」
咲耶はすぐにギルド幹部に連絡を取り、ソーニャの証言を元にアルバートの拘束手続きを開始した。
翔はその場に残り、そっとソーニャの手を握った。
「……ありがとう。君の縁は、もう“恐怖”じゃない。これからは、自分の意思で誰かと繋がれるはずだ」
ペンダントが、微かに優しい光を放った。
ギルド地下の記録保管庫は、冷気すら漂う厳重な石造りで、鍵付きの魔導扉が三重に備わっている。
だがその一つが、開錠記録なしに“内側から解除された”痕跡があることを、翔たちは監視晶板で突き止めた。
「ソーニャの証言と合致するな。問題は、このあと誰がそこに入ったか……」
咲耶が水晶レンズを操作し、時間を巻き戻す。
灰色の幻像の中、ある男の姿が現れた。
「いた……アルバート・クライス。間違いないわ」
短髪の壮年男、眼光鋭く、ギルド内では鉄面皮として通る管理職。
だが今、彼は扉を開け、何かを持ち出していた。
「この黒い封筒、魔導符だ。恐らく、ギルド刻印盤の結界制御用だな」
翔は瞼を伏せ、指先で自身のペンダントを握る。
“縁探知ペンダント”は、まだうっすらと不穏な波動を捉えている。
「奴はまだ……館内にいる。縁が揺れてる」
その時だった。階上から、爆音が響いた。
「なにっ――!」
翔と咲耶は即座に階段を駆け上がり、中央ロビーへ飛び出す。
白煙。割れた窓。逃げる人影。
「アルバート! 逃げる気か!」
翔が声を張る。
だが男は一瞥もくれず、魔導障壁を展開して屋根伝いに逃走を図る。
「咲耶、先回りできるか?」
「できる。南面の見張り塔、連絡済み!」
翔は深呼吸一つ。自身の手の中に縁の光を凝縮させる。
「リンクフォージ――展開」
ペンダントが輝き、光が舞う。
ソーニャとの“恐怖から解き放たれた縁”と、ギルド職員たちの“誠意ある信頼の縁”が、翔の意志に応える。
「打て、《縁鎖鉄球〈ギルド・トラストバインド〉》!」
爆ぜるように空中に出現したのは、鋼の錘を鎖で繋いだ拘束具。
翔はそれを振るい、逃げるアルバートの脚へ向けて放った。
「っ――が、ぁああっ!」
鎖が絡みつき、アルバートの脚が止まる。障壁が破れ、膝をついた。
駆けつけた咲耶が制圧の印を掲げ、ギルド兵が周囲を囲んだ。
「アルバート・クライス。ギルド法第三十三条、組織に対する反逆未遂の容疑で拘束する」
その言葉に、男は顔を上げた。
その眼には、憎悪と諦念が渦巻いていた。
「……くだらん。“刻印”なんぞに未来はない。“空転”こそ、真なる自由だ」
「ならば、君はそれを“他者を欺くことで”為そうとしたんだな。君の“縁”は、壊すためのものだった」
翔が静かに言った。
「俺たちは違う。“繋ぐ”ために、この刻印と向き合ってる」
その瞬間、縁探知ペンダントの光がすっと収まった。
陰謀は、ひとつ断たれた。
だが同時に、翔は確信する。
巫王の手は、すでに王都の中枢にまで伸びている。
翔がギルド本部を訪れるのは、これで何度目になるだろうか。けれど今日の空気は違っていた。
咲耶が彼を出迎えたのは、まだ朝日も完全に昇り切らない静けさの中だった。
「来てくれてありがとう、翔。……どうしても、君の力が必要」
咲耶の言葉は、いつになく重い。
ギルド建物の奥からは、職員たちのざわめきが漏れ聞こえていた。
「何があった? 例の“襲撃情報の漏洩”か?」
翔の問いに、咲耶は頷きながら、手元の書類を翔へ手渡す。
「襲撃当日の三日前、ギルド内から王都中央へ密書が送られていた。受取人不明。内容は暗号文で、解析に時間がかかったけど……“空転祭”“巫王”“記憶核”の語が一致した」
翔は、握った紙から冷たさを感じた。
「つまり、蒼盾の中に……スパイがいる」
咲耶は黙ってうなずく。彼女の瞳の奥には、疑念と怒り、そして焦りが同居していた。
「でも、誰が? ギルドって、冒険者だけじゃなく、職員も多いだろ?」
「そう。だから絞り込むために、君の“リンクフォージ”を使わせてほしい」
翔は一瞬、眉をひそめた。咲耶は即座に続けた。
「“縁”を探るスキルで、漏洩の可能性がある人物との関係性を可視化できるかもしれない。無実の者には触れない。でも、疑念の糸口が必要なの」
翔は答える代わりに、ゆっくりとうなずいた。
「やってみる。俺も、このまま巫王に踊らされるわけにはいかないからな」
咲耶の指示で、ギルドの資料室が捜査の場となった。
机に並ぶのは、連絡記録、受付日誌、魔法通信機の使用ログ、そして一人ひとりの“縁情報カード”。
翔が懐から〈縁探知ペンダント〉を取り出す。
以前、咲耶と鍛えた、縁の震えを感知するための装具だ。
「じゃあ、これから“疑わしい震え”を探していく。咲耶、そっちの記録簿に名前を読み上げてくれ」
「了解。まずは受付チーフ、カーレン・ストレイド」
翔がペンダントに意識を集中させる。
縁の糸が淡く揺れたが、濁りはない。
「問題なし。次」
「警備責任者、ラウト・ゼッツ」
ペンダントが微かに震えた。が、その揺れは仲間に対する信頼と警戒が交じった複雑なものだ。
「グレー……次へ」
「資料担当、ソーニャ・フィルク。直近の通信記録と一致」
その名前を聞いた瞬間、ペンダントがびりりと痙攣した。
翔は反射的に顔を上げた。
「咲耶、ソーニャって誰だ?」
「新人職員。入職三か月。情報管理補佐。地味で目立たないけど、記録の扱いは的確。……まさか」
「彼女と“縁”が強く繋がっているのは、他に誰?」
「えっと、調べる……あっ、配属時に補佐に就いたのが、アルバート・クライス。魔法道具の点検係」
翔の手が動く。〈リンクフォージ〉がうなる。
二人の縁を錬成し、ペンダントに込めると、光の軌跡が揺らいだ。
「この縁……異常だ。偽装されてる。表面は“同僚”、でも、奥にあるのは、命令と服従の縁だ」
咲耶の目が鋭くなった。
「アルバート……彼が黒幕?」
「断定はできない。でも、ソーニャは彼から命じられて動いた可能性がある」
咲耶は手帳を閉じ、ぴたりと立ち上がった。
「翔、これから内密に尋問室を用意する。証拠なしの拘束は避けたいから、あくまで聞き取りという名目でソーニャに接触する」
翔は深くうなずいた。
「わかった。俺も同行する」
ギルド本部の一角にある尋問室は、石壁に囲まれ、外界の音が遮断される静謐な空間だった。
そこに呼び出されたソーニャは、驚いた表情を隠しきれていなかった。
「え、わたし……何か、不備でも……?」
声は震え、細い指先が膝の上で絡まっていた。
彼女は小柄で、亜麻色の髪をきっちりと束ねている。ごく普通の、物静かな文書職員。
咲耶が穏やかに笑みを浮かべ、正面に腰掛けた。
「ごめんなさい、ソーニャ。記録確認のため、いくつか質問させてほしいの。すぐに終わるわ」
「……はい」
翔は部屋の隅で無言を貫いたまま、ペンダントに意識を注いでいた。
ソーニャが嘘をつけば、縁の震えが濁る。言葉と感情に食い違いが出れば、光は波打つ。
「三日前の夜、記録室で魔法通信機を扱った人は、あなた以外にいたかしら?」
「ええと……いいえ、その夜は私ひとりでした」
ペンダントは、震えない。事実だ。
「じゃあ、その通信機で“特殊文字コード”を用いた暗号文を送った覚えは?」
ソーニャは一瞬目を見開き、次の瞬間、視線をそらした。
「……私は、ただ、点検記録を転送しただけで……暗号なんて、使ってません」
ペンダントが小さく、脈打った。
翔の中で、確信が灯った。
彼女は何かを隠している。
「じゃあ、アルバート・クライスとは、どんな関係?」
咲耶が畳みかけるように訊いた。
ソーニャの背筋がぴくりと跳ねた。
「ただの……先輩、です。仕事を教えてもらってただけで……」
ペンダントが強く、はっきりと脈動した。
翔は静かに歩み寄り、ソーニャの前に立った。
「君の縁は、命令と恐怖で縛られてる。無理やり命じられたのか?」
その言葉に、ソーニャの瞳が濡れる。
「……だって、断れなかった……断ったら、家族を……!」
声が掠れ、身体を縮めるように肩をすぼめた。
咲耶が静かに、だが毅然と声を重ねる。
「ソーニャ、協力して。君が知ってる情報を提供してくれれば、私たちが守る。君の家族も含めて」
「ほんとうに……?」
「“絆鍛冶師”の名に誓って」
翔が言い切った瞬間、ソーニャは崩れるように涙を流し、口を開いた。
「……アルバートさんは、“刻印を壊せ”って言ってました。空転祭が始まるって。ギルドの信用を崩して、王都を混乱させるって……わたし、魔導通信で……巫王の使いに……」
翔と咲耶は顔を見合わせた。
「巫王は、ギルドの信用そのものを崩すつもりだったのか……」
「でも、これで計画の一端が明らかになった」
咲耶はすぐにギルド幹部に連絡を取り、ソーニャの証言を元にアルバートの拘束手続きを開始した。
翔はその場に残り、そっとソーニャの手を握った。
「……ありがとう。君の縁は、もう“恐怖”じゃない。これからは、自分の意思で誰かと繋がれるはずだ」
ペンダントが、微かに優しい光を放った。
ギルド地下の記録保管庫は、冷気すら漂う厳重な石造りで、鍵付きの魔導扉が三重に備わっている。
だがその一つが、開錠記録なしに“内側から解除された”痕跡があることを、翔たちは監視晶板で突き止めた。
「ソーニャの証言と合致するな。問題は、このあと誰がそこに入ったか……」
咲耶が水晶レンズを操作し、時間を巻き戻す。
灰色の幻像の中、ある男の姿が現れた。
「いた……アルバート・クライス。間違いないわ」
短髪の壮年男、眼光鋭く、ギルド内では鉄面皮として通る管理職。
だが今、彼は扉を開け、何かを持ち出していた。
「この黒い封筒、魔導符だ。恐らく、ギルド刻印盤の結界制御用だな」
翔は瞼を伏せ、指先で自身のペンダントを握る。
“縁探知ペンダント”は、まだうっすらと不穏な波動を捉えている。
「奴はまだ……館内にいる。縁が揺れてる」
その時だった。階上から、爆音が響いた。
「なにっ――!」
翔と咲耶は即座に階段を駆け上がり、中央ロビーへ飛び出す。
白煙。割れた窓。逃げる人影。
「アルバート! 逃げる気か!」
翔が声を張る。
だが男は一瞥もくれず、魔導障壁を展開して屋根伝いに逃走を図る。
「咲耶、先回りできるか?」
「できる。南面の見張り塔、連絡済み!」
翔は深呼吸一つ。自身の手の中に縁の光を凝縮させる。
「リンクフォージ――展開」
ペンダントが輝き、光が舞う。
ソーニャとの“恐怖から解き放たれた縁”と、ギルド職員たちの“誠意ある信頼の縁”が、翔の意志に応える。
「打て、《縁鎖鉄球〈ギルド・トラストバインド〉》!」
爆ぜるように空中に出現したのは、鋼の錘を鎖で繋いだ拘束具。
翔はそれを振るい、逃げるアルバートの脚へ向けて放った。
「っ――が、ぁああっ!」
鎖が絡みつき、アルバートの脚が止まる。障壁が破れ、膝をついた。
駆けつけた咲耶が制圧の印を掲げ、ギルド兵が周囲を囲んだ。
「アルバート・クライス。ギルド法第三十三条、組織に対する反逆未遂の容疑で拘束する」
その言葉に、男は顔を上げた。
その眼には、憎悪と諦念が渦巻いていた。
「……くだらん。“刻印”なんぞに未来はない。“空転”こそ、真なる自由だ」
「ならば、君はそれを“他者を欺くことで”為そうとしたんだな。君の“縁”は、壊すためのものだった」
翔が静かに言った。
「俺たちは違う。“繋ぐ”ために、この刻印と向き合ってる」
その瞬間、縁探知ペンダントの光がすっと収まった。
陰謀は、ひとつ断たれた。
だが同時に、翔は確信する。
巫王の手は、すでに王都の中枢にまで伸びている。
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